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消費税論議再燃…首相退陣と社民離脱で

2010年06月03日 | 日記
 「4年間の任期中は消費税率を引き上げない」と明言して来た鳩山首相の退陣を受けて、事実上封印されていた消費税率引き上げの論議が、民主党内で活発化する可能性が高まってきた。

 ただ、増税への抵抗は依然根強く、次期首相の財政健全化に対する考え方や指導力が、今後の議論を大きく左右しそうだ。

 ◆解かれる封印◆ 

 民主、社民、国民新の3党は、政権発足時に取り交わした政策合意で、「政権担当期間中、消費税率5%は据え置く」と明記した。国民に不人気な消費税率引き上げの議論を避け、政権への支持を維持する狙いがあったとみられる。

 3党は「歳出の見直し努力を最大限行う」ことで財源を確保する方針を打ち出したが、歳出削減は思うように進んでいない。鳩山政権が作った2010年度当初予算は戦後初めて、国債発行額が税収を上回った。

 こうした事態を受けて、民主党代表選に出馬する菅財務相は3日の記者会見で、「無限に借金が増えるような方向性をただしていく」と述べた。財政再建の必要性を強調することで、消費税議論の封印を解く狙いがあるとみられる。

 ギリシャ危機の影響で、民主党内では、財政再建を重視する声が高まりつつある。5月26日には衆参の民主党議員有志が「国家財政を考える会」を結成し、100人以上が出席した。党の参院選公約に「次期衆院選後の消費税率引き上げ」を明記するよう求めた。

 増税論が勢いを増している背景には、財政再建の重要性に対する国民の理解が深まってきたことで、増税に対して前向きな姿勢を示した方が支持を得られるとの読みもあるようだ。

 ◆参院選焦点◆ 

 鳩山首相の辞任で、政策合意に署名した3人のうち、国民新党代表の亀井金融相を除く2人が閣外に去ることになり、「(3党合意は)参院選後にどういう連立を組むかの協議の中で議論される」(峰崎直樹財務副大臣)見通しとなっている。消費増税の議論を縛ってきた政策合意のタガがはずれる可能性は高い。

 民主党は、新代表が選出され次第、政権公約会議を開いて参院選公約を策定する。政府は6月中旬をめどに、今後3年間の歳入・歳出の見通しを示す「中期財政フレーム」と今後10年程度の「財政運営戦略」をまとめる運びだ。ここで、どこまで具体論に踏み込めるかが焦点となる。

 ただ、改選期を迎える民主党の参院議員らは「選挙で増税を訴えて勝ったためしはない。ただでさえ支持率が落ち込んでいるのに自殺行為だ」と反発しており、党内も一枚岩ではない。

 一方、自民党は参院選公約で、消費税率引き上げについて、「当面は10%」と打ち出す方針だ。鳩山首相退陣による民主党の支持率回復に危機感を強めており、具体的な数値を掲げて党内調整に手間取る民主党との違いを明確にする。

 次期首相が消費税議論の封印を解けば、与野党双方で一気に議論が加速する可能性もあるだけに、対応が注目される。(川上修)

引用元:yahoo ニュース