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トヨタ ブラジル・米の工場建設凍結解除へ 新興国向け戦略車で攻め姿勢

2010年06月18日 | 日記
 トヨタ自動車が建設を凍結していたブラジル・サンパウロ州の第2工場について、来年中の稼働を検討していることが17日、分かった。建設を一時中断していた米ミシシッピ州の工場も来年後半に稼働させる方針で、2008年秋のリーマン・ショックの影響で凍結していた主な新工場案件が動き出す。トヨタは世界で約300万台ある過剰生産能力の解消を進める一方、現地需要が見込める国などを中心に「攻めの姿勢」を打ち出す。

 ブラジルの第2工場は08年夏に建設計画が決まった。だが、リーマン・ショック後に新車販売が急激に冷え込んだため、同工場と中国・長春市の第2工場、ミシシッピ州の工場の建設計画を凍結していた。

 その後、世界各国の新車購入支援策を追い風に新車販売が急速に回復。トヨタは「需要のある地域での生産」を基本としている。すでに08年10月に起工式後に建設を中断していた中国・長春第2工場の稼働を12年前半にすると決めており、「カローラ」を10万台生産する計画。

 これに続き、成長著しいブラジルと、為替リスクを軽減できる米国の現地生産を拡大する。

 ◆年16万台超に拡大

 ブラジル第2工場では新興国向けの戦略小型車を生産し、年産能力を10万台に設定する予定で、第1工場と合わせて年間16万台以上に拡大する。同国の新車販売シェアは独フォルクスワーゲン(VW)や伊フィアット、米ゼネラル・モーターズ(GM)で約6割を占めており、トヨタのシェアは2%程度のため、新工場稼働でシェアアップを狙う。

 一方、市場の冷え込みから中断していたミシシッピ工場も、来年後半に稼働させる方針。GMとの合弁工場「NUMMI」閉鎖に伴い日本からの輸出に切り替えていたカローラについて、円高で採算が悪化したこともありミシシッピでの生産を検討する。

 中国やブラジルは、トヨタにとって出遅れが指摘されていた新興国。豊田章男社長は「攻める分野を明確にした上で、経営資源を最適配分することで持続的な成長を目指す」としており、今後は中国、インド、ブラジルの新興国市場ではそれぞれの国のニーズに合った低価格小型車を開発、投入する計画だ。

 一方で、トヨタは生産能力の過剰解消のため、日本や英国、フランスなどで生産態勢の見直しを進めてきた。ラインの稼働本数を減らしたり、余剰従業員を削減したりした結果、「設備面での余剰感はあるが、人的な生産能力の余剰はほぼ解消した」(トヨタ関係者)という。

 大幅な設備削減に乗り出さないのは、「市場が本格回復したとき、速やかに対応できる態勢を残したい」(トヨタ幹部)からで、先進国では柔軟性のある生産態勢づくりを進めている。(鈴木正行)

引用元:yahoo ニュース