ダイビングと生き物の写真ブログⅡ~魚・鳥・花・蝶・トンボなどなど

ダイビングの海の写真、動物・鳥・魚・昆虫などの生き物、自然風景の写真、これらを中心に気ままにブログを書きます。

噂のアメリカビロードキンクロについて詳しく記述します

2014-01-26 20:00:00 | 野鳥-北海道

関東でアラナミキンクロとともに亜種アメリカビロードキンクロが出ているそうです。
アメリカビロードキンクロに関しては情報が乏しく同定が難しいようで、
検索で自分の過去記事にたどりついた方からの問い合わせも何件かありました。

そこで、改めて2012年3月19-20日に根室ゴヨウマイ港で撮ったアメリカビロードキンクロの写真を掲載してみることにしました。
そして、過去記事と重複する部分もありますが2年前に自分が調べてわかったことも含めてできるだけわかりやすくまとめてみます。
(2年前はオリンパスE-5にテレコンを付けて撮っていたので画質はイマイチですがご容赦ください)





アメリカビロードキンクロ♂
アメリカビロードキンクロの特徴は
①わき腹が黒ではなく褐色である。
②クチバシのヘリが黄色くない。
③鼻の突起がアジアタイプ程大きく突出していない。
④頭の形が角ばっている(目先の当たりに段がある)。
の4点です。(道東の野鳥情報イーグルさんの解説を引用)
写真では4つの特徴が全て見て取ることができます。

2012年以前のアメリカビロードキンクロの国内記録はネット上では見当たりません。
おそらく飛来はあったでしょうがアジア型との区別がなされていなかったんだと思われます。
この個体がアメリカビロードキンクロとして国内で確認された2例目になるのかなと思い当時のブログにもそう記述しました。
ちなみに、1例目は2012年2月26日に歯舞港で英国人バーダーによって確認され27日に猛禽により落鳥しています。
(道東の野鳥情報2012.2.28に記述あり)

この写真を撮ったときアメリカビロードキンクロが希少種だとの認識はあったので、
かなりじっくりと観察しながら写真を撮りました。
潜水時間はいつもおよそ45秒前後で浮上すると8割の確率で貝を咥えていました。
その貝を洗うような仕草をして向きを整え殻ごと丸飲みしていました。
飲み込むときに嘴を空に向ける独特のポーズをして飲み終わるとすかさず潜っていました。
休むときは割と沖まで流されて行き餌を採るときは岸に近づく感じでした。
まあ、この行動自体はアジア型のビロキンも同じだとは思いますが^^;




ビロードキンクロ(White-winged scoter/Velvet scoter/Velvet duck)は従来は3亜種に分類されていました。
①亜種アメリカビロードキンクロ(英名Pacific White-Winged Scoter/学名Melanitta fusca deglandi)
・北アメリカ大陸北西部のアラスカからハドソン湾にかけて繁殖する北米型。
・雄の上嘴基部の瘤はやや大型、嘴は橙赤色で峰は黄色。
②亜種ビロードキンクロ(英名Asiatic white-winged scoter/学名Melanitta fusca stejnegeri) ※wikiのsrejnegeriは誤記
・シベリア東部で繁殖し冬にカムチャッカから日本辺りに南下するアジア型。
・雄の上嘴基部の瘤は大型、嘴は橙赤色で先端や峰は黄色。
③亜種ヨーロッパビロードキンクロ(英名European white-winged scoter/学名Melanitta fusca fusca)
・シベリア西部のエニセイ盆地からヨーロッパ北部で繁殖する欧州型。
・雄の上嘴基部の瘤は小型、嘴は黄白色。
(間違いだらけのwikiから引用・誤記と思われる部分を改変追記)

ところが最近の英文解説書によると
①アメリカ型をアメリカビロードキンクロ(英名White-winged scoter/American white-winged scoter/学名Melanitta deglandi)、
②アジア型をビロードキンクロ(英名White-winged scoter/Asiatic white-winged scoter/学名Melanitta stejnegeri)、
③欧州型をヨーロッパビロードキンクロ(英名Velvet scoter/学名Melanitta fusca)、
として③欧州型を1種として独立させ①アメリカ型と②アジア型を1種2亜種と分類したと読み取れる記述があります。
(アメリカ型とアジア型を別種とする英文記述もあり、また、新学名に従えば3種との解釈にもなりえますが。)

この絵はビロードキンクロ3(亜)種の比較で上から①アメリカ型deglandi②アジア型stejnegeri③欧州型fuscaとなっています。
微妙な違いはこのような絵合わせのほうがわかりやすいかも知れませんね。

さて、問題は関東で出ているのがアメリカビロードキンクロなのかアジア型のビロードキンクロなのかです。
脇の褐色が少し足りない感じもしますが絵合わせで見る限りは頭部はアメリカ型っぽく見えます。
英文サイトの写真でも脇の褐色に個体差があるのでアメリカ型かなと個人的には考えています。
もちろん、絵合わせですので推測の域でしかありませんが・・・^^;
アメリカ型とアジア型のハイブリッドだったら・・・という可能性も0ではないでしょう^^;
ただ、絵の右下にある1st summer male stejnegeri(アジア型の第一回夏羽雄)との見分けが紛らわしいので気をつけたいところです。

せっかくの北米からの飛来なので多くの人が長く楽しめるといいんですけどね^^




1/28追記
※関東で出ている個体のうち白いアイラインが短い個体はアメリカビロードキンクロだとの結論に至ったそうです。
 発見者が山階鳥類研究所に鑑定依頼をして正式に回答を貰ったとのことです。
 もう1羽のアイラインが長い別個体ですが個人的にはこれも北米型かなと思っています。。。





関連記事
2012.3.22国内では記録がなかった?アメリカビロードキンクロ飛来~道東遠征
2012.4.1貝を丸呑みするアメリカビロドキンクロ~道東遠征
2013.2.10亜種ビロードキンクロと亜種アメリカビロードキンクロ

ちなみに、ビロキンは内陸の湖沼で繁殖します。
シノリガモやヒメハジロなどのいわゆる海ガモ類のほとんどは、
海ではなく内陸の淡水で繁殖するのが一般的です。
北海道の渓流で繁殖するシノリガモは一度見てみたいですね^^

この件に関して賛否問わずご意見ありましたらよろしくお願いします。
また、上記に不備や間違いがあれば遠慮なくご指摘くださいませ。







フォトチャンネルです。
オオワシ・オジロワシ・シマフクロウ~道東2013.12


ギンザンマシコ・エトピリカ・ケイマフリなど~北海道の野鳥2013.6


クマゲラ・シマアオジ・ツメナガセキレイなど~北海道2013.6


ユキホオジロ・ツメナガホオジロ~道東遠征2013.2


ユキホオジロ・オオワシ・オジロワシなど~道東遠征2013.2


ヒメハジロ・コオリガモなど~道東遠征2013.2


クマゲラ・イスカなど~北海道の野鳥2013.1


ギンザンマシコ・エゾフクロウ~北海道遠征2012.12


ギンザンマシコとナナカマド&コリンゴ~北海道遠征2012.12






いつもご覧いただきありがとうございます。














最新の画像もっと見る

コメントを投稿