2021年シーズンの前半戦を締めくくる重要な一戦、シーズン第11戦ハンガリーGPが開催された1日(日)、スタートを前に雨粒が落ち始めたハンガロリンクではオープニングラップで上位勢に脱落者が相次ぐなど波乱の展開となり、めぐってきたチャンスを最大に生かしたアルピーヌのオコンがF1初優勝を遂げた。

抜きにくいと言われる全長4.381kmのハンガロリンクではスタート位置がいつも以上に重要視されるとあって、激しさを増した予選セッションではメルセデスのハミルトンがポールポジションを獲得し、僚友ボッタスが2番手に続いてメルセデスがフロントローを独占。3番手に、ハミルトンとチャンピオンシップを争うレッドブルのフェルスタッペンがつけ、隣の4番グリッドをもう1台のレッドブルを駆るペレスが手に入れた。
メルセデス勢が予選Q2をミディアムタイヤで突破したのに対し、レッドブル勢はソフトタイヤと戦略が分かれており、とりわけ序盤のレース展開に注目が集まっていたものの、決勝当日のハンガロリンクは朝から曇り空、スタート前には雨粒が落ち始め、気温27℃、路面温度32.6℃、湿度68.6%のウエットコンディションでフォーメーションラップに臨んだ全20台がインターミディエイトタイヤを選択している。
ハミルトンがうまく蹴り出した一方で、スロースタートを喫したボッタスをレッドブル勢がすぐさま追い抜いていくが、ターン1で大きな混乱に見舞われる。マクラーレンのノリスにも先行されたボッタスがブレーキングでロックアップしてしまい、目前にいたマクラーレンマシンに追突、その衝撃でノリスがアウト側にいたフェルスタッペンに突っ込み、さらにボッタスがペレスに衝突したほか、前方のインシデントを避けようとした後続車がドミノ方式で周辺のマシンを巻き込んでいった。
多重事故により、早々に離脱を余儀なくされたのはダメージが激しかったボッタスとペレスに加え、フェラーリのルクレールとアストンマーティンのストロールだ。ターン1にかけてインサイドにいたストロールは前方の事故を受けてスピードを緩めるも、芝生側にしか逃げ場がなく、濡れた芝生にコントロールを奪われる格好で先にターンインしていたフェラーリマシンの横っ腹に突っ込んだ。
スタート直後のインシデントを受けて黄旗が振られた後にセーフティカーに出動要請が下ったが、コース上に散らばったデブリの数が多く、レースコントロールは赤旗を振ってレースを一時中断することを決定。オープニングラップ終わりに緊急ピットインしていたフェルスタッペン、マゼピン(ハースF1)、ノリス、ジョビナッツィ(アルファロメオ・レーシング)が最後尾にまわって全車がピットレーンにマシンを並べた。
スタートダッシュを決めたハミルトンはインシデントに巻き込まれずにすみ、先頭をキープ。2番手にはオコン(アルピーヌ)がつけ、アストンマーティンのベッテル、サインツ(フェラーリ)、16番手スタートだったアルファタウリの角田裕毅が5番手にまで浮上し、ラティフィ(ウィリアムズ)、アロンソ(アルピーヌ)、ラッセル(ウィリアムズ)、ライコネン(アルファロメオ・レーシング)、シューマッハ(ハースF1)がトップ10に並んでいた。
1周目のインシデントに絡んだドライバーの多くが後退を強いられ、5番手スタートのガスリー(アルファタウリ)が11番手、リカルド(マクラーレン)が12番手、ピットストップを経たフェルスタッペンら4人がそれに続く。
ピットレーンに戻った後、ダメージを受けている面々がリスタートまでの時間を使ってマシン修復を急ぐ中、ハンガロリンク上空は徐々に雲が取れていき、路面清掃の進捗を踏まえてレース再開時刻も発表された。ただ、ガレージにノリスのマシンを入れて作業にあたっていたマクラーレンは時間内に修復を終えられないと判断し、ノリスのリタイアが確定する。
約20分の中断を経てピットレーンが再びオープンになり、セーフティカー先導の下に15台が2度目のフォーメーションラップに臨んだが、すでに路面が乾き始めていたこともあり、なんとハミルトン以外の全員がピットに飛び込んでドライタイヤに履き替えた。ハミルトンしかグリッドにいない状態でスタンディングスタートを迎え、ピットレーンを先頭で出てきたウィリアムズ勢に次いで他のドライバーたちもコースに向かう。
ただ一人、インターミディエイトタイヤを履くことになってしまったハミルトンに対し、メルセデスはピットインを指示するが、リスタート前の判断ミスは明白でミディアムタイヤに履き替えたハミルトンは最後尾の14番手で隊列に復帰することに。15台から1台少なくなった理由はマゼピンの離脱だ。マゼピンがピットボックスに入ろうとした際、ピットアウトしたライコネンと接触してしまい、マシンに損傷を抱えてリタイアを余儀なくされた。アルファロメオ・レーシングの安全性に欠けるリリースが疑われ、審議したスチュワードは後に、ライコネンに対して10秒のストップ・アンド・ゴーペナルティを科している。
コース上ではオコンがラップリーダーの座につき、ベッテル、ラティフィ、角田、サインツ、アロンソ、ラッセル、ライコネン、リカルド、シューマッハがトップ10、フェルスタッペンが11番手に上がり、ガスリー、ジョビナッツィ、その後ろをハミルトンが走っていた。ジョビナッツィにはピットレーンの速度違反で10秒のストップ・アンド・ゴーの処分が下っており、次のピットストップでペナルティを消化している。
オコンとベッテルが1.2秒前後のギャップで連なる一方、ラティフィは徐々に2台から離されていくが、真後ろでオーバーテイクのチャンスを狙う角田はなかなか機会を見いだせず、後続のサインツたちも本来のペースを発揮できずフラストレーションのたまる時間を過ごしている。
ハンガロリンクの抜きにくさは顕著で、マシンの状態が完璧ではないとはいえ、フェルスタッペンもミックのコンマ数秒後方に接近しながらもオーバーテイクを仕掛けきれず、数周にわたってがまんを強いられていたが、15周目にようやくチャンスを見いだして10番手に上がった。その際、若干2台が交錯したように見えたが、大きな問題はないようで2人とも走行を続けている。シューマッハは直後にガスリーにも追い抜かれてポジションを落とし、数周後にはハミルトンもハースF1マシンを料理した。
アルファロメオ・レーシングの2台がそれぞれのペナルティを消化した後、ハードタイヤに履き替えたライコネンがファステストラップを刻んだのを踏まえ、メルセデスとハミルトンが動きを見せる。ピットに飛び込んだハミルトンはハードタイヤに交換し、これに対抗すべくリカルドとフェルスタッペンもピットストップに向かったが、2台のピットアウトと並ぶ格好になったハミルトンが先手必勝のごとく前のポジションを取った。
23周目にピットインした角田もハードタイヤに履き替え、ラティフィをアンダーカットしようと懸命にプッシュした結果、次のラップで同じくハードタイヤに交換してピットアウトしたラティフィを上回ることに成功した。この時点で角田はステイアウトを続ける5台の後方6番手の位置だったが、すぐ前の5番手を走っていた相棒のガスリーとは7秒以上のギャップがあったことから自分のペースでレースを進められている。
角田はピットストップ前に接近戦を繰り広げていたサインツ――リスタート以降はピットに入らず長いスティントを走行――との対決を意識しながら、後方から迫ってきたハミルトンへの対応も求められ、ハミルトンとの勝負に重きを置きすぎるとサインツにオーバーカットされる可能性が高まるという難しい状況に直面する。それでも、1秒以上速いペースを誇るハミルトンが角田の攻略に時間をかけることはなく、ターン4で驚異的なオーバーテイクを披露して5番手に浮上した。
ハミルトンと角田がバトルを展開している間にギャップを作ったサインツは2人の対決が結末を見た直後にピットインし、ハミルトンの前でコースに復帰。ハミルトンとは1秒強の間隔しかなく、プレッシャーを受ける状況だったが、このままチェッカーを目指すハミルトンとしてはタイヤをケアする必要があり、これまでのようには攻撃を仕掛けられない。
一方、オコンが先頭を走る上位勢では2番手につけていたベッテルが先に動き、それをカバーするように37周目の終わりにオコンがピットインしてハードタイヤに履き替える。ピットアウトしたオコンはタイヤが温まっているベッテルにプレッシャーをかけられる場面もあったが、なんとかベッテルの前をキープしている。その2周後にはアロンソもタイヤ交換を完了した。
レース後半に入って先頭はオコンで変わらず、ベッテルが1秒前後のギャップで2番手に続き、2人から5秒近く離れた位置にサインツ、その1秒と少し後方にハミルトン、さらに4.5秒後ろにアロンソがつける。角田はハードタイヤで思うようなペースを引き出せず、トップ5との差は開く一方だったが、ハミルトンが48周目に再びピットに向かい、ハードを外して新しいミディアムタイヤのセットを装着、アロンソから14秒後方、角田の6秒前で隊列に復帰している。
ハードでは1分21秒台だったハミルトンのペースはミディアムになって1分19秒台を刻むようになり、わずか6周のうちにアロンソのDRSゾーンまで接近した。その時点でアロンソは前方のサインツをコンマ数秒差で追いかけており、ハミルトンは一気に表彰台も視野に入る位置につけたことになる。
タイヤにアドバンテージを持つハミルトンのペースを考えると、アロンソはサインツとの勝負ではなくハミルトンを抑え込む方に集中せざるを得なかったが、ハミルトンの速さに押されるようにアロンソもマシンをプッシュしており、防御しながらもサインツとのギャップが大きく開くことはなかった。ハミルトンの度重なる攻撃を巧みなドライビングで交わし続けるアロンソは、史上最高のドライバーと評されるにふさわしいパフォーマンスを見せつけ、ディフェンディングチャンピオンにして史上最多タイの通算7度のタイトル獲得を誇るハミルトンを大いに手こずらせる。
2人のチャンピオン対決に決着がついたのは65周目。ターン1にかけてアロンソがわずかにタイヤをロックアップしたスキを突き、ハミルトンがサイド・バイ・サイドに持ち込んでオーバーテイクを成功させた。アロンソもポジションを奪い返そうと反撃に転じたものの、すでにサインツをロックオンしていたハミルトンは、攻撃は最大の防御とばかりに攻め続け、3周後にはサインツをも追い抜いて表彰台圏内に入る。
ハミルトンにかわされて悔しさをあらわにしたサインツだが、真後ろにはアロンソが控えていたため、まだ気を抜けない状況に変わりはない。2人から26秒以上離されていたガスリーは残り2周でソフトタイヤに切り替え、ファステストラップの1点を取りに行く。
ファイナルラップを迎えてなおリードを守っていたオコンはベッテルの後ろから猛チャージをかけるハミルトンの姿を見つつも、落ち着いて周回し、70周の激走を終えてトップチェッカー! ベッテルが1.859秒遅れてゴールし、ハミルトンはベッテルに0.877秒差でフィニッシュした。
しかしながら、レース後、ベッテルのマシンに十分な燃料サンプルが残っていなかったとして――レギュレーションでは1リットルの燃料サンプルを残すことが定められている――失格処分となり、ハミルトンが2位に繰り上がり、サインツが3位表彰台を獲得した。
ベッテルの失格に伴って、入賞は4位にアロンソ、以下、ガスリー、角田、ラティフィ、ラッセル、フェルスタッペン、ライコネンが10位で1点を手に入れている。その他、リカルド、ミック、ジョビナッツィが完走を果たした。
ホンダPU勢、フェルスタッペンは1周目のインシデントで9番手、ペレスがリタイアと残念な結果でしたが、アルファタウリ・ホンダのガスリーが5番手、角田が6番手と健闘しました。
ハンガロリンクでシーズン前半戦を終えたF1サーカスは4週間の夏休みに突入するため、次にサーキットに集結するのは8月末となる。スパ・フランコルシャン・サーキットを舞台とするシーズン第12戦ベルギーGPは27日(金)に開幕します。
コンストラクターズ、ドライバー選手権ともメルセデスに抜かれてしまいましたが、後半戦頑張って欲しいですね!

抜きにくいと言われる全長4.381kmのハンガロリンクではスタート位置がいつも以上に重要視されるとあって、激しさを増した予選セッションではメルセデスのハミルトンがポールポジションを獲得し、僚友ボッタスが2番手に続いてメルセデスがフロントローを独占。3番手に、ハミルトンとチャンピオンシップを争うレッドブルのフェルスタッペンがつけ、隣の4番グリッドをもう1台のレッドブルを駆るペレスが手に入れた。
メルセデス勢が予選Q2をミディアムタイヤで突破したのに対し、レッドブル勢はソフトタイヤと戦略が分かれており、とりわけ序盤のレース展開に注目が集まっていたものの、決勝当日のハンガロリンクは朝から曇り空、スタート前には雨粒が落ち始め、気温27℃、路面温度32.6℃、湿度68.6%のウエットコンディションでフォーメーションラップに臨んだ全20台がインターミディエイトタイヤを選択している。
ハミルトンがうまく蹴り出した一方で、スロースタートを喫したボッタスをレッドブル勢がすぐさま追い抜いていくが、ターン1で大きな混乱に見舞われる。マクラーレンのノリスにも先行されたボッタスがブレーキングでロックアップしてしまい、目前にいたマクラーレンマシンに追突、その衝撃でノリスがアウト側にいたフェルスタッペンに突っ込み、さらにボッタスがペレスに衝突したほか、前方のインシデントを避けようとした後続車がドミノ方式で周辺のマシンを巻き込んでいった。
多重事故により、早々に離脱を余儀なくされたのはダメージが激しかったボッタスとペレスに加え、フェラーリのルクレールとアストンマーティンのストロールだ。ターン1にかけてインサイドにいたストロールは前方の事故を受けてスピードを緩めるも、芝生側にしか逃げ場がなく、濡れた芝生にコントロールを奪われる格好で先にターンインしていたフェラーリマシンの横っ腹に突っ込んだ。
スタート直後のインシデントを受けて黄旗が振られた後にセーフティカーに出動要請が下ったが、コース上に散らばったデブリの数が多く、レースコントロールは赤旗を振ってレースを一時中断することを決定。オープニングラップ終わりに緊急ピットインしていたフェルスタッペン、マゼピン(ハースF1)、ノリス、ジョビナッツィ(アルファロメオ・レーシング)が最後尾にまわって全車がピットレーンにマシンを並べた。
スタートダッシュを決めたハミルトンはインシデントに巻き込まれずにすみ、先頭をキープ。2番手にはオコン(アルピーヌ)がつけ、アストンマーティンのベッテル、サインツ(フェラーリ)、16番手スタートだったアルファタウリの角田裕毅が5番手にまで浮上し、ラティフィ(ウィリアムズ)、アロンソ(アルピーヌ)、ラッセル(ウィリアムズ)、ライコネン(アルファロメオ・レーシング)、シューマッハ(ハースF1)がトップ10に並んでいた。
1周目のインシデントに絡んだドライバーの多くが後退を強いられ、5番手スタートのガスリー(アルファタウリ)が11番手、リカルド(マクラーレン)が12番手、ピットストップを経たフェルスタッペンら4人がそれに続く。
ピットレーンに戻った後、ダメージを受けている面々がリスタートまでの時間を使ってマシン修復を急ぐ中、ハンガロリンク上空は徐々に雲が取れていき、路面清掃の進捗を踏まえてレース再開時刻も発表された。ただ、ガレージにノリスのマシンを入れて作業にあたっていたマクラーレンは時間内に修復を終えられないと判断し、ノリスのリタイアが確定する。
約20分の中断を経てピットレーンが再びオープンになり、セーフティカー先導の下に15台が2度目のフォーメーションラップに臨んだが、すでに路面が乾き始めていたこともあり、なんとハミルトン以外の全員がピットに飛び込んでドライタイヤに履き替えた。ハミルトンしかグリッドにいない状態でスタンディングスタートを迎え、ピットレーンを先頭で出てきたウィリアムズ勢に次いで他のドライバーたちもコースに向かう。
ただ一人、インターミディエイトタイヤを履くことになってしまったハミルトンに対し、メルセデスはピットインを指示するが、リスタート前の判断ミスは明白でミディアムタイヤに履き替えたハミルトンは最後尾の14番手で隊列に復帰することに。15台から1台少なくなった理由はマゼピンの離脱だ。マゼピンがピットボックスに入ろうとした際、ピットアウトしたライコネンと接触してしまい、マシンに損傷を抱えてリタイアを余儀なくされた。アルファロメオ・レーシングの安全性に欠けるリリースが疑われ、審議したスチュワードは後に、ライコネンに対して10秒のストップ・アンド・ゴーペナルティを科している。
コース上ではオコンがラップリーダーの座につき、ベッテル、ラティフィ、角田、サインツ、アロンソ、ラッセル、ライコネン、リカルド、シューマッハがトップ10、フェルスタッペンが11番手に上がり、ガスリー、ジョビナッツィ、その後ろをハミルトンが走っていた。ジョビナッツィにはピットレーンの速度違反で10秒のストップ・アンド・ゴーの処分が下っており、次のピットストップでペナルティを消化している。
オコンとベッテルが1.2秒前後のギャップで連なる一方、ラティフィは徐々に2台から離されていくが、真後ろでオーバーテイクのチャンスを狙う角田はなかなか機会を見いだせず、後続のサインツたちも本来のペースを発揮できずフラストレーションのたまる時間を過ごしている。
ハンガロリンクの抜きにくさは顕著で、マシンの状態が完璧ではないとはいえ、フェルスタッペンもミックのコンマ数秒後方に接近しながらもオーバーテイクを仕掛けきれず、数周にわたってがまんを強いられていたが、15周目にようやくチャンスを見いだして10番手に上がった。その際、若干2台が交錯したように見えたが、大きな問題はないようで2人とも走行を続けている。シューマッハは直後にガスリーにも追い抜かれてポジションを落とし、数周後にはハミルトンもハースF1マシンを料理した。
アルファロメオ・レーシングの2台がそれぞれのペナルティを消化した後、ハードタイヤに履き替えたライコネンがファステストラップを刻んだのを踏まえ、メルセデスとハミルトンが動きを見せる。ピットに飛び込んだハミルトンはハードタイヤに交換し、これに対抗すべくリカルドとフェルスタッペンもピットストップに向かったが、2台のピットアウトと並ぶ格好になったハミルトンが先手必勝のごとく前のポジションを取った。
23周目にピットインした角田もハードタイヤに履き替え、ラティフィをアンダーカットしようと懸命にプッシュした結果、次のラップで同じくハードタイヤに交換してピットアウトしたラティフィを上回ることに成功した。この時点で角田はステイアウトを続ける5台の後方6番手の位置だったが、すぐ前の5番手を走っていた相棒のガスリーとは7秒以上のギャップがあったことから自分のペースでレースを進められている。
角田はピットストップ前に接近戦を繰り広げていたサインツ――リスタート以降はピットに入らず長いスティントを走行――との対決を意識しながら、後方から迫ってきたハミルトンへの対応も求められ、ハミルトンとの勝負に重きを置きすぎるとサインツにオーバーカットされる可能性が高まるという難しい状況に直面する。それでも、1秒以上速いペースを誇るハミルトンが角田の攻略に時間をかけることはなく、ターン4で驚異的なオーバーテイクを披露して5番手に浮上した。
ハミルトンと角田がバトルを展開している間にギャップを作ったサインツは2人の対決が結末を見た直後にピットインし、ハミルトンの前でコースに復帰。ハミルトンとは1秒強の間隔しかなく、プレッシャーを受ける状況だったが、このままチェッカーを目指すハミルトンとしてはタイヤをケアする必要があり、これまでのようには攻撃を仕掛けられない。
一方、オコンが先頭を走る上位勢では2番手につけていたベッテルが先に動き、それをカバーするように37周目の終わりにオコンがピットインしてハードタイヤに履き替える。ピットアウトしたオコンはタイヤが温まっているベッテルにプレッシャーをかけられる場面もあったが、なんとかベッテルの前をキープしている。その2周後にはアロンソもタイヤ交換を完了した。
レース後半に入って先頭はオコンで変わらず、ベッテルが1秒前後のギャップで2番手に続き、2人から5秒近く離れた位置にサインツ、その1秒と少し後方にハミルトン、さらに4.5秒後ろにアロンソがつける。角田はハードタイヤで思うようなペースを引き出せず、トップ5との差は開く一方だったが、ハミルトンが48周目に再びピットに向かい、ハードを外して新しいミディアムタイヤのセットを装着、アロンソから14秒後方、角田の6秒前で隊列に復帰している。
ハードでは1分21秒台だったハミルトンのペースはミディアムになって1分19秒台を刻むようになり、わずか6周のうちにアロンソのDRSゾーンまで接近した。その時点でアロンソは前方のサインツをコンマ数秒差で追いかけており、ハミルトンは一気に表彰台も視野に入る位置につけたことになる。
タイヤにアドバンテージを持つハミルトンのペースを考えると、アロンソはサインツとの勝負ではなくハミルトンを抑え込む方に集中せざるを得なかったが、ハミルトンの速さに押されるようにアロンソもマシンをプッシュしており、防御しながらもサインツとのギャップが大きく開くことはなかった。ハミルトンの度重なる攻撃を巧みなドライビングで交わし続けるアロンソは、史上最高のドライバーと評されるにふさわしいパフォーマンスを見せつけ、ディフェンディングチャンピオンにして史上最多タイの通算7度のタイトル獲得を誇るハミルトンを大いに手こずらせる。
2人のチャンピオン対決に決着がついたのは65周目。ターン1にかけてアロンソがわずかにタイヤをロックアップしたスキを突き、ハミルトンがサイド・バイ・サイドに持ち込んでオーバーテイクを成功させた。アロンソもポジションを奪い返そうと反撃に転じたものの、すでにサインツをロックオンしていたハミルトンは、攻撃は最大の防御とばかりに攻め続け、3周後にはサインツをも追い抜いて表彰台圏内に入る。
ハミルトンにかわされて悔しさをあらわにしたサインツだが、真後ろにはアロンソが控えていたため、まだ気を抜けない状況に変わりはない。2人から26秒以上離されていたガスリーは残り2周でソフトタイヤに切り替え、ファステストラップの1点を取りに行く。
ファイナルラップを迎えてなおリードを守っていたオコンはベッテルの後ろから猛チャージをかけるハミルトンの姿を見つつも、落ち着いて周回し、70周の激走を終えてトップチェッカー! ベッテルが1.859秒遅れてゴールし、ハミルトンはベッテルに0.877秒差でフィニッシュした。
しかしながら、レース後、ベッテルのマシンに十分な燃料サンプルが残っていなかったとして――レギュレーションでは1リットルの燃料サンプルを残すことが定められている――失格処分となり、ハミルトンが2位に繰り上がり、サインツが3位表彰台を獲得した。
ベッテルの失格に伴って、入賞は4位にアロンソ、以下、ガスリー、角田、ラティフィ、ラッセル、フェルスタッペン、ライコネンが10位で1点を手に入れている。その他、リカルド、ミック、ジョビナッツィが完走を果たした。
ホンダPU勢、フェルスタッペンは1周目のインシデントで9番手、ペレスがリタイアと残念な結果でしたが、アルファタウリ・ホンダのガスリーが5番手、角田が6番手と健闘しました。
ハンガロリンクでシーズン前半戦を終えたF1サーカスは4週間の夏休みに突入するため、次にサーキットに集結するのは8月末となる。スパ・フランコルシャン・サーキットを舞台とするシーズン第12戦ベルギーGPは27日(金)に開幕します。
コンストラクターズ、ドライバー選手権ともメルセデスに抜かれてしまいましたが、後半戦頑張って欲しいですね!