2023年夏のこと
京都府の山奥にある南丹市美山町での、ドタバタをめぐる報道があちこちでなされていた。
みなさんは、ご存じだろうか?
または、覚えているだろうか?
時をさかのぼること
2021年4月のこと
公設民営で存続不可能とされた、美山診療所を、南丹市が「市の診療所」とすることで、存続が決まった。
それから、しばらくの間、美山地域の人の健康を守り続けていた。
ところが
1人で頑張っていた、診療所の医師が体調不良になり、短期間診療所を休みにしたことをきっかけに、大きな動きが起こった。
南丹市は
「医師の体調不良により、診療所の存続が難しく、新しい医師の確保もできないので、診療所を廃止する」
と宣言した。
さらに、2022年11月に入院病棟を終了することを宣言した。
これに対して、医師が
「体調不良を理由に辞めたいと言ったことは1度もない」
と反論するものの、市の「診療所の廃止」の意思は変わらなかった。
これに対して、医師が
「市がそのような対応をするようでは、仕事を続けられない」
として、2023年6月に、辞職をすることを宣言した。
この4月~5月にかけて、あちこちのニュース等で、この話が流れるようになった。
これに対して、市は
「医師の働き改革のために、廃止は仕方がない」と言うようになった。
「医師の体調不良による辞意」については、語らなくなった。
それから、地域住民の辞めないで欲しいという声は強く出ていたようだけれども、医師は宣言通り6月に退職をした。
その後
美山診療所はどうなったのか。
ここが、日本のマスコミのおかしなところなんだけど。
残念ながら、どうなったのかを報道しているところが、ほとんどないのだ。
結論から言うと
詳細なことはほとんど分からない。
これが現実だ。
あるくくまもんが調べた限りで言うと
一応、代わりの医師は確保できたようだ。
ただ、残念なことに、臨時の先生がどうにかやっている状態で
診察時間も、かなり限定されている。
この状態が、1年ほど続いているようである。
あくまでも
「ようである」
情報が限られているので、何とも説明しがたいのが実情だ。
さて。
あるくくまもんが、今回言いたいことは大きく分けて2つある。
まず、美山診療所の現状は、他人事ではないということだ。
僻地に限らず、住民が減っている地域では、いつ医療崩壊が起こってもおかしくないのだろう。
都市部であっても、充分な医師や看護師が確保できなければ、医療難民はどこでも生まれるのが実際のことだろう。
そして、市町村という地方自治体は、お金がかかると判断した時は、(一応、慎重な議論はした上で)ズバっと、お金を出すことを止めるのだ。
「我々から出している税金なんだから!」
と声を上げても、それが「市町村民のため」にならないと判断した時は、終了されるのだ。
そのことを覚悟しないといけない。
それが嫌なら、そういうことをしないような市町村長や、市町村議会議員を選ばないといけない。
そして
マスコミの与えてくる情報は、時にとても短絡的で一方的で、一時的なものであるということだ。
特集を組んでいたテレビ局ですら、その後、美山診療所がどうなったのかを報道してくれていない。
2024年4月現在、美山診療所のことを調べようとすると、2023年春時点での動画がメインとなる。
この動画を見ると
「美山診療所の患者さん達が可哀想」
「医者は体調不良を理由に辞めたいと言ってないのに、それが理由だと言い出して、医師に否定されてからは、急に【働き方改革】という別の言葉を使って理由にするとか、市役所職員ひどすぎる」
「医師が辞めようとしても変わろうとしない、南丹市おかしい」
そういう気持ちになる。
ただ
それが、本当のことなのか、医師の思い込みなのかは、結局分からない。
続報がないからだ。
だから、常に新しいニュースを探し出すことをしていかないと、勘違いと思い込みをすることになる危険性があるのだ。
僻地の医療についても、マスゴミの報道姿勢についても
我々が、しっかりと調べながら、考えながら生きていかないと
間違った世界でどんどんゆがんでいくだけなのだろう。
今はただ
美山診療所に通う必要のある、地域の人たちが
1日でも健康で安心安全な暮らしを送れるようになっていることを願うばかりだ。