知的障害と思い心臓病とリウマチを抱える男性、
コンパス(仮名)くん。
コンパス君は10代で両親をなくし、
「通勤寮」というおおむね18歳以上の知的障害者が就労の訓練をする施設を利用して、病気と闘いながらも一般企業に就職し、自立した生活が送れるよう訓練をしていました。
怒りを表現することがめったにない、心優しい男性でした。
思い心臓病で20歳まで生きられないといわれながらも成人式を迎え、それから数年、企業での仕事も4年を過ぎたころです。
細い体で、筋肉も脂肪も少ない上にリウマチを抱える彼に、冬の寒さは相当こたえます。
冬の朝は、こわばった間接を動かすのに一苦労。
夏場よりも朝食を取る時間が少なくなります。
それでもご飯と味噌汁をかきこんで週5日。
サボることなく通勤し、自由が利かない間接を持ってでも与えられた仕事はきちっとこなしていました
スピードを求められる仕事は出来ませんし、細かい仕事も出来ません。
それゆえ、会社の中では彼に対して好意的でない方もいましたが、
彼の真面目さと優しい性格は多くの方に好かれるものでした。
長生きできないことは自分で分かっていました。
「俺は長生きできないからな。
でも、生きている間に恋人くらい作りたいな」
そう言っていた
コンパス君。
通勤寮を卒業して、同じ障害を抱えた仲間と一つ屋根の下で生活する
グループホームに移ってまもなく、好きな人が出来ました
とても
可愛らしい女性
です。
何度かメール
のやり取りをした後、交際することになりました
会社からの給料で家賃や諸経費を払い、残った小遣いをデート代にします。
お盆休み、親戚の家へ里帰りしたときには
「俺にも初めて彼女が出来たよ。今度紹介するよ」
そう笑顔で報告したのに、
その翌日、突然彼は天国の両親の元に旅立ちました。
心臓の発作が起きたんです。
緊急治療が施されましたが、
コンパス君が親戚に彼女を紹介することはありませんでした。
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てんかんと知的障害を持つ太り気味の女性、
トトロ(仮名)さんは、
グループホームではどちらかというと嫌われ者
でした
人のことをよく見ていて、少しでもミスをすると茶々を入れます。
これが人を馬鹿にした口ぶりなもんで、トラブルの元になります。
女同士取っ組み合いのケンカだってしますし、物を隠したり隠されたり、陰湿な内容になる事だってありました。
ただ、この人をよく見ている観察力が仕事ではとても役に立ちます
トトロさんは、私たちが利用する化粧品のビンを製造する工場に勤めいます。
ベルトコンベアで流れてくる商品を検品しながら箱詰めする仕事です。そこでの彼女は他のスタッフと同様、またはそれ以上の検品数をこなし、その正確さには定評がありました
ただ・・・、口ぶりが悪く人には好かれない性格なうえ
、
月に一度は生理痛を理由に欠勤するのが問題になっていました。
そんな彼女も何度か恋をし
、破れ
、また恋
をしました。
そしてついに、結婚を考える男性が現れました
相手の男性も知的なハンディーを持っています。
「
彼と結婚したい」
結婚するためには健康でなければならない。
仕事もちゃんと行って、お金もためなければならない
彼女は支援者と健康プログラムを作成し、減量に取り組み、仕事も休まず行くようになりました。
彼女の性格も少し穏やかなもの
になってきました。
そして
二人の結婚式。
トトロさんは本当にきれいな花嫁さんでした。
その姿で、出された料理を完食していたのは、さすが・・・なんですが
そして予断ですが、お相手の新郎も知的なハンディを持っているとは思えない立派な挨拶をし、支援者を驚かせました。
今も仕事をして、支援職員の手を借りながらも家庭と仕事を両立している
トトロさんです。
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てんかんを持ち、字の読み書きはほとんど出来ず、計算機での計算も出来ない、授産施設で内職のような仕事をしていた女性、
あられ(仮名)さんは・・・・・、どこにいても
かなりのトラブルメーカーでした。
仕事でも生活面でも注意されると卑屈になって、暴言を吐いたり暴動を起したり、一つしかないトイレに数時間閉じこもったり、と、とにかく問題をこす
トラブルが耐えない
あられさんでしたが、彼女のすごさは、
何があっても仕事に行くこと でした。
あられさんの字の読み書きレベルや社会性を考えると、とても一般就労を考えられるもではないのですが、彼女の
「施設から出たい 一般企業で働きたい」
という思いがが職員を動かしました。
試しに実習に行った企業に雇ってもらえることになり、
彼女は授産所を出て
「通勤寮」にて就労と自立の訓練を受けながら工場で働くことになりました
。
彼女の夢が叶ったんです
あられさんは職場ではたびたび問題を起こし、そのたびにバックアップしている職員が飛んで行っては
平謝り
あられさんにも頭を下げさせ、問題の後始末をします。
それでも会社は彼女の面倒を見てくれ、それと同時に支援スタッフも彼女が仕事をしやすい環境整備を依頼し、彼女が安定して仕事が出来るよう指示形態の工夫も提案しました。
職場の理解もあって、字も読めない、数字の理解もほとんど出来ない彼女でも企業に10年弱勤めることが出来ました。
当然、電車に乗って通勤するのだって一人でしていました。
その工場は訳があって退職することになりましたが、彼女の挑戦はまだまだ続きます
新しい仕事では、彼女の問題が起きないように、支援スタッフ総がかりで彼女の就労を支援しました。
問題がおこる原因を徹底的に分析し、彼女の仕事を細分化して写真にて提示。
支援スタッフが誰でも同じ視点と回答を持って彼女の支援に当たるようにしたんです。
結果、その職場では彼女の問題行動はほとんど出ませんでした。
この続きもありますが、
まあ、そういうわけで、障害者雇用月間です。