リンゴを探す

2016年06月30日 13時18分16秒 | 黒猫のひとりごと

                                                    ォォォ  ・・・・

                              ガャャ  ♪

          

「・・・・」

ソバさんが辺りをみてる・・・

船の商店街の、通路の横のテーブル。

ハットさんもいて、紅茶を飲んでる。

「街みたいですね」

「うん」

港で船を下りて、僕らは坂の多い街を散歩していた。

だけどもう船に戻ってる。

ソバさんも一緒に来た。

「クゥ」

隣のイスでくつろいでいるチワワを、ソバさんが撫でてる。

          ト      ト

ウロウロしてたカールさんが来た。

まだお店は少し開いていて、人も多くはないけどいる。

「来ました」

「うん」

画面を見てる。

              コト

「この辺りですね」

「・・・よくわからないですね」

「まぁ、木ばっかりだからね」

「もっと拡大できますから、後でじっくり探しましょう」

                     

カールさんの後ろから、老夫婦来る。

チワワがいるから、仮面を付けている。

「写真は届きましたか?」

「あ・・・はい」

     カタ

ソバさんがイスから立った。

「あの・・・ありがとうございます」

お辞儀した。

老夫婦にお礼を言っているみたい。

「ニャ~」

僕もマネする。

「これ、高いんじゃないですか・・・」

「お気になさらずに」

「見つかるといいですね」

「はい」

「じゃぁ、私たちはもう船を降りますので」

「行ってらっしゃい」

「良い旅を」

「♪」

夫婦はチワワの頭を撫でてる。

               

そして去った。

「衛星写真ですか・・・」

「航空写真だね」

「かなり細かく見れますよ」

「すごいな・・・」

「クゥ」

「ところで、なんで仮面を付けているんですか」

「・・・・」

「なんでだろうね」

              ――   ト

マッチョさんがみえる。

老夫婦が去った方とは反対から来る。

「あ、お疲れさま」

「うん」

「彼が海兵さんだよ」

「ああ・・・お願いします」

ソバさんが、またお辞儀した。

「だいたい話は聞いてます」

「これ、航空写真」

「・・・この範囲にあるのは間違いないんですか?」

「そう聞いたんですが、よくわからないんです」

「・・・・」

「この辺り、川が細かく分かれてるだろう」

「はい」

「だから、ボートを借りて行こうって相談しているんだよ」

「・・・そうですね」

「今日中にマリオットさん達み来てくれることになったからね」

「うん」

「出発は明日の朝だから」

「わかった」

「ニャ~」

僕も相談に参加する。

「マロックさん達は?」

「テントとかを余分に買いに行ってるよ」

「今日までお店が開いているそうだよ」

「・・・私も行ってきます」

「うん」

           

マッチョさんが去る。

「ニャ~」

「?」

僕が鳴くと、手を伸ばして頭を撫でた。

                   

また歩く。

「いいんでしょうか」

「何がです?」

「ボートを借りたり、ずいぶん費用が掛かるんでしょう?」

「もともとキャンプには行くつもりだったから、ある程度は準備できてたんですよ」

「そうですか」

    パタ  パタ

チワワのシッポが動く。

「・・・教授」

「なんだい」

「見つかりそうな気がしてきました」

「うん」

          カタ

ソバさんが僕の方に来た。

「ニャ~」

リンゴがほしいんだけど。

「?」

僕はソバさんに伝えておく。

斧さん達に、お礼にリンゴをまだあげていないから。

僕もすこしたべたい・・・・

             

                                   ガャャ  ♪

                                                      ォォォォ  ・・・・・


長い階段

2016年06月29日 13時44分02秒 | 黒猫のひとりごと

                                               ボォォォ   ・・・・・

                         クァァ

        ガャ ガャ  ♪

長い階段・・・

        ト   ト

リズムよく下りていく。

「・・・」

後ろから人間たちが付いてくる。

僕の方が速いから、途中で止まって待つ。

「クァァ」

階段の手すりに、鳥。

休んでいるみたい。

          トン

「ちゃんと待っているんだね」

ソバさんが最初に追いついて、何か言った。

「ニャ~」

返事しておく。

       ト   ト   ト

僕はまた進む。

手すりを滑り台にすてば、楽に下りれるかもしれない。

でも途中に鳥がいるから、やらない。

せっかく休憩しているのに、驚いて飛んでしまうと思うから。

メジロ達より大きな鳥だから、翼も大きい。

僕を掴んで飛べるかな。

 ト  ト

僕は手すりの鳥に近づいた。

「ニャ~」

聞いてみる。

「クァ」

鳴いた。

              ヮィ ヮィ  ♪

                                    ♪

街には人が多い。

僕らと同じで、散歩してるみたい。

「・・・」

子ネコはレトリバーとひもでつながってる。

勝手にどこかに行かないようにするためである。

「ミャ~」

子ネコはレトリバーの背中にのって、バランスをとってる。

斧さんとノッポさんが、ネコカートの前後を持ってる。

中からチワワ達が景色をみてる。

                 

                     ~~  ♪

石の色の建物に、赤とか青とかいろんな色がある。

         

階段を下りた。

「・・・」

振り返ると、長い階段。

                 

ソバさんも来た。

手には石を持ってる。

大事そう。

「ニャ~」

それをちょうだい。

「?」

ソバさんは僕をみているけど、石はくれない。

くれるとは思っていないから、別にいいのだ。

銜えて持って帰るのは重そうだし。

                ガャ ガャ  ♪

                                          クォ ーーー

電話していたカールさんが、電話をポケットに入れた。

「マリオットさんも来れるって」

「それは良かった」

みんな階段を下りたから、僕はまた先を行く。

人間たちは僕を追ってくるから・・・・

       トコ  ・・・

                                 クォ ーーー

                                                ヒュゥゥゥ  ―――


ソバ

2016年06月28日 14時19分28秒 | マーロックの日記

                                                      クォ ーーー

                        ――  ガャ ガャ  ♪

           ザヮヮ  ・・・ ♪

「マーロックさんの話も、教授から聞いてますよ」

「・・・・」

マーロックと呼んだ・・・

「そうですか」

うれしい。

   モグ  ・・・

ピザをたべる。

「ニャ~」

黒猫たちも、サーモンをもらってたべてる。

私はチーズが好きではないから、料理に少しでも入っていればすぐわかる。

でもピザは好き。

            パク

少し街を散歩した後、ピザやクレープをテイクアウトして川の見えるベンチでたべてる。

「お願いします」

白い頬にそばかすの男性が、みんなにお願いしてる。

ハットさんは合衆国の大学の教授で、ソバさんはかつての教え子らしい。

「どうかね」

「・・・俺はいいですけど」

エレガントさん達を見る。

「・・・・」

       トコ  ・・・

ベンチから立って、手すりに向かう。

見晴らしがいい。

               モグ  モグ

ノロマさん達は、ハムとかの入ったクレープや甘いクレープを買ってる。

ソバさんはこの国の先住民の女性に恋をして、結婚することになったらしい。

合衆国に戻って、一緒に生活するつもりの様。

女性の父親も母親も賛成してくれているようだけど、お爺さんが強く反対しているらしい。

この国にはもともとこの地域に住んでいた民族が多くいる。

ただ、人口では移住者よりもずっと少ない。

だけど殺人事件に巻き込まれる人の割合が、人口比でみると先住民の方がずっと多い。

政府が、迫害の調査に予算を出すことになったらしい。

この国は立憲君主制。

こないだの国民投票でEUから離脱することになった連合王国の女王が、公式にはこの国の国王になる。

連合王国を中心とした連邦の加盟国なので。

実際にはその代理となる総督がいて、行政は連邦政府が行う。

お爺さんは、孫娘と結婚したいなら民族に伝わる遺跡をみつけて来るという条件を出した。

彼らのコミュニティーでは、生きて帰ってくるのは難しい場所だと伝わっている様。

お爺さんのお爺さんは行ってきたらしい。

ソバさんは途方に暮れていたようだけど、婚約者の女性の弟が探すのを手伝ってくれたそう。

子供の頃にお爺さんから聞いていた地域を、2人で探してみたらしい。

見つからなくて、しかも弟が手伝っているのがお爺さんにバレてしまって、弟はもう手伝えなくなった。

民族の手は借りるなと言っている様。

それでソバさんは、ハットさんに連絡した。

外部の人間なら、手伝っていいらしいので。

ハットさんは大学に頼んで調査隊を派遣しようとしたけど、許可が出なかったそう。

それで、ちょうど近くに寄港する私たちの所に来た。

              パク

ソーセージとベーコンものっていて、トマトソースがおいしい。

                   ―― ♪ 

手すりから、下の方の街が見える。

坂の多い街。

青い屋根や白い屋根、赤い屋根もある。

川もみえる。

          トコ  ・・・

ベンチに近づく。

「どうする?」

「・・・・」

ウェーブさんの意見を聞いている様。

彼女は、今度こそのんびりキャンプしたいと言っていた。

「・・・いいよ」

「ほんとうに!」

ソバさんが嬉しそう。

「そう言ってくれると思っていたよ」

「のんびりキャンプする予定だったんですよ」

「何が起きるかわからないね」

「・・・・」

「僕らがいる間に見つかるといいけど・・・」

「みんなで探せば見つかるよ」

「お願いします」

   トコ

細長いベンチの端っこに、手のひらに乗るくらいの円盤状の石。

何か掘ってある。

これを遺跡に置いてくる。

代わりに、もともと置いてある石を持って帰ってくればいいらしい。

紙の容器に入ったフルーツをとる。

 パク

たべる。

「・・・・」

                モグ  モグ

おいしい。

少し観光してから、キャンプに行く予定だった。

だけど目的の遺跡がすぐ見つかるか分からないから、すぐ探しに行った方がいいだろう。

                                                  ボォォォォ  ――――

汽笛。

タンカーなども来る様。

食べ終わったら、船に戻ることになるだろう。

マッチョさんたちにも説明しないといけないし、準備も必要。

「♪」

ごはんをたべて、黒猫が機嫌よく座ってる。

川をみる。

その上に鳥・・・・

            ヮィ ヮィ  ♪

                                 クァァ

                                                  ヒュルル  ―――


川と街と船

2016年06月27日 09時40分04秒 | マーロックの日記

                                                 ボォォォ   ・・・・・・

                             クァァ

    コン

つめたい風・・・

              コン

階段を下りる。

4階デッキから、下船できる。

港に着いた。

50万人くらいの人口の街で、旧市街が世界遺産になっている。

          コン

合衆国の北の国。

この時期は暑くも寒くもない、ちょうどいい気候。

ただ、温暖化の影響はかなり出ている様である。

半そでにカーディガンを羽織って、ちょうどいいくらい。

港に着いてすぐは、たくさんの人が下船するからプロムナードで少しのんびりしていた。

マッチョさんやチーフさんが、夕方ごろまで仕事。

それで、今日は街をのんびり観光する。

カールさんと斧さんとウェーブさんは、もう休みをもらったらしい。

ノッポさんとシャープさんとエレガントさんとガードさんとノロマさんは、乗客だから一緒に出る。

         トコ

タラップを下りて、歩く。

ガードさんがネコカートを持って下りて来た。

「ミャ」

この街のある大陸を含む地域は、新大陸とか新世界と呼ばれる。

ヨーロッパに住んでいたコロンブスが発見したから。

でもそれよりもずっと前に、ヴァイキングと呼ばれる武装した集団がヨーロッパからこの近くに何度も来ている。

私の祖国では大航海時代と呼ばれている500年前ごろ、地中海地域ではラグ―ンに建設された共和国が強い経済力を持っていた。

     ニャ~

「クァ」

およそ1500年前、ヨーロッパ地域で広大な領土を持っていた帝国が崩壊する頃、その領土は外部から侵略されていた。

特に、遊牧民の王アッティラは恐れられていた。

アッティラの軍が迫っていると聞いて、それを恐れた一部の人たちが何もなかった沼地に逃げて暮らし始める。

何もないので、しばらくは誰も襲ってこなくて平和だった。

外部からの侵略は続いていて、やがて周囲の町々が破壊されていく。

今度は多くの人が沼地に逃げて来た。

なるべく陸地に近い場所に住んでいた人たちは、さらに海の方へと移住をする。

塩や魚は手に入る数少ない商品で、それを売って別のものを手に入れていた。

やがて整備された水の都を作り上げ、経済大国として共和国は1000年以上も繁栄することになる。

アジアの香辛料は地中海地域では貴重で人気のある商品で、特にコショウは人気だった。

肉の保存方法の限られていた時代で、香辛料を使うとおいしくたべれた。

その味を知ったヨーロッパの人たちは、香辛料をすごくほしがるようになる――生きるのにどうしても必要なものではないから、値段があまり高くなると売れなくなったようだけど。

共和国は、この香辛料をほぼ独占していた――彼らは異教徒とも交易し、陸路で地中海まで運ばれた香辛料を仕入れていた。

たくさんの商人を経由するので、どうしても値段が高くなる。

それでもコストを抑える努力によって、コロンブスの生きた時代には以前の半値くらいにはなっていた――香辛料全体で、年間2~4万トンも輸入していた。

このため当時、香辛料は安く量も十分にあった。

ただ、共和国が独占していた。

他のヨーロッパの国家は、この独占体制を崩すために新しい航路を求めた――スエズ運河はまだない。

ヴァスコ・ダ・ガマは、アフリカの南端を通過して直接コショウを持ち帰った。

共和国の商人たちは、当初はかなり混乱したらしい。

それまでの独占状態が崩れると思われたし、船で直接持ってくるので仲介役を必要としない分安くできると思われたので――この後、ガマの国は紅海を封鎖することで一時的に香辛料を独占するけど、高値で売って暴利をむさぼった。

ヴァスコ・ダ・ガマの船団は2年かけて往復し、共和国の年商の2%にも達しない量しかコショウを持ち帰れなかった。

そして13隻の船団は、6隻で帰ってきた。

何度も送ればもっと洗練さるとは予想されたけど、その詳細が伝わると混乱はすぐ収まったようである。

共和国は、高い造船技術と強力な海軍を持っていた。

諜報能力も高く、大航海時代の到来は把握していた――ちなみに報告書には、彼らから見ると東の果てにある私の祖国のことも書かれている。

けれど、競う必要はないと判断した――この判断は、共和国衰退の遠因だと言われている。

植民地獲得には関心を持っていなかった様だけど、他国を凌ぐ海運力を持っていた。

その気になれば、アフリカ南端の航路に大船団を送ることはできただろう。

ただそうはしなかった。

陸路を使ったそれまでのやり方が、好調だったため。

その少し前、コロンブスは大西洋を西に向かえば直接アジアに行けると考えた――当時は地球は平面だと信じている人はまだ多くて、ずっと西に行けば落ちると恐れる船員も多くいた。

ただ、途中に大陸があることは想像さえしていなかった様である。

彼の目的のひとつも、香辛料を直接持ち帰ることだった。

実際には新大陸を発見して、そこで先住民にひどいことをする――コロンブスはそこがアジアだと思っていたけど。

コショウは見つからなかったけど、トウガラシ…レッドペッパーは見つけた――ちなみに共和国はコロンブスの航海記は手に入れることはできなくて、彼にスパイを近づけて情報を得た。

その後、ヨーロッパから征服者がこの大陸に来るようになる。

病原菌も一緒に運ばれ、免疫を持たない先住民のほとんどは病死した――200年で先住民は95%減少したと推定されている。

       ガラ  ガラ

                                            ボォォォ  ―――

宇宙から資源を持ってくるのは、まだ大変である。

けどこのまま人類が滅びずにいるなら、やがて宇宙から持ってこなくてはならなくなるだろう――肥料のリンとか。

地球にも様々な金属があるけど、ほとんどは原始惑星の頃に中心に集まったと考えられている。

私たちが住んでいる地表面に様々な鉱物があるのは、隕石が運んだからだと思われる――多くの鉱山は、天体衝突に関係している。

            トコ  ・・・

「クァ」

「・・・あれ?」

私の少し前を歩いていたカールさんが、何か見つけた様。

「・・・・」

手を振る人。

ハットを被っている。

「クゥ」

ハットさんの様だけど、彼はこの港にはこれないという事だった。

こっちに来る。

私たちは、何となく立ち止まる。

「やぁ」

「おはようございます」

「大きな船だからすぐわかったよ」

「来れないんじゃなかったんですか?」

「・・・・」

ハットさんが黙った。

「・・・・」

何かあったのかな。

「実は、君らに手伝ってほしいことがあってね・・・」

「え・・・」

「ミャ~ゥ」

ニャッティラが鳴いた。

「元気そうだね」

「ニャ~」

ハットさんが黒猫を撫でた・・・・

            クァ

                                ザァァァ   ・・・・・

                                                   ヒュルル ―――


ガラスの筒

2016年06月26日 16時02分15秒 | 黒猫のひとりごと

                                                ザァァァァ  ―――

                           ボォォォォォ   ・・・・・・

        チュン

マヒワが鳴いた・・・

僕の頭の上にのってる。

今日はお日様が出てきてすぐ、陸地がみえた。

左にも右にも見える。

川を進んでいるみたい。

「・・・・」

男が船の進行方向を見てる。

「!」

街がみえる。

もうすぐ着くのだ。

「チュ」

「行こう」

             トコ  ・・・

男が歩き出した。

    ―― トン

長いすから下りて、僕も後を追う。

マヒワやメジロは、船に置いて行かれる。

だから、なんとかしてネコカートの中に潜り込ませる必要があるのだ。

                                                      クァ ーーー

                                        ザァァァ   ・・・・

           ウィィィン  ♪

お掃除ロボットがいた。

もう掃除を終えて、休憩するみたい。

                  トコ

すぐそこにある船の建物の中に入る。

入ってすぐ、エレベータがいくつもある。

「ニャ~」

もぐりこむのは、まだ後だよ。

「チュ」

男はまだ荷物を持っていないから、たぶん今日は船に戻ってくる。

                   ウィィィ

エレベータが開いた。

       トコ

                   ト

                                     パタン

エレベータは、商店街の近くは外が見えるようになる。

階段を使うよりも、ずっと速く移動できるのだ。

「チュ」

「・・・・」

男が僕らをみた。

マヒワをみているのかな。

「・・・」

ガラスの筒になった。

外が見える。

ニャ~

心の中で鳴く。

ニャ~

もう一度。

ニャ~

                       ――

3回目で着いた。

             ウィィィ

                           トコ

                                            ――   ォォォ

僕らはドアの外に出る。

                           ガャ ガャ  ♪

まだお昼前なのに、結構人がいる。

港に着くからである。

            ト   ト

らせん階段がみえる。

そこからすぐの所に、湾曲した車がある。

「・・・」

そこにカールさんがいた。

「もう街がみえたよ」

「そうですか」

                    ――  

近くのお店のテーブルに、ウェーブさんやノロマさん。

たまに僕にお水をくれるお店である。

あそこに集まっているみたい・・・・

           チュ ♪

                         トコ  ・・・

                                              ヮィ ヮィ  ♪


もち

2016年06月25日 23時59分15秒 | マーロックの日記

                                                 ゥゥゥ   ―――

                             ザザァァ    ン

      トコ

光が反射する・・・

手すりにも長いすにも、通路にも木にも水滴が残ってる。

それが太陽に照らされて。

               チャプ

雨雲の下を抜けて、空はよく晴れてる。

バス停とは反対側の、屋上の後部に来た。

くぼんだ場所に、バスケットコートがある。

「・・・」

ニャッティラが私の手を見上げてる。

わらびもちを買ってきた。

「・・・・」

あげない。

         パク

ひとつたべる。

                     モグ   モグ

つめたくておいしい。

階段の上から、コートをみる。

もうすぐマッチョさんが来る。

昼の休憩が1時間と少しある様で、お肉をたべていたら偶然マッチョさんも来て、食後にここに来ると言っていた。

こないだ買った新しいテントを、広げてみるらしい。

              パク

おや。

私は海側の通路にいるけど、内側の通路にも人。

箱を持った斧さん。

肩には黒猫。

・・・リスもいる。

どうやら、黒猫は無事に箱から出れた様。

あの試作品には、中で黒猫の体を固定するゴム紐がない。

だから黒猫が動いていると、ふたが開きそうになる。

それでノロマさんは、箱の外にゴムをかけてフタが開かないようにしていた。

朝の食事の後、黒猫がこっそり逃げようとしていたから、私は偶然通りかかったワゴンの下の段に箱ごと黒猫をのせた。

斧さんが箱を持っているから、たぶん箱に入ったまま斧さんに会いに行ったらしい。

「・・・・」

向こう側の階段で、コートをみてる。

階段から下りなくても、船内から直接コートにも出てこれる。

そのドアの方をみる。

                                    ザァァァ     ン

                  ――

マッチョさんが来た――

肩に筒状の黒いケースをかけている。

あの中にテントが入っている。

私はポップアップテントを買ったけど、彼は違う。

                      ――  ♪ 

マッチョさんの後ろから、エレガントさんとノロマさんも出て来た。

彼女たちも見学に来たらしい。

       ミ~

シロネコがいる。

チワワもいるけど、子ネコがいない。

「・・・・」

ドアにもたれているノッポさんもいる。

                       ――

マッチョさんは肩からケースを下して、開けている。

筒の両サイドにそれぞれファスナーが付いていて、それを引く様。

天辺にはカチッと留めてある様で、あれなら片づけるときに楽に閉めれそう――先にカチッと留めてから、両サイドを閉めれる。

中からポンプが出て来た。

エアフレームで張るテントである。

                     ―――

       パク

思わずたべるのを忘れていたから、たべる。

「ミャ~ゥ」

ニャッティラが鳴いた。

コートの水はけはよく、通路よりも乾いてる。

布を広げたマッチョさんは、何かをチェックしてる。

おそらくフレームの空気を抜くところが閉まっているかチェックしてる。

                      

      ――

                パク

マッチョさんはポンプをフレームに固定した。

                     ――

そして空気を入れる――

                           ―――

                                      

速い・・・

あっという間に、テントになった。

エアフレームはテントの外側に配置されたデザインで、カクカクしたフレームの内側にテントが張られてある。

         モグ  モグ

「・・・・」

なんかかっこいい。

                                      ニャ~

反対側にいた黒猫が、思わず階段を下りている。

         ~~ ♪

テントの前でしゃがんだノロマさんが、黒猫を呼んでいる様。

          パク

少し止まって見た後、黒猫がノロマさんの方に移動する。

                   モグ  モグ

わらびもちは、あとひとつ・・・・

        ミャ~ゥ

                                  ザザァァァ     ン

                                                      ゥゥゥゥ  ―――


森に

2016年06月24日 13時15分55秒 | 黒猫のひとりごと

                                             ―― ォォォォ

                       ――

      ボタ ・・・

葉っぱがヒラヒラ・・・

風で枝からとれたみたい。

               ボタ  ・・・

雨が箱にあたる。

「・・・」

なんだか、重くなっている気がする。

      チャプ  ・・・

足を動かすときにあたる場所も、やわらかい。

メジロの森に来た。

段ボールネコのまま。

「・・・」

箱の中には、リスがいる。

一緒にここまで来た。

もうすぐ、下の森におりる階段。

斧さんのところを目指している。

                           ――  サヮヮ

                                             ァァァァァ   ・・・・・

   チャプ

            ボタ ・・・

ここまで来るのに、とても時間がかかったのだ。

朝ごはんの後も、ノロマさんとエレガントさんは花のにおいのするお茶を飲んでくつろいでいた。

お水を飲みたいふりをして、ノロマさんに床に下してもらった僕は、こっそりゆっくり移動を始めた。

チワワと子ネコは、置いてくるしかなかったのだ。

箱を一度隠してから、助けに行く。

ガラガラワゴンが来た時に、男がこっそりワゴンにのせてくれた。

僕の動きに気付いていた男が、協力してくれたのである。

その時にリスが箱の中にもぐりこんだ。

         ボタ  ・・・

大食堂のキッチンに着いた僕は、箱の中に隠れて荷物のふりをしていた。

斧さんが何か運びに来ていればよかったけど、コックさんが気付いてくれた。

そしてコッソリ廊下に出してくれたのである。

後は、ゆっくり動いて来た。

森に出るためのドアは、ウロウロしていたニャッティラに開けてもらった。

「・・・」

みんなの協力があって、僕はここまでこれたのだ。

りんごをたくさんみつけないと。

     チャプ

箱がふやけてる。

お掃除ロボットにも負けない箱なのに、雨には弱かったのだ。

箱になって休憩すると、地面の水と空からの水でフニャフニャになりそうなので、休むことなく僕は歩き続けている。

速くは歩けない。

それに休憩していると、気付いてノロマさん達が追ってくるかもしれないのだ。

エレガントさんもノロマさんも動きは遅いけど、段ボールネコはもっと遅くしか動けないのだ。

黒い箱なら、そんなことはないけど。

   カタ

階段に来た。

「ニャ~」

箱を下して、一気に下りるのだ――

「――」

           カタン

前進して箱で階段をすべる。

                       カタ  ――

                                    カタタタタ   ・・・・

箱がガタガタゆれる。

           ポン

4つの足は出したまま浮かせているけど、頭は引っ込める。

暗くて先がよくわからない――

                           ゴン

ニャ

「・・・」

止まった。

「・・・」

無事に下の森に着いたみたい。

                        

               ピィ ♪

メジロの声。

          ポン

頭を出す。

「ニャ~」

「ピィ♪」

箱にのってるみたい。

                    ――  ト

   ボン

僕の頭の横から、リスが無理やり外に出た。

箱がふやけているから、出れたみたい。

                                     

「・・・」

足音が来る。

                  チュ  ♪

大きな影の上のほうから、マヒワの声。

あのサイズは、斧さんである。

「キキ」

箱を開けてもらおう・・・・

                    ニャ~

              

                             ・・・・

                                                      ォォォ  ・・・・


考える

2016年06月22日 12時42分00秒 | 黒猫のひとりごと

                                              ォォォォォ   ・・・・・

                           ――  

    ポン

頭を出す・・・

箱から。

僕は段ボールネコになっているのだ。

     パク

お皿から白いお刺身を銜える。

                ―― ポン

頭を箱の中に引っ込める。

         モグ  モグ

中でたべるのだ。

「♪」

おいしい。

足もシッポも箱から出せるけど、今は引っ込めている。

外から見れば、たぶんただ箱に入ったネコである。

         モグ

だけど本当は違う。

足を出せば移動できるのだ。

シッポも出る。

          ポン

頭を出す。

             パク

最後の一切れを銜える。

「・・・」

メタボネコがいる。

                   ポン

                            モグ

箱の中でたべる。

       ポコ

             ポココ

4つの足を出す。

              モグ

頭は出さない。

中からでも、少し外は見える。

               ―――

お水の前に移動する。

「♪」

子ネコがみてる。

ここは大食堂の何階かのテーブルの下。

食事が終われば、ノロマさん達から子ネコやチワワを救出して逃げないといけない。

         ズル

                   ポン

                            ペロ

お水を飲む。

段ボールネコはすごい。

お掃除ロボットが来ても、箱になればよけていく。

あたっても平気である。

でも素早く動けない。

         ペロ

                    ポン

箱の中に戻る。

一度外に出て、箱を銜えて走るのがよさそうである。

「・・・」

でも、もう少し箱の中にいたい。

「ミャ~」

子ネコが鳴いている。

僕が外に出たら、子ネコが中に入るかも。

そしたら思いから、銜えて走るのは難しそうである。

でも大丈夫。

子ネコが中に入ろうとしたら、僕のシッポを揺らして注意を引くのだ。

「・・・」

出よう・・・

              ――    ポン

ニャ

中から箱の上を押しても、開かない。

                        ――  ボン

                                    ボボン

「ニャ~」

開かない。

「・・・・」

       ゴソ

箱が動く・・・

頭を出す穴の向こうから、箱を持ち上げたノロマさんの顔。

「♪」

不敵に笑っている。

            ポン

箱は動くのをやめた。

             ――

手が箱の中に来て、頭を撫でる。

どうやら、ノロマさんのイスの隣のイスに置かれたみたい。

箱が開かないのは、ノロマさん達が何か細工をしたのだ。

「・・・」

どうやら罠にかかってしまったのだ。

         ゴソ

箱の中で横になる。

もうしばらく、中でくつろぐのだ。

「ニャ~」

うれしい。

「もう出る?」

すぐ近くにノロマさんの声。

また覗き込んでるのかも。

「・・・」

耳を動かす。

また手が来て、耳をなでる。

箱から出ようと思えば出れるけど、箱が壊れてしまう。

少し丸まって、出し抜くいい方法を考える。

仰向けになる・・・・

         ゴロロ ♪

                              ――  ♪ 

                                                     ォォォォ  ・・・・・


古い箱

2016年06月21日 12時58分12秒 | マーロックの日記

                                                ァァァァァ   ・・・・・・

                           トコ

         ポト

カゴにタオルを落とす・・・

朝の7時。

目覚めてシャワーを浴びて、着替えた。

                                           ―――

外は雨。

もうメインダイニングが開いてる。

屋上の建物には、海鮮丼やカツ丼とかが頼める有料のレストランがある。

白玉も。

「・・・・」

どっちで食べよう。

     パチ

パソコンの画面を消す。

新聞を見てた。

私たちは酸素を使って代謝することで、効率よくエネルギーを生産することができる。

その反応で酸化剤となるNAD+とフラビンは常に必要で、還元されても酵素によって再酸化される――解糖でもNAD+は必要だけど。

そのNAD+の生産経路のひとつに、NMN…ニコチンアミドモノヌクレオチドという分子がある――動物由来のビタミンB3…ナイアシンからNMNになり、NAD+になる。

年齢を重ねると、NAD+の生産能力が落ちるようである。

動物実験では、NMNを投与すると老化の抑制効果がある。

ネズミの実験では、若返った。

様々な病気の回復にも効果がある様。

私の祖国と合衆国の大学が共同で、人へのNMNの臨床研究を始めるらしい。

           トコ

部屋から出よう。

             パタ

サンダルを履く。

甲に革2枚と、かかとの革。

かかとの革は、前買ったのはかかとの先にフィットするタイプだったけど、これは足首にフィットする。

白いソールは軽くて、切込みがいくつか入っていてよく曲がる。

                            パタン

廊下に出る。

後部に行く。

前部に行っても後部に行っても、階段はある。

私の部屋は6階デッキで、船の中央側は壁。

この向こうはプロムナードの2階部分で、いろいろお店がある。

5階部分が道で、たぶん黒猫がそこにいると思う。

昨日の夜、子ネコとリスと、プロムナードの3階部分の窓枠で寝てた。

ネコやリスなら、窓のや壁の出っ張っている場所を伝って移動できる。

乗客の部屋の並ぶ廊下は、センサーライトになっている。

          トコ

                                             ォォォォォ   ・・・・・

プロムナードに下りるらせん階段に来た。

                    トコ

わらびもちがたべたい・・・

屋上のレストランに行こうかな。

                                      ――   

まだ人があまりいないプロムナードに、ノロマさんとエレガントさんがいる。

上を見ていて、箱を動かしてる。

                                                      ニャ~

2階部分に、黒猫たちがいる。

箱を動かして、興味を引いている様。

「・・・・」

あの箱、見覚えがある。

黒猫が段ボールネコになるための試作品の様。

私が作った。

普通の箱で作ったやつで、その後、私は靴を買ったときに入っていた黒い箱で改良したのを作った。

あの試作品よりも、黒猫が動きやすいように作ってある。

レトロな車の中にあったのを、ノロマさんが持ち去っていた。

     トコ

階段を下りた。

なんで古い方なのかな。

                       ニャ~

しばらく様子を見ていた黒猫が、ノロマさんのところに下りて来た。

「おはよう」

「ニャ~」

        トコ

「おはようございます」

「あ、マロックさん」

「おはようございます」

「おはようございます」

          パカ

黒猫が箱に入った。

あの試作品には、中に体にフィットさせるためのゴムもない。

黒い方にはそれがある。

              カパ

                       カパ

ノロマさんが、箱の4枚のヒラヒラを組んで閉じた。

「♪」

4つの足が箱に開けた穴から出た。

頭とシッポも出た。

亀みたい。

「ニャ~」

黒猫がぎこちなく動く。

「ミャ~」

子ネコも下りてきていて、座ってそれを見ている。

「・・・なんで古い方にしたの」

「?」

「こっちの方が動くのが遅いからですよ」

「♪」

黒猫はうれしそうに動いてる。

「ごはん食べに行きましょう」

「・・・うん」

「ニャ~」

黒猫の入った箱を持ち上げて、ノロマさんが去る。

「行こう」

「ミャ~」

エレガントさんが手を伸ばすと、子ネコが近づいた。

背中に乗せたリスごと、エレガントさんに抱えられて去る。

「・・・・」

メインダイニングでは、わらびもちはないだろう。

   トコ

お昼にたべよう・・・・

                 トコ

                                     ――  ♪ 

                                                   ォォォォォ  ・・・・・


水面より下

2016年06月20日 13時44分49秒 | 黒猫のひとりごと

                                              ォォォォ  ・・・・・

               ゴ ゴン      ゴ ゴン

広い場所である・・・

ごはんの前に来たときは、金属の床の上から見ていただけ。

「ミャ」

今度は子ネコとリスも一緒に来て、僕らは階段を下りた。

もう人間は寝始めるころだし、ここにも2人しかいない。

特に何もしていなくて、座ってる。

たまに歩いてる。

                              ゴ ゴン

                                         ゴ ゴン

りんごがない。

「♪」

僕は人に見つからないように、探している。

子ネコは、パタパタさせてる僕のシッポを追ってくる。

リスはその背中。

広い通路はきれいに掃除されている。

「ニャ~」

上に戻ろう。

「ミャ~」

僕は金属の階段に向かう。

               

                               ゴ ゴン

つめたい。

跳ねない。

1歩で1段のぼる。

床は、少しずつ離れていく。

天井は近づいていると思うけど、暗くてよく見えない。

上から空気が流れてる。

金属にひげがあたっても、ひんやりしない。

「・・・」

とまる。

横から下をみる。

床からだいぶ離れてる。

前をみる・・・・

          ―――

                              ゴ ゴン    ゴ ゴン

                                                   ォォォォ  ・・・・・