調理場で

2010年12月31日 16時38分41秒 | マーロックの日記

ギィィィィィ・・・・・・・・・・                     コトン   コトン    ・・・・

                ・・・・・・・・・・・・ォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

パタパタ・・・・

・・・・しゃがんでチワワの首をさわると、シッポを振ってバタバタ動いた・・・・

「クゥ・・・」

・・・・船のクルーは1000人以上いて、彼らもメインダイニングやその他の有料レストランなどの施設を使える。

でも、食事を船底ですましてしまうクルーもいて、彼らのために船底にも調理室がある。

今そこにいて、お蕎麦とうどんが出来るのを待っている・・・・

ノロマさんが、作ってる。

今日は、マッチョさん達クルーは仕事が夕食時までに終わるので、みんなで老夫婦の広い部屋に招待されたのである。

食事を部屋に運んでもらうことも出来るけど、老婦人が私の祖国の料理に興味を持っていて、お蕎麦が食べたいと言ったので、ノロマさんが作っているのだ・・・・

他に、大皿料理もいくつか作っていて、ウェーブさんとコックさんも手伝っている。

・・・みんな夕方までに仕事を終えてるけど、チーフさんだけ午後7時まで働いていた。

着替えて、もうすぐ現れるだろう・・・・

 トントン・・・        トン・・・

・・・今、コックさんがフルーツのカットしている・・・・

私は立ち上がって、様子を見る・・・

材料の中にうどんがあったからうどんを作っていると思ったら、ひとつのお鍋で作ってる・・・

野菜などが見える・・・

お蕎麦には、てんぷらが乗っている。

「ニャー」

・・・キッチンワゴンにのせて、料理をまとめて運ぶのだけど、一番下の段に、メタボネコとチンチラが乗ってる。

そこに一緒にのってた黒猫が、出てきた。

マッチョさんとノッポさんとシャープさんは、すでに部屋に行ってる。

カタ・・・                       ・・・コト・・・

・・・・料理が、ワゴンに載っていく・・・・

ガタ・・・

・・・なんだかお蕎麦より、いろいろ入ったお鍋の方がメインな感じ・・・・

「先に運んでて・・・」

「ァゥ」

・・・ガラガラ・・・・                  ・・・・ガラガラ・・・・

料理とメタボネコたちをのせたワゴンを、斧さんが押していく・・・・

・・・私とカールさんも、一緒に行く事にした。

「ニャー」

「クゥー」

黒猫とチワワも、一緒に来る・・・

・・・ワゴンの2段目には、ちゃんとフルーツジュースが載ってる。

この調理場のすぐ近くにクルー用のエレベータがあって、それで運ぶ。

ガラガラガラ・・・・・                         ・・・・・トントトト・・・・

 ギィィィィィ・・・・・・・・                       ・・・・・・ォォォォォォォォ・・・・・・・・

・・・・・・・・・           ・・・・・・ォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


端っこに

2010年12月30日 10時20分42秒 | 黒猫のひとりごと

ゴト・・・                      パッ  パッ  ・・・・・

                 ズルズル・・・・

・・・・めずらしく、男が部屋の掃除をしている・・・・・

さっき屋上で、とけかけの雪をどけたり、ピカピカを外すついでにみんなで掃除していた・・・・・・

それで、男もまねしてるに違いない。

「ニャー」

僕はリスをくわえて、机の上にのる。

ゴソ・・・・

あっちこっちに散らばってた本が、机の上にまとめて置いてある。

・・・男は片付けているというより、端っこに物をあつめてるだけなのだ・・・・

ポンポン

「ニャー」

本は棚に入れたら・・・・

・・・・僕は、男にアドバイスする。

「・・・・まあ・・・・こんなもんだろう・・・・」

                                     ・・・・・ドサ  ・・・・

――――ニャ

男が、ベットに座った。

掃除はこれで終わりなのかな・・・・・

「ニャー」

まだ片付いてないのだ・・・!

「・・・・・・・」

・・・・僕の抗議にも聞く耳を持たない男は、満足そう・・・・

トッ・・      トッ・・・

                            ドサ

・・・テーブルに寄って来た男は、イスに座った。

そして、僕のすぐ横にある本に手を載せた。

「キキッ・・・・」

                          パコン  ・・・・

その手に、リスが持っていた木の実の模型で一撃した。

ニャー

いいかげんな掃除に、リスも抗議したのだ・・・・!

コロコロ・・・・

「・・・・キュルキュル・・・」

・・・・男が指でなでると、リスは動きを止めた・・・・・

トトトトトト・・・・・・・・・・                 ・・・・・・・トッ  ト・・・

そしてリスが、腕を通って男の肩に乗った。

「外に出るか・・・・・」

トコ・・・            トコ・・・           トコ・・・

・・・・そのまま男が立ち上がって、ドアに向かう・・・・・

ニャァ・・・・

・・・・どうも結局、掃除は終わりのようである。

トトトト・・・・・

・・・・・・僕も、後を追う。

トトトン・・・・

男はノロマさんと違って髪の毛が短いから、リスが首の後ろ側にいる。

・・・それで、男はしょうがなく首を曲げてる。

トッ・・・

・・・・そして、反対側の肩にリスが移動した・・・・・

カチャ――――

                              バタン   ・・・・・・


夜が明けて

2010年12月28日 14時40分21秒 | マーロックの雑記

ターン  ターン   タンタン  ♪           タタン   タンタン   タララン  ♪

     ダンダン   ダァァ・・・・ン            タッ タ タタタン    ♪

コト・・・・

「はい」

「・・・ありがとう」

ウェーブさんが、私の朝食をテーブルに運んでくれた・・・・

私の朝ごはんは、から揚げ入りのカレー。

ゴクリ・・・

食べよう。

カタ・・・

                          パク

おいしい。

・・・朝の7時。

メインダイニングには、ノロマさんとシャープさんとノッポさんの他、今日は仕事がお休みの斧さんもいる。

1層目の大きなテーブルで、みんなで朝ごはん。

・・・黒猫たちは、テーブルの下にいる。

その黒猫たちに、ウェーブさんがちょっかい出してる・・・

彼女は、だいたい朝から夕方までウェイトレスをやってる。

たまに、別の時間帯もあるみたいだけど。

ニャー                                 ・・・ クゥ

                 バシバシ ・・・

相対性理論は、時間の概念を大きく変えた。

それまでは、ニュートンの絶対時間という考え方が一般的だった。

この考えは、誰から見ても普遍的な時間があると考えるもので、私にとって「今」起きたことは、誰にとっても「今」起きた事になる。

けれど相対性理論によって、観測者によって時間の流れ方が違うことが分かった。

2人の観測者が互いに相対運動をしていると、お互いの時間の流れ方は変わる――これは、飛行機に原子時計をのせた実験で確認されている。

また僅かな重力の差であっても、時間の流れ方に差が出る――これも、原子時計を床から少し高い位置に置いた実験で確認された・・・重力は距離の2乗に反比例して弱まるため、地球からの距離が少しでも違えば、僅かな差が出る。

そして時間と空間は別々のものではなくて、同じひとつの時空として扱う必要がある事が分かった。

止まっている人と歩いている人との間でも、時間の差はある――私たちの感覚では、差が小さすぎてわからないけど。

観測者の速度差が大きければ大きいほど、流れる時間の差も大きくなる。

また、お互いの距離が遠くなれば遠くなるほど、その差が大きくなる。

地球から100億光年離れたある惑星に、宇宙人がいるとする――1光年は、光の速度で1年かかる距離で約9.46兆km。

その宇宙人と私は、相対運動をしていないとする――重力の効果や宇宙の膨張、惑星などの運動は無視する。

相対運動をしていないので、私と宇宙人はお互いに静止している――情報は光速を超えて伝わらないので、それを確認するには100億年以上後の誰かが、確認するしかないのだけど・・・

・・・それでお互いに確認しあうことは出来ないけど、この場合、私と宇宙人の「今」は一致する。

そのうち、宇宙人が自転車に乗って私から遠ざかるように動いたとする。

時速16kmで遠ざかったとすると、宇宙人の観測する「今」は、私にとっては150年前に変わる。

相対的に静止してたついさっきまでは、お互いに同じ今だったのが、宇宙人が少し動いたことによって、一気に変化が出る――100億光年も離れているので、僅かなずれが大きく増幅されるのである。

駐車場についた宇宙人が車に乗り換えて、時速160kmで、今度は私に近づくように動き出したとする。

すると今度は、宇宙人の「今」は私にとっての1500年先の未来になる。

タタンタン   タンタン  ♪           タタン   タンタン   ♪

         タ タタタン    ♪            タララン・・・    ・・・・タン ♪

時空の中で、私たちは空間を自由に行き来できる――3歩進んだ後、逆に3歩戻ることができる。

けれど時間は、自由に過去と未来を行き来できない。

時間は常に過去から未来へと流れていて、知られている限り、過去へ戻ることは出来ないように見える――反粒子の事は、ここでは考えない。

私たちは、時間の流れのようなものを感じることが出来る。

例えば、炭酸飲料のふたを開けて30分も経てばだいぶ二酸化炭素が抜けているけど、その後、勝手にボトルの中に二酸化炭素が戻ってきて、もとのシュワッとした感じには戻らない。

したがって、ボトルの中の炭酸飲料を飲んで炭酸がほとんど残っていなかったら、蓋をあけてだいぶ時間が経ったものだと分かる。

その他のいろいろの事も含めて、ある順番にしか起こらない出来事と言うものはいくらでもあり、その事からある向きに向かう前後の、過去と未来の概念がうまれる。

炭酸飲料の炭酸が時間と共に減っていくのは、ボトルの中に高い濃度で押し込められていた二酸化炭素がいったんボトルから外の広い世界に出れば、あちこち動けるから、それらが偶然ボトルの中に戻ってくるという可能性が低いからである――可能性が低いだけで、絶対に起きないわけではない。

物理的な変化に、このような特性を与えるエントロピーという概念がある。

これは、熱力学の発展の中でうまれた。

エントロピーはルドルフ・クラウジウスによって考えられたもので、温度Tの系に⊿Qの熱量が可逆的に与えられれば、エントロピーの増加は⊿S=⊿Q/Tとなる。

⊿はデルタと読み、僅かな変化を意味する記号で、dと書いても同じ意味になる。

Sはエントロピーで、Tは絶対温度である。

例えば、1気圧で水をゆっくり沸騰させる。

水が1kg蒸発する間に吸収する潜熱は、2254000Jである――Jはジュールで、1Nの力が力の方向に物体を1m動かすときのエネルギー。

水が沸騰する100℃は、絶対温度で373K・・・ケルビンなので、これを式に入れると、⊿S=2254000/373=6042.8954…で、丸めて6043J/K/kgとなる。

つまり、100℃の水蒸気1kgは、同じ温度の同量の水よりも、約6043J/Kだけエントロピーが高いということである。

エントロピーの概念は熱力学の第2法則として、「宇宙のエントロピーは常に増加している」と表されている。

これは、どのような出来事においても、宇宙の正味のエントロピーは増えていくという意味である。

1kgの水が蒸発した部屋は、それが液体の状態のときよりエントロピーが高かったけど、この部屋にクーラーをつけて温度を下げてみる。

そして蒸発した水が、再び液体に戻ったとする。

蒸発した状態よりも液体の状態のほうがエントロピーが低いので、ここでエントロピーが下がるけど、そのためには熱を空気に放出しなければいけない。

これによって空気のエントロピーがより増加するのだけど、これもクーラーで室温を下げているので相殺したとして、ようするにこの室内のエントロピーを下げたとする。

けれどクーラーを動かすのにはエネルギーがいるから、そのエネルギーを生み出す過程で、減らしたよりも多くのエントロピーが増える。

生命は非常に秩序だった存在で、エネルギーによって駆動するサイクルを介して、エントロピーを下げ続けている限られた領域のことである。

このためのエネルギーは、もとをたどると太陽の核融合によって生み出されたもので、その際によりエントロピーが増加している。

結局どのような出来事でも、宇宙全体で見ればエントロピーが増える。

そして、多くの科学者の努力によって熱力学の基礎が築かれていき、それはルートヴィッヒ・ボルツマンによって統計力学として大成する。

ボルツマンの関係式として知られるS=k log W はエントロピーの概念を、系を構成する膨大な要素の挙動として統計的に結びつけたものである。

Sはエントロピーを、kは定数で約1.38×10-23、log Wはとり得る粒子配列の対数である―――logは対数を表しており、通常logだけ書かれた場合は底を10とする常用対数を意味するけど、数学では自然対数を意味することもある。

自然対数を表す場合、特にlnと書く場合もあるけど、上の式ではlogと書いて自然対数を意味している―――

重要なのは粒子のとりえる配列の数で、そのパターンが少ない状態がエントロピーが低い状態、パターンが多い状態がエントロピーが高い状態である。

例として、粒子ではなく両面に文字の印刷された紙を考える。

60枚の紙があったとして、両面にページ数を書いていくと120ページになる。

最初、1ページから120ページまで、順番に並べて積みあがっているとする。

この60枚の紙がとりえるパターンは、約9.593×1099という膨大な数である―――60枚としたのは、私の手元にある計算機が、これ以上は数が大きすぎて計算できないからである。

1099というのは、10億を11回かけた数で10000000000000000000000000000000000000000000

00000000000000000000000000000000000000000000000000000000―――

その中で、1から120までが順番に並んでいるパターンは、上から1,2…と並ぶ場合と、下から1,2…と並ぶ場合しかない。

したがって、ページが順番に並んでいる状態というのはエントロピーが低い。

この積みあがった紙を、ばらばらに崩して適当に積み上げてみる。

ページが順番に並んでいる確率は9.593×1099分の2なので、ほぼ順番はでたらめになっていると考えていい。

それでもまだ、ページがある程度まとまっている部分がいくつかあるだろう――この部分は、最初ほどではないけどエントロピーが低い。

けれど何度も同じ事を繰り返せば、そういったまとまりも崩れていく――ここで、何度も繰り返す行為が時間の経過を意味していて、時間が経つにつれエントロピーが増えていく。

・・・そして、いったん意味のない紙の組み合わせになってしまえば、あるていどまとまった状態にさえ、戻る可能性は低い――とりえるパターンは、9.593×1099通りもあるのである。

エントロピーが高いというのは、ある状態を実現する方法が沢山あることを意味し、エントロピーが低いとはその方法が少ないことを意味する。

一度高くなったエントロピーは、高い状態を維持する。

だけど適当に積み上げた60枚の紙が、偶然ページ順にならぶ可能性がないわけではない。

かなり起こりづらい事だけど、少ない紙で試してみることは出来る――10枚20ページの場合3715891200通りあって、5枚なら3840通りで3枚なら48通り、2枚なら8通り。

それで、エントロピーは常に増えるから、エントロピーの低い状態が「前」で高い状態が「後」だと分かる。

前と後がわかるから、エントロピーの高まる方へと時間が流れる・・・未来へ向かっていると考えることが出来る。

タタンタン   タンタン  ♪           タタン   タンタン   ♪

            タタン  タン   ♪            タララン・・・    ・・・・タン ♪

私たちの知っている運動法則は、時間を反転させても成り立つ――時間反転対称性という。

これは時間が逆向きに、過去に向かって反転するという意味でなく、時間の一方向に向かって起きることは、逆向きでも起こるということである。

人工衛星が飛んでる所を映したビデオテープがあったとする。

ふつうに再生しても逆再生しても、それほど違和感はないだろう――人工衛星がどちら向きに飛んでいても、同じ様にありえそうだからである。

次に、うっかりテーブルから落としたコップをビデオで撮る。

それを逆再生すると、割れて飛び散った破片がフワッと浮かび上がって、テーブルの上に集まってコップに戻るのを目にする事になる。

普通こんな事は起こらないので、これはあきらかに逆再生しているものだと分かる。

けれどこの驚くべき光景も、物理的には起こりえる。

床を構成する分子や空気の分子の振動が、上手い具合に飛び散った破片をまったく逆方向に動かすように働けば、飛び散った破片がコップになるはずである。

物理法則によれば、どんな事でも、時間のある方向に向かって起きたことは、逆向きにも原理的には起こりうる。

だけど割れたコップ・・・エントロピーの高い状態が、もとのコップ・・・エントロピーの低い状態になる確率は極めて低く、ほぼ起きないと言える――それぞれの粒子がとりえる配置のパターンは、60枚の紙の例とは比較にならない数になる。

この世界を構成する分子や原子などの粒子は、空間の中を動く。

これらの粒子が空間の中でとりえる位置の組み合わせは、無数にある――宇宙のサイズによるけど、広さが無限であるなら無限になる。

・・・観測可能な範囲であるなら、ざっくり10の10122乗になる――1の後に、0が10122個続く数。

エントロピーは、この乱雑さを表す概念である。

ちなみにエントロピーは自発的に増えていくので、その過程でエネルギーを取り出すことが出来る――したがって、エントロピーが低い状態のほうがエネルギーの質が高いと言える。

・・・科学で自発的と言う場合、自然に・・・と言うのと同じ意味である。

タタンタン   タンタン  ♪           タタン   タンタン   ♪

              タ タタタン    ♪            タララン・・・    ・・・・タン ♪

・・・今度は入れたばかりの温かい紅茶に、氷をひとつ浮かべてみる。

10分も経てば氷はだいぶ融けている――氷よりも液体の水の方が、エントロピーが高い。

この後、偶然の粒子の動きで再び氷がもとに戻る可能性はあるけれど、ほぼ間違いなく融け続ける・・・・

やはり、エントロピーの増加する方向が時間の流れる向き・・・私たちが未来と読んでいる方だと考えて、問題なさそうに思える。

けれど、エントロピーは過去に向かっても増大する。

第2法則は、ある物理的な変化があった場合、確率的にエントロピーの低い状態から高い状態になると言っている。

つまり運動法則に、統計的な考えをあてはめて得られたものである。

その運動法則に、時間の向きが組み込まれていない。

このため、未来に向かってエントロピーが増加すると言った時の説明は、過去に向かって行く際にも、まったく同じ様に使うことが出来る。

物理法則が時間反転対称性を持つため、「未来」と「過去」を区別することが出来ない。

これは、ある時点でエントロピーが、考えられる限り最大となっていないなら、未来に向かっても過去に向かっても増大するということである――未来に向かってエントロピーが増大する確率がとても高いなら、同じだけ、過去に向かってもエントロピーが増大する可能性が高いのである。

このように考えると、10分経ってだいぶ融けてしまった紅茶の中の氷を見た時、10分後には完全に融けているだろうと予想できるなら、10分前にはもっと大きな氷だったと予想するより、完全に溶けた水の分子が、偶然の揺らぎによって今の状態になったとする方が確率がずっと高い。

そして宇宙の構成要素ははるかに多いので、無秩序と秩序の差は途方もなく大きく、この考えは桁違いに正しくなる事に、ボルツマンは気がついた。

この意外な結果から言えることは、宇宙に十分な時間があれば――ほとんど永遠ともいえる長い時間があれば、完全に無秩序な宇宙から、現在のような秩序の高い宇宙が、偶然に生まれると言うことである。

そして、昨日の宇宙は今日よりもエントロピーがずっと低いので、今、宇宙が偶然のゆらぎでこの配置になったと考えるほうが、確率的には圧倒的に高い――氷が半分解けた状態が、完全に融けた状態から偶然現れたと考えた方が可能性が高かったのと、同じである。

つまり、過去の記憶を構成する脳の神経細胞のパターンも、思い出の写真も、すべてが偶然、無秩序な宇宙から一瞬の揺らぎによって現れたものになる・・・

私たちの記憶も知識も、実際には過去に起こっていないのに、すべて、上手い配置として突然現れたものだと考えられるのである。

   カタ・・・                              パク・・・・

                      ・・・・カタ・・・・

これはショックなことである。

けれど、宇宙に始まりがあり、その時のエントロピーが極めて低い状態だったと考えれば、私たちの過去がすべて幻だとは考えずにすむ。

宇宙の最初が極めてエントロピーが低かったのなら、第2法則にしたがってエントロピーは増加していき、今の配置になっていると言えるからである。

だけど、137億年前に宇宙が極めて低いエントロピーから始まったと考えるよりは、無秩序から偶然今の配置になったと考える方が可能性は極めて高い――インフレーション理論が要請するエントロピーの低い宇宙というのが、驚くべき状態なのである。

幻の過去というのは受け入れがたい――私たちの知っている法則も、すべて信じられなくなる。

ビックバンによって現れた、エントロピーの驚異的に低い宇宙を支持した方がたぶん幸せである――幸い、宇宙の観測からはそれが強く支持されている。

そうなると、なぜ宇宙はそれほど秩序の高い状態で始まったのかという問題を説明する必要がある。

このことが、時間の流れを考える問題になるけど、これは宇宙論の問題になる。

あるいはこの先、時間反転対称性が破れて、時間の向きがなぜ一方向であるのかがあっさり説明できるようになるかもしれない―――K中間子とB中間子で、CP対象性の破れを示すことで、間接的に時間反転対称性の破れが確認されている。

ただ、これらは高エネルギーの粒子の衝突で一瞬だけうまれる粒子で、時間の流れの問題に答えてくれるものだとは思われていない―――

それでも、エントロピーの低いビックバンの問題は残るだろうと思われる。

・・・なお、ここまでの考えは量子力学を含めていないので欠陥があるけど、どちらにしても同じ問題に出会うことになる。

トコトコトコ・・・・・・・・・

・・・黒猫を突いて満足したのか、ウェーブさんは去った。

ゼリーが欲しいな・・・

今朝は昨日ほど寒くなくて、雪も融け始めている。

それでも温かくはないので、カーディガンを着てきた。

お昼頃には飾りも外されて、もとの屋上に戻ってるだろう・・・

                キキ・・・                   ニャー

  ダダダァァァァァ・・・・ ン   ♪            タンタン タタン    ♪

      タタン・・・      タン       タン      タン  ♪

          タン  タン  タン   タンタッ タン ♪            タンタンタン  ♪


外を見る

2010年12月26日 00時22分45秒 | 黒猫のひとりごと

シャン・・・          シャン  シャシャン  ・・・・  ♪

              シャシャン・・・    シャン・・・        シャラン・・・  ♪

・・・窓の外は雪が降っているけど、ここは温かい。

お祝いパーティーも終わって、ノロマさん達は移動して、船の後ろにある建物のレストランに来てるのだ。

ここは窓が大きくて、船の後ろ側以外はよく見える。

こないだ来た時は船の横を向いたテーブルだったけど、今日はプールとかが見下ろせる場所。

「ニャー」

ガラスに頭を貼り付けて見ると、まだ屋上のピカピカの周りには沢山の人がいる・・・

ガタ・・・・

僕のすぐ側でイスが動いた・・・・

斧さんが、戻ってきたのだ。

みんなたまに外に出て、雪を見てる。

         パクパク・・・

ここに来てからやってきたコックさんは、パクパクご飯を食べてる。

・・・僕らは、すでに沢山食べたからお腹いっぱいである。

パチ・・・    パチ・・・・

「ミャゥ・・・」

子ネコは、カールさんの持っている大きな画面をさわって、遊んでる。

それを、リスがジッと見てる。

「すごい降るね・・・」

「うん・・・・」

・・・・ニャ

ノロマさんとウェーブさんが、窓の外を見てる・・・

「ニャー」

バカである。

ノロマさん達は窓から遠い場所に座っているから、よく見えてないはずなのだ・・・・!

ゴロ・・・

・・・・小さな毛布を折りたたんだものがチーフさんの前においてあって、それを背もたれに、メタボネコが仰向きに寝てる。

モミモミ・・・・

チーフさんがメタボネコの大きなお腹をつまんでるけど、メタボネコはお構いなしである。

ペロペロ・・・・

・・・お水を飲んでいたチワワが、窓の外を見たけど、また飲みだした・・・・

               ・・・・・ペロペロペロ・・・・・

シャララン ラン  ・・・♪             シャ~  シャララン   ♪

      シャ  シャン   シャシャン       シャ・・・      シャンシャン  ♪


白くなる

2010年12月25日 00時08分04秒 | 黒猫のひとりごと

シャン  シャン  ♪      シャシャシャ シャラン    ♪

         シャララン ラン   ラララン   ♪          シャラン   ~~♪

シャリシャリ・・・・                シャリシャリ・・・・

・・・・・屋上のプールの側が、すごい人ごみである。

何かのお祝いのパーティーらしく、船が何度か鳴いたから、きっと船のお祝いである。

「ニャー」

テーブルには沢山の食べ物と、飲み物。

イスはなくて、みんな立って食べてる。

・・・・・さっきまでノロマさんとかもいたけど、今は上の通路に戻ってる。

長イスに座って、話し込んでるのだ・・・

今日はずいぶん寒くて、チワワは寒がりだからノロマさんの側を離れない。

人間達は、温かそうな服を着て元気に動き回ってる。

サク・・・・         サク・・・・

・・・屋上の通路に上がる階段を、のぼる・・・・

雪が少し積もってて、足の先っぽが冷たい・・・・

・・・・・・・ザァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・ン

                     ・・・・・・・・・ザァァァァァ・・・・・     ・・・・・・・・

通路にも結構人がいて、ノロマさん達と同じで長イスをテーブル代わりにしてる。

でも、プールの側や後ろのバスケットコートほどは人はいない。

下を見ると、ピカピカ灯る光で、雪がピカピカする・・・・

「ニャー」

「冷たいんでしょ・・・」

     サク・・・

ウェーブさんが、僕を抱え上げた・・・・・

・・・チーフさんもいて、みんな寒そうにしてる・・・・

寒いんだったら中に戻ればいいのに、通路で話し込んでるのだ・・・・

・・・・やっぱり、雪が楽しいのだ・・・!

「ニャー」

僕も寒いけど、雪がサクサクおもしろいのである。

      ブン          ブンブン・・・・

「ミャ~ォ」

子ネコは、チーフさんのひざの上で丸くなっているメタボネコの側で、落ちてくる雪にネコパンチをお見舞いしてる。

「キュキュキュ・・・」

ノロマさんのカバンの中には、リスとチンチラがいる。

マッチョさんとかは、どっかいってる・・・・・

ゴソ・・・

・・・僕は、ウェーブさんのひざの上の毛布に入る・・・

「ニャー」

すると、シャープネコも来た・・・・

「・・・・・重たい・・・・」

シャープネコも、毛布にもぐり込んで来た・・・

・・・・ザァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・             ・・・・・・ン

               ・・・・・・・・・・・・・ァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・

シャラン  ・・・・      シャラン   ・・・・    ♪     シャラララン  ・・・・♪

シャラン    シャララン              シャラン   ラン  シャラン   ・・・ ♪


だんだん寒く

2010年12月24日 16時34分57秒 | マーロックの日記

シンシンシン・・・・・                   ・・・・・シンシンシン・・・・・・

 ・・・・・・・・ァァァァァァ・・・・ン                 ・・・・・ザァァァァァ・・・・・・・・

・・・・                       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ァァァァァ・・・・・・・・・・・

・・・・・ガャガャガャ・・・・・・・                    ヮィヮィヮィヮィ・・・・・・・

                       コト・・・・

・・・・縁に取っ手のついた木製のトレイに、コップを置く・・・・

温かい紅茶の入ったコップで、トレイには保温性の高い水筒もある。

「ニャー」

ブンブン・・・

黒猫が、上から落ちてくる雪をさわろうとして前足を動かしている。

・・・・今日は朝から寒かったけど、お昼になってさらに気温が下がり、雨が雪になった・・・・

この地域で雪はめずらしいので、屋上には沢山の人が出てる。

私たちも通路にいて、ビーチチェアを2つ横に並べて、ベンチ代わりにしてる。

でも、座っているのはカールさんとノロマさんだけ。

ノロマさんは寒がりらしく、ひざには小さな毛布もかけてる。

「クゥ・・・」

温かそうな服を着ているチワワも、その毛布の中でぬくぬくしてる。

ノロマさんはアームウォーマーみたいな手袋もしていて、指先は開閉可能である。

・・・・私はこんな寒い日でも、シャワーを浴びた後、ちゃんと頭を乾かさずに外に出ても平気である・・・・・!

リスはノロマさんのコートのフードの中で、髪を引っ張ってる。

・・・・おや。

さっきまで後部の建物の前で雪を見ていたちいさな子供が、いない。

・・・・この船に一人だけ乗ってる子供で、半袖で遊んでたから、寒くなったんだろう・・・・

イスを、通路内側の柵と少し離していて、私たちは内側を向いている。

そしてここから見下ろせる中部の広場には、ホテルディレクターがいる。

今夜行われる、この大きな客船の誕生日のお祝い準備である。

乗客が3000人以上いて、クルーは1000人以上いる。

それらの人が、一度にではないけど日没後の屋上を訪れる事になりそうなので、食事の準備とかで大忙しな様・・・・

コックさんは、今日は屋上のパーティーで働くようである。

・・・・メインダイニングは、いつもより暇になるんだろう。

ウェーブさんは午後の5時で仕事は終わりで、その後ここに来る。

・・・・今は4時半で、斧さんは4時に仕事を終えているはずなので、間もなく来るだろう・・・・・

マッチョさんとチーフさんも、日没後には来れそうだと言ってた・・・・

ちなみに、カールさんは休日。

カポ――――

「キキ・・・!?」

・・・・リスが鳴いたから見ると、ノロマさんがフードをかぶったから閉じ込められたらしい・・・・・・

「・・・・こっちだよ・・・」

「・・・ァゥ」

・・・・斧さんだ。

ノロマさん達に選んでもらったのを、着てきてる・・・・

膝より少し高い丈のダブルのダッフルコートで、フードもついてる。

トポトポトポ・・・・・・・

・・・・それを見て満足そうなノロマさんは、水筒から紅茶をコップに注ぐ・・・・

この紅茶、彼女が作ってきたものである。

「はい」

「ァゥ」

・・・私も、買ったばかりのコートを着てきた。

ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

                   ・・・・・・・・・・・ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・風が強く吹いた・・・・・・

雪の落ちてくる勢いも、さっきより増した・・・・

ゴソ・・・

                                  ・・・・ミャ~ォ・・・・

・・・・ノロマさんのカバンの中から、タオルを半分被った子ネコが頭を出した・・・・

ノソノソ・・・・                       シャリ・・・

            シャリ・・・・                   ミャゥ・・・・

・・・・そして、ノロマさんのひざの毛布の中に去った・・・・

メタボネコとチンチラも来ていて、カールさんの上に乗ってる。

それで、彼は身動きがとれない。

メタボネコのダイエットは上手く行ってるのかしらないけど、大きさにあまり変化はない。

カールさんはタブレットパソコンを使っていて、大きなメタボネコはそれを置くのにちょうどよさそう。

ノッポさんはその後ろに立って、画面を見てる・・・・

ヮィヮィヮィヮィヮィヮィ・・・・・・・・               ・・・・ガャガャガャ・・・・・・

・・・・また下を見下ろす・・・・・

人が沢山出ていて、沢山の息が白い・・・・

・・・・パサ・・・・

・・・・イスに薄っすらかかっていた雪を払う。

私も、座る。

日没まで、まだ少し時間がある。

暗くなってくれば、屋上はまたピカピカ光りだす。

私たちは・・・・・ノロマさんとウェーブさんがいるから、たぶんパーティーの始まりから終わりまでいる事になるだろう。

ゴソゴソ・・・・

シャープネコと黒猫が、子ネコの出たノロマさんのカバンの中に入った・・・・

今夜は冷えそうだな・・・・・・

        ゴソゴソ・・・・                 キキ・・・・!

ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・           ・・・・・・ン

               ザァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・     ・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・ヒュォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

              ・・・・・・・・・・・・ォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・


灯りが広がる

2010年12月23日 14時16分21秒 | マーロックの日記

ザァァァァァ・・・・・・・・・・・            ・・・・・ン

                             ザァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・

             ・・・・・・・・サァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・ァァァァァァ・・・・・                   サァァァァァ・・・・・・・・・・・・・

・・・・少し雨が降っていて、肌寒い・・・・・・

海はやや荒れているけど、このくらいだとほとんど揺れはない。

巨大な船だから・・・・

私は、屋上の後部の通路にいる。

後部は一段高くなっているけど、その通路の下にも通路があって、私がいるのはそっち。

上の通路が屋根になっていて、雨も関係ない。

船は北に向かっていて、夜が長くなった・・・

・・・・それでまだ夜明け前で、暗い。

    ゴシゴシゴシ・・・・・・                ・・・・・・ゴシゴシゴシ・・・・・・・

・・・・

・・・斧さんだ。

「おはよう・・・」

「ァゥ・・・・」

デッキブラシを持って、朝の掃除をしてる・・・・

「まわしてみな・・・・」

「ァゥ」

      ブン・・・ ブンブンブン・・・・・

片手で、ブラシを2回転させた・・・

スムーズに回せてる。

・・・・斧さんに頼まれて、棒の使い方を教えてる。

今度、体の左右でクルクル回すのを教えよう・・・・

ザザァァァァァァ・・・・・・・・・・              ・・・・・・ン

      ・・・・・・ザァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・私は斧さんに背を向けて、去る・・・・・・

        ・・・・・・ゴシゴシゴシ・・・・・・・・・・            ・・・・・・ゴシゴシ・・・・・

床をゴシゴシする音を聞きながら、階段をのぼる・・・・・

パチャ・・・

・・・・雨はパラパラとしか振ってないけど、上の通路は濡れてる。

サァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

          ・・・・・・・・・・・ァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・小さな水の粒がパラパラ落ちてくるだけで、傘はいらない。

通路には最低限の灯りしかなくて、普段は暗いんだけど、今日はピカピカ。

ここから見えるロッククライミングの壁や、バスケットコートも光ってる。

上から細かな雨が降るから、光が滲んでる・・・・・

チャ・・・             ・・・・・・・・

・・・・前に向かう。

北に向かっているとはいえ、まだまだ温かい地域。

なのに、今朝は寒い・・・・

カーディガンを羽織って来たけど、それでも少し寒い。

今、ここよりも北、ユーラシアの北西部が大寒波に見舞われている。

今年だけでなく、この10年、何度か寒波に見舞われている。

これも、気候温暖化のせいだと考えられている。

北極では、温暖化によって海氷が減っている。

それで太陽光の反射率が下がって、極地の海が暖まる。

上空には冷たい空気があるから、海から上空に熱が移動して、大気が温まって強い高気圧が発生する。

それによって、北極の寒気が南に流れてくる。

・・・・その寒気が南下しているらしいから、寒いのはそのせいかな・・・・・

「ニャー」

おや・・・

黒猫。

暗いからよく確かめる・・・・

シャープネコではなくて、やはり黒猫である。

一匹か・・・・

右舷の通路に来た私は、中央のプールなどがある広場を見下ろす・・・・・

「ニャー」

「すごいな・・・・」

昨日の夜も見たけど、雨で光がぼやけて瞬くから、違った感じ・・・・

・・・・カリカリ・・・・

「ニャー」

黒猫が、私の足をかく・・・・・

「寒いのか・・・・」

・・・羽織っていただけのカーディガンのボタンを留める。

タン――――                タン

すると、それを待っていたらしく、側のビーチチェアを足場に私の肩に飛び掛ってきた・・・・・

スルリ・・・

そして、カーディガンの中に入った。

黒猫の足を腕で支えてやると、向きを変えて頭を首もとから出した・・・・

・・・・温かい・・・・・

そのまま、手すりにもたれる。

しばらく、見てよう・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・ァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・

                       ・・・・・・サァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・

ザァァァァァァ・・・・          ・・・・・・・・ン

           ・・・・・・ザァァァァァ・・・・・・・                ・・・・・ン


ほほ

2010年12月23日 11時38分22秒 | 黒猫のひとりごと

タンタタン   タタタン         タタタタタタタ・・・・         ♪

          タンタタン   タタタン    タタタタンタタン       ・・・・♪

ウォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・       ♪

                ・・・・・・・・・・ォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・     ♪

・・・あいかわらずうるさい場所である。

スケートリンクの近くにある、ピーナッツをくれるボンバー頭のいる部屋である。

広い部屋で、薄暗いけどキラキラ光る明かりが沢山で、商店街のピカピカみたい・・・・

キキ・・・

僕の上にいるリスが、鳴いた。

ノロマさんとウェーブさんは、商店街のテーブルで話しこんでるので、子ネコも連れてコッソリ逃げて、ここに来たのだ。

沢山の人間がダンスをしてる中、僕らは部屋の奥にいるボンバー頭のところに向かう・・・

タン ♪   タン    タタタン           タタタ・・・       タタタ   ♪

     タタタン   タッ  タタン      タタタタンタン    タタタタン   ♪

軽快なリズムなので、うっかり僕もネコダンスを披露したくなるのだ・・・!

             ―――――――― タッ  ・・・・       タタン・・・

少し高い場所、機械が一杯ある場所に、ボンバー頭がいる。

「ニャー」

「・・・ヘィ♪」

ボンバー頭は、陽気に返事した。

・・・あった。

ピーナッツをもらえる円盤である。

         タタタッ――――――

おや・・・

         ・・・・・ザヮザヮザヮザヮ・・・・・・・           ・・・・・・・・・・・・

・・・・・音が消えた・・・・・・

         パッ・・・       パパパッ・・・

ライトが、僕らを照らす・・・・・

ズンズンズンズン   ・・・・・・                ズンズンズンズン・・・・・・  ♪

リズムがまた始まって、マイクが僕らの前に向けられた・・・・

そして、ボンバーによってチワワも機械の上にのせられた。

 ・・・・・・・ズンズンズンズン・・・・♪              ズンズンズズズン  ・・・・♪

僕は円盤に前足をかけて、動かす――――

――――    ピーナッツ  ♪

          ズンズンズンズン  ♪              ニャー ♪

ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

人間達が、盛り上がったのだ・・・!

ふふん。

ピーナッツ♪            チャ チャ チャチャチャ・・・♪

          ピーナツ  ♪        チャチャチャッ    チャチャチャ  ♪

ピ・・・ピ・・・  ピーナッ  ピピピ・・・    ピー  ピーナッッ   ・・・♪

――――僕がリズムをとりだしたら、子ネコが円盤を動かして邪魔した――――

ズンズンズンズン・・・♪             ピ・・・ピ・・・  ピピッピ  ピピピ・・・♪

ピーナッツ  ♪            チャ チャ チャ チャチャ  ・・・♪

――――子ネコのいたずらもリズムに変えて、僕はがんばる――――

キキキッ  ♪        ズンズン・・・            チャチャチャ♪

   ピーナッツ  ♪       ミャ~ォ  ♪         ズンズンズンズン  ♪

チャチャチャ・・・          ニャンニャン  ♪     チャッチャチャ  ♪

ピピピ・・・・             ピッピッ  ピーピー   ピピピピピーナッツ  ♪

ズンズズチャッ  チャチャチャ    ♪

       ピピッピ ピピピ  ピッ ピッ ピピ  ピピピ  ピピピピピピピーナッツ  ♪

    クゥー  ♪

ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

         ・・・・・・ォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・

「ヘィ yo ♪」

ズズズズンズン    ズズズズン   ♪

終わった・・・・

ピョーピョーピョピョ  ♪          ピョーピョーピョ ピョピョ  ♪

こんどは、鳥みたいなリズムが始まった・・・・

「ニャー」

ピーナッツちょうだい。

「・・・・ヘィ♪」

ピーナッツの入った袋から、沢山出てくる・・・

「ミャ~ォ」

パク・・・                パクパクパク・・・・・

・・・僕やチワワが食べる横で、リスがどんど口にピーナッツを入れる。

「ニャー」

おいしい。

「クゥー」

・・・子ネコはペロペロなめて、ひとつ食べた・・・・

「ミャ~ォ」

モソ・・・

ニャ

リスのホッペが、ポッコリしてる・・・・

ほっぺを袋にして、ピーナッツを溜め込んだのだ。

「・・・・・・」

それで、鳴けないのである・・・!

「ニャー」

帰るのだ・・・

            ――――――タッ      タタタ  ・・・・・

・・・・僕らが床に下りると、ボンバー頭がチワワを下ろしてくれた。

ここは音が大きすぎるのだ・・・

・・・・・・外に向かう僕らを見て、ダンスしながら手を振る人間もいる・・・・

ピョ~ピョピョ  ピョッ  ピョッ  ピョーピョー   ♪    ピョピョピョ   ♪

   ピョピョピョ   ♪      ピョピョピョ   ピョンピョン   ピョ    ・・・・♪

ウォォォォォォォォォ・・・・・・・       ♪ 

              ・・・・・・・・・・・ォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・    ♪


ピカピカピカ

2010年12月21日 12時01分25秒 | 黒猫のひとりごと

シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン   ・・・・・♪

   シャラーラ ララララ  ・・・・     シャンシャンシャンシャ シャンシャンシャンシャン  ♪

船の中の商店街は、夜になるとちゃんと暗くなる。

そしてお店や街灯の明かりが灯るんだけど、今日はそれどころじゃないのだ・・・!

小さな光がピカピカ瞬いてるのだ。

商店街の2階の高さまで光ってて、きれい。

僕らの秘密基地であるレトロな車の上にも、雪だるまの置物が光ってる。

「ニャー」

こんにちは。

レトロな車の下から挨拶する。

        ボャ・・・・・・

・・・・雪だるまはピカピカ光るでもなく、ただぼんやり光ってるだけ・・・・

「ミャ~ォ」

おや・・・

子ネコが雪だるまの下で、においを嗅いでる。

後ろを見ると、ノロマさん・・・・

「クゥ・・・」

・・・・僕は、冷静に様子を伺う・・・・

どうやら、ここが僕らの秘密基地であることに気づいた訳ではなさそう・・・・

「ニャー」

僕は、さも雪だるまを眺めていただけのふりをして、歩き出す・・・・・

レトロな車の斜め向かい側には下りのらせん階段があって、そのすぐ側が花壇などで囲まれた休憩場所。

・・・とりあえず、そこへ向かう。

ザヮザヮザヮザヮザヮ・・・・・・・・・・・・              ・・・・・・・ヮヮヮヮヮ・・・・・・

        ・・・・・・ガャガャ・・・・・・・              ・・・・・・・・・・

・・・・ちゃんと、チワワと子ネコとリスもついてきた。

ついでに、ノロマさんも。

スタ・・・

そして、ノロマさんはベンチに座った。

ピョン・・・       タタ・・・

                      ・・・クゥー  ・・・・

・・・・すると、チワワが跳びあがってノロマさんの膝の上に乗った。

ガシ・・・

ニャ

リスが、僕の頭にくっ付いた。

「キキ・・・・」

「ニャー」

どうやら、キラキラきれいな商店街を見たいようである。

          タッ  ――――

花壇の端から、上に跳びあがる。

トン・・・・             トトト・・・・

・・・・上にもキラキラがあって、踏んづけないように進む。

「ミャ~ォ」

おや・・・

子ネコが僕の後をついてくる。

・・・・・それほど難易度の高い段差ではないけど、簡単について来れるまで運動能力があがってるのだ。

・・・・子ネコが来るから、ここら辺で止まる。

ここからなら、下りる時も簡単である。

幅のある出っ張りで、僕はその場で伏せる。

「キキ・・・」

・・・・すごいのだ・・・・

道が光ってるみたい・・・・

シャーン シャシャン シャン  ♪               シャラララ・・・・・

         ・・・・・・シャン・・・       シャシャン      シャン ・・・・・   ♪

ポンポン・・・・

・・・・子ネコが、ピカピカを叩いてる。

でも、ピカピカは消えない。

「ミャゥ・・・」

僕のシッポと背中に前足をのせて、子ネコが鳴いた。

              ・・・・・・・・ トトトトト・・・・・・・・

        待った・・・?                         ううん・・・・

ニャ

沢山の人が流れる沢山の音の中から、ウェーブさんの声を捕らえた・・・・

・・・・すぐ下。

どうやら、僕がレトロな車から離れるために選んだここで、ウェーブさんとノロマさんが待ち合わせしていたらしい・・・・・

「おりて来て・・・・」

「ミャ~ォ」

ポン・・・・      タッ・・・         タン・・・

・・・・ノロマさんに呼ばれ、子ネコが去った・・・・

タッ  ――――――――

                       ――――――――  スタン   ・・・・・・

僕は、直接花壇の上の土に下りる。

「ニャー」

ふふん・・・・

段差を順番に下っていく子ネコに、お手本を見せたのだ・・・!

「ミャ~ォ」

ゆっくり下りてきた子ネコが、僕のそばに来た。

   バシ ・・・・

ニャ

そして、僕の背中に一撃した・・・・

「すごいね・・・・・」

「うん・・・・」

ノロマさんとウェーブさんは、ピカピカを見てる。

クルクル・・・          スルスル・・・・

チワワは、2人の足元をするすると動き回ってる。

「行こ・・・・」

・・・・歩き出すノロマさんが呼ぶと、チワワがこっちみた・・・・

「クゥ・・・」

・・・・チワワは一緒に行きたそうだし、ついでに散歩するのだ・・・・

「ニャー」

僕の上に乗ったリスと子ネコも一緒に、後を追う・・・・・

トタタタ・・・・・・          ガサタッ・・・                 ガャャャ・・・・・・・

・・・・ヮィヮィヮィヮィ・・・・・・・              ・・・・ザヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・

シャシャシャンシャンシャン  シャシャ  シャンシャンシャン   シャシャ

         シャンシャンシャン シャシャ   シャン   シャン       ・・・♪


風と海の音

2010年12月19日 15時45分28秒 | マーロックの雑記

                                               ヒュルルル・・・・・・

                   ザァァァ   ・・・    ン

   ―――  ・・・・

船は北へ進路を変えていて、熱帯地域よりも平均気温の低い地域へと向かっている・・・

太陽は西の空にあって、屋上通路のビーチチェアで寝てる私を、ポカポカ照らしてくれる。

早朝から行われていた飾りつけは終わったようで、今日の日没後からキラキラ光るようである。

朝から作業のため、屋上でプールを使ったり出来なかったから、作業が終わった今も、屋上にはいつもほど人がいない。

黒猫たちは、屋上を散歩しているようである・・・

            ザァァァ  ・・・・    ン

                               ザァァァ   ・・・・   ン

太陽に照らされて大気がこんなに暖かいのは、温室効果ガス…GHGがあるからである。

現在の地球の平気温度は15℃より少し低いくらいで、GHGがなければ-19℃くらいになると考えられている――月がこれに近い平均温度。

温度は、それを構成する粒子が乱雑に動く並進運動エネルギーの平均――個々の粒子は猛スピードで移動するものも、ゆっくり動いているものもある。

温かいものに冷たいものを触れさせると、温かいものの表面の粒子が冷たいものの粒子を押して、運動エネルギーが伝わる――このエネルギーの移動の事を熱と呼ぶけど、日常的には温度そのものの意味でも熱と言う。

平均エネルギーそのものを温度と呼べばいいのだけど、現在はケルビン…Kと言う温度目盛との間に換算項を置くことになっていて、その比例定数kは1.38×10-23J/Kである――分子ひとつあたりの平均運動エネルギーを定数kで割れば、ケルビン温度になる。

摂氏の温度目盛りは、ケルビンの目盛の273.16が0になっている。

水や酸素などの分子は並進運動の他に回転したり、分子を構成する原子が互いの距離を変化させることで振動する。

こうした分子にエネルギーを与えると、並進運動と回転運動と振動にそのエネルギーが振り分けられる――室温だと、原子間の振動は通常ほぼ寄与しないので、無視しても構わない。

ヘリウムやアルゴンは分子を形成しないので、並進運動しかしない。

酸素や水の分子のように3つの運動をしている場合、並進運動しかしない場合よりも温度を上げるのによりエネルギーがいる――液体の水は互いに水素結合で繋がっていて、その結合がゆれたり切れたりするので、さらに温度を上げるためのエネルギーが必要になる。

光は電磁波で、ラジオの電波やX線などと一緒。

電磁波の中で約350~780nmの波長のものを可視光と呼び、私たちの目で見ることができる――nmはナノメートルで、1nmは0.000000001m。

物質は、その電子の配置によって固有の電磁波の吸収効率を持っている。

赤い光を吸収する物体の場合、当てた光が白色光なら反射してくる光は緑色になる。

色相環を見て、ある色の直径方向に反対側にある色を補色という――色相環は画像検索すれば出てくる。

太陽光のような白色光からある色を取り除いて出来る色は、補色になる。

金属はあらゆる可視光を効率よく反射する――銅は赤い光の反射がより効率が高いため、少し赤みがかかった色に見え、鉛はX線を吸収する。

太陽の表面は約6000℃で、その放射する光の多くは可視光。

緑色の光が一番強いけど、それ以外の光も強いので全体として白く見える。

地球はその光の一部を吸収することによって、暖められている――地球は内部でも熱を発生させているけど、地球表面の温度は主に太陽の影響。

この太陽の光は、同じ6000℃の熱を持つ物となら区別が付かなくなるけど、地球はそんなに熱くないので太陽の光を使って物を見ることが出来る。

よい電磁波の吸収体は、よい発光体でもある。

太陽によって温められている地球がそれほど熱くならないのは、地球も電磁波を放射しているからである――あらゆるものが放射している。

太陽の光によって地球に運ばれたエネルギーは、最終的に宇宙に出て行く――より温度が低いから。

もし太陽から運ばれるより地球から出て行くエネルギーが少なかったら、地球は徐々に熱くなって溶けてしまう。

地球から放射されるのは赤外線…赤い光よりも大きな波長域で、人間には見ることが出来ない。

温室効果ガス…GHGと呼ばれているものは、この赤外領域に対してよい吸収体の事を指す。

簡単なイメージだと、太陽からの光は晴れていればまっすぐ地球に届く。

だけど地球が放射する赤外光は、GHGによって吸収される――赤外線にとっては、GHGは不透明なのである。

それらの気体もすぐに再放射する。

再放射された赤外光は、再び吸収されたりしながら最終的に宇宙に出て行く。

まっすぐな太陽からの光に対して、地球からの放射はジグザグしながら外に広がっていくイメージである。

こうしてGHGが地球からの放射を遅らせている間も、太陽からの放射は続くので地表の平均温度が上がる。

それによって、地表の放射エネルギーは増える。

この増加分がGHGによって生じた放射の遅れを相殺するまで…太陽からの入射と釣り合うまで、温度が上昇する事になる。

この温度上昇の事を温室効果と呼び、温室が外よりも温かい理由と同じだと思われていたためにそう呼ばれる。

実際には、本当の温室では赤外線の吸収の効果よりも、温かい温室内の空気が外部の空気と混じるのを妨げているために温かい。

このことが確かめられたのは温室効果という言葉が使われ始めた後で、そんなに昔の事ではない。

今の地球の温室効果は、主に水蒸気と二酸化炭素…CO2で支えられている。

特に水蒸気の効果は大きく、約67%を占めている。

気候が温暖になれば、主に海から水が蒸発して水蒸気はさらに増える。

しかし気温が一定であった場合蒸発できる水の量に限度…飽和量があり、蒸発した水蒸気は降雨として取り除かれ、だいたい一定の値をとる。

他のGHGはそうはならず、これらが増えて気候が温暖になると水蒸気の飽和量が増える。

つまり、水蒸気は気温によって量が増減するけど、水蒸気が先に増減することによって気候を変動させない。

その他のGHGは、その増減が先行することで気候を変動させる可能性がある。

でも地球の気候は、主に地球の軌道の変化や太陽活動の変化など、外部由来の気温変化が先行することで変化すると考えられている――少し気温が変化すると水蒸気などの量に変化が出て、さらに気温の変化が進むという正のフィードバックが働く。

けれど過去に幾度か例外的な気候変化があったと考えられていて、その極端な例として、地球が氷に包まれていたと思われる時代がある。

   トッ ・・・       トトト ・・

                                                 ヒュルルル  ・・・・

太陽から地球に届くエネルギーはおよそ342W/m2で、これは日の当たっていない場所も含めた平均――太陽光が垂直に入ってきた場合はおよそ1367W/m2で、これは太陽定数という。

地球に届く太陽エネルギーはすべてが吸収されるわけではなく、一部は直接宇宙に反射しており、この反射能のことをアルベドという。

気候変動に関する政府間パネル…IPCCによると、地球に届く太陽エネルギーを100とした場合、雲や微粒子や空気分子によって22、地表面で9を直接宇宙に反射しいる――合わせて31で、アルベドが0.31ということである。

残り69のうち大気が20、地表面が49を吸収する。

地表から顕熱として7、蒸発熱として23が大気に戻り、GHGが閉じ込めていたエネルギーから95が地表に戻る。

49-7-23+95=114で、114が地表面から放射される赤外線になる――この114…約390W/m2が、現在の平均気温。

114のうち12が、大気の窓と呼ばれる波長域の放射で直接宇宙に出る――オゾンなど、この波長域のよい吸収体が少ないため。

残り102は大気に移り、大気は20+7+23+102=152のうち95を地表に、9が大気の窓を通して宇宙へ出る。

残った48が大気から宇宙に放射される量で、大気の窓を通して出る12と9と合わせて、69が地球から宇宙に出る。

直接反射される31とあわせると、入射量の100と等しくなる。

―――地球に届く342W/m2のうち地球が吸収するのは69%なので、約236W/m2になる。

T=(W/σ)1/4で温度が求められる――Tはケルビン温度で、σは定数で5.67×10-8W/m2

(236/(5.67×10-8))1/4は約254Kで、273を引くと-19℃。

温室効果を入れると約390W/m2で、(390/5.67/10-8)1/4は約288K。

273を引くと15℃で、もう少し正確には14.8℃―――

                                                 ヒュルル  ―――

GHGが極端に多い場合、金星みたいになる。

金星は地球よりも太陽に近く、入射量が191になる――地球を100として。

金星のアルベドは0.78なので、191×(1-0.78)=42.02で、吸収されるのは42で地球よりも低い。

それでも90気圧の大気のほとんどがCO2なので温室効果が強く、金星の平均温度は400℃にもなる。

太陽系が誕生した46億年前には、太陽の出すエネルギーは現在の72%程度だったと考えられている。

今の地球の大気組成だと寒すぎるけど、その頃の地球のCO2濃度は、現在の大気圧としての濃度で少なくとも400倍近かったと大雑把に計算されている――これは液体の水を維持できるとしての計算で、それより高い予想もある。

地球の生命にとって液体の水が重要なので、その後も、変動はあっても大部分の期間は水が液体でいられる温度…0~40℃を保っていたと思われる。

これは、太陽活動が億年単位で徐々に強くなるにしたがって、主に海によるCO2の吸収で釣り合っていたためと推定される。

水によるCO2の吸収は水温が低いほど多く、水温が一定なら、大気中のCO2が多いほどよく溶ける。

人の産業活動が活発になるにつれて海に溶け込むCO2の量が増えていて、海の酸性化が進んで海洋生物に影響を与えている。

海に溶けたCO2は水深600mあたりから60気圧の水圧で液化し、2400m位から安定して沈み始め、3500m辺りでは海水より重く、浮かび上がってくる可能性は低くなる。

以前、水深1380mの海底、300℃の熱水が噴出する場所のすぐ近くでCO2のプールが見つかった。

CO2と微量のメタンが液体の状態で満たされており、個体の硫黄が蓋をしていて、その中には硫黄やメタンをエサにしてCO2を分解する微生物が住んでた――そこで人為的にこの様なプールを作ってCO2を埋め立てる研究も行われている。

そして原始の地球に海が出来ると、岩石の浸食によってイオン化したカルシウムやマグネシウムが大量に海へ供給される。

CO2はこれらの金属イオンと結合して炭酸塩の岩石…カーボネートを生成し、それは海底に堆積する。

そのほとんどは方解石…炭酸カルシウムを成分とする炭酸塩鉱物で、海に溶け込んでいるCO2とカルシウムから形成されるので、CO2貯蔵庫として働く――方解石は石灰岩の主成分鉱物で、鉱石として扱われる場合は石灰石と呼ばれる。

貝殻もそうで、貝は同時に取り込む不純物よって着色される――主に鉄イオン。

原始地球の大気にあった大量のCO2は、このような炭酸塩の岩石として私たちの足の下にある。

金星ではこのような沈積が起こっておらず、火星ではそれが起こっていても不十分で大気に残っている。

計算では、地球の炭酸塩鉱物の質量と大気と海中にあるCO2の合計は、今の金星にあるCO2の質量とほぼ同じである。

地球の軌道が今より太陽に1000万km近かったら地表面の温度が高すぎて海が出来ずに、金星のような星になっていたと考えられている。

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                                         ザァァ   ・・・・・    ン

植物は光合成によってCO2を吸収して酸素を放出する――水を太陽光で水素と酸素に分解し、水素とCO2を結合させて酸素は捨てる。

植物が死んで微生物による分解が始まると、その植物が一生をかけて放出したのと同じ量の酸素を消費し、CO2は大気に戻っていく――植物が呼吸したりその植物を食べる動物が呼吸したり、死んで分解されても同じ。

しかしすべてが分解されるわけではなく、いくらかは堆積していく。

それらの堆積物…化石燃料があるおかげで、大気中に酸素がある。

酸素自体は地球の半分近くを占める地球で最も多い元素だけど、大気や海中に遊離酸素…O2があるのは化石燃料があるから。

大気中の酸素濃度の変化は測定が難しいけど、現在のCO2濃度の増加によって予想される酸素濃度の低下は、確認されている。

したがって化石燃料を燃やし尽くすと私たちが呼吸する酸素がなくなるけど、現時点でその心配はまったくない――大量の炭素が埋まっている。

熱帯雨林は堆積物の分解が速いので、大気中に大量のCO2が戻っていく。

気候の温暖化が進むと、熱帯地域以外の森林でも堆積物の分解が速くなると思われる。

そうなると、地球全体の森林によるCO2の吸収と放出のバランスがより0に近づく。

人間が化石燃料を燃やすことで放出したCO2の半分は、海と森林が吸収していると思われる。

気候の温暖化によって堆積物の分解が速まると、この効果が薄れて正のフィードバックとして働く――地球の軌道変化や太陽活動によって、僅かに気温が上昇しても同様の影響を与えると思われる。

フィードバックは、結果が原因に戻ってくるようなシステム――結果が原因を促進する場合は正のフィードバック、逆を負のフィードバックという。

気候は、フィードバックによって大きく変動する。

例えば大気のCO2濃度が上がると、その肥料効果で植物の光合成速度が上がる。

するとCO2濃度が下がるので、気温が下がる。

気温が下がると植物の活動は弱まり、CO2濃度の減少も緩やかになる――これは負のフィードバック。

負のフィードバックは原因の増加が結果にブレーキをかけ、原因が低下すると結果は加速されるので、うまく働けば結果を一定に保つ。

地球の気候は、様々な正負のフィードバックが影響しあって複雑に変化する。

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                                     ザァァァ   ・・・・   ン

地球全体が氷に包まれた状態を、全地球凍結とかスノーボールアースという――これは主流の考え方だけど、全地球ではなく、一部は凍らなかったとする意見もある。

全地球凍結は24億年前と7億年前に起きたと考えられていて、ここでは7億年前の方を考える。

地球が凍り始める前、今から10億年ほど前に、ほとんどの陸地は1ヶ所に集まって巨大な一つの大陸を形成していたと考えられている。

地球の陸地はプレートの運動に伴って移動しており、過去に何度も陸が一つに集まった超大陸を形成したと考えられている――2億年後にも超大陸を形成すると予想される。

10億年前に形成された超大陸は、ロディニアと呼ばれる。

このころ陸地の総面積が大幅に増えたと思われ、それによる岩石の浸食の増加によって、イオン化したカルシウムやマグネシウムが大量に海へ供給された。

それによるカーボネートの生成で、大気中のCO2が急速に減少しはじめる。

ロディニアは赤道付近にあった。

陸地は海よりもアルベドが高く、赤道近くにあればそれだけ効率的に太陽エネルギーの吸収を妨げる。

高緯度に陸地があった場合、高緯度であるため地表が氷に覆われ、氷床はアルベドが高いのでエネルギーの吸収を妨げる。

でも、凍結しているため岩石の浸食による金属イオンの海への供給が減少し、CO2の海への吸収が抑制されるため負のフィードバックとして働く。

この頃の太陽は、現在の90%程度の照射量だった。

太陽照射が今より弱かったこと、陸地面積の増大と赤道への集中によるアルベドの上昇という、寒冷化しやすい条件がそろっていた。

そしてロディニアは分裂を始める。

それによって太平洋が出来て浅海域が拡大し、当時の光合成生物であるストロマトライトが大量発生した――ストロマトライトはシアノバクテリア…藍藻類が浅海に進出したことで、その死骸と泥粒などによって作られる、層状の構造をもつ石。

彼らの光合成により酸素が大気へ沢山供給され、同時期に地殻運動が活発化して土砂が大量に海へ流入し、その死骸を埋没させた。

そのせいで、生物が死んだ後の分解による炭素の大気への循環が抑制され、大気のCO2濃度は極端に減っていく。

CO2濃度が十数%から0.01%程まで下がったと推定されている――現在は0.038%程度。

温室効果が弱まったことで地球全体の寒冷化が始まり、極地から次第に氷床が発達していく。

氷床はアルベドが高いため一層の寒冷化を招き、それによってさらに氷床が拡大していく――この正のフィードバックは強く、負のフィードバックで止まることはなかった。

寒冷化は加速しながら進行し、約3000mにも及ぶ氷床が赤道まで全地球を覆ったと思われる。

このような状態の地球は極めて高いアルベドを持つため温まることはなく、この状態が1億年近く続いたと考えられている。

                           ヒュルルル  ・・・・・・

                                                 ・・・・・   ―――

この破滅的な気候変化は、生命の存亡にかかわる危機となる。

けど、水は3.98℃で密度が最大になるという、一般的な物質とは違う性質を持っている――チタンやケイ素も、固体になると密度が下がる。

3.98℃から温度が下がって0℃に近づくと密度がだんだん小さくなり、0℃以下で固体の氷になると、密度は一段と小さくなる。

これは、氷がダイヤモンドのような形の結晶構造をつくるため、液体の水よりもかえって分子間のすき間が大きくなるためである。

水が通常の物質のように固体の密度が大きく固体が液体に沈むとすると、凍った水から海の底に沈んでしまい、次の水面がまた凍って沈む。

これが繰り返されれば、海は完全に凍ってしまう。

けど実際は、水の密度が一番大きいのは3.98℃であるため、冷却の過程で3.98℃になった水が底に沈む。

このため氷結中の表面と底の間は密度の差が出来て、水温は0~3.98℃となる――逆列成層という。

それで、深海底は凍結せずに液体の水が残る。

凍結中も火山活動は起きており、海底火山の熱や、やはり凍結していなかったと思われる地中深部で生命は生き延びたと考えられる。

そして火山活動は、CO2を大気に供給する。

液体の海があった場合、CO2を吸収するため濃度の増加を邪魔するけど、海は凍結していたためCO2の吸収は起きなかった。

また、地表が凍結しているため侵食が起きず、金属イオンの供給も止まっていたから、カーボネートの生成による海底へのCO2の堆積も起こらなかった。

つまりCO2濃度の上昇を抑制する負のフィードバックがほとんど働かなかったので、大気中のCO2濃度が高まっていった。

CO2濃度が0.1%程度に達した頃、気温の上昇によって氷床が融解しだす。

氷が溶けるとアルベドの低い地面や海が露出し、熱の吸収が高まる。

地表面部分がわずかに暖まると雪氷面の融解が進み、更に地表面が増えるのでより多くの氷を溶かすという正のフィードバックが起きる――氷-アルベドフィードバックと言い、このフィードバックは現在進行していると思われ、赤道付近で1℃気温が上昇すると、極地付近では3℃以上気温が上昇することになると予想される。

融解開始から、早ければ数百年で極地以外の氷床が消滅したと推定されていて、これは非常に急激な温暖化だった。

凍りはじめに0.01%まで下がったCO2濃度は約10%まで上昇し、平均気温は約40℃まで上昇したと考えられている。

そして温暖化した気候の影響により、大規模な嵐や台風が頻発し、岩石の侵食が促進されて大量の金属イオンが海に供給される。

大気中のCO2は海中に溶け込み、一部は金属イオンと結合して大量のカーボネートを海底に沈殿させる――氷河堆積物から確認されている。

そして海の沈殿物が嵐により海の表層部に舞い上り、大量の沈殿物が光合成生物に利用されて光合成を激しく促し、物凄い速度で大量の遊離酸素が蓄積していく。

そして一部の生物が海中の高濃度の余剰酸素を利用し、コラーゲンを産生することに成功し、大型の多細胞生物が出現するようになる。

このエディアカラ紀…6.2~5.5億年前には、エディアカラ生物群と呼ばれる大型生物が出現し、次のカンブリア紀…5.4~5億年前には多様な生物群が生まれる――カンブリア爆発と呼ばれている。

ただ、DNAの突然変異がこの時期に特別多く発生したわけではなく、それまでに起きていた突然変異が組み合わさって作用するという複雑さを得ることで、一気に多様な生物群を進化させたと思われる。

カンブリア紀の地球はほとんど海に覆われており、極地にも氷河はなかったと推定されている。

氷河期ではない時期で、現在のように極地に氷河がある時期を氷河期と言う――氷河期の中でも特に寒い時期を氷期と呼び、現在はそうではない間氷期。

全地球凍結という破滅的な環境の変化が、逆に生命に多様性を与えるきっかけになった――他にも隕石の衝突などの大規模な大量絶滅が、多様な生命を進化させるきっかけになったと思われる。

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               ――  ・・・・

―――今は温暖化しているけど、もう少し長い時間で見れば、地球が寒冷化することもあるだろう。

そして、太陽は徐々に熱くなってくるので、10億年後には海が蒸発すると思われる。

その頃まで今の人類がいるかどうか分からないけど、一応人間は、文明がいつまでも続くように頑張るだろう。

全地球凍結のような例外もあるけど、多くの場合、地球の軌道の変化や太陽の活動の変化などによって、気候変化のフィードバックが始まると考えられている。

そういう気候変化に対して人類が上手くやっていくには、平均気温をあるレベルに保てる程度には気候の操作が必要になる――10億年もあれば、別の場所に住むなどの方法を取るかもしれないけど。

前世紀の100年で地球の平均気温は0.74℃上昇したけど、今から70年前から40年前までの30年間で、0.4℃も平均気温が下がる寒冷化が起きた――当時は地球寒冷化ということで騒がれたらしい。

これは、この期間の間に数百回の大気圏核実験が行われ、その影響で成層圏に窒素酸化物が舞い上がり、太陽からの入射量を減衰させたためだと考えられる――火山の噴火が多かったのも、影響したかもしれない。

だけど、48年前の部分的核実験禁止条約の発効によって、大気圏内と宇宙空間及び水中での核実験は、禁止となる――核兵器による気候の寒冷化は、隕石の衝突による地球寒冷化を指す衝突の冬から、核の冬という言葉を生み、科学者が警鐘を鳴らすことになった。

それで、その後は再び温暖化が始まる――ちなみに火山の大噴火は、舞い上がった灰によって一時的に寒冷化の効果があるけど、より長期的にはCO2を出すことによって温暖化の効果がある。

地球の平均気温を一定レベルに保つための気候操作として、微粒子を撒き散らして入射量を減らしたり、温室効果ガスを大量に放出して温室効果を上げたりすることが考えられる。

この研究も行われているけど、これは失敗するとかなり危険である。

より根本的には、宇宙に鏡などを浮かべるのが一番だろう。

地球と太陽の間で、相対的に位置を変えずに回り続けられる場所がある――ラグランジュポイントといい、別の場所を入れると5つあり、地球と月などのような、他の天体同士でもある。

そこに鏡を置いて、入射量を増やしたり減らしたりする。

海が蒸発するようなレベルの太陽活動になっても、対応できるだろう。

どのような方法であっても、過去の気候変化の知識はとても重要になる――現在の温暖化の研究自体もそうである。

また、火星を地球のような環境にしようと言うテラフォーミングの研究も行われていて、その試みも多くの知見を与えてくれるだろう――特に、微粒子や温室効果ガスを大気中に撒く場合などは。

過去の気候の変化の研究は、現在の温暖化の対応にも重要である。

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                                                        ・・・・・・

ずっと昔の気候を調べる方法として、その当時の地層中に保存されている、動物と植物とその花粉などの化石を調べるやりかたがある。

昔いた動植物が暖かい所に住んでいるはずのものだったり、寒い場所に生息するはずのものだったりする事で、ある程度推察できる。

より古い時代の気候は、酸素安定同位体比によって調べる事が出来る。

同位体とは同じ元素の中で、中性子の数が違うだけの元素。

元素の化学的な性質は、電子の配置によって決まる。

それで、電荷を持たない中性子が増えても電子の数に変化がなくて、重さが違うけど化学的な性質はほぼ変わらない――陽子は+の電荷を持っており、同じ数だけ-の電荷をもつ電子を持つことで、電気的に中性になる。

安定同位体は、同位体の中で放射性を持たない長期間安定しているものである。

酸素…Oには安定して存在できる同位体が3つあり、一番多いのは陽子8個と中性子8個の16Oで、天然の存在比は99.763%である――左上の16は原子量で、電子は軽いので無視して、中性子と陽子の数になる。

他は、中性子がそれぞれ1個と2個多い、17Oが0.037%で、18Oが0.200%である。

この内17Oは存在比がとても少ないので無視して、16Oと18Oの比率だけに注目する――16Oは軽い酸素、18Oは重い酸素という事である。

水…H2Oは水素…Hが2個とOが1個で出来ているので、重い18Oでできた水と、軽い16Oでできた水がある。

水が蒸発するときには、重い水よりも軽い水の方が蒸発しやすい。

それで、海には重い18Oで出来た水が比較的多めに残ることになるけど、海から蒸発した水は雨となって海や陸地へ降る。

陸の上に降った雨が海に戻れば、最終的に海の酸素と水素の同位体組成に変化はない――水素にも安定同位体があり、同じ方法で調べられる。

でも地球上の気候が寒冷化してくると、極地域など寒冷な所では雨や雪は氷床として陸の上に残る。

これが繰り返されると、海の水は徐々に18Oの比率が高まる。

この16Oと18Oの比率を調べることで、過去の気候を間接的に調べることができる。

この比率は16Oに対する18Oの割合で表され、標準平均海水…SMOWが標準試料として一般的に用いられる――SMOWは現在の平均的な海水の値を標準としたもので、18O/16O=2.005×10-3

昔の酸素安定同位体比を調べるには、海に住んでいる、有孔虫という炭酸カルシウムの殻でできた微生物を分析する――主に1mm以下の小さな生き物で、サンゴ礁の形成にも関わっている。

有孔虫が炭酸カルシウムの殻を作るとき、海の酸素を使う――このとき、16Oと18Oのどちらも使う。

なので、気候が寒冷化して海に18Oが多いときには、その時期に生きていた有孔虫の殻には18Oが多くなる。

ということで、地層中に残っている有孔虫化石の殻にある酸素を調べることによって、過去の気候変化を間接的に調べることが出来る――炭酸カルシウムでできた鉱物を調べることでも、同じ様に調べれる。

                                ヒュルル  ・・・・

                                                   ・・・・・・・

他にも調べる方法はあって、そうして調べられた過去の大雑把な気候変化として、4回の氷河期が推定されている。

氷河期という言葉は氷床がある時期を意味するので、南極やグリーンランドに氷床がある現在も氷河期である。

氷河期の中でも寒い時期は氷期、それより比較的暖かい時期が間氷期と呼ばれる――約1万年前に氷期が終わっていて、現在は間氷期。

現在の氷河期は4500万年前に始まっており、過去数百万年では、氷期と間氷期が4~10万年の周期で訪れている。

その前、古生代の3.5億~2.5億年前と、同じく古生代の4.6億~4.3億年前にも氷河期があった。

それに、原生代末期の全地球凍結がある。

この4回の前、27億~23億年前の原生代初期に、最も古い氷河期があったのではないかと考えられている。

この頃、二酸化炭素…CO2と水を使って炭水化物を作る、現在と同じタイプの光合成生物が現れる――廃棄物として、当時の生物には毒となる酸素を出す。

また、地球の磁場が強くなって太陽からやってくる太陽風…主に陽子と電子が、地磁気に遮られるようになる――生物にとっては盾になる。

これによって海面への生物の進出が始まり、ストロマトライトが沢山できた――生物が集めた炭素は、土砂に埋まるとかで完全には大気に還元されないので、温室効果を持つCO2が減る。

そしてこの時期に、大陸が赤道付近に集まっていたと推察されている――海より陸の方が太陽光を反射するので、赤道に大陸があると太陽からのエネルギーの吸収が弱まる。

全地球凍結の証拠としては、南極以外の世界各地でこの時代の氷河堆積物が見つかっていて、その中には古地磁気分析で当時赤道周辺であったと推定される場所も含まれてる。

そして、そのすぐ上に厚い炭酸塩岩層…キャップカーボネートが良く見つかる――この大陸の南部では、カーボネートが非常に急速に沈殿したことが分かっている。

これは、寒冷化の終結と同時にCO2の固定化…カーボネートの沈殿が開始したことを意味する――氷が融けて、大陸の侵食が始まるので。

また、氷河堆積物中から縞状鉄鉱床も見つかっている。

縞状鉄鉱床は、約22億年前の無酸素状態の海中に溶解していた鉄イオンが、その頃現れた酸素を出す光合成生物による遊離酸素と反応し、酸化鉄となって大量に沈殿した鉄鉱床である。

この鉱床の形成は、酸素が十分に増えた約19億年前まで続く――現在私たちが利用している鉄は、多くがこの時期に出来たものである。

これによって黒かった海が、青くなったと思われる。

この縞状鉄鉱床が、世界各国の7億年前の氷河堆積物中からも見つかっている。

これは、当時の海が厚い氷床に覆われて大気と分断された為に、大気とのガス交換が遮断された事を示唆している。

そのせいで光合成生物の活動が低下した結果、海水の酸素が減って、20億年前と同じような貧酸素環境になる。

それで海には鉄イオンやマンガンイオンが蓄積され、全地球凍結が終わって酸素が供給され始めると、これが鉄鉱床の形成をもたらしたと考えられるのである。

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                                        ザザァァァ  ・・・・・    ン

現在の温暖化は、CO2やメタンの大気中濃度の上昇が主な原因となっているけど、似たような例が過去の温暖化にも見られる。

約2.5億年前の古生代ペルム紀の終わり頃、大陸の移動によってパンゲアという超大陸が出現する――パンゲアはすべての陸地という意味。

パンゲアは現在の6つの大陸が形成される前の最後の超大陸で、この頃火成活動が激化し、環境が激変したと考えられている――火成活動とはマグマの発生や移動を伴う現象全般のことで、火山活動は火成活動の一部である。

この影響で、シベリアにはシベリア洪水玄武岩と呼ばれる火山岩が広い範囲に残されており、これが当時の火山活動の痕跡と考えられている。

火山活動で発生した大量のCO2は気温の上昇を引き起こし、これによって深海のメタンハイドレートが大量に融解し、さらに温暖化に拍車をかけたと考えられる――メタンと酸素が化学反応を起こすと、CO2と水になる。

大気中に放出されたメタンと酸素の化学反応で、陸上から深海底まで酸素濃度が著しく低下し、酸欠状態になる。

このため生命は、大量絶滅を経験する――大絶滅の原因としては、隕石の衝突なども調べられている。

種の95%前後が絶滅するすさまじいもので、この時期が古生代最後のペルム紀なので、次の中生代最初の三畳紀…Triassicとの頭文字を取って、P-T境界と呼ばれる。

そしてパンゲアは、三畳紀の1.8億年前頃から、ローラシア大陸とゴンドワナ大陸に分裂を始めたと推定されている。

大陸は長い時間をかけて分裂していき、 恐竜が絶滅したK-T境界の少し前から、ヒマラヤ山脈が出来始める――この山脈が生まれたことで海流が変化し、気候に大きな影響を与える。

新生代…6500万年前~現代になって、現在のような大陸の配置に近づく。

この時期地球は暖かく、5500万年前にすさまじい温暖化が起きた――この時期は暁新世と始新世の間なので、暁新世/始新世境界温暖極大…PETMと呼ばれる。

大山脈が形成される過程では火成活動が活発で、他のプレートの活動にも影響を与えたと思われる。

この活発なプレートの運動で、海底のメタンハイドレートが気化する――メタンは大気中でCO2へと変化するし、水中でも生物の影響でCO2になる。

気候変動に関する政府間パネル…IPCCによれば、メタンの大気中での滞留期間は約12年で、気候変化のスケールで見ればあっという間だといえる。

けど、この時はメタンの供給量が多すぎて化学反応が追いつかず、大量のメタンが大気中に留まったという説もある。

メタンはCO2の21倍くらいの温室効果を持っているので、どちらにせよ激しい温暖化が起きる。

数千年で5℃近く平均気温が上がったと見積もられていて、これは氷期のサイクルが数万年に2~4℃の気温変化であることを考えると、非常なスピードであることが分かる。

PETMでは大気中の温室効果ガス濃度の増加が急激であったので、現在の気候変動とよく似ていると考えられている。

この急激な温暖化は、250万年ほどの間に5回あった可能性がある。

後の4回は最初ほどの規模ではなかったようで、メタンハイドレートが枯渇するにつれて、温室効果ガスの放出も少なくなったと考えられる。

そして約4500万年前から、気温が下がっていく―――

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                                                      ――  ・・・

CO2の濃度の上昇は、別の影響もある。

450ppm程度を境目に、C4植物の成長力が高まる。

私たちの周りにある植物はほとんどC3植物で、これは900ppm程度まで光合成速度が増加する性質を持っている。

C4植物は、CO2濃度の低い大気条件に適応していて、高温で乾燥した気候でも高い光合成能力を発揮する。

そのため、草原にはC4植物が多く分布していると考えられている。

光合成生物が光合成で生み出す有機物の事を、純一次生産という――生態系を支えている。

草原はその気候の割りに、純一次生産量が多い。

C4植物のおかげと考えられている――作物としては、トウモロコシやサトウキビがある。

ほかに、高温で乾燥する地域に適応したCAM植物もある――CAM植物の作物としては、パイナップルやウチワサボテンがある。

CO2濃度が450ppm以下だと、C4植物の光合成速度の方がC3植物を上回っている。

このまま濃度が上昇して450ppmを超えれば、C4植物の優位性は失われる。

C4植物の減少は、畜産に影響を及ぼすと思われる。

C3植物の活性化によって炭水化物の生産量が増え、相対的にタンパク質の含有量が減るため、飼料の栄養価が低下する。

同様に、草原の家畜飼養能力も低下する――なお地球の温暖化は、家畜の熱中症のリスクを高めるため、畜産に影響を与えると思われる。

またほとんどの耕地において、C4雑草の競争力が低下しC3雑草は生長が早まる。

特にトウモロコシなどのC4作物では、C3雑草の競合によって雑草防除の手間は大変なものになると予想される。

CO2濃度の上昇による地球の純一次生産への影響は、当面はプラスに働くと思われる――660ppm程度を想定した実験では作物の収穫量も増えた。

ただ、肥料や水分が十分にある場合で、水不足とリン肥料の不足が予想される。

また、気候の変化や降雨量の変化、生態系の変化に伴って、新たな防除法の開発が必要になると思われる。

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                                                      ―― ザザァァ   ン

全地球凍結では、始まる時も終わるときも外部由来…太陽活動や地球軌道の温度変化によらない、CO2濃度の変化が先行する形で気候変化が起きたと思われる。

現在も、CO2濃度の変化が先行する形で気候温暖化が起きていると考えられている。

フィードバックの影響は時間差があるため、すでに今後しばらくの温暖化は避けられないと思われる。

気候の温暖化は人間にとって、多くの事柄でメリットをデメリットが上回ると予想されていて、なるべくその規模を小さく、変化の勢いを弱めたほうがいいと思われている。

そのためには、文明の効率を上げる必要がある――伝統的な、牧歌的な生活と言うのは効率が非常に悪く、現在の人口でそれを行えば、人にとって環境は最悪の状態になるだろう。

これは温暖化だけではなく、世界人口の増加に対する対策にもなる――深刻さの度合いはこっちの方が高い。

たとえばガソリンは、100のエネルギーを生産するのに119のエネルギーを消費しており、ガソリンエンジンはその2~3割程度しか利用できない。

もっとエネルギーを効率よく使うために、当面は人工光合成を効率よく行なうための研究が期待される――これは太陽光で水を酸素と水素に分解するだけのもので、植物のように有機物まで合成する人工光合成も研究されている。

                ザァァァ  ・・・・    ン

                                       ザザァァァ   ・・・・   ン

          ト ト ・・・

・・・気配を感じて見ると、隣のビーチチェアに黒猫とチワワとリスがいる。

散歩は終わったのかな。

    トン   トン

                タ タ タ ・・・

リスが、仰向けに寝てる私のお腹の上に来た。

「キキ」

私の来ている服の生地を、さわってる・・・・・

            ザァァァ  ・・・・   ン

                               ザザザァァァ   ・・・・   ン

                                                   ヒュルルル   ・・・・・・・