提案

2015年02月27日 14時16分07秒 | 黒猫のひとりごと

                                          ボォォォォ   ・・・・・・・・

                           ・・・  ァァァァ  ――

船が鳴いた・・・

港にいたけど、さっき動き出した。

「ニャー」

返事する。

                ―――   ァァァァ   ・・・・・

ミニ滝の音がする。

僕は、下の森にいる。

雨の日は、この滝の勢いはすごい。

今日はそうでもない。

晴れているからである。

「クゥ」

チワワは、すこしシッポをゆらしてミニ滝をみている。

「ピィ♪」

メジロもいる。

下の森の下には、斧さんの仕事場がある。

メジロ達のごはんとか、掃除道具とかがあるのだ。

男たちがそこにいる。

いろいろ買っていたものを、置いているのだ。

「ニャー」

行こう。

「クゥ」

様子をみるために、僕は階段に向かう。

床には石。

大きなのもあるし、小さいのもいる。

どれも大きさは違う気がする。

道は分かれていなくて、階段まで続いてる。

            ――

                           ト  ・・・

階段を下りる僕の影がたくさん。

でも、いなくなる。

下からの光が強いから、僕の影は後ろだけになるのだ。

         ――

メジロも来るけど、飛んでない。

跳ねて付いてくる。

メジロはでも、その気になれば飛んで移動できるのだ。

折りたたみ傘に頼んだら、また飛んでくれるかな。

            ――   ・・・

                          ♪ ♪  ・・・

声がする。

ノロマさんやエレガントさんもいるのである。

ものを整理してるみたい。

少しあいたドアの隙間から、中にはいる。

              ――  ♪ ♪

                                    ォォォォォ   ・・・・・

部屋の中は温かい。

斧さんがいる。

「ニャー」

「・・・」

僕が鳴いたから、こっち見た。

大きなリュックの中に入れるものを、考えている様である。

本棚がある。

いろいろ本がある。

男がそれを眺めてる。

「これは最初からあったの?」

「ァゥ」

ひとつ取った。

大きな本である。

              ――  ・・・

イスに座って、男はテーブルに本を置いた。

「キキ」

          ――

僕はテーブルにのる。

                 ・・・・

ちゃんと読んでない。

パラパラめくってる。

「ニャー」

果物の写真とかがのってる本を読んだら。

「・・・・」

返事しない。

僕の提案は、悪くないと思う。

リスが、ノッポさんに跳び乗った。

ノッポさんのカバンは、あまり大きくない。

僕は本に背を向けているけど、そっとシッポをのせる。

          パサ

僕のシッポをすり抜ける様に、ページはめくられた。

でも、シッポはどけない。

横目で見ると、男は僕のシッポがのったの方とは反対側を手で押さえている。

そうしないと、本が閉じてしまうからである。

僕のシッポがあっち側にのっていればと、男は思っているかもしれない。

だけど、シッポはうごかさない。

男が指で僕のシッポを弾いたとしても、またのせるつもりである。

「・・・」

だけど男は、僕のシッポを弾かない。

パタパタさせたりもしないのだ・・・

               ♪  ♪  ・・・・

       ピィ ♪

                                     ・・・・   ォォォォォォ


街の中

2015年02月25日 13時34分45秒 | マーロックの日記

                                               ――  ・・・・・

                       ガャガャ    ――  ・・・・

        ♪ ♪ ・・・

いろんなものが売ってる・・・

「ニャー」

黒猫が付いてくる。

補給のために船は港に寄っていて、私たちはみんなで下船して買い物。

この次の寄港地でキャンピングカーを借りて、北極圏に行くことになった。

それで、必要なものを買う。

船の中でもいろいろ売っているけど、せっかくなのでこの街も見てみる。

エレガントさんやノロマさんは、雑貨をみてる。

ものすごく広いショッピングモールで、何でもある。

この港町は海峡の途中の島で、この国の首都。

朝からにぎやかな街で、通りに並ぶ家もカラフルなのが多い。

船でも買う予定だけど、マッチョさんの提案で、万が一に備えていろいろ揃えておく。

ここの所、寄港した街で遠出すると、事件に巻き込まれる。

こんどはそんな心配はないと思うけど、北極圏に行くし、しっかり準備しておくことになった。

マッチョさんは、合衆国の知人に新しいヘルメットを送ってくれるように頼んでいた様。

それが、この港に届く予定。

超高分子量ポリエチレンと呼ばれるプラスチックでできていて、軽いけど丈夫。

私やシャープさんが持っている腕ライトの巻き取り糸も、この素材でできている。

この新しいヘルメットは、ライフルの弾も防げるらしい。

「いた――」

「・・・・」

後ろからウェーブさんの声。

雑貨をみていたエレガントさん達が、追ってきた。

何か買ったのかな。

ネコカートを押す斧さんと、ガードさんも一緒。

この辺りに、アウトドアに使うものが置いてある。

スノーシューも買う。

       ♪  ♪

                     ・・・・

ノロマさん達は、携帯用の調理器具などをみている。

チーフさんだけ、バックパックを見てる。

「・・・」

おや。

斧さんが、ライトをみてる。

       トコ

近づく。

新しいヘッドライトだ。

センサーが付いていて、対象との距離で照射する光を自動で切り替えてくれる。

「買ったら」

「ァゥ」

買う様。

「ニャー」

          ♪   ♪

                     ――   ・・・

ウェーブさんやエレガントさん達の方は、にぎやか。

どれにするか相談している様。

機能で悩んでいるのかな。

見た目かな。

同じ機能なら、見た目が好みの方がいいと言うのは、よくわかる。

私たち人間は、桿体細胞と錐体細胞でものを見る。

色を識別するのは錐体の方で、3種類ある。

人によっては、3種類の感度のバランスが平均的な人と違う場合がある。

そのような人は、平均的な人が見分けられるある種の色を、区別するのが困難になる――少ないけど、錐体を持たない人もいる。

鳥などは4種類あって、私たちよりも識別する能力が高い――5種類のもいるらしい。

そして、人にも4種類の錐体を持つ人がいる。

少なくとも女性の15%が、そのような遺伝子変異を持っている様――割合は専門家によって意見が違う。

4種類の人は、3種類で見る人が同じ色にみえるものを、区別しているだろう。

                 ♪  ♪

                          ――

      トコ  ・・・

マッチョさんが、折り畳みのグリルをみてる。

電気で焼くタイプ。

車輪も付いていて、運ぶのも楽そう。

「・・・・」

私は、斧さんのカバンに入るバッテリーを探そう。

ミニ湯たんぽも。

マッチョさんやチーフさんは、お昼には船に戻らないといけない。

「・・・」

黒猫も、棚をみてる。

なにかほしいのかな・・・

        ♪ ♪  ――

                          ザヮザヮ  ・・・

                                            ―――   ・・・・・


半分

2015年02月23日 14時00分33秒 | 黒猫のひとりごと

                                   ―――  ・・・・・

                     ♪ ♪

         ――

目をあける・・・

子ネコのシッポがうごいて、僕の耳にあたったから。

2つ先のイスに、男が座っている。

映画館にいる。

イスはたくさんあるけど、あんまり人はいない。

僕らのいる列には、男だけ。

途中ニャッティラは、イスの下で丸まってる。

子ネコはしばらくスクリーンをみていたけど、ネコも出てこないし寝てる。

1つ先のイスには、本が置いてある。

映画館は暗いけど、スクリーンが光ってる。

「・・・」

男はずっと、スクリーンをみている。

たまに動くから、石像ネコのマネではないのだ。

僕はシッポをくねくねさせる。

すると、男がチラッとこっちみた。

      ――

子ネコのシッポをまくらにして、横になる。

                スル

シッポはすり抜けた。

僕の目の前で、子ネコのシッポは動いてる。

僕は目でそれを追う。

              パシ

前足でつかもうとしたけど、外れた。

         グィ

すると、子ネコが浮いた。

男が持ち上げたのだ。

「・・・」

まぶたが半分の子ネコが、僕とは反対側のイスに去った。

      ゴロ

広くなったイスの上に、僕は横になる。

映画の音がする。

あまり大きな音はしない。

目をとじる。

音をきくことにした・・・

            ――  ♪ ♪

                              ・・・・・・

                                                 ――  ・・・


白い袋

2015年02月21日 23時57分47秒 | マーロックの日記

                                                ォォォォ  ・・・・

                            ギィィィ  ・・・

    ヒュ

光が反射する・・・

メガネさん達の大学で作ってもらった、あたらしい杖を振っていた。

楕円のまっすぐな杖。

長さは115cm。

強度が高く靱性にも優れた、最新のチタン合金でできている。

持つ所以外は、DLCコーティングしてもらっている。

コーティングされていないところの方が熱伝導率が低く、持った時のひんやりした感じはほぼない。

手にもよく馴染んで、滑る感じもない。

光沢のない黒で、コーティングの境目も違和感がないように、上手に作ってくれた。

「・・・」

船底の倉庫は天井が高くて、素振りするのにいい。

窓をみるために積んだ荷物の上に、黒猫がいる。

シッポを少し浮かせて、下にいる私をみてる。

子ネコもいるけど、たぶん寝てる。

               ヒュ

もう少し、素振りする。

                     ――

                                         ギィィ   ・・・・

私は4歳から15歳まで、山の田舎に住んでいた。

人口は500人くらいだった様――今は300人くらいらしい。

山に囲まれたくぼみの部分で、真ん中に川が流れている。

その川沿いに道路があって、6km位で海に出る。

その上流の方に、刀匠がいた。

包丁を作っている所は、見たことがある――たぶん包丁だったと思う。

手には、火傷の跡がたくさんあった。

たまにそばを通ると、塀の上に刀身だけの包丁がよく干してあった。

落ちてきたら危ないなと思ったけど、落ちてきたことはない。

私の家も、近くにあった本家も、包丁はそこで作ってもらったものを使っていた様。

現在は、外国から来た観光客に売れているらしい。

糸切りはさみも作っていた様で、子供の頃「よく切れる」と母が使っていた。

本家には、刀身だけの刀がたくさんあった。

今の刀匠さんのものか、もっと前のものかは知らない。

             ―――

「・・・・」

黒猫をみると、あくびしてる。

       ・・・

白い大きな袋にすわる。

本も持って来ている。

でも、少し杖をみていよう。

倉庫は広いから、ややオレンジ色のひかりはぼんやり届く。

金属にそれがあたると、きれい。

コーティングしてある部分の質感も、いい。

黒猫が爪とぎしても、大丈夫。

柄頭も、コーティングされている。

なめらかに、切っ先は細くなる。

           ――

白い袋は大きいから、仰向けに倒れる。

光の影にすると、また少し違ってみえる。

うごかしてみる・・・

               ミャ~

                                  ィィィ  ――

                                                   ――  ォォォォ


風か海か

2015年02月20日 14時10分47秒 | 黒猫のひとりごと

                                            ォォォォォ    ・・・・・・

                       ――  ・・・・

      ♪ ♪  ――

もう、通りに人は少ない・・・

キラキラは、それでも消えない。

ずっと点いてるみたい。

木とか壁とか、いろんなところがキラキラする。

僕は3階部分の壁にいる。

子ネコは2階。

上の公園にも、キラキラは付けられたよう。

透明なドームの向こうが光ってる。

      トン

                       ――  ♪

バーとかレストランはまだ開いているから、下から人の声はする。

外の音も聞こえる。

風か海か、船の音。

エレガントさんの部屋でごはんを食べた後、僕は子ネコを連れて逃げることに成功した。

湾曲した車で少し寝たあと、高い場所にきたのだ。

       ――  ・・・

下の子ネコはキラキラが気になるらしく、しきりに前足でたたいてる。

                  タッ

僕は下りる。

子ネコには、あたらしいネコダッシュも教えないといけないけど、ほうきネコも教える必要があるのだ。

エレガントさんの部屋では、お掃除ロボットががんばっていた。

あのパタパタは、すごい。

子ネコに教えて、僕とレトリバーと一緒にパタパタして、お掃除ロボットを驚かせるのだ。

「ニャー」

下に行くよ。

「ミャ~」

         ――

                     トン   ト ト

                                               ゥゥゥゥ   ・・・・

木の側に下りた。

       トコ  ・・・

おや。

男が歩いてくる。

「・・・行こう」

僕らを呼んでる。

「ミャ~」

子ネコが付いて行くから、僕も行く。

手に、小さい布と箱を持ってる。

               ――   ・・・

湾曲した車のドアをあけた。

         

中に入る。

「これを試してみよう」

布には、コード。

箱にはコンセント。

               カチ

布のコードをコンセントに差し込んで、敷いた。

「ミャ」

子ネコをつかんだ男は、その布の上においた。

             バサ

その上に、もともと置いてあった毛布をかけた。

「・・・」

僕も潜り込む。

「♪」

ニャ

あったかい。

温まる布である。

                パタン

ドアが閉まる音。

男は去った様。

あったかいから、ほうきネコは今度にして寝よう。

「・・・」

僕は、布からさっきの箱に向かう。

箱も毛布の中。

これもあたたかくなる気がする。

僕はこの上で寝よう・・・

                  ――  ・・・

                                      ・・・・・

                                                     ォォォォ  ・・・・


箱とボール

2015年02月18日 14時13分29秒 | マーロックの日記

                                                 ヒュルル  ――

                      ザァァ    ・・・    ン

      ――  ・・・

暗い空に星・・・

もうすぐ夜の10時。

まだ、ごはんをたべていない。

私は、エレガントさんの部屋のベランダにいる。

今日はマッチョさんやコックさんの仕事が終わるのを待って、ここでみんなで食事。

次の予定を考える事になっている。

インターネットで、ハットさんやマリオットさんともつなげるらしい。

船は北に向かっていて、夜の方が長い。

私はお腹が空いている。

ほとんどの部屋にはキッチンはないけど、この部屋にはある。

広い。

2階もあるし。

ちなみに、老夫婦の部屋はここよりも広い。

「・・・」

私の横には、リスをのせたレトリバーがいる。

           ――

これからこの船は、海峡に入る。

途中、補給のために港に寄る。

一応下船はできるけど、1日しか時間はない。

これから予定を話し合うのは、その次の寄港地。

北極圏に行くことができる。

この時期だと、1日中太陽が出てこない極夜になる。

オーロラもみえるだろう。

          ――

                         ザァァァ        ン

                                              ザザァァァ  ・・・・    ン

地球はそれ自体が磁石のようになっていて、その磁場は宇宙線…宇宙から飛んでくる放射線から生命を守る。

宇宙線は大気によっても遮蔽される――大気による遮蔽効果は、鉛なら90cm、水なら10mに相当する。

高度が上がるほど大気は薄く地磁気も弱まるので、届く放射線量も増える――国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士は、平均して1日1mSv被曝する。

過去に、地球の磁場が消滅したことが何度かあったことが分かっている。

磁場が無くなると、地上での被曝量は14%増えると思われる。

ただ、もしずっと地球の磁場が消滅した状態が続くなら、太陽風によって大気も水も吹き飛ばされると思われる。

火星は磁場が弱いために、大気の多くを失ったと考えられている。

       キキ

私たちが生きていくのに、地球の磁場はとても大切である。

今の地球はゆっくり磁場が弱まっていて、いずれ地磁気が反転すると思われる。

なぜ地球に磁場があるのかは、正確にはわかっていない。

ダイナモ効果によって磁場が生まれているとする説が、強く支持されている。

天文学者は、ダイナモ効果で太陽などの磁場も説明する――太陽の磁場は、およそ11年で反転する。

地球の中心核には、鉄があると考えられている。

キュリー温度と呼ばれる温度を超えると、物体は磁性を失う――鉄の場合は770℃くらい。

地球の中心は5000℃以上はあると考えられているため、鉄があるだけでは磁場があることの説明にならない。

この融けた鉄などの金属が、自転と対流によって回転することで電流が循環して磁場を生むと思われる。

地磁気の北と南は動いていて、自転軸とも一致していない。

それでも大雑把に方位を知るには便利――現在は、角度を調整してちゃんと北を知ることができる。

磁鉄鉱は、地球にある天然の磁石としては最も強い磁場を帯びている。

最初の方位磁針は、磁鉄鉱に接触させて磁化させた針を、糸で吊ったものだった様。

航海に使う場合、水を入れた容器に磁針を浮かべた――船が向きをかえて容器の向きが変わっても、針は動いて北を指す。

渡り鳥などの一部の動物には、体内に小さな磁鉄鉱がある。

これが長い移動の際、経路を案内する方位磁石として働いている様。

この体内方位磁石が、それらの動物の視覚中枢を刺激しているのではないかと考えている生物学者もいる――つまり、その動物は地磁気をみていることになる。

                   ザァァァ    ン

                                           ―――  ・・・

太陽風は荷電粒子の流れで、そのほとんどが陽子と電子――太陽系は、この太陽風によって包まれている。

生命に大きなダメージを与える強い宇宙線は、太陽風によって多くが遮蔽されている――このため、太陽風が弱まっているときは地球まで届く宇宙線の量が増える。

地球の磁場は、太陽風によって変形させられている。

太陽に近い方が押さえつけられたようになって、遠い方にはシッポの様に長く伸びている――人工衛星の計測で、シッポ部分は100万kmもの距離になることが分かっている。

太陽風の粒子は地磁気にのって、地場のもっとも強い磁極に高速で落ちてくる――平均で秒速400km。

この荷電粒子が大気中の酸素や窒素にあたると、そのエネルギーで電子が励起される。

その電子がもとの軌道に戻る際に発光する。

これがオーロラとしてみえる。

太陽の表面でフレアという爆発が起こると、荷電粒子の量が増える。

地球の磁場は大きく乱されて、普段ならみえない場所でもオーロラがみえたりする。

太陽フレアの影響で、人工衛星が壊れることもある――すごい爆発なら、停電も起こる。

もし大規模な太陽フレアが地球を向いた方で起これば、甚大な被害が出ると考えられている。

現在の先進国は電子機器に大きく依存しており、これらが使い物にならなくなる可能性がある。

その後の混乱でどの様な被害が出るかは、わからない。

        ――

                      ザァァ    ・・・    ン

                                             ザァァァ       ン

さむい・・・

部屋に戻ろう。

       トコ  ・・・

「・・・」

私が動くと、レトリバーも来た。

                      トコ

                               カララ  ・・・

中に入る。

                  パタン

                                 ウィィィ   ・・・・

                                                ゥゥゥゥ   ・・・・

お掃除ロボットに黒猫がのってる。

一緒に移動しながら、しきりにシッポを動かしてる。

「ニャー」

「クゥン」

黒猫が鳴いて、レトリバーもそっちに行く。

                   グッ グツ

いいにおい。

お鍋が3つ、テーブルにある。

トマト鍋と、水炊きと、すき焼きだと言ってた。

時計をみる。

もう、マッチョさんたちも来る頃。

ノッポさんやシャープさんは、もういる。

ウェーブさんも。

       コロロン

お掃除ボールも転がってる。

「♪」

チワワは、それを追っかけて遊んでる。

箱ネコの箱がある。

子ネコがみてる。

中に入りたいのかな・・・

        コロン  ♪          パタ  パタ

   ウィィ  ・・・                         グッ グッ

                                                 ゥゥゥゥゥゥ  ・・・・・


魚の窓

2015年02月16日 13時29分30秒 | 黒猫のひとりごと

                                    ・・・  ァァァァァ    ―――

                    ギィィ  ・・・

        ・・・・

お魚がいる・・・

丸い窓の向こう。

泳いでる。

僕は船底の倉庫にいる。

外はいい天気で、水の中も明るい。

              パタ パタ

窓をのぞくための荷物の上に、子ネコもいる。

ゴロゴロしてる。

男もいて、本を読んでる。

窓のまわりはやわらかい荷物ばかりだから、たまに寝てる。

今もウトウトしていて、読んでいるのかどうかわからない。

僕は寝ないのだ。

                   ――  ・・・

                                       ィィィ   ・・・・

倉庫は広い。

灯りはそんなに明るくなくて、荷物の影が伸びてる。

ここ以外にもいろいろ置いてあって、ニャッティラはその辺りをウロウロしてる。

           ボト

ニャ

本が手から落ちてる。

寝たみたい。

      パタ  パタ

子ネコのシッポは、パタパタしている。

僕はまた、まるい窓をみる。

お魚がいる・・・

             ――

                                   ギィィ  ・・・

                                                ――  ォォォォォ   ・・・・・


朝の太陽

2015年02月14日 23時54分17秒 | マーロックの日記

                                            ザァァァ        ン

                        ―――   ・・・・・

     チュン

虹がみえる・・・

その内側は明るい。

          ポタ

まだ低いけど、太陽が出ている。

予報通り、日の出の少し前に雨は止んだ。

昨日と違って、そんなに寒くはない。

後ろから太陽が照らすので、ポカポカする。

海はまだ荒れていて、波が高い。

「・・・」

ニャッティラと黒猫も外に出ていて、ウロウロしてる。

                            ポタタ ・・・

水滴が落ちる音。

私たちは、左舷後部の屋上にいる。

空は青い。

雲も少しみえるけど、あまりない。

「ニャ~」

「チュ♪」

森から、マヒワも来てる。

通路に残っている水の粒が、太陽光を反射してキラキラする。

黒猫は、それをジッとみてる。

                   ザァァ  ・・・

                                        ザザァァ  ・・・    ン

私は、また太陽に背を向ける。

太陽の光が、雲に邪魔されることなく照らしている。

この様なとき、正面に小さな水粒がたくさん舞っていれば、虹が見える。

光の照らす角度を基準に、40°から42°の所にみえる――直角の半分が45°なので、それより少し下。

自分の影の頭の先端を見れば、それが光の入ってくる角度になる。

そこから上でも左右でも、42°の辺りを見れば赤がみえる――水の粒があれば。

太陽光には、いろんな波長…色の可視光が含まれている。

水の粒に入った光は、そのまま通過する場合と反射する場合がある。

粒に入る時と出るときに屈折するのだけど、波長…色によってその最大角度が異なる。

赤い光なら0~42°の間で、紫色は0~40°――他の色の最大角度は、その中間。

どの色も、最大角度の所では他の色よりも多いので、それぞれの最大角度の所にその色の帯がみえる――42°で反射してくるのは赤だけので、そこには赤しか見えない。

自分から見て40°から42°なので、障害物もなく水の粒が十分な範囲に舞っていれば、きれいな虹の曲線がみえる。

そう言う訳で、太陽が低い位置にいる方が虹は高い場所にみえる。

それぞれの色は、最大角度の内側からも届く。

そうした光はいろんな色が混ざっていて白く見えるから、虹の内側は、外側よりも明るい。

             ザァァァ     ン

                                              ヒュルルル  ・・・・

粒の中で何度も反射する光もある。

だけど虹を見せてくれるのは、1回反射しただけの光。

2回反射した光は、別の虹としてみえる場合がある。

1回反射した光よりも2回反射した光の方が少ないので、この2つめの虹はずっとみえにくい――それぞれ、主虹と副虹と呼ばれる。

水粒の中で2回反射した赤い光は、50°よりも大きい角度で出て行く。

紫色の光だと、53°よりも大きい角度で出て行く。

この最低角度の辺りに2つめの虹がみえる。

42°の主虹の赤い帯の外側、50°あたりに副虹の赤い帯がみえる。

このため、2つめの虹がみえた場合、色の配置が逆になっている。

3回反射した3つ目の虹もある事にはなるけど、太陽の方にみえることになるので、条件が極めて厳しい――水粒を反射せずに通過する光の方が多いから、太陽の方を見ればその光が圧倒的に強い。

目撃した人はいる様である――3つめの虹は太陽を中心に42°辺りに、赤を外側にみえることになる。

また、自分が水の粒の舞う中に立っていれば、左右の目にそれぞれ別の虹をみることも可能な様。

         チュ ♪

                               ザザァァァ       ン

                                               ――   ゥゥゥ   ・・・・・

まだ朝ごはんをたべてない。

焼き鮭がたべたい。

おや。

前の方にシャープさんがいる。

メタボネコもみえる。

空をみているから、虹をみているのかもしれない。

「行こう」

呼ぶと、黒猫とニャッティラはこっち見た。

「ニャー」

      ト   ト

                  トコ

ついてくる。

黒猫が追い越していく・・・

         チュ ♪

                ザァァァ       ン

                            ザザァァァァ     ――

                                                ――   ゥゥゥゥゥ   ・・・・


ガラスの近く

2015年02月12日 14時12分22秒 | マーロックの日記

                                                ザァァァァァ    ・・・・

                             ―――   ァァァァァァ

    バチャ ――

ガラスに雨がたくさんあたる・・・

昨日の夜から、ずっと降ってる。

空が光ると、すごい量の雨粒がみえる。

黒い雲も薄らみえる。

太陽が出てくるのが遅いから、もう目は覚めてる。

レトロな車に、黒猫とニャッティラとやって来た。

黒猫達が出入りできるように、後ろのドアが少し開いている。

だけど、閉めた。

気温は昨日よりもずっと高くて、雨も降って積もっていた雪はほとんどいない。

背もたれを少し倒して、ガラスの向こうをみている。

雨粒は次々落ちてくる。

                                          ゴォォォォォ          ン

              ―――   ・・・・・

雷もよく鳴る。

地球では、1秒に平均100回の雷が発生している。

雷雲が帯電する仕組みは、まだよくわかっていない――仮説はいくつかある。

一般的には、雲の上の方が正電荷を帯び、下の方が負電荷を帯びる。

強い電荷があると、近くにある中性の物体の電荷を移動させる。

雲の下の方が負に帯電しているので、地面の負電荷が反発して、雲から遠ざかる方に移動させられる。

そして、地面の雲に近い方には正電荷が多くなる。

ほかのものでも同じで、帯電した物体が中性の物体の電荷を、近くと遠くに分極させる――この過程を、誘導と呼ぶ。

雷雲の下の方が負に帯電していると、地面が誘導されて、地表が正電荷を帯びる。

電場の強さが3000000V/mを超えると、雲の電子が雪崩を起こして雷が発生する。

V/mは、電場の強さの単位。

Vはボルトで、電圧や電位差を表す単位――位置エネルギーの単位で、ジュール/クーロン。

1クーロンの電荷を動かすのに1Jのエネルギーを必要とする場合、その間の電位差は1Vになる――地面は基準のために、0Vとされている。

陽子は+、電子は-の電荷をもっていて、大きさは同じ。

陽子約6.25×1018個分の電荷が、1クーロンになる。

また、W=V×Aなので、V=W/A。

Wはワットで仕事率、Aはアンペアで電流。

Wは1秒間に1Jで、電力は一般的にWを使う。

1Wの電力で1Aの電流が流れたら、その間の電位差は1Vである。

そして1秒間に1クーロンの電荷が流れた場合、1アンペアになる。

ボルトは、電池を発明したアレッサンドロ・ボルタに因んでいる。

アンペアは、アンドレ=マリ・アンペールにちなんでいる。

個人的にはあまり経験はないのだけど、冬の乾燥した日には、金属のドアノブなどでバチッと不快な思いをする人が増える。

床と靴がこすれると、電子が移動する――ガラス棒と布などでも。

湿度が高ければ、それらは空気中に放出される。

だけど乾燥していると、帯電したままになる。

電荷を帯びやすいものは、帯電列で画像検索すると出てくる――帯電列で離れているもの同士がこすれると、帯電しやすい。

荷電粒子の間に働く力は、電荷の強さに比例し、距離の2乗に逆比例する――クーロンの法則という。

+と+、-と-の電荷は反発し、+と-は引き合う。

電場の強さは距離の2乗に逆比例するので、距離が近づくとその力が強くなる。

十分に近づけば、遠くにある電荷の反発力を、近くにある電荷の引力が上回る。

このため、帯電したぶったいが中性のものに近づくと、すこし分極させることになる。

そして電場の強さの単位が、V/m。

                             ――   ァァァァァァァァ

                                                      ゴロロロ

乾燥した日に、絨毯の上を歩き回って、30000Vくらい帯電したとする。

金属のドアノブまで2mあれば、15000V/mになる。

これだけ離れていれば、まだバチッとはならない。

1mまで近づけば、30000V/m。

そしてドアを開けるために手を伸ばして1cmまで近づくと、3000000V/mもの強さになる。

ここまで電場が強まると、絶縁破壊が起きる。

電子がその隙間に跳びこんで、空気の分子をイオン化してなだれを起こす。

そして、ドアノブに触れるよりも先に電流が流れる。

このとき電流が空気を高温にするため圧力差が生じ、音波が発生してバチッと聞こえる。

私たちは電気信号で動くので、その電流が神経を刺激して痛みを感じる。

相当大きな電圧だけど、流れる電荷の量…電流がわずかであるから、危険はない。

ちなみに電流は+から-に流れると表現するけど、実際に流れているのは電子で、-から+に流れている。

陽子は+…正の電荷を持ち、電子は-…負の電荷を持つという言い方にはとくに根拠はなく、ベンジャミン・フランクリンがそう呼んだのでそうなった。

フランクリンが+と-の呼び方を考えたのだけど、その時、電子を失った方を+と呼んだため、ちぐはぐな感じのまま現在に至っている――まだ、電気がなんであるか知られていない時代のはなしである。

      バチ  バチ

                ニャ~

雷雲と地面は、手とドアノブよりもずっと離れているから、絶縁破壊を起こすには相当な電位差が必要になる。

距離によって違う訳だけど、だいたい数千万ボルトの電位差に達すると、雷が発生する。

この時、雲から地面に向かうのと同時に、地面から雲へも発生する。

平均的な雷で、50000Aもの電流が流れる。

だけどほんの一瞬の出来事なので、総エネルギーが莫大だという訳ではない――少なくもないけど。

雷は空気を20000℃位にまで熱するので、光るし音波も発生する。

木に落ちれば、樹液が爆発して樹皮が吹き飛ばされる。

生き物にとって危険なのは、電流である。

高圧でも、電流が少しなら危険はない。

私たちは、すこしの電気信号で動くため、たくさん電流が流れると、筋肉や神経が強く反応し、痙攣したり痛みを感じる。

心臓に流れると、動くのをやめる場合もある。

電流の致死量は、調べるのが困難なため、専門家でも意見が違う。

ただ心臓の場合、1秒以下であっても、0.1A以上の電流が通過すると死ぬ可能性が高いというのは、多くが認めている。

なので金属の棒をコンセントに入れるのは、非常に危険である――お風呂から出てすぐとかは、死んでしまう可能性が高い。

分厚い教科書でピンセットをはさみ、それをコンセントに差し込むと言う実験をした理科の教師がいた――授業ではなく、個人的にやった様。

生徒である私たちは、黒焦げになった教科書を見せられて「マネはしないように」と忠告された。

今から30年近くまえ、雲のずっと上でも発光現象が起きることが発見された。

50km~90kmの上空で発生する赤からオレンジの発光は、レッドスプライトと呼ばれる。

ブルージェットという、青い発光現象もある。

こうした現象が起きている事は、長い間人は知らなかった。

その仕組みの解明は、まだこれからである。

                                 ――  ァァァァァァァァ    ・・・・・

          ・・・・・   ―――

日の出頃には、雨は止むらしい。

虹がみえるかな。

黒猫は、隣のイスに座ってる。

ニャッティラは、後ろの毛布の中に潜っている様。

黒猫は頭をガラスに近づけて、みてる。

私も、横のガラスに目を近づける・・・

         パチ ――

                      ・・・・   ァァァァァ      ―――――

                                                     ―――――


木のトレイ

2015年02月10日 13時37分49秒 | 黒猫のひとりごと

                                      ・・・・  ゴォォォ   ・・・・    ン

                      ァァァァァァ   ・・・・・・

     ―――  ・・・

雷が鳴った・・・

外は雨。

夜になって、雪が雨になった。

僕らは教会にいる。

そんなに広くはないけど、きれいなガラスがある。

レトリバーはイスにのって、シッポをたらしてる。

「♪」

子ネコがそれを前足でたたいて、遊んでる。

僕はお腹が空いているけど、もう少しのがまんである。

斧さんを見つけたので、ごはんをたのんだのだ。

ちゃんと、エレガントさんとノロマさんには内緒だと伝えておいた。

      ト  ・・・

                        ト  ・・・

足音に耳を澄ましていた僕は、すぐにそれを捉えた。

斧さんが、ごはんを持って来たのだ・・・!

            ダッ  ――

待ちきれない僕は、ドアの方に向かう。

               トコ  ・・・

                             ト

ニャ――

足音がひとりじゃない――

「あ、いた」

ノロマさんとエレガントさんである。

「・・・」

その後ろには、トレイを持った斧さん。

「――」

斧さんが裏切ったのだ――

                                     ――  ゴォォォ  ・・・   ン

            ・・・・  ―――

「ニャー」

僕は非難する前に、レトリバーに危機を伝える。

      ト        ト

教会の中に入ったエレガントさんを、僕は追う。

「・・・クゥン」

レトリバーは、すでにイスから下りている。

          ダッ  ――

僕は、エレガントさんとレトリバーの間に移動する。

「ニャー」

レトリバーは逃げるのだ。

                                   ォォォォォォォ   ・・・・・・

                    ――

「こっち来なさい」

「クゥン」

ニャ

エレガントさんに呼ばれて、レトリバーはとぼとぼ歩いてくる。

   ――

エレガントさんの両手は、レトリバーの頭をはさんだ。

「お皿割ったでしょう」

「・・・・」

レトリバーは目を合わせない。

「すぐ謝ればいいのに、なんで逃げたの」

「クゥン」

大きなレトリバーは横に転がって、降参してる。

「♪」

シッポがよく動くので、こっそり近づいていた子ネコが遊んでる。

やれやれである。

レトリバーなら逃げようと思えば逃げれるのに、わざわざ捕まったのだ。

「ごはんここで食べてもいいですか?」

「はい」

ニャ

神父さんもいる。

「ゥゥゥ」

斧さんは、申し訳なさそうに立っている。

「・・・」

僕は悟ったのだ。

斧さんは裏切っていない。

きっと、神父さんが密告したのだ。

「ニャー」

僕にはわかっているよ。

「ァゥ」

            コト

シロネコを床にはなして斧さんからトレイを受け取ったノロマさんが、それを床に置いた。

いいにおい。

サーモンのお刺身。

「ニャー」

うれしい。

            パク

                       モグ    モグ

おいしい。

「もうすぐ服できるからね」

ノロマさんが、僕の背中をなでる。

「キキ」

リスとチワワの足音が来る。

「ごはん食べたら帰ろうね」

「クゥン♪」

              モグ    モグ

エレガントさんは、レトリバーを撫でてる。

たべながら神父さんをみると、その横にガードさんもいた。

「♪」

          パク

チワワは、ノロマさんの足の間にはさまってたべてる。

そしてノロマさんは、チワワのフードをかぶせようとしてる。

「いたの?」

「あ・・・マロックさん」

男の声。

シロネコはもうごはん食べたらしく、座ってる。

おいしいから、僕は目を細くする・・・

     ミー

             ―――

                             ザァァァァァァァ  ・・・・

                                                   ―――  ・・・・・