コンコンコン・・・・・
ちょっと一休憩。
朝日が眩しい。
まだ早朝で、屋上にはあまり人がいない。
私達は今、黒猫ショーで使う小道具を作っている。
私は、工作が得意だ。
バスケットコートを使っている。
いつもこの時間は、男性が一人で練習している。
事情を話したら、コートを半分使わせてくれた。
別に船底の倉庫でやっても良いのだが、屋上のほうが気持ち良い。
しかし男性は、練習をせずにシャープ猫にちょっかいを出している。
「なんだ・・・今日はやけに大人しいな」
どうも、黒猫を知っているらしい。
しかし、その猫は黒猫じゃない。
コロコロ・・・・・
男性がボールを転がした。
サッ
・・・・
すると、シャープ猫がボールの上に乗っかった。
バランスを取っている。
「すごい!」
ノロマさんが、喜んでる。
「これも演目に入れたらどうです?」
マッチョさんの提案に、うなずくノロマさん。
器用な猫だな。
さて、続きをやろう。
コンコンコン・・・・・
小道具といっても、大したものじゃない。
猫タワーのようなのを、2つ作るだけだ。
その間に、数本のロープを繋ぐ。
シャープ猫に、綱渡りなどをさせるらしい。
・・・・どこからか視線を感じる。
バスケットコートの周りを、ダイエット中のデブ猫が歩いている。
シャープさんも一緒である。
シャープさんが、遠い目でシャープ猫を見ている。
彼は、シャープ猫救出の為に黒猫を探している。
おや、デブ猫の上にチンチラが乗っかっている。
この船は、動物の同伴は禁止である。
なのに、徐々に動物園になってきた。
まあ、長い船旅である。
少しぐらい動物がいたほうが、乗客も楽しいだろう。
「おや、朝からコンコン音がなるから何かと思えば・・・」
今度は反対側から、神父さんが現れた。
もう、足はだいぶ良いよう。
杖を突いてない。
「見てください!」
ノロマさんが、ボールを転がした。
サッ
シャープ猫が、玉乗りを披露する。
それを見た神父さんが、喜んでいる。
反対方向を見ると、シャープさんが誇らしげに見ている。
コンコンコン・・・・・・
出来た・・・
ロープを引っ掛けてみる。
「良い出来じゃないですか」
これなら、使い終わった後も黒猫たちの遊び場に出来るな。
「もう片付けましょう」
そろそろ、人が出てき始める。
「アウー」
朝の掃除を終えた斧さんが、手伝いにやって来た。
「もう終わったよ」
「アウゥゥ」
がっかりしている。
しょうがないので、倉庫まで運んでもらうことにした。
「ミャーォ」
・・・・・
眠っていた子猫が、起きた。
噛み付かれる前に、逃げよう。
お腹が空いたし。