工作

2008年01月28日 14時56分00秒 | マーロックの日記

コンコンコン・・・・・

ちょっと一休憩。

朝日が眩しい。

まだ早朝で、屋上にはあまり人がいない。

私達は今、黒猫ショーで使う小道具を作っている。

私は、工作が得意だ。

バスケットコートを使っている。

いつもこの時間は、男性が一人で練習している。

事情を話したら、コートを半分使わせてくれた。

別に船底の倉庫でやっても良いのだが、屋上のほうが気持ち良い。

しかし男性は、練習をせずにシャープ猫にちょっかいを出している。

「なんだ・・・今日はやけに大人しいな」

どうも、黒猫を知っているらしい。

しかし、その猫は黒猫じゃない。

コロコロ・・・・・

男性がボールを転がした。

サッ

・・・・

すると、シャープ猫がボールの上に乗っかった。

バランスを取っている。

「すごい!」

ノロマさんが、喜んでる。

「これも演目に入れたらどうです?」

マッチョさんの提案に、うなずくノロマさん。

器用な猫だな。

さて、続きをやろう。

コンコンコン・・・・・

小道具といっても、大したものじゃない。

猫タワーのようなのを、2つ作るだけだ。

その間に、数本のロープを繋ぐ。

シャープ猫に、綱渡りなどをさせるらしい。

・・・・どこからか視線を感じる。

バスケットコートの周りを、ダイエット中のデブ猫が歩いている。

シャープさんも一緒である。

シャープさんが、遠い目でシャープ猫を見ている。

彼は、シャープ猫救出の為に黒猫を探している。

おや、デブ猫の上にチンチラが乗っかっている。

この船は、動物の同伴は禁止である。

なのに、徐々に動物園になってきた。

まあ、長い船旅である。

少しぐらい動物がいたほうが、乗客も楽しいだろう。

「おや、朝からコンコン音がなるから何かと思えば・・・」

今度は反対側から、神父さんが現れた。

もう、足はだいぶ良いよう。

杖を突いてない。

「見てください!」

ノロマさんが、ボールを転がした。

サッ

シャープ猫が、玉乗りを披露する。

それを見た神父さんが、喜んでいる。

反対方向を見ると、シャープさんが誇らしげに見ている。

コンコンコン・・・・・・

出来た・・・

ロープを引っ掛けてみる。

「良い出来じゃないですか」

これなら、使い終わった後も黒猫たちの遊び場に出来るな。

「もう片付けましょう」

そろそろ、人が出てき始める。

「アウー」

朝の掃除を終えた斧さんが、手伝いにやって来た。

「もう終わったよ」

「アウゥゥ」

がっかりしている。

しょうがないので、倉庫まで運んでもらうことにした。

「ミャーォ」

・・・・・

眠っていた子猫が、起きた。

噛み付かれる前に、逃げよう。

お腹が空いたし。


屋上で

2008年01月21日 12時24分59秒 | 黒猫のひとりごと

ウィィィィィ――

エレベーターが開く。

ニャ

ここは屋上である。

エレベーターは楽だけど、どこに着くか分からないのが玉にきずである。

チワワが、うっかりチンチラを連れてきた。

背中に乗っかっていたのだ。

まったく。

子ネコを男に預けたと思ったら、今度はチンチラである。

「キュキュ」

まあ、少しは倉庫から出るのも悪くないのだ。

きっと、いつも倉庫で過ごしていたのだろうから。

「ニャァァ」

僕は、チワワにここで待つように指示する。

「クゥゥ」

チワワは、了解した。

「キュゥゥ」

・・・チンチラには何も言ってない。

シャープさんがいないか確認するのだ。

もう夜。

空には、お月様が輝いている。

ザーーーーーーーーー・・・・・

波の音が、聞こえる。

「ニャー」

小さく返事しておく。

通路に上がる。

おや、メタボネコ。

耳を立てる。

・・・・・・

ザーーーーーー

どうやら、シャープさんはいない。

もう寝てるのだ。

「ニャー」

チワワ達を呼ぶ。

ふふん。

こんな時間に屋上にいるのは、変わり者か男くらいのものである。

「クゥー」

おや。

誰か出てきた・・・・

ノロマさんの足音である。

ニャー

なぜ僕がここにいるのが分かったのだ!

やはり、密告者がいるに違いない。

とりあえず、通路にある椅子の下に隠れる。

「キュキュ」

鳴いたらダメである。

いつもあんまり鳴かないくせに。

・・・・・・・・・

ノロマさんが、前の方の通路に立った。

なんだか、元気が無い。

・・・・最初にあった頃の感じである。

どうしたんだろう。

最近は、いつも元気だったのに。

・・・なんだか危険である。

しょうがない。

タタタタタ・・・・・

僕は、捕まるのを覚悟で出て行く。

「ニャー」

ノロマさんが、気付いた。

しゃがみこんで来たのだ。

「ニャー」

ペロペロ・・・

顔をなめる。

笑った。

人間を元気にするのは、簡単である。

「クゥー」

チワワも攻撃に出た。

「ありがとう・・」

ノロマさんの反撃の前に、なす術を知らないチワワ。

おや、ノロマさんが何か持ってる。

紙のよう。

「・・・・今度、マロックさんに相談してみようか」

ニャ

ノロマさんが僕らの頭を撫でて、立ち去った。

笑顔になっていた。

・・・なかなかである。

しかし、僕を捕まえなかった。

ニャ

も、もしかして・・・

まだシャープネコと僕の違いに、気付いてないんじゃないだろうか。

動きの鈍いノロマさんの事である。

大いにありうるのだ!

しめしめ。

今度からシャープさんにだけ気を付けよう。

しかし、何にもくれなかった。

タンタンタン・・・・

足音。

メタボネコの世話を焼いているクルーなのだ。

「ニャー」

魚のにおい。

ダダダダ・・・サッ――

「あ――」

僕は、俊敏な動きで魚を奪った。

アジを焼いたものである。

良いものを手に入れた。

「返してくれよ・・・」

クルーが、返してほしそう。

ニャー

もう僕のもの。

どうせ、メタボネコにあげるのだ。

だったら、太るからやめた方が良いのだ。

パク

「ニャー」

おいしい。

「クゥー」

チワワも食べ始めた。

チンチラは、野菜か果物しか食べないのだ。

半分食べた。

バシ

「ニャー」

返す。

半分残したのは、僕の情けである。

「ありがとう」

クルーは、それを持ってメタボネコの所へ行った。

「ニャァァゥ」

メタボネコが、鳴いた。

食べ始めたのだ。

しかし、全然やせてない。

シャープさんに特訓してもらってる様だけど。

「お前、だいぶやせたな・・・」

クルーがメタボの頭を撫でている。

・・・・

食べ終わったメタボは、寝た。

これだから太るのだ!

まったく。

僕は、メタボの横で寝る。

「クゥー」

すると、チワワが僕の隣で寝た。

「キュッ」

チンチラは、メタボの上で寝た。

・・・・おやすみ。

ザザァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


完敗

2008年01月19日 19時51分34秒 | マーロックの日記

船底の倉庫の窓から、外を見ている。

水面に、雨粒が落ちているのが分かる。

もう暗くなってきた。

「ニャァァァァォ」

おや、黒猫。

「ミャァァァォ」

縞々子猫もいる。

遊びに来たようだ。

カリカリ・・・

黒猫が、窓から外を覗こうとしている。

だが、窓の下が窪んでいる。

その為、顔がちょっと覗く程度だ。

私が座って見るのに丁度良いよう、角度をつけるための窪みだ。

しかし、黒猫の邪魔を防ぐのにも役立つ。

しめしめ。

「ニャー」

跳んだ!

ピョン   ピョン

やるな、黒猫。

「ミャーォ」

おや。

子猫が黒猫の上に乗った。

「ニャー」

黒猫を踏み台にして、子猫が外を見ている。

しかし、その程度なら私の視界の邪魔にはならない。

ドサ・・・

しかも、こけた。

子猫だから、バランスを取るのが下手なのだろう。

「ニャー」

「クゥゥゥ」

今度はチワワが後ろ足で立って、窓に寄りかかった。

「ニャァァン」

黒猫が、その上に乗っかって外を見ている。

・・・まあ、そのくらいなら。

「ミャァァン」

ああ!

今度は子猫が黒猫の上に乗っかった。

・・・外が見えずらい。

カリカリ・・・・・

子猫が、外を見て興奮している。

「キュキュキュゥゥ」

なんて事だ!

さらに子猫の上に、チンチラが乗った。

見事な連係プレーで、私の視界を遮った。

私の完敗である・・・

それにしても、大したものである。

組体操を見ているようだ。

「クゥゥゥ!」

チワワが苦しそう。

頑張れチワワ。

ドサドサドサ・・・

崩れた。

「クゥー」

・・・

私は、チワワを抱えてやった。

頑張ったので、特別である。

「クゥゥゥ」

しかし、もう暗くてほとんど何も見えない。

チワワには何か見えているかな。

「ミャーォ」

黒猫が、子猫を私の足の上に置いた。

そして去った。

「クゥー」

チワワも後を追った。

なんだ。

子猫を置いていったぞ。

去っていくチワワを、上から見下ろす。

おや、背中にチンチラがくっ付いている。

そのまま、出て行った。

まあ、大丈夫だろう。

「ミャーォ」

まったく。

後でノロマさんに渡しておこう。

ガブ――


ボタン

2008年01月15日 15時57分21秒 | 黒猫のひとりごと

「ミャーォ」

・・・・・

ここは、レトロな車の中。

外は暗い。

「ミャーォ」

縞々子ネコが、チワワと遊んでいる。

ノロマさんから、宝の地図である石を取り返した。

その時、うっかり子ネコをシッポにくっ付けて来てしまったのだ。

だって、僕は必死だったのだ。

ニャー

後で、返してこないと。

「ミャーォ」

僕の秘密基地に、子ネコが興奮しているのだ。

ふふん。

ノロマさんには内緒だよ。

チワワが、子ネコの動きを目で追っている。

予測不可能な動きをする。

「ミャーォ」

あんまり鳴くと、人間に見つかるのだ。

ニャー

僕は、子ネコを銜える。

こうしていれば、鳴かない。

外に出て、散歩しよう。

「クゥー」

チワワも、付いてきた。

車の下から様子を窺がう。

左よし。

右よし。

何気なく通路に出る。

すると、前方に怪しい人間がいる。

四つ這いになって、真っ直ぐ遠くを眺めている。

背筋をピンと伸ばして。

何やってるのだ・・・

タタタタタ・・・・

その横を、少し距離を置いて通る。

ニャ

こっち見た。

・・・・犬のマネをしてるようである。

ほっとこう。

「クゥー」

チワワが反応している。

・・・・人間は、反応なし。

犬は犬でも、気取った犬のマネをしている様。

もう行くのだ。

「クゥー」

名残惜しそうに、チワワが歩き出した。

しばらく行くと、ハンバーガー屋さん。

中を覗いてみると、チーフさんがいる。

チーフさんは、ハンバーガーが好きらしい。

おや。

斧さんもいる。

みんなでハンバーガーを食べているのだ。

・・・まあ、ここはほっとこう。

僕は散歩をしていて、良いことを思いついた。

船底の倉庫に行くのだ。

あそこは広いから、子ネコも動き回れる。

それに、男がいるかもしれないのだ。

子ネコを男に渡せば、ノロマさんに返すかもしれない。

良い考えである。

僕は、ノロマさんに見つかる危険を回避できるのだ。

しめしめ。

そうと決まれば、エレベーターに向かうのだ。

「クゥー」

タタタタタ・・・・・・・・・・

ウィィィィィ

おや、丁度エレベーターが開いた。

人間が出てきたのだ。

乗るのだ!

最近僕は、エレベーターで人間の動きを観察していた。

そして、何となくボタンの秘密が解ったのだ。

子ネコを放す。

・・・どうやら、もう眠ったよう。

ピョン――バチ

ウィィィ――ィィィィィ

ニャ

閉まりかけたドアが、また開いた。

ボタンを間違えたのだ。

難しいのだ。

「クゥゥ」

ピョン――バチ

・・・・動き始めた。

どこに着くかは、ドアが開いてのお楽しみである。


奪還

2008年01月14日 10時52分55秒 | 黒猫のひとりごと

ニャァァァァ

僕は、ついに秘密兵器を手に入れた。

シャボンのパックである。

これを使って、ノロマさんから宝の地図を奪い返すのだ。

「クゥゥゥ」

心配そうなチワワ。

ふふん。

心配ないのだ。

チワワは、ここで待ってるのだ。

男が歩いていたので、こっそり尾行したのだ。

そうしたら、髪を切っていた。

隙を見て、シャボンのパックを奪ってきたのだ!

僕は、不良ネコ。

ニャー

ノロマさんは、シャボンのパックを沢山持っている。

匂いが色々あるのだ。

そういえば、男は咳をしていた。

屋上で良く寝ているから、風邪でも引いたのだ。

普段からお行儀が悪い男の、自業自得である。

ガラガラガラガラ・・・・・

来た!

ガラガラ台車である。

ノロマさんは良く、ご飯を台車で運ばせるのだ。

カチャ――

ドアが開く。

ガラガラ・・・・・

部屋の中に入る台車に、こっそり付いていく。

カタ――カタ――

テーブルに、お皿が並べられていく。

僕は、影から様子を窺がう。

ノロマさんは、ぼんやりしている。

・・・・あった!

石は、テーブルの上にある。

あれでは、こっそり奪うことが出来ない。

ニャァァァ

しかし、僕にはシャボンパックがある。

最悪の場合、これと物々交換の交渉をするのだ。

カサッ ――

ニャ

ベットの下から、シャープネコが現れた。

僕に気づいている。

さすがシャープネコである。

まずいのだ・・・

僕がいることを、ノロマさんに密告するのではないだろうか。

ピョン     パク

おや。

シャープネコが石を銜えた。

ノロマさんは、意に介してない。

スタ――   トコトコ

ニャー

シャープネコが、僕の所に石を持ってきてくれた。

親切なのだ。

持つべきものは、クロネコ同士である。

「ミャーォ」

ニャ

嫌な鳴き声が・・・・

ダダダダダ・・・・・・・

縞々子ネコに発見されたのだ!

シャープネコから、石を受け取る。

ニャー

ありがとう。

そうだ、シャープネコも一緒に脱出すれば良いのだ。

早くしないと、ガラガラが出て行く。

・・・・

シャープネコは、動かない。

僕の為に、まだ身代わりになってくれるのだ。

ニャー

お宝が見つかったら、おすそ分けしてあげるのだ。

ガラガラ・・・・・・・

「ミャーォ」

ガラガラが去る。

さらば縞子ネコ。

ドアの方へと振り向いた僕。

ニャー!

チワワがいる。

何で付いてきてるのだ!

「ミャーォ」

しまった。

子ネコがシッポにかじり付いた。

は、放すのだ。

ガラガラ―――カチャリ

・・・・・・

ドアが閉まった。

「何してるの?」

・・・・・・

後ろを見ると、ノロマさん。

見つかった。

そ、そうだ。

僕は、ノロマさんの足元にパックを置いた。

ノロマさんの好きな、シャボンパックである。

これで、交渉するのだ。

「ニャー」

石と交換してください。

「いつの間に取ったの・・?」

ノロマさんが、チワワを撫でている。

のん気にシッポ振ってるのだ。

「クゥー」

カリカリ・・・・

チワワが、ドアをカリカリする。

カチャ――

すると、ノロマさんが開けてくれた。

「お友達によろしくね」

「クゥー」

おや・・・・

いつの間にかシャープネコがいない。

・・・・

ノロマさんに見つかる前に、隠れたのだ。

スタ・・・・

チワワがドアから出るのに合わせて、シャープネコがノロマさんの前に現れた。

なるほど!

僕は、ノロマさんの死角に隠れるように移動する。

パク

石は頂いた。

「ニャー」

シャープネコが、スリスリしてる。

ノロマさんが、しゃがみこんだ・・・・

もうドアが閉まる・・・・

シャシャシャッ

僕は、電光石火の早業で脱出する。

カチャリ・・・

ドアは、しまった。

シャープネコとの連携で、ノロマさんをまんまと騙したのだ。

ニャー

シャープネコ、すごいのだ。

僕の為に、協力してくれた。

そして、石を奪還する事に成功したのだ。

「クゥー」

ふふん。

チワワの失態も、見事にカバーしたのだ。

とりあえず、しばらくは秘密基地に隠しておこう。

タッタッタッタッタッ・・・・・・・・・・・・・


散髪

2008年01月14日 10時09分04秒 | マーロックの日記

チョキチョキチョキ・・・・・

はさみの軽快な音が、響く。

ここは、船の美容院。

髪を切ってもらっている。

「ニャー」

途中で黒猫に出会ったら、なぜか付いて来た。

ふふん。

最近遊んでやってなかったからな・・・

なかなかである。

チョキチョキ・・・

おや、切り終わったらしい。

次は、髪を洗うのだ。

チョキチョキ・・・

「君も切ってあげようか・・・・」

「ニャー」

黒猫が、美容師さんに脅かされている。

「ニャー」

端っこに逃げた。

ジャーーーー

シャンプーが始まった。

チョキチョキ・・・

「ニャー」

別の人に、遊ばれている。

キュッ   キュッ

髪を、洗い終わった。

次は、ドライヤーで髪を乾かすのだ。

別に乾かさなくても、ほっとけば自然に乾く。

電気の無駄遣いだな。

ゴォォォーーー

「クゥー」

ドライヤーの音に、チワワが反応している。

「クゥー」

ゴォォォーーー

私の髪を乾かし終わったドライヤーが、チワワに向けられている。

ゴォォォーーー

チワワが風を受けて、気持ち良さそうにしている。

さて、終わった。

「ありがとうございました」

私はお礼を言って、代金を払う。

「ニャー」

パシッ

黒猫が、カウンターに置いてあったパックを銜えた。

シャンプーかリンスの、一回分の試供品だろう。

「どうぞ、持っていってください」

そういうことで、黒猫はパックを銜えて去った。

やれやれ。

どうせ、レトロな車の中に隠すだけだろう。

しかし・・・車の中でパックが破けたら嫌だな。

後で、こっそり取り上げておこう。

お店を出た黒猫とチワワは、私と別方向へと向かっていった。

「クゥー」


ハンバーグと野菜

2008年01月10日 10時51分18秒 | 黒猫のひとりごと

ニャー

夜。

商店街は暗い。

ここからだと、道行く人間が良く見える。

僕は、お店の上にいるのだ。

下には、道にはみ出たテーブルがある。

そこで、人間が3人ほどお酒を飲んでいる。

人は少ない。

チワワは、レトロな車の中で寝ている。

・・・・・

人が歩いている。

ゴロン――

仰向けになって、足をバタバタさせてみる。

バタバタ・・・

ニャー

暇である。

お店の屋根を伝って移動するのだ。

タッ   タタンッ   タッ

おや。

ずいぶんにぎやかそうな一団がいる。

「ニャー」

何かもらうのだ。

ピョン     タッ     タッ

近づいてみる。

ガヤガヤ・・・・

ハンバーガーを食べてるのだ!

ピョン

テーブルに飛び乗る。

「ニャー」

鳴くのだ。

僕の後ろに座っている人間が、背中を撫でてきた。

ふふん。

このパターンは、いつもどうりである。

さあ、ハンバーガーちょうだい!

・・・・・

「ニャー」

・・・・・

くれない・・・

僕のアピールが足らなかったのだ。

もうちょっとハンバーガーに近づく。

「ニャー」

グイ――

ニャ

僕の後ろの人間が、僕を抱えた。

「ニャー」

バタバタ――

ハンバーガー!

人間が、笑ってる。

イジワルな人間なのだ。

僕を、グリグリする。

ノロマさんと違って、豪快である。

「ほら来た、食べな」

おや、新しいハンバーガである。

「ニャー」

僕は、誤解をしていたのだ。

わざわざ新しいのを注文してくれたのだ。

いただきます。

スゥ――   パクリ!

中身だけ、食べる。

パンいらない。

「あら、あんた贅沢ね」

おや、何か聞き覚えがある声。

斧さんの部屋に向かう際に現れた、豪快な人間である。

チーフさんである。

髪の長さの割りに、体が大きい。

ムシャムシャ――モグモグ――

「ニャー」

おいしい。

「もうちょっと落ち着いて食べなよ」

キュッ  キュッ

チーフさんが、僕のお口を拭いてくれた。

親切なのだ。

こないだは、宝の地図を奪おうとしたくせに。

もしかして、宝探しの仲間になりたいのだろうか・・・

「ニャー」

ダメなのだ。

あれは、チワワと僕と斧さんの秘密である。

コロン

ニャ

チーフさんが、僕をひっくり返してくすぐってきた!

バタバタ・・・・

ニャ、ニャー

やめるのだ。

そんな事したって、宝の秘密は教えないのだ!

「ニャー」

恐るべき猛攻なのだ!

ここは、寝たふりである。

・・・・・・・・・

・・・・止まった。

やはり、寝たふりは有効である。

・・・・

チーフさんは、仲間のクルーと話し始めた。

シャッ

すばやく難を逃れる僕。

・・・・

特に、反応なし。

「ニャー」

スリスリ

チーフさんの足に、お腹をスリスリしておく。

匂いをつけとくのだ。

「もう帰るの?」

さらばである。

スタスタ・・・・

しかし、ハンバーガーはおいしかった。

ピョン   タッ   タタタッ   タン――

屋根の上に飛び乗る。

ここなら、人間も手出しできない。

寝よう。


チェリー

2008年01月08日 14時45分35秒 | 黒猫のひとりごと

チャ~ララ~ラララ~~ラ~ラ~~ララ~~

なんだか、妙な雰囲気の場所にやってきた。

おや、スロットマシンがある。

前にも来た事があるのだ。

人間達が、飲み物を飲みながら楽しんでいる。

僕は、ドーナツみたいなテーブルの上に乗っかる。

ニャー

真ん中に、大きケースがある。

コロン――

中にあるボールが、上に跳ね上がった。

テーブルに座っている人間達が、唸っている。

「ニャァァァ」

僕も、唸ってみる。

「クゥゥゥゥ」

チワワも、唸った。

「ほら」

人間が、グラスに入っていたチェリーをくれた。

パクリ

「ニャー」

不思議な味。

でも、おいしい。

・・・・・おや?

種が無い。

変なの。

「クゥー」

チ、チワワがすねている。

「ニャー!」

もひとつ下さい。

「もうないよ」

そう言って、近くのテーブルを指した。

あそこに行けば、チェリーがもらえるのだ。

人間はまばら。

コロコロコロコロ・・・・・・

ルーレットで遊んでる。

「クゥー」

指示されたテーブルに着いた。

ピョン

軽快なジャンプで飛び乗ると、黒い服の人間がいた。

僕と同じ色。

「ニャー」

チェリー下さい。

黒服は、笑ってる。

・・・・・

笑う所じゃないのだ。

チワワがすねている。

前足を振ってみる。

黒服は、さらに笑った。

ニャー

ネコだと思って!

おや。

さっきの人間が来た。

「トムコリンズ」

何か注文したらしい。

「ニャー」

チェリーひとつ。

僕も、注文してみる。

「ああ、チェリーはこいつにやってくれ」

おや、黒服がにこやかにうなずいた。

コト――

赤いビンが出てきたのだ。

「ニャー」

中からチェリーが出てきたのだ!

「どうぞ」

小皿が出てきた。

チェリーである。

「ニャー」

「クゥー」

チワワは、ここまで上ってこれない。

カタ――

すると、人間がお皿を床に置いてくれた。

親切である。

パクリ

「クゥー」

チワワが、食べた。

それにしても、あのチェリーは妙な甘さである。

「ニャー」

「クゥー」

人間にお礼をう。

ウロウロするのだ。

キラリ――

おや、メダルが一枚落ちている。

確かこの前は、はずれた。

またチャレンジするのだ。

タッ   タッ   カコン――

椅子に座って、メダルをスロットマシンに入れる。

ガチャ

クルクルクルクル・・・・・・

回り始めた。

ニャー

目が回る。

ダン

チェリー。

ダン

チェリー。

クルクルクルクル・・・・

頑張るのだ!

「クゥー」

ダン

スイカ。

・・・・・はずれである。

がっかり。

「ニャー」

すねてやる。

・・・・この椅子、クルクル回る。

「クゥー」

チワワも、隣の椅子に飛び乗った。

寝るのだ。

チャ~ララ~ラララ~~ラ~ラ~~ララ~~


朝の散歩

2008年01月07日 10時55分52秒 | マーロックの日記

ガコン――

ナイスシュートである。

ここは、船の屋上にあるバスケットコート。

私は通路の上から、眺めている。

いつも、あの男性は朝から練習している。

まだ朝も早く、屋上の人はまばら。

私も、運動不足にならないように、少し体を動かした後である。

11階デッキの前方、丁度ブリッジの上にフィットネスセンターがある。

結構昼間は人が多い。

朝は空いてる。

屋上には、ジョギングトラックもある。

今も、何人か走っている。

ゴシゴシ・・・

おや、下からデッキブラシの音。

バスケットコートのある後部デッキは、少し高い位置にある。

その下にも通路がある。

そこからの音である。

朝、掃除をしているのだろう。

いつもは、もっと早い時間にやってるようだけど。

何気なく下りてみると、斧さんだ。

「おはよう」

「アウ」

私があげたボードを、ちゃんと首に掛けている。

おや。

何か閃いた様に、ボードに字を書き始める。

一度では書ききれないらしく、少しずつ書いては消して、伝えてくる。

どうも、黒猫の持っている石の模様を調べているらしい。

あれなら、私も不思議だと思った。

だが、ただの飾りだ。

ただ、古い時代のものではあるようだ。

まあ、機会があれば調べてみれば良いだろう。

「アウゥゥ」

斧さんは、納得してないようだ。

まあ、調べるなら図書室に行くと良い。

7階デッキにある。

斧さんと別れて、再び上の通路に上がる。

海はきれい。

穏やかだな。

結局、昨日はご飯を食べ忘れた。

さすがに、気が付くとお腹が空くものである。

何食べよう。

昇る太陽を眺めながら、考える。


教会の悲劇

2008年01月07日 10時26分53秒 | 黒猫のひとりごと

「クゥー」

チワワが、僕の後ろにいる。

僕は今、船の教会にいる。

人間が入ってこないよう、見張っているのだ。

後ろを見る。

斧さんが、神父さんと考え込んでいる。

きのうの夜、斧さんの部屋で石の秘密について考えたのだ。

でも、解らなかった。

あの石は、宝の地図に違いないのに。

役立たずの斧さん。

しょうがないので、信頼できる人間に相談する事にしたのだ。

神父さんである。

神父さんは、教会で暇そうにしていた。

怪我をした足は、もうすっかり良いよう。

喜んで協力してくれた神父さんは、図書室から本を持ってきた。

斧さんと一緒に、謎を解き明かしているのだ。

「ニャー」

「クゥー」

チワワに扉の見張りを任せて、僕はちょっと見学に行く。

「おや、これなんか似てるんじゃないですか」

「アウ」

ピョン

長い椅子の上に飛び乗る。

ニャ

神父さんが、石の模様と本の絵を見比べている。

・・・・

似ているけど、違うのだ。

「アウゥゥ」

おや、斧さんがボードに字を書いている。

「ああ、仕事の時間ですか・・・」

「ウー!」

斧さんが、走って出て行った。

お仕事の時間らしい。

まあ、しょうがないのだ。

「クゥー」

「クゥー」

おや、チワワの様子が・・・

人間の足音なのだ。

まったく、ちゃんと追い出さないと・・・

・・・この足音、ノロマさんである!

シャッ

長いすの下に隠れる。

なんで、僕の居場所が分かったのだ。

誰か密告者がいるに違いない。

トコトコ・・・

やはり、ノロマさんが現れた。

チワワは、のん気にシッポ振ってる。

「神父さん、見てもらえますか」

「ああ、上手になりました?」

ニャ

シャープネコがいる。

「ニャー」

ノロマさんに連れられて来たのだ。

あわれである。

おや、シャープネコが棒を銜えた。

そして、長いすの背もたれの上を歩いている。

神父さんが喜んでいる。

「いや、お上手」

シャープネコなら、あれ位出来て当然である。

僕でも出来るのだ!

「本番は、ロープでやろうと思ってるんです」

「そりゃ大変だ、もっと練習しないと」

ノロマさんが得意げである。

ニャー

あんなの僕でも出来るのだ!

「ああ、そういえば・・・これお返しします」

ニャ!

神父さんが、石をノロマさんに渡している。

ノロマさんが、不思議そうに石を眺めている。

なんて事なのだ・・・

宝の地図が、ノロマさんの手に。

ニャ

あの表情、ノロマさんが何かひらめいたのだ。

・・・・ノロマさんが、不気味な笑みを浮かべた。

「結局分かりませんでした・・・調べておくのでまた持ってきてください」

「そうですか、ありがとうございます」

「ニャー」

シャープネコが、石に興味を示した。

返すのだ!

それは僕の。

「クゥー!」

チワワ、取り返すのだ。

・・・・・

シッポ振ってる。

そしてノロマさんは、ノロノロ去った。

石を取られた・・・・

ショックである。

・・・・・とりあえず、安全確認するのだ。

・・・扉よし。

・・・足音よし。

「ニャー!」

神父さんに飛び掛る。

ひどいのだ。

僕の石を渡すなんて!

「おや?」

カリカリ・・・

神父さんにカリカリする。

「さっきのネコは、あなたじゃなかったんですか?」

「ニャー」

神父さんが、狐につままれた様。

ニャー

頭でグイグイする。

ばつが悪そうに、笑っている。

「ごめんなさい、さっきの石あげちゃいました」

「ニャー」

・・・まったく。

まあ、しょうがないのだ。

僕とシャープネコは似てるから。

「でも、どうして受け取ったんでしょうね」

「クゥゥゥ」

チワワも困っている。

どうにかして、石を取り戻さなくては。

・・・とりあえず、斧さんの休憩時間まで待つのだ。