日没前の捜索

2008年10月27日 16時14分47秒 | マーロックの日記

サヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    ヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・     ヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

心地よい風が、雨上がりの森を吹き抜ける。

私達は、西側の谷底を北上中。

昨日いた東側と違って、西側には谷底まで深い森が広がっている。

とはいえ、川沿いまで広がってはおらず、私達はその川沿いに歩いている。

太陽は西に傾いており、空を見上げると、もう薄っすら暗い・・・・・

ここからだとすぐ左手の森と、崖上の森が邪魔して、太陽は見えない。

でも、右手・・・東側の崖を見ると、まだ太陽が照らしてピカピカ水滴が光っている。

谷の幅は、平均すると1キロメートル位はありそうだ。

この辺りの崖は、高さ50メートル程か・・・・

でも、谷底にも高い木が茂っており、それほど崖が高い印象は受けない。

川は幅100メートル程で、丁度谷の真ん中辺りを流れている。

サラサラサラサラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・  サラサラサラサラサラサラサラサラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

雨で激しくなっていた川の流れは、ずいぶん穏やかになった・・・・・

川の東側にはまだ日の光が届いており、時折、反射した光が目に届いてまぶしい・・・・

東側に、昨夜私達が泊まった巨木が見える。

・・・・・・・こっちから見るとよく分かるが、やはりでかい。

あの巨木のいた斜面は、かなり谷底までせり出ていたようで、その辺りだけ様子が違う。

きれいに線を描いていた崖が、そこだけ斜面で盛り上がっているのだ・・・

崖崩れでもあって、ああなったんだろう。

おかげで、昨日は助かった・・・・

ガサ・・・・

・・・・黒猫が、私のフードの中で、動いた。

目が覚めたか・・・・

無事に斧さん達と再開した私は、予定どうり、一緒にいた黒猫をカバンに入れた。

しばらく大人しくしていたが、その後、暴れだした。

しょうがないので外に出すと、フードの中で寝た。

寝るんなら、カバンの中でもよさそうなもんだが・・・

黒猫は、このフードの中がお気に入りらしい。

ちなみに、ホワイトさんとスレンダー猫も一緒だった。

斧さんの話によれば、黒猫がホワイトさんを見つけたらしい・・・・・

・・・・・・まあ・・・・なかなかである・・・・・

スレンダー猫は、斧さんのカバンの上で、寝てる・・・・

よほど疲れていたのだろう。

・・・それにしても、野生の猫なのに人間をあまり警戒しないな。

サラサラサラサラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・  サラサラサラサラサラサラサラサラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ホワイトさんを見つけるという当初の予定を、思わぬ形で達成できた。

彼は右の太ももを怪我しているが、思ったほどひどくはない様。

やや歩きずらそうだが、自分で歩いている。

パラシュートで脱出した際、コントロールを失って、風に流されていた・・・

あれは、脳震盪を起こしていたらしい。

あの脱出の時、ホワイトさんは最後まで墜落地点を調整していた。

森に落ちないよう・・・・・集落に落ちないよう・・・・・・

なるべく何もないところを目指していた。

そして自分が脱出しようとした時、突然の振動で頭を強打した・・・・

気がついたら森の中だったようだ。

あの時の前後は、記憶があいまいな様・・・・

パラシュートは木に引っかかっていたから、どうにかして降りたんだろう。

ここは、赤道に近いとはいえ標高1000メートル以上はある。

そして、森の中は結構涼しい・・・・・

夜になると、寒い。

一昨日も雨が降ったし、昨日も雨がよく降った。

ホワイトさんは、雨風をしのげる寝床を見つけて、そこで寝ていた。

助けが来ると信じて、あまり動き回らなかったようだ。

明るい内は、谷間を歩いて空の様子を見ていたそう・・・・

救助のヘリコプターが来ると思っていたようだ。

まさか、私達が来るとは思っていなかったようである。

サラサラサラサラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・  サラサラサラサラサラサラサラサラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・ホワイトさんを見つけたので、無理をしてでも今夜のうちに村に帰るという選択も出来た。

しかし、ホワイトさんが今夜も森で過ごした方が良いだろうと主張した。

・・・確かに、対岸に渡ればある程度の道は分かるが、それでも森で迷子になる可能性は高い。

結構走り回って、みんな疲れてもいる。

ホワイトさんはいい寝床を知っているようだし・・・・

何より、まだ非常食があるという。

私達は、ブラウンさんから3日分の非常食を貰った・・・・

でも、1人分を4人で食べたので、一日で無くなった。

しかし、ホワイトさんは一人だった上に、節約して食べていたようだ。

まだ、5人が一晩食べるぐらいはあるそうだ。

無理することもないので、今夜も野営である。

そうと決まれば、今度は時間が有り余る程ある・・・

日が沈むまでの時間を利用して、ひげゲリラを探すことにした。

生きているかは分からないけど・・・・・

その為、谷底を北上しているのだ。

モランが、上から突き落としたので。

「この辺りだね・・・・」

対岸で、モランがパラシュートを見つけたとき、この辺りの地形を覚えておいた。

こっち側に来た際、場所が分かるように。

でも、確認するまでもなくモランが見つけてしまったけど・・・・

谷がやや西側に曲がっているのと、川が東側に寄っている。

そのせいで、直下の川が確認できなかったのだ・・・・

森に隠れて。

こんな形で、役に立つとは思わなかった。

私はライトを付けて、森の中に入る。

ホワイトさんも、自分のライトを持っている。

斧さんは頭にライトを付けていて、蛍光灯にもなるやつは、モランがもってる。

サヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    ヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・     ヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・モランは、ひげゲリラを探すのがお気に召さない様子である。

まあ・・・私達を殺そうとした相手だ・・・・

・・・・でも、イオニによれば、それだけではない様だ。

ゾウの密猟者に似ているのだという・・・・・

・・・最近ではだいぶ数が減ったようだが、それでもゾウの密猟は行われている。

ゾウの牙が目的である・・・・

高く売れるから。

 

現在、ゾウは多くの国が締約する条約によって保護されており、取引は基本的に出来ない。

 

だが、条約の常設委員会によって、一度だけ限定的に貿易が許可された。

許可されたのは、私の祖国だけ・・・・

条約によって象牙取引が禁止される前、私の祖国は最大の象牙輸入国だったからだ。

今も需要はあり、今年も常設委員会による競売がある。

私の祖国の隣、非常な経済発展を続ける新興国も、とても欲しがっている。

そんな訳で、今年の競売には、2カ国で参加する。

需要は増えているのに、数は少ないので、価格は高騰する。

そうすると、密猟の利益は上がる。

今年は、昨年よりも密猟の被害が多い。

限定的とはいえ、取引が行われることで、消費者の需要を刺激する。

そのことが、密猟者達に誤ったメッセージを与えてしまう。

ポーーー       ポーーー       ポッポッ  ポッ・・・・・       ポーーーー

そして私の祖国にも、密猟品が輸入されている。

特に、高く買い取るのだという。

昨年と一昨年にも、私の祖国でそれぞれ約3トンの密輸入象牙が押収された。

ゾウ100頭分を越える量である。

密猟者からゾウを守ろうとして、命を落とす保護活動家もいる。

この大陸全体では、年間1万頭を越えるゾウが、密猟の被害にあっているという。

サヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    ヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・     ヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

密猟にあったゾウは、牙ごと顔面を切り取られる。

そんなゾウの死骸を、モランも見たことがあるのだろう・・・・

・・・・・ただ、ひげゲリラは密猟者ではないと思うけど。

「アゥ・・!」

斧さんが、何か見つけた・・・・

・・・おや。

光の先には、ひげゲリラ・・・・

こんな簡単に見つかるとは。

地面に倒れている。

ザッ   ザッ   ザッ   ザッ   ・・・・・・・・・・

駆け寄る。

・・・・・・・・・・・・・           ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・動かないが、息をしてる。

まだ・・生きている・・・・・・

サヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    ヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・     ヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     ・・・・・・・

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・        ヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 


脱出

2008年10月25日 12時09分52秒 | 黒猫のひとりごと

ゴォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      ・・・・・・・・・・・・・・・・・

         ザッ・・・   ザッ・・・   ザッ・・・   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

僕の耳は、勢いよく流れる川の音と、男の足音を聞き取る。

僕はネコ。

暗い場所でも平気だけど、ここは真っ暗。

何も見えないのだ・・・・

そして、狭い。

トントン・・・・

僕は、適当に叩いてみる・・・・・

・・・・反応がない。

トントントン・・・・

もしもし・・・・・

トントントン・・・・

・・・・・

トントントントントン・・・・

もしもしもしもし・・・・・・?

・・・・・・バチッ  ――

ニャ!

・・・・・突然、強力な一撃が返ってきた。

「ニャー」

ひどいのだ!

ここは、男のカバンの中。

無事に男を見つけたと思ったら、いきなりカバンに押し込んだのだ。

「ニャー」

僕は、抗議する。

このカバンの挟まり具合は絶妙だけれど、今は外に出たいのだ!

バシッバシッバシッバシッバシッ――――

僕は、連続ネコパンチを両前足で敢行する・・・・

あまりにも強力なので男が心配ではあるが・・・・止む終えないのだ!

・・・・・さあ、カバンを開けるのだ。

         ザッ・・・   ザッ・・・   ザッ・・・   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ゴォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      ・・・・・・・・・・・・・・・・・

外からは、男の足音と川の流れ・・・・

・・・・・む、無視してる   ・・・・・・

「ニャーー」

ババババババシッバシッ バシッババシッバシッ  ・・・・・・・・・

ネコだと思って、バカにしてるのだ!

両前足に加えて、両後ろ足も使って連続ネコパンチに加えて連続ネコキックもお見舞いする。

・・・・   ジィ――・・・・・・・・・・・

・・・・・すると、カバンが少し開いた。

スルリ―――

外に出る・・・・

明るい。

・・・・ふふん。

ザッ・・・   ザッ・・・   ザッ・・・   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

     ゴォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      ・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・ォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


夕暮れの森

2008年10月25日 11時47分21秒 | マーロックの日記

ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・          ヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

風が吹いて、森がざわめく・・・・

冷たい風である・・・・

滝で聞こえた声は、イオニのものだった。

彼を加えた3人は、再び崖沿いを北上している。

ジャッ・・・・・  ジャッ・・・・    ジャッジャッジャッ・・・・・・・・

雨が止んだとはいえ、足元は悪い・・・

森の中は夜のように暗いのに、ライトは一つ。

歩く速度は、遅くなる・・・

イオニにあわせる必要もあるし。

ポーーーー      ポーーーー     ・・・・・・・・・・

イオニを見つけたとき、斧さんがいなかった。

途中で黒猫が現れて、斧さんを連れて谷を下ったらしい・・・

・・・・・あの猫め。

おかげで、イオニは一人になった。

対岸に渡ることが出来ず、別の道を探すにも森が暗くて、さまよっていたらしい・・・・

・・・・・・まあ、滝の近くをウロウロしていただけのようだが。

私達と再会したときには、泣きそうな顔をしていた・・・・

・・・・・黒猫を見つけたら、森を出るまでカバンの中に押し込んでやろう。

ジャッ・・・   ジャッ・・・・・・

・・・・・崖っぷちの急斜面が、不自然に盛り上がった地形。

あそこだ。

谷底へ降りる、坂がある。

「あっ・・・マーロックさん、あそこですよ・・・!」

イオニが、坂の位置を教えてくれた・・・・・

「・・・うん」

知ってたけどね。

ザザザ・・・・・      ザザザ・・・・・・

3人で、坂を下る・・・・

ザッ   ザッ   ザッ   ・・・・・・・

・・・・崖の方から、物音。

・・・・・何か来る。

私は、手で2人に止まるよう合図する。

モランが刃のない槍を構えて、前に出た・・・・

私もライトをイオニに渡して、身構える・・・・・

すると、崖っぷちから大きな人間の影――

「ニャー」

・・・・・聞き覚えのある、猫の鳴き声。

ポーーーー   ポーーーー      ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   ヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・     ヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・          ヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


雨上がりの滝

2008年10月25日 11時19分56秒 | マーロックの日記

ゴォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      ォォォォォ・・・・・・・

         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・        ゴォォォ・・・・・・・・・・・・・・・

滝の音が、だんだん大きくなる。

結局ホワイトさんを見つけることは出来ず、イオニたちを追いかけている・・・

昼頃から激しく降っていた雨は上がったが、森は暗い。

もう夕方で、太陽は西に傾いている。

崖沿いを歩いてはいるが、こっち側は対岸と違い、谷が東側になる。

したがって、暗い。

ライトを付けて、私が先頭で歩いている。

暗いと、どうしても歩みは遅くなる。

それでも、私とモランだけなので、かなりのハイペースで進めた。

行きは2時間かかったが、帰りは1時間程度。

半分駆けてきたからでもあるが、そのせいで軽く息が弾む・・・・

このペースなら、もうイオニたちに追いついてもよさそうなものだが・・・・・

2人も、たぶん走ってるのだろう・・・

ドォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   ・・・・・・・・・・・・・・・           ォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・明るい。

森から出た。

・・・・・しかし、滝から落ちてくる水の量が、昼見た時より明らかに多い。

私達が架けた木の橋も、流されてしまったようだ・・・

・・・・イオニたちは、すでに対岸に渡ったのだろうか。

しかし・・・・これでは私達は渡れそうもない。

6メートルぐらいだった川幅は広がり、10メートル以上はありそう・・・・

流れも速い。

・・・・どうしよう。

さらに南に迂回して、道を探すか・・・・・

谷底へ降りて、川を泳いで渡るか・・・・・

・・・・・谷へ降りる道なら、今朝対岸を南下中に、崖っぷちから確認している。

この滝と、パラシュートのあった場所との中間に、崖沿いに下る坂があった。

結局滝から対岸に渡ったが、どうにも道がなかったとき、泳いで渡ることも考えた。

ただ、対岸に渡っても、崖の上に登れないとしょうがないので、坂を確認しておいたのだ。

昼過ぎに、こちら側を北上する途中でも、直接坂を確認している。

ドォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・           ォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・そこまで戻ろうか。

泳いだ後が最悪だが、村に帰るだけなら何とかなる・・・・

それに、すでにずいぶん濡れてるし。

「イオーーニ・・・・・!」

「・・・!」

び、びっくりした・・・・

モランが、突然叫んだ。

・・・・・・そうだな、イオニ達が向こうに渡ったとは限らない。

少し探してみるか。

―――――――

・・・・・何か聞こえた。

声・・・・

――――ザクザク・・・・・

モランが声のした方、森の中に入った。

私も行ってみよう・・・

ドォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・           ォォォォォォォ・・・

・・・・          ォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      ・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・    ドォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


天を向く

2008年10月20日 15時33分43秒 | 黒猫のひとりごと

ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・              ァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

雨は激しさを増し、森の中はもう夜のよう・・・・

でも、僕は平気。

そして僕は黒いので、暗さに紛れて疾走する・・・・

スレンダーネコを救うべく、谷底を目指しているのである。

何度も助けられたので、今度は僕が助けるのだ。

おや・・・

崖に向かって下る坂の途中・・・・・・

・・・・土が盛り上がっている。

・・・・あやしい。

トントンッ   ・・・・・・

そっちへ向かう。

ゴォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・        ・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・盛り上がった場所の先は、もう崖。

でもそこから左を見ると、崖沿いに谷底へ向かう坂・・・・・

ニャー

やっぱり、道を見つけた。

結構角度のある坂。

ここを下れば、谷底へ降りれるのだ。

ジャリッ     ジャリジャリッ     ・・・・・・・・

おや・・・・

人間の足音。

走ってる・・・・

こっちに向かってくるのだ。

「ニャー」

鳴いてみる・・・

「アゥ!」

斧さんの声。

そして、ライトの光・・・・・・

「ニャー」

斧さんを見つけたのだ!

僕を探していたのなら、ここだよ。

「ネコ様・・・!」

通訳さんもいる。

・・・・斧さんは頭にライトを付けていて、明るい。

「見つかって良かった・・・・急ぎましょう!」

ニャ

僕を捕まえようとする通訳さん。

タンッ    ・・・・・・・・・・・

よけた。

そうは行かないのだ。

僕はスレンダーネコを探すのだ。

「ニャー」

だから、2人ともついてくるのだ。

「アゥゥ・・・」

斧さんが、何やら神妙な面持ち・・・・

バッ――

ニャ

僕を捕まえようとした!

避けたけど。

・・・・・僕に逆らうなんて

「・・・・・ニャー」

怒ったのだ!

「ネコ様は任せました・・」

ジャッ・・・       ザッ・・・    ザッ・・・     ・・・・・・・・・

「・・・・・」

ニャー

通訳さんが、捨て台詞を残して去った。

ずいぶん急いでいた様子・・・

「ニャー」

でも、そっち行っても橋は流されたよ。

スレンダーネコと一緒に・・・・

ニャ

そうなのだ!

急がないと・・・・

・・・・   タタッ・・・・    ダッ・・・・     ダッ・・・・

僕は、坂を下る。

ガササササ・・・・・・・・

斧さんも、ついて来た・・・・

最初から、素直について来れば良かったのだ。

・・・・・まったく。

世話の焼ける斧さんである。

タンタンタン・・・・・・

崖沿いに坂を下る・・・・

ここには木がいないので、明るい・・・・

空が曇ってても。

ザァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・               ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

途中から、また森の中に入る・・・・

谷底にも、森があるのだ。

また、辺りが暗くなる・・・・

・・・・でも、後ろからライトの光。

・・・・・・・・ジャバジャバ   ・・・・・・・      ジャバジャバババババ・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・川の流れの音が、少し聞こえる。

そっち目指して、走る。

今朝から走りっぱなしで、もうヘトヘトだけど・・・・

ご飯食べてないし。

「ニャー」

ダッ・・・・   ダッ・・・・      ダダッ・・・・・・・      ザッ・・・・   ザッ・・・・

・・・・・・・    ザァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     ・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・            ザァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・

しばらく走ると、前方から光が見える・・・・

森からでるのだ。

ゴォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・       ォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

森を出ると、すぐ川。

激しい流れと、強く吹く風の音がする・・・・

・・・・

川縁に、人。

「ニャー」

ホワイトさんなのだ。

ミャ~~ゥ    ――――

「大丈夫だ!・・・・そのまま捕まってろよ・・・」

流木が川縁に引っかかっていて、その先にスレンダーネコがくっついてる!

ホワイトさんが、スレンダーネコを助けようとしてるのだ・・・・

ジャバババババ・・・・・・

・・・・・・・・・・スレンダーネコは、前足だけで流木に捕まっている。

「ニャー」

もう、流れに負けそう・・・・

ダダダン――――

流木に、飛び乗る・・・・

ダッダダダダダダッ・・・・・・・・・・・・

その上を走って、助けに向かう・・・・!

「・・・・・・・・黒猫じゃないか」

「アゥゥゥ・・・」

「ニャー」

スレンダーネコ!助けに来たよ。

「ミャ~~ゥ」

ジャバババババ・・・・・・

・・・・助けに来たのはいいけれど、流れがひどい。

僕も、木の上にしがみ付いてるのがやっとなのだ・・・・

ジャバババババババ・・・・・・・・・・・・・・・

ニャァ

流されそうなスレンダーネコの頭を、両前足でつかむ・・・・

ジャバババババババ・・・・・・・・・・

な、流されそう・・・・

後ろ足を踏ん張って、耐える。

・・・何とか、引き上げるのだ。

ニャァ・・・・

スレンダーネコが、流される・・・・

・・・・・スレンダーネコは疲れ果てていて、もう踏ん張る力がないのだ。

これでは支えるのがやっとで、引き上げれそうもないのだ。

なんたって、僕の倍ぐらい大きいのだ。

「ニャー」

                  ―――――――    ザバァァッ    ・・・・・・・・

・・・・・木が、持ち上がった。

         ザァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そして、斜めに傾く・・・・・

「そのままゆっくり・・・・」

「アゥゥ」

・・・・斧さんである。

流木ごと、持ち上げたのだ。

僕はスレンダーネコの頭を離して、木にしがみつく・・・・

落ちないように。

下を見ると、ホワイトさんが木の端を地面に押し付け、斧さんが無理な体勢で持ち上げてる・・・・・・

ホワイトさんを支点に、スレンダーネコが空に向かって円を描くように。

上を見ると、スレンダーネコが天を向く・・・・・

雨粒が、落ちてくる・・・・・・

ニャ

――――   そのまま円を描いて、森のほうへ傾く・・・・・・

勢いを増しながら――――

         ――――――  スタタンッ      ・・・・・・・・・・・・・ ガサァァァァァァァ・・・・

僕とスレンダーネコは、途中で木から飛び出して、見事に着地した。

「・・・・・・・ミャ~~ゥ」

斧さんは木の幹を抱えたまま、背中から転げてる・・・・

長い木の幹は、斜めにすぐ後ろの木に引っかかってるのだ。

「・・・・・いや、たいしたもんだ  ・・・・」

ホワイトさんも、転げてる・・・・

そして・・・・笑顔。

「ニャー」

それよりも、スレンダーネコは無事だったのだ!

良かったね。

「ミャ~~ゥ」

「・・・・助けに来てくれたのか・・・・君だけじゃないだろう・・・・?」

「アゥ」

首を縦に振る斧さん・・・・

「ニャー」

なかなかだったのだ・・・

今ので、さっきのは許してあげるのだ。

ゴォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・           ォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


杖と槍と銃

2008年10月18日 14時08分20秒 | マーロックの日記

ゴォォォォォ      ――――ン

ザァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・          ァァァァァ・・・・・・

・・・・・・・               ァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

対岸を、谷沿いに北上し始めて2時間・・・・・

雨は激しさを増し、雷も鳴り始めた。

森に落ちて、山火事にでもならなければいいけど。

ジャッ・・・・   ジャッ・・・・

雨に濡れて、足場は悪い。

右手・・・東の方は、谷。

対岸と同じで、崖っぷちは急斜面になっている。

私達は、その斜面の上を、谷沿いに歩いている。

ライトをつけてもよさそうな暗さだが、もう目がなれた・・・・

10メートルほど先を、モランが先頭で歩いている。

私はその次で、やはり10メートル後方を、イオニと斧さんが歩いている。

ボツボツボツボツ・・・・・・・・・・・・・・

・・・左斜め前の木の枝から、雫が帯のように流れ落ちている。

おや・・・・・

モランが立ち止まって、木の上を見上げている。

私も、見上げてみる・・・・・

・・・・・・パラシュートが引っかかってる。

やっと着いた・・・・

目的地だ。

ホワイトさんが、近くにいればいいけど。

声を出す前に、辺りを見渡す・・・・・・

滝で見た足跡が、気になっているのだ。

モランたちにも話しているので、警戒はしているだろう・・・・

ホワイトさんと私達以外の誰かが、森にいるかもしれないと。

ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・           ァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・東の急斜面。

低木の枝の上に、何かいる。

人か・・・・・サルじゃないな・・・・・

ピカピカ――――

雷光が、枝の上の人間を映し出す・・・・・

首に布を巻いている。

ホワイトさんじゃない!

キュィィィィン――――

甲高い音が、響いた――――

咄嗟に、大木の陰に隠れる。

ライフルを持っていた。

ゲリラ・・・・

一人じゃないだろう。

いるなら十字線上か・・・・

北を見る。

北の先、20メートルほどに、いた。

「モラン!」

私の手の合図に合わせて、モランが横に跳ねる。

キュン キュン  ・・・・・・

彼を狙った弾丸は、木の幹と堆積物を、削ったようだ。

南、イオニたちの方を振り返る。

声もなく、木陰に身を隠した2人が見える。

西と南の方には、ゲリラは見えない。

2人か・・・・・

手で、イオニたちに西の方へ移動するように指示する。

私も、射線上から外れる為に西隣の大木へ走る――――

キュィィィン――

銃声。

モランが、北側の大木目指して跳ねたのだ。

・・・・・・上手い。

さっきまでのままだと、十字射線を組んだまま追いかけられるところだった・・・・

モランが北に移動したことで、ゲリラと私達は平行線上に並んだ。

ザァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・           ァァァァァァ・・・・

・・・・・・・・・・・・         ァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・

「マーロックさん・・・!」

西回りに、上手に木陰に隠れながら、イオニたちがやって来た。

「・・・・君らは逃げろ」

どうやら、モランは逃げるつもりはないようだ。

・・・・全員で逃げるより、そっちの方が確実だ。

私も残る・・・・

イオニ達は村に戻って、助けを呼ぶのだ。

「分かりました・・・」

自分がいる方が邪魔だと分かるのだろう・・・イオニは、素直に頷いた。

しかし、斧さんは納得していない様子。

私なら、多分大丈夫・・・・・

ゲリラがわざわざここまで来たのは、人質を得るためだろう。

何らかの交渉のため。

しかしモランは危険だ・・・・

現地の人間なので、殺されるかもしれない。

・・・・まあ、抵抗すれば私も危ないな。

ガサ・・・

私は、斧さんの腰に付いていた護身用のバトンを奪う。

「これは、貰っとく・・・」

・・・・私に万一の時には、ここで起きた事を、船のみんなに伝える人が必要だ。

それと黒猫は・・・・ノロマさんにでも預ければ、ちゃんと世話してくれるだろう。

「早く行け・・・!」

「アゥゥ!」

ジャジャッ・・・・・     ジャッ・・・  ジャッ・・・     ジャッ・・・・    ・・・・・・・・

少し強く促したら、2人は走って去った・・・・

ゲリラは、逃げた2人は無視している。

・・・・・私達を狙っている。

ドサッ・・・・・

東側から、音・・・・・

・・・・・ゲリラが、枝から降りたようだ。

かすかな音にも、耳がよく反応する・・・・

脳が興奮して、感覚が鋭くなっているのだろう・・・・

ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・       ァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

東にいるのは、布を巻いた布ゲリラ。

北にいるのは、ひげを生やしたひげゲリラ。

私が身を隠している大木を左回りに覗けば、ひげゲリラの動きは確認できる。

私から布ゲリラは完全な死角だが、モランからなら見える。

・・・・・ゲリラは、慎重に様子を伺っている。

私達が、銃を持っていないか・・・・

徐々に木の陰から陰に移動して、私達に近づいてくる・・・・・

ドサ・・・・・

私は、カバンを置く・・・・・

邪魔だから。

黒檀の杖のもち手近くを、逆手に右手で持つ。

いつでも左手で振り出せるように。

ガチャン――――

そして左手に持ったバトンを、振って伸ばす。

70センチメートル位の長さに、伸びた。

ボツボツボツボツ・・・・・・・・・・・・

私から見ると、モランは北側に位置する。

そのモランが、槍から刃を抜き取って、右手に構えている。

私と違って彼は右利きなので、あれを投げるつもりだ・・・・・

90センチメートルはある、刃である。

左手には、革を重ね張りして作った盾。

・・・・モランが、こっちを見た。

刃が確実に当たる距離まで、ひげゲリラが近づくのを待っているのだ・・・・

そしてモランから見て南隣の低木に、ひげゲリラがいる。

距離は、10メートルと少し・・・・

よし・・・・

ジィィ・・・・・     ガサガサ・・・・

地面に置いたカバンから、ライトを取り出す。

ザァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・         ・・・・・・・・・・

・・・     ァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・              ァァァァァァ・・・・・・・・・・

カチャ――

ライトをつけて、ひげゲリラの目を狙う。

目くらましだ。

ひげゲリラが、こっち見た――

首を振って、モランに合図する、

ブン    ――――

モランが、盾を斜めに放り投げた・・・・・・

布ゲリラの注意を引くためだ。

キュィィィン――――

銃声にあわせて、モランが大胆なほど大きく身を乗り出した――――

そして振りぬいた右手から、鈍く光る鉄の塊が、飛んでいく・・・・・・

ひげゲリラの体が、よろめく・・・・

当たった・・・・

チャンスだ!

バトンを拾う―――

キュン キュン  ――――

すぐに身を隠したモランに、布ゲリラの撃った弾丸が襲い掛かる。

左回りに大きく身を乗り出した私は、左手に持っていたバトンを投げる。

布ゲリラめがけて。

ライフルをモランに向けていた布ゲリラが、こっち見た――――

ザザッ――――

すぐに向きを変えて、私は右回りに大木を回る。

あれなら、バトンは確実に当たったはずだ。

そう確信して、木陰から飛び出す!

右回りなら、一瞬だが布ゲリラの死角に入る。

ザッザッザッ・・・・・・・

S字を描くように、全力で走る――――

布ゲリラがいる大木までは、あと10メートルほど・・・・・

布ゲリラが最短距離の右回りで出てくると予想して、私はそっちへ向かう。

左回りで出てきたら、このまま走り抜ける――――

――――左側からライフル    ・・・・・・・・

                 間に合うか――――

ザッ  ・・・・

左足で、強く地面を蹴る――

ジャリッ・・・・・

右足が地面に着地したと同時に、踵をゲリラの方へひねる    ・・・・・・・

それに合わせて重心低く、左足を前にすり出す――――

ダンッ     ――――――

同時に左手で前方に突き出した杖が、ライフルを空中に跳ね上げた――――

間に合った・・・・

腕を振り上げるのではなく、ひじから下を突き出したのは、より早く相手を攻撃できるからだ。

そのため杖の切っ先は、前方を指している。

――――左手を返して、反時計回りに切っ先を回し、右手を添える ・・・・・

僅かについた反動を利用して、右に返す      ――――

バンッ

杖が、布ゲリラの頭部を弾いた・・・・・

まだだ・・・

     ――――   ブン

今度は、大きく左腕を反時計回りに回し、足元を払う――――

バン――――

杖が布ゲリラの足を捉え、私の体をひねるような衝撃がくる・・・・・

両足を踏ん張って、杖を振りぬいた    ――――――

――――大木の根が邪魔して、不十分・・・・

ザザッ・・・

ふらつきはしたが、布ゲリラは跳ねてバランスをとった・・・・・

――  トン

軽く右足を、前に放り出す・・・・

そして右足を軸に、斜面に飛び出す   ―――――

     ドン     ――――

振り上げた左足で、布ゲリラの体幹を蹴飛ばす・・・・

   ――――――           ドサァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・

今度は、転げた・・・

さらに、私は布ゲリラを追って斜面を下る・・・・・・

――――   布ゲリラが、上体を起こす・・・・・・

転がって逃げればいいものを・・・・・突然接近戦を挑まれて、前後不覚に陥ったか。

布ゲリラに追いついた私は、左足を振り上げる・・・・・・

もう少し――――

布ゲリラが十分に背中を持ち上げたところで、胸元に左足を添えて、一気に叩きつける  ――――

――――     ダァン     ・・・・・

「  ッ・・・・」

背中を強く打ちつけた布ゲリラは、むせている・・・

この間、まともな運動能力は発揮されない。

すぐに、私は布ゲリラの腰元をみる・・・・・

あった。

腰につけてあったホルスターから拳銃を引き抜き、谷めがけて投げる・・・・・

もうひとつ・・・・

斜面を登って、ライフルを取る。

      ブン――――

放り投げたライフルは、途中で低木に当たることもなく、上手に谷底へ落ちていった・・・

我ながら、上手に投げたな・・・・

・・・・崖っぷちに、モラン?

・・・・・・・

モランが、ひげゲリラを崖っぷちに追い詰めている・・・

谷から落とすつもりだ・・・!

「モラン――!   殺すことはない・・・・・!」

あ・・・・

刃のついてない槍で、ひげゲリラが谷から突き落とされた・・・・・

・・・・・・・・間に合わなかったか。

――――   マーロック!

モランが、崖っぷちから私を見上げて叫んだ・・・・・

後ろを振り向くと、布ゲリラがナイフを持って――――

ブン

      体を前に放り出して、布ゲリラの攻撃を避けた・・・・・

ザザザザァァァァァ・・・・・・・・・

私は、斜面を転げ落ちる・・・・・

布ゲリラと同じ轍は踏まない――――

ザァァァァァァ・・・・・・・・・・     ダダッ   ・・・・・・・・・・

モランが入れ替わりに斜面を登ってきたので、私も体勢を整えて起き上がる・・・

・・・・・・・布ゲリラは、逃げている。

北に・・・・・

追いかける必要はないな・・・

・・・・・イオニ達が逃げた南だったら、追いかける必要があったけど。

ザァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・       ァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ひげゲリラは死んだだろうか・・・・・・・

・・・・・・しょうがなかった。

彼らは銃で撃ってきたのだ・・・・身を守るためだ。

そして、銃を谷底へ投棄してしまったが、許してもらおう・・・・

なんといっても、必死だったのだ。

「まあ、助かってよかった・・・・」

言葉は通じないが、モランは頷いた・・・・

・・・・モランも私も、息が上がってる。

しかしゲリラとは・・・・・やれやれである。

ボツボツボツボツボツボツ・・・・・・・・・・・・・・・・・

カバンを取りに行こう・・・・

そして、ホワイトさんを探さないと。

ピカ――――    ゴォォォォォォォォ・・・・・・・・・           ・・・・・ァァァァ・・・

・・・・・・・・        ザァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・     ァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


流されて落ちて

2008年10月18日 02時06分19秒 | 黒猫のひとりごと

ドォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・          ォォォォ・・・・・・・・

・・・・森を出ると、目の前には大きな滝。

森の中より明るいけれど、空が曇っていてそんなに明るくない。

ここから先は、土がはがれて、ゴツゴツとした岩肌が出てる。

滝から落ちてきた水は、右手の方へ流れていって、谷底へ落ちていくのだ・・・・

たぶん、傘が僕を乗っけて飛んだ際に、見た滝である。

大きな滝の上に、小さな滝があったのだ。

小さな滝だと思ったけど、近くで見ると大きいのだ。

・・・・・・ミャ~~ゥ

ニャー   ――――

ドォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

僕とスレンダーネコの声は、滝の音で消されてしまう・・・・

ヒョウが子ザルを帰してくれないので、とりあえず預けることにした。

そして、僕らは男達を捜して、先を急いだのだ・・・・

スレンダーネコに任せていたら、滝に着いた。

「ニャー」

これじゃあ先に進めないのだ。

するとスレンダーネコは、滝と滝の間を流れる、川へと歩き出した・・・・

僕も、岩場を進む・・・・

ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ~~~~~~~~        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・風の、音。

右側・・・谷の底から、風が水しぶきを舞い上げながら、高く高く吹き上げているのだ。

左側の滝つぼからも、水しぶきが高く舞い上がっている・・・・・

ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

風で舞い上げられた水しぶきに加え、空からは雨粒が降って来るのだ・・・・・・

・・・・・冷たくて、寒い。

ブルルルルル・・・・・・・・

体が濡れるので、ブルブルするけど、またすぐ濡れる・・・・・

僕は左の方、滝つぼに向かう。

激しく流れる川の音と、滝から流れ落ちる水の音がすごくて、他の音を消してしまう・・・

僕は耳を澄まして、小さな音に注意を向ける・・・・・・・

ドォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・    ォォォォォォォ・・・・・・・・

・・・・・・          ォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ニャァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・

激しく叩きつける水が、空気を振動させる・・・・・

僕も、ビリビリするのだ・・・

ザァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     ァァァァァァ・・・・・・

・・・・・                  ァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・でも雨が降っていて、空気はすぐに、落ち着く。

――――    ミャ~ ~ゥ・・・・・

スレンダーネコが、僕を呼んでる・・・・・・

ピチャピチャ――

・・・・・ニャ

僕の自慢の耳は、かすかな音を聞き取った・・・・

滝つぼからである・・・

滝つぼに落ちないように気をつけながら、音のした辺りを覗き込む・・・・

・・・・・魚。

「ニャー」

こんにちは。

ピチャピチャ――

すぐ上から、激しく水が落ちてくるのに、雨も激しいのだ・・・・・・

・・・魚も、大変である。

僕は同情しながら、スレンダーネコのほうへと歩を進める。

こんなに激しい流れの川は、渡れそうもないのである。

別の道を探さないと・・・・

ゴォォォォォォ・・・・・・・・

雷・・・・・

「ニャー・・・」

一応、返事をしておく。

スレンダーネコは、激しい流れのほとりで、たたずんでいる・・・・・

ドォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・       ォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・

・・・・・            ォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・スレンダーネコの前に、木の幹が横たわっている。

川の、こちら側と向こう側をつないでいるのだ。

水に流されて、ここにたどり着いたのか・・・・

・・・・スレンダーネコが、前足で何かを指している。

その先を見ると・・・・・

ニャ

足跡。

人間の足跡と思しきものが、ある。

雨で形は崩れているけど、間違いないのだ・・・・

この木の橋は、きっと人間の仕事に違いない。

もしかしたら、男や斧さんが作ったのかもしれないのだ。

「ニャー」

スレンダーネコの、お手柄である。

「ミャ~~ゥ」

探し物が上手なネコなのだ。

・・・・・ついでに、僕が探しているお宝も見つけて欲しいところである。

ドォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・       ォォォォォォォォ・・・・

・・・・                      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

スレンダーネコが、橋の前で僕を見ている。

先に、渡れと言うのだ・・・・・

「ニャー」

じゃ、お先に失礼して・・・・

――トン

幹は太く、安全に渡れそう・・・・・

・・・・・・・・・

滝底から風に舞い上げられた水しぶきが覆って、対岸の森を翳めさせる。

・・・風が強いけど、僕には爪があるので大丈夫である。

危ない時は、爪を立ててしがみつけばいいのだ・・・・

ゴォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・          ォォォォォォ・・・・・・・・

途中、木の幹から川を覗き込む・・・・

激しい水の流れが、すぐそこ。

幹の下を、掠めてるようなのだ・・・・

・・・・・・早く渡ろう。

トトトトトト・・・・・・・・・・・

無事に、反対側に渡った。

「ニャー」

スレンダーネコを、呼ぶ。

ミャ~~    ・・・・・・・・

風と水の音に混じって、スレンダーネコの声が聞こえた・・・・

・・・・・・    ドォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・順調に、橋を渡るスレンダーネコ。

ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ――――――――

ニャ・・・・

突風――

僕の体が、風で少し動かされた・・・・

・・・・すごい風。

風に飛ばされないよう身を伏せて、橋の方を見る。

スレンダーネコは・・・・爪を立てて、幹にしがみついている。

「ニャー」

急ぐのだ・・・・・

なんだか、危険である。

さっきみたいな突風がまた来たら、僕の軽い体は飛んでしまいそうである。

そこで、ゴツゴツした岩の陰に隠れる・・・・・

風は谷の下から吹いてくるので、そっちから隠れるのだ。

ドドドドドドドドォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・ニャ

すごい地響き・・・・・・

上から  ――

僕は、滝の上を見る・・・・・

ゴォォォォォォォ――――        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

すごい水が、降って来る・・・・・・・・

ニャーー

危ないのだ・・・!

身の危険を感じた僕は、とっさに森の方へと駆ける・・・

ドォォォォォォォォォォォォ    ―――――     ・・・・・・・・・・・・・ン

激しく打ち付ける、水の音――

スレンダーネコが危ない・・・・・・

僕は、後ろを振り向く。

――――水に押し流される幹の端っこに、スレンダーネコがしがみついてる・・・・・

ドォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

             ・・・・・・・・・・・・・ォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・   木の幹ごと、水に流されていく  ――――

                          スレンダーネコと目が合った――――

「ニャーーー」

ドォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・    ・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・幹は、谷の底へと流されていった。

スレンダーネコと一緒に・・・・・

・・・・・ニャー

ひ、ひどいのだ・・・・・

一緒に流すなんて・・・・

「ニャー」

僕は、滝に抗議する。

ドォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    ゴロロロロロ・・・・・・

僕の抗議も空しく、さっきまでより水かさの増した川は、流れていく・・・・・・・

・・・・・とにかく、助けに行かないと。

谷底へ下りる道を、探すのだ。

ドォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・         ォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・     ピカピカ――

   ゴロロロロロ・・・・・・        ・・・・・・・・ォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


滝つぼと魚

2008年10月13日 14時33分01秒 | マーロックの日記

ドォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・          ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

      ・・・・・・・・・・・・・・・・         ォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・

滝の、良い音・・・・

なんと、2つもあるのだ。

谷底へ向かって落ちていくのは、右手。

そして左手には、落差30メートルほどの滝が落ちてくる。

谷の近くは、舞い上がった水しぶきで濡れるので、私達は森の中。

そこで、お昼ご飯を食べている。

斧さんのカバンに入っていた、チョコレートバーやアメなどのお菓子。

それに非常食のパックに入っていた、ビスケットを取っておいた。

どれもすぐにエネルギーになる、便利な食事。

マッチョさんが、斧さんのカバンに入れておいたものだろうが、彼に感謝しよう。

こういう事態にでもならなければ、必要はなかったけど。

しっかり食べておかないと・・・・

脳がエネルギー不足になると、変な場所でつまづいたりし始める・・・

崖の多いこんな場所では、転落の危険もある。

まあ、今はまだ大丈夫。

程よい空腹感が、逆に体を軽くしている。

私は、ビタミンとミネラルのサプリメントを、みんなに配る。

栄養も、しっかり摂っておこう。

ドォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・             ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・しかし、もう非常食も食べきった。

今夜の分は、ない。

日没までに、森を出ないと危険である。

カバンに付けてる時計を見ると、お昼の1時を少し過ぎている・・・・

もう、あまり時間がない。

この後、ここから対岸に渡って北上する。

パラシュートのある場所まで行って帰るのが、時間的には精一杯だ・・・・

ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・せめて、雨が止まないだろうか。

川の水かさが増したら、帰りが困る。

これから川に、橋を架けるのに・・・

お菓子を食べるのは初めてなのだろう・・・・モランは、目をパチパチさせている。

でも、気に入ったようだ・・・・

そして休憩もそこそこに、倒木を探し始めた。

川に架ける、大きなのを。

斧さんも、アメを舐めながら、探し始めた・・・・・

イオニも、手伝う。

・・・・・私も、休憩を終えることにする。

ドォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・          ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

      ・・・・・・・・・・・・・・・         ォォォォォ・・・・・・・・・・・

私は一人、森を出る。

滝から滝へ、足場は悪く、岩肌が露出している。

そして雨季には水量が増すのだろう、川の周囲には土や石が見える。

上流から流されてきたのだ・・・・

落ちてくる滝から、落ちる滝までの幅は、50メートルほど。

ゴツゴツした岩を進んでいると、草を見つけた。

よく見ると、所々に草が生えてる。

苔も。

乾期が終わる頃には、この岩場も草に覆われるのだろうか・・・・

ジャリッ・・・・    トントンッ・・・・・・

軽やかなステップで、岩から岩へ飛び移る・・・・

・・・・子供の頃、こういう岩場でよく遊んだのを思い出す。

今思うと、結構危険な場所を、怖がりもせず走ったり登ったりしていたもんだ。

トントン・・・・

足場を確認する。

苔で、足を滑らせたら大変である。

ドォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・            ォォォォォォ・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

左手には、落ちてくる水が作った滝つぼ・・・・

最大で、幅は20メートル位か。

そして、幅6メートルほどの川が目の前を流れて、右手に消える。

ここに来る途中で見たところ、落差は70メートル。

私のいる場所から、岩場が15メートル位緩やかに落ち込んでいて、その先からストンッと滝である。

・・・危ないので、ここより右側には行かないようにしよう。

ドォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それにしても、水しぶきがすごい・・・

それに加えて、雨も落ちてくる。

・・・・・私の仕事は、木を渡す最適の場所を探すことである。

トンッ・・・・・

左側、滝つぼの方へ進む。

滝を見上げると、左右を緑に覆われた、岩の柱の様。

・・・今朝、巨木の上から見た岩肌は、この滝だったようだ。

水しぶきを手で防ぎながら、滝つぼを覗き込む。

・・・・・いた。

魚。

滝と滝に挟まれた、狭い世界である。

しかし、やはり魚はいたな・・・・・

ドォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・      ォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・           ォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さて・・・・

倒木をかける場所だが、実は一見して決めてある。

川幅が一番狭い場所・・・という訳ではないが、岩がくぼんでいて、高さも程よい。

雨季に流されてきたのであろう柔らかな土が、所々に張り付いてる。

私達の、ささやかな橋建設予定地にも・・・・・

おや・・・

足跡。

ビブラム風のソールの形だ。

私の靴じゃない。

イオニたちは、まだ一度もこっちには来てないし、足跡が違う。

・・・・誰のだ。

   ・・・・ォォォォォォ・・・・・・・・    ・・・・・・・・・ォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・        ドォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・         ォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・まあ、私達が来るくらいだ。

他の誰かが来ることもあるか・・・

しかし、ここで諦めたのだろうか。

向こうに渡ったのなら、橋が残っていてもよさそうだ。

それとも、向こうに渡った後、木が流されたのか・・・・

・・・・ホワイトさんではないな。

彼は、少なくとも対岸に降りている。

足を怪我しているから、一人で木を架けるのは無理だろう。

別のルートでこっち側に来たとしても、わざわざここには寄らないだろう。

無理して体力を使うよりは、助けが来るのを待っている方を選択するだろうと思う。

向こう側に、同じ足跡があったら・・・・・

少し、注意した方がいいかもしれない。

マーロックさん――

森の方から、イオニの声・・・・

振り返ると、モランと斧さんが木を引きずっている。

かなり大きなのを、見つけたみたいだ。

イオニは、モランの槍を持っている。

・・・・あそこからは、足場が悪い。

私も、手伝いに行こう・・・・・

ドォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

      ォォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・        ドォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


滝へ

2008年10月13日 13時09分35秒 | マーロックの日記

ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・            ヮヮヮヮ・・・・・・・・

・・・・・・・             ヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・風で揺れる枝葉の音が、雨音と一緒によく響く。

ヒュゥゥゥゥゥ・・・・・・・・

谷の方からは、時おり鋭い風の音も耳に届く・・・・

霧は晴れたものの、雨なので思ったほど森は明るくない。

だが、右手の谷から差し込む光のおかげで、ライトを必要とするほどではない・・・・

ジャッ・・・  ジャッ・・・  ジャリッ・・・    ガササ・・・    ジャッ・・・  ジャッ・・・

私達は、急いでいる・・・・・

何とか、今日中にホワイトさんを見つけたい。

ホワイトさんが森に降りていって、もう2日になる。

対岸に、彼のパラシュートが見えた。

谷底を流れる川は、10メートル以上の幅がある。

向こう側に渡れそうもないので、川上の方へ、谷の上を南下している。

途中、谷は南西方向に向きを変えた。

けどもうすぐ、また南の方へと向きなおす・・・・

ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・          ヮヮヮヮ・・・・・・・

・・・・・・・         ヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・今朝、樹冠の上から森を眺めた。

霧が出ていたけど、大木の樹冠は霧から顔を出していた・・・・

なので、谷間だけ白い帯のように、その存在がよく確認できた。

・・・・そして、その先に岩肌が見えた。

周りを緑に囲まれて、確かに霧から岩肌が出ていたのだ。

おそらく、滝がある。

川幅も、狭くなっているだろう・・・・

   ・・・・・・・・・・・・   ォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・    ォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・        ゴォォォォォ・・・・・・・・・・・・

・・・・・・おや。

滝の音か・・・・・

「モラン」

私は、先頭を急ぐモランを呼び止める・・・・

そして斜面を下りながら、手で合図する。

ここから崖に向かって、結構な急斜面だ。

万一の事もあるので、崖っぷちまで下りる時は、2人で下りる。

私が斜め前に下って行って、モランと合流する。

こうして谷の様子を上から眺めるのは、もう何度か経験している・・・・・

お互い足場を確認して、顔を覗かせる・・・

ゴォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・        ォォォォォォ・・・・・・

・・・・・・・・・        ォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・滝だ。

かなり高い・・・・・・

落差は、70メートルはあるか。

昨晩泊まった巨木の辺りより、谷が深いようだ。

ということは・・・・・・

私は、足元を見る・・・・

ヒュゥゥゥゥゥゥゥ~~~~~~

・・・・・・・・

高い・・・・

落ちたら、助からないな・・・・

ゴォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・        ォォォォォォ・・・・・・

・・・・・・・・・        ォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「・・・・・戻ろう」

モランが、うなずいた。

とりあえず、あそこに行ってみる。

ここから、そう遠くはない。

ガサガサ・・・・・     ガリッ・・・・・

斜面を、登る・・・・

今日は、何度もこの坂を上り下りしている。

高地で気圧が低いせいもあるのだろう、思ったより疲れる・・・・

・・・・登りきった。

「ふぅ・・・」

イオニと斧さんが、待っている。

「どうでした・・・?」

「・・・あったよ」

予定どうり、谷を見つけた。

「もう行こう・・・」

また、モランを先頭に歩き出す・・・・・

・・・滝に着いたら、お昼ご飯にしよう。

ザッ・・・   ザッ・・・    ジャッ・・・    ガサッ・・・  ザッ・・・  ジャリッ・・・・・

ゴォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・          ・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・            ォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・


危ないネコ

2008年10月08日 16時30分43秒 | 黒猫のひとりごと

サァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

森の中に、雨の音が響く・・・・

もう、お日様がだいぶ高い。

朝は霧がすごかったけど、今は晴れている。

ガゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・

・・・・・そして、少し前の方に見える、木の枝の上にはヒョウ。

あんな所から、こっそり僕らを狙っていたのだ。

スレンダーネコが見つけたのだ・・・・・

・・・・・もし気づかずに歩いていたら、あっという間にヒョウの食事になっていたのだ。

「ニャー」

スレンダーネコ、お手柄である。

      ――――――――スタンッ     ・・・・・・・・・・・・・・

身軽そうに、枝から飛び降りたヒョウ。

僕らに見つかったから、隠れている意味が無くなったのだ。

「ガゥゥゥゥゥ・・・・・・・」

・・・・・こ、これはピンチなのだ。

スレンダーネコは、背中に子ザルを乗せている。

僕がヒョウを引き付けている間に、逃がす必要があるのだ。

しかしその僕も、歩き疲れている上に、お腹が減っているのだ!

ニャー

スモークサーモンが食べたい・・・・

ガササ・・・    ガササ・・・

特に躊躇することもなく、近づいてくるヒョウ。

「ニャー」

今のうちに、逃げるのだ・・・・・

「・・・・ミャ~~ゥ」

僕の意図を察して、スレンダーネコが後ろに下がる・・・・・

ニャ

ガサガサガサガサ・・・・・・・

ヒョウの歩みが、速くなった。

・・・スレンダーネコを狙っている。

・・・・・そりゃそうなのだ。

子ザルを背中に乗っけてるので捕まえやすいし、一度で2匹捕まえれるのだ。

「ニャー」

しかし、そうは行かないのだ!

ダッ  ――――    トントン   トトトトトト     ・・・・・・・・・

軽やかな足取りで、ヒョウの前方を横切る・・・・・・

・・・・・歩きながら、ヒョウが横目で僕を見た。

こっちなのだ。

・・・・・・     ダダッ  ・・・・・     ダッダッダッ・・・・      ダダダンッ ――――

ヒョウが飛び出した――――

僕は無視である!

「ニャー」

なんかくやしいのだ!

――――ダンッ

僕の後ろ側を走り抜けたヒョウに、飛び掛る――――

ガブリ    ・・・・・・・・

ヒョウのお尻に張り付いた僕は、噛り付く。

「ガォォッ」

ヒョウが、ダンスを踊るようにお尻を振った・・・・・

・・・・・・    そして僕は、振り払われたのだ。

     スタッ――

地面に叩きつけられることなく、上手く着地した。

「ガルルルルル・・・・・・」

ヒョウが、怒ってる・・・・・

ニャー

ゆるして・・・

・・・・でも、目的は達した。

スレンダーネコは、上手く木の間を縫って、死角に消えたのだ。

後は、僕が上手く逃げればいいのだ。

サァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・         ァァァァァァ・・・・・・・・

・・・・・・           ァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・

「ガゥゥゥゥゥ・・・・・」

・・・・・・・・・

「ニャー」

僕はおいしくないから、帰った方がいいよ。

ガサガサ・・・・・

ヒョウが、動く――

――僕の背中には、大きな木。

          ダンッ        ――――――――

ものすごいジャンプで、僕に襲い掛かるヒョウ・・・・・・

ネコジャンプ!

ダァァァン    ・・・・・・・・

――――ヒョウが跳びかかって来るのに合わせて、ネコジャンプ。

高く高く跳びあがる――――

すぐにヒョウも、僕めがけて飛び上がってきた   ・・・・・・

トン――      ダンッ                      ――――

後方の木を使って、二段跳びなのだ!

                  ――――ストンッ     ダッ    ・・・・・・・

着地と同時に逃げようと思ったけど、やめた・・・・・

・・・・・思った以上に、疲れているのだ。

いつもより高く跳べないし、動きも遅い。

「ガゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・」

これでは、逃げてもたぶん追いつかれる。

上手く飛び回って、ヒョウの意気を殺ぐ方がいいのだ。

・・・・・・次は、逃げ切れるかな。

「ガゥガゥゥゥゥ・・・・」

ヒョウこわい・・・・・

ガサッ  ガサッ

ニャ

       ガササッ     ダンッ――――

ヒョウが小刻みにステップを踏んだ後、いきなり飛び掛ってきた・・・・・

ジャァァァァ・・・・・・

何とか横跳びで避けた――

――――ヒョウが、すぐに横に跳ねた・・・・・

僕が避けるのも、予想していたのだ。

    ――――もう、ここまでなのだ      ・・・・・・・・・・

「ニャーーッ」

ドシン――――      ザァァァァァァァ・・・・・・・・・

!・・・・・

      ・・・・・・・・ダッダッダッ    ・・・・・・・・・

円を描くように走りながら、僕は後ろを見る。

ヒョウが、転げてる・・・・・

「ミャーーッ」

スレンダーネコである!

ヒョウに、体当たりしたのだ。

「ガゥゥ」

ヒョウが起き上がって、ブルブルしてる。

た、助かったのだ。

「ニャー」

スレンダーネコが、戻ってきた。

きっと、子ザルはどこかに隠したのだ。

・・・・・・スレンダーネコは、いつも助けてくれるのだ。

いいネコ・・・・

サァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・             ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ヒョウを中心に、僕とスレンダーネコは前後に距離をとっている。

いまだに、ピンチなのだ。

あのヒョウ、思ったより細かい身のこなし。

スレンダーネコも、疲れてるはず。

子ザルをずっと、背中に乗せてたのだから。

・・・・次は、上手く避けれるかな   ・・・・・・・・・・・

「ニャー」

もうお家へ帰ったら?

「ガゥゥゥゥ・・・・・」

僕の説得空しく、ヒョウは帰ってくれない・・・・

・・・・・・・・・・・ァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・       ザァァァァァァァァァァァ・・・・・・・

・・・・・・               ・・・・・・・・・・・・・ァァァァァァァァ    ・・・・・・・

雨が、少し強くなった・・・・・

    キィィィィ――――

ニャ

子ザルの声・・・・

僕とスレンダーネコと、ヒョウは、声のほうを向く。

・・・・・子ザルが、こっちに這って来る。

「ニャー」

何してるのだ!

危険である。

スレンダーネコが、せっかく隠したのに。

ダンッ     ――――

僕らを無視して、ヒョウが子ザルの方へ飛び出した!

しまったのだ――

飛び出しが遅れた・・・・・

――――きっと、スレンダーネコに置いて行かれたと思って、追いかけてきたのだ。

・・・・バカな子ザル。

ヒョウの後ろから、僕とスレンダーネコがついていく・・・・・

でも、もう間に合わない。

     ――――――――    ニャァァァッ

子ザルが――――

    ドシンッ      ・・・・・・・・・・

ニャ

いきなりヒョウが止まったから、お尻にぶつかった。

「キィィィ」

子ザルの鳴き声・・・・・

「・・・・・・ミャ~~ゥ」

とっさにヒョウから距離をとった僕とスレンダーネコは、子ザルの方を確認する。

・・・・・生きてる。

ペロペロ・・・・・・

で、でもヒョウが子ザルをなめてる。

やっぱり食べるのかな・・・・

「キィィィ・・・・」

・・・・・そうも、そんな感じじゃないのだ。

ヒョウが、子ザルをかわいがってる。

まるで、母親のよう・・・・

・・・・・ヒョウが、子ザルを産んだのだろうか。

ニャー

そんなわけないのだ。

パク――       トントン――    バサッ     ・・・・・・・・・・

子ザルを銜えて、ヒョウが木の枝の上に跳びあがった。

・・・・・・下から見上げる僕。

「ウキッ」

逃げようとする子ザルを引き寄せて、かわいがってる。

殺気はない・・・

「ニャー」

「・・・ミャ~~ゥ」

僕とスレンダーネコは、きつねにつままれたよう。

ザァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

         ・・・・・・・・・・・・・・・ァァァァァァァァァァァ        ・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・       ザァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・