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心地よい風が、雨上がりの森を吹き抜ける。
私達は、西側の谷底を北上中。
昨日いた東側と違って、西側には谷底まで深い森が広がっている。
とはいえ、川沿いまで広がってはおらず、私達はその川沿いに歩いている。
太陽は西に傾いており、空を見上げると、もう薄っすら暗い・・・・・
ここからだとすぐ左手の森と、崖上の森が邪魔して、太陽は見えない。
でも、右手・・・東側の崖を見ると、まだ太陽が照らしてピカピカ水滴が光っている。
谷の幅は、平均すると1キロメートル位はありそうだ。
この辺りの崖は、高さ50メートル程か・・・・
でも、谷底にも高い木が茂っており、それほど崖が高い印象は受けない。
川は幅100メートル程で、丁度谷の真ん中辺りを流れている。
サラサラサラサラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・ サラサラサラサラサラサラサラサラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
雨で激しくなっていた川の流れは、ずいぶん穏やかになった・・・・・
川の東側にはまだ日の光が届いており、時折、反射した光が目に届いてまぶしい・・・・
東側に、昨夜私達が泊まった巨木が見える。
・・・・・・・こっちから見るとよく分かるが、やはりでかい。
あの巨木のいた斜面は、かなり谷底までせり出ていたようで、その辺りだけ様子が違う。
きれいに線を描いていた崖が、そこだけ斜面で盛り上がっているのだ・・・
崖崩れでもあって、ああなったんだろう。
おかげで、昨日は助かった・・・・
ガサ・・・・
・・・・黒猫が、私のフードの中で、動いた。
目が覚めたか・・・・
無事に斧さん達と再開した私は、予定どうり、一緒にいた黒猫をカバンに入れた。
しばらく大人しくしていたが、その後、暴れだした。
しょうがないので外に出すと、フードの中で寝た。
寝るんなら、カバンの中でもよさそうなもんだが・・・
黒猫は、このフードの中がお気に入りらしい。
ちなみに、ホワイトさんとスレンダー猫も一緒だった。
斧さんの話によれば、黒猫がホワイトさんを見つけたらしい・・・・・
・・・・・・まあ・・・・なかなかである・・・・・
スレンダー猫は、斧さんのカバンの上で、寝てる・・・・
よほど疲れていたのだろう。
・・・それにしても、野生の猫なのに人間をあまり警戒しないな。
サラサラサラサラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・ サラサラサラサラサラサラサラサラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ホワイトさんを見つけるという当初の予定を、思わぬ形で達成できた。
彼は右の太ももを怪我しているが、思ったほどひどくはない様。
やや歩きずらそうだが、自分で歩いている。
パラシュートで脱出した際、コントロールを失って、風に流されていた・・・
あれは、脳震盪を起こしていたらしい。
あの脱出の時、ホワイトさんは最後まで墜落地点を調整していた。
森に落ちないよう・・・・・集落に落ちないよう・・・・・・
なるべく何もないところを目指していた。
そして自分が脱出しようとした時、突然の振動で頭を強打した・・・・
気がついたら森の中だったようだ。
あの時の前後は、記憶があいまいな様・・・・
パラシュートは木に引っかかっていたから、どうにかして降りたんだろう。
ここは、赤道に近いとはいえ標高1000メートル以上はある。
そして、森の中は結構涼しい・・・・・
夜になると、寒い。
一昨日も雨が降ったし、昨日も雨がよく降った。
ホワイトさんは、雨風をしのげる寝床を見つけて、そこで寝ていた。
助けが来ると信じて、あまり動き回らなかったようだ。
明るい内は、谷間を歩いて空の様子を見ていたそう・・・・
救助のヘリコプターが来ると思っていたようだ。
まさか、私達が来るとは思っていなかったようである。
サラサラサラサラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・ サラサラサラサラサラサラサラサラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・ホワイトさんを見つけたので、無理をしてでも今夜のうちに村に帰るという選択も出来た。
しかし、ホワイトさんが今夜も森で過ごした方が良いだろうと主張した。
・・・確かに、対岸に渡ればある程度の道は分かるが、それでも森で迷子になる可能性は高い。
結構走り回って、みんな疲れてもいる。
ホワイトさんはいい寝床を知っているようだし・・・・
何より、まだ非常食があるという。
私達は、ブラウンさんから3日分の非常食を貰った・・・・
でも、1人分を4人で食べたので、一日で無くなった。
しかし、ホワイトさんは一人だった上に、節約して食べていたようだ。
まだ、5人が一晩食べるぐらいはあるそうだ。
無理することもないので、今夜も野営である。
そうと決まれば、今度は時間が有り余る程ある・・・
日が沈むまでの時間を利用して、ひげゲリラを探すことにした。
生きているかは分からないけど・・・・・
その為、谷底を北上しているのだ。
モランが、上から突き落としたので。
「この辺りだね・・・・」
対岸で、モランがパラシュートを見つけたとき、この辺りの地形を覚えておいた。
こっち側に来た際、場所が分かるように。
でも、確認するまでもなくモランが見つけてしまったけど・・・・
谷がやや西側に曲がっているのと、川が東側に寄っている。
そのせいで、直下の川が確認できなかったのだ・・・・
森に隠れて。
こんな形で、役に立つとは思わなかった。
私はライトを付けて、森の中に入る。
ホワイトさんも、自分のライトを持っている。
斧さんは頭にライトを付けていて、蛍光灯にもなるやつは、モランがもってる。
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・・・・モランは、ひげゲリラを探すのがお気に召さない様子である。
まあ・・・私達を殺そうとした相手だ・・・・
・・・・でも、イオニによれば、それだけではない様だ。
ゾウの密猟者に似ているのだという・・・・・
・・・最近ではだいぶ数が減ったようだが、それでもゾウの密猟は行われている。
ゾウの牙が目的である・・・・
高く売れるから。
現在、ゾウは多くの国が締約する条約によって保護されており、取引は基本的に出来ない。
だが、条約の常設委員会によって、一度だけ限定的に貿易が許可された。
許可されたのは、私の祖国だけ・・・・
条約によって象牙取引が禁止される前、私の祖国は最大の象牙輸入国だったからだ。
今も需要はあり、今年も常設委員会による競売がある。
私の祖国の隣、非常な経済発展を続ける新興国も、とても欲しがっている。
そんな訳で、今年の競売には、2カ国で参加する。
需要は増えているのに、数は少ないので、価格は高騰する。
そうすると、密猟の利益は上がる。
今年は、昨年よりも密猟の被害が多い。
限定的とはいえ、取引が行われることで、消費者の需要を刺激する。
そのことが、密猟者達に誤ったメッセージを与えてしまう。
ポーーー ポーーー ポッポッ ポッ・・・・・ ポーーーー
そして私の祖国にも、密猟品が輸入されている。
特に、高く買い取るのだという。
昨年と一昨年にも、私の祖国でそれぞれ約3トンの密輸入象牙が押収された。
ゾウ100頭分を越える量である。
密猟者からゾウを守ろうとして、命を落とす保護活動家もいる。
この大陸全体では、年間1万頭を越えるゾウが、密猟の被害にあっているという。
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密猟にあったゾウは、牙ごと顔面を切り取られる。
そんなゾウの死骸を、モランも見たことがあるのだろう・・・・
・・・・・ただ、ひげゲリラは密猟者ではないと思うけど。
「アゥ・・!」
斧さんが、何か見つけた・・・・
・・・おや。
光の先には、ひげゲリラ・・・・
こんな簡単に見つかるとは。
地面に倒れている。
ザッ ザッ ザッ ザッ ・・・・・・・・・・
駆け寄る。
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・・・・動かないが、息をしてる。
まだ・・生きている・・・・・・
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