水路の側

2014年07月31日 15時41分21秒 | マーロックの日記

                                             ・・・・・・

                パチン  パチ パチ    ・・・

    バチッ  ・・・    チチチ   ・・・

いいにおい・・・

キッチンテーブルでカレーを作っているから。

レトルトのハンバーグもつくる様。

水でもどすお餅もあるけど、それも食べる様。

非常食は私が買っておいたけど、どれを食べるのかはコックさんに任せている。

「炊けたよ」

カールさんと斧さんが、炊きたてご飯をキッチンに運んでる。

もう、できそう。

          ト         ト

ハットさんが目の前を通過した。

水路のそばに石を置いて、マルチやマッチョさんが話してる。

明日は、私たちも黒ブローカの計画を手伝う。

ケープちゃんの兄と、誘拐されている女性を助けるために。

上手くいけば、衛星電話で助けも呼べる。

「だいたいこんなもんかな」

紙に、中継拠点の見取り図を描いている。

「そうだね」

ウサギを見ていたヘテロも、戻っている。

「写真に撮ろう」

「?」

       パサ

                       カシャ

石に見取り図を置いて、マリオットさんが写真を撮った。

「どうするのかね」

「プリントします」

「プリンターがあるのか?」

「うん」

マリオットさんは、筒型のプリンターを持ってる。

以前雪山で、地図を同じようにプリントしてくれた。

     

マリオットさんは、自分のツェルトに向かった。

「ここが武器庫」

「・・・・」

私も、あとで1枚もらおう。

       ト    ト

カレーのにおいに誘われて、ケープちゃんやフワリさん、レトリバーも戻ってきた。

「キキ」

リスをのせた黒猫と黒ブローカもいる。

「続きは後にして、先に君らが食べなよ」

「・・・ありがとう」

まず、お腹を空かせているヘテロ達5人が先。

「クゥ」

「・・・」

さっきから、頭にメジロをのせた子ネコがチワワを追いかけている。

チワワはゆっくり逃げていて、子ネコもそれに合わせてゆっくり追ってる。

散歩なのだろうか。

「おかわりあるからね」

「ありがとう」

       カチャ

「できたのか」

ノッポさんも来た。

          パチチ   パン ――

                              パチチ

たき火には、用意しておいた次の飯盒3つがかけられた。

「僕が見るから、先に食べてきなよ」

「ァゥ」

私と斧さんとスコップさんは、今日はよく歩いたから5人の次にもらえそう。

うれしい。

「おいしい」

新しい湿布を張ってもらった黒ブーツが、おいしそうに食べだした。

「あった」

おや。

枝ワゴンのそばに置いてあったマッチョさんのバックパックから、ケースが出てきた。

透明。

「マップケースかね」

「はい」

プリントした見取り図を入れるケースの様。

「マロックさん」

もう、私の順番。

「ありがとう」

ノロマさんからカレーの盛られたプレートをもらう。

「そのハンバーグは?」

「カレーの後だ」

・・・コックさんは、ハンバーグはくれなかった。

私たちがおかわりすることは分かっているらしい。

         

とりあえずカレーを持って、私のイス石に向かう。

お茶の入ったボトルはすでに置いてある。

「ニャー」

黒猫が来た。

下からみんなのプレートをキョロキョロ見ている。

自分のごはんがないか探している様。

「キキ」

       ト    ト

そして、ノロマさんの所に向かった。

              パク

                        モグ      モグ

おいしい。

イス石に座る。

「みんなおかわりすると思うから、もう少しまってくださいね」

「ああ・・・私は後で大丈夫だよ」

「それに入れるの?」

「はい」

「2つあるのか」

「私も1枚もらえるかね」

「はい」

      モグ     モグ

横目で、黒ブローカを見る。

「・・・・」

パクパク食べているから、おいしい様。

                  パチン

                                 バチチ

「マロックさん、見ますか?」

「うん」

マッチョさんが、見取り図をくれた。

マップケースは2つある様で、そのひとつをくれた。

          パサ

足元に置いて、ランタンの灯りで照らす。

                      モグ    モグ

「・・・・」

私にケース入りをくれたのは、カレーをこぼすとでも思ったのかな。

でも、私はこぼしたりはしない。

見取り図を見ると、ずいぶん大きな建物の様。

本当にツリーハウスなんだろうか。

「クゥ」

チワワが来た。

「・・・・」

私を見て、見取り図を見た。

「・・・」

子ネコも来た。

            ノソリ

そして、子ネコは見取り図の上で丸くなった。

だから、見えない。

私の手は、プレートとスプーンを持っているので、足で子ネコをつつく。

         バシ

ネコパンチで反撃してくる。

「ごはんだよ」

「ミャ~」

フワリさんが、子ネコを連れ去った。

「クゥ」

チワワもそれを追って去った・・・

            パチチ  ・・・

                            チチチ

                                                 ・・・・・


影にあてる

2014年07月29日 14時18分30秒 | 黒猫のひとりごと

                       パチチ  ・・・

            パチン                    ・・・

ヒツジの影・・・

たき火に照らされた影が、石の床に伸びている。

僕の影をその影に近づける。

         クィ ・・・

前足をあげて、ヒツジの影の頭を僕の影でタッチする。

                 ――  シュッ

続けて、ネコパンチの影で頭をたたく。

「メ~」

ニャ

子ヒツジが鳴いた。

ネコパンチは、影にあてても痛いのかな。

「クゥ」

チワワが来た。

すると、子ヒツジの影の上にチワワの影。

                ・・・

僕は慎重に前足を動かして、チワワの影の頭に合わせる。

                           シュ ――

そして、影でネコパンチしてチワワの影の頭をたたく。

「クゥ」

「!」

今度も、チワワが鳴いた。

「・・・」

すごいのだ。

僕は、新しいネコパンチを覚えたのだ。

影の位置を合わせるのに、まだ時間がかかる。

もう少し練習が必要である。

       ト    ト

チワワが去る。

ウサギの所に行く様。

                  パチチン  ・・・

「チュ♪」

マヒワが、枝ワゴンの枝にいる。

                          パチ   チチチ  ・・・

たき火でご飯を炊いていて、斧さんが座ってる。

その向こうには、黒ブーツとスコップさん。

僕はチワワを追う。

              ト    ト

                        パン  ・・・

                                    パチチ

空洞の入口辺りの水路は、幅が広い。

もう水の流れはないけど、チワワは飛んで渡ることができない。

だから、先にたき火のある方に渡ってから向かっている。

・・・たき火のある方の入口に、ウサギがいる。

そこに向かう途中に、トイレがある。

石の屋根の雨漏り滝は、雨が止んだからいない。

             ト   ト

だけど、滝壺の所にはまだ水たまり。

その縁に座って、黒ブローカが上見てる。

「・・・」

僕も上見る。

斜めになってるけど、少し空が見える。

ちょっとだけ、星もみえる。

「・・・・」

おや。

黒が僕を見てる。

「ニャー」

石の屋根に乗ってあそこに行けば、上から中が見えると思うよ。

「・・・・」

僕は黒ブローカに教えてあげて、去る。

     ト        ト

チワワは上を見なかったから、少し前にいる。

          ――  タ ッ

僕は走る――

                          タ      タ

「!」

チワワをあっという間に追い抜いた。

                                            ザヮヮヮ  ・・・

「・・・どうした?」

「ニャー」

僕はチワワよりも早く入口に来たのだ。

チーフさんとヘテロと、ケープちゃんとフワリさんがいる。

水路の向こう側には、ガードさん。

「・・・・」

石の屋根の外に、カールさんもいた。

ケープちゃんは、レトリバーにもたれて寝てる。

背中には毛布。

「・・・」

レトリバーは、おとなしく伏せて動かない。

「おこしちゃダメだよ」

フワリさんが、僕の頭を撫でた。

ランタンの灯りは、レトリバーとケープちゃんの影を石の床に伸ばしている。

もうすぐご飯だし、僕が影ネコパンチで起こすのだ。

「クゥ」

「ピィ♪」

メジロもいた。

ヘテロは、目の前の子ウサギとリスを見てる。

リスが、小刻みに動く子ウサギの鼻を前足で押さえてる。

「キキ」

リスが僕に気づいてチラチラ見てる。

ふふん。

僕は少し動いて、僕の影の位置を調整する。

あらかじめ前足を伸ばして、影の動きを確認しない。

いきなりネコパンチで、影をたたくのだ。

「・・・」

                ――  シュ

ニャ

上手く僕の前足の影は伸びたけど、チワワの影が来たからチワワの頭にあたった。

「クゥ」

チワワはケープちゃんの横で、シッポ振ってる。

「・・・」

リスは、子ウサギの鼻にタッチしたまま僕の様子を見ている。

僕のネコパンチは空を切ったのに、チワワが鳴いたから不思議なのだ。

                            シュ ――

僕のネコパンチの影は、ケープちゃんの頭の影にあたった。

「・・・」

「クゥ♪」

・・・ケープちゃんが目覚めた。

「キキ!」

成功した。

僕はリスを見る。

「・・・」

リスは気付いたのだ。

僕の影ネコパンチに。

「♪」

「ピィ♪」

「もうすぐごはんだよ」

「うん」

「・・・・」

ヘテロが僕を見ている。

僕の新しいネコパンチに、気づいたのかな。

僕は丸まる。

リスも僕の上に乗って、耳を引っ張る。

ごまかすのだ・・・

             ピィ ♪

                          ・・・・   ヮヮヮヮヮ

                                          ヒュルルゥゥゥ   ・・・・・


夜になる

2014年07月27日 17時40分09秒 | マーロックの日記

                                         ・・・・  ゥゥゥ

                               ―――

                    ――  ・・・

    パチン  チチチ   ・・・

みんな集まってくる・・・

私と斧さんとスコップさんが戻って来たからだけではない。

黒ブローカ達5人も一緒だから。

ヘテロが持っていた拳銃は、私が預かった。

空洞に戻ってから、マッチョさんに渡した。

5人ともお腹を空かせているので、空洞まで夕食を食べに来るように私が勧めた。

「昨日の雨は大丈夫だったの?」

「うん・・・」

みんな話してるから、私はキッチンテーブルに向かう。

コックさんは一人だけそこにいて、飯盒にお米を入れて水につけて準備してる。

私たちが戻った時には、すでにいくつかはつけ置いてあった。

新たに準備しているのは、5人増えたから。

「すぐに炊けますか?」

「ああ」

カレーを作る様。

飯ごうの数は十分ある。

ただ、このたき火では一度にはすべて炊けない。

炊けたものから、順番に食べていく。

「・・・・」

斧さんも来た。

「炊こう」

「ァゥ」

        パチ    パチチ   ・・・

                        ・・・  ――

「また君が見つけたのか」

「ミャ~ゥ」

ハットさんがニャッティラと会話してる。

状況はスコップさんが説明している。

「トイレを借りていいかい?」

「うん」

「一番奥の使ってね」

「わかった」

                ゴト     ゴト

木の棒に3つ、飯盒をかける。

ひとつ4合。

                      カタ

火の上にかける。

棒を置く台は、石で作った。

「・・・」

シロネコが来て、斧さんが座った石の横に座った。

炊くのは斧さんに任せる。

            パタ

メタボネコは、たき火の側にいる。

              パチ  パチッ ――

                               パン  ・・・

枝ワゴンは2台あって、枝がたくさん入ってる。

昼のうちに、集めておいた様。

ぎりぎり日没までに戻れた。

「!」

         ト    ト

私が空洞の上に向かって歩いていると、黒猫が来た。

リスと子ネコも一緒。

                   ・・・  !!

                               ――   ・・・

説明を聞いているみんなを背に、私は石の屋根を目指す。

空洞の水路には、水が流れていない。

くぼみに水は残ってる。

       

                     ニャー

黒ブローカー達5人も、この辺りを歩くのは初めてだったので、少し迷ったらしい。

今朝まで降っていた激しい雨は、大きな石を利用してタープでしのいだ様。

ツェルトも、ガードさんたちがいくつか貸していた。

コックさんがあげた非常食は、もう食べきっていた。

黒とヘテロは、灰ブローカと3人組。

その灰ブローカーは、中継拠点にずっといた。

結局私は見ていないけど、拠点というのは大きなツリーハウスらしい。

今日、ヘテロが拠点にこっそり近づいて、灰ブローカが窓の外を見るのをジッと待っていた。

上手く呼び出して、現在の状況を聞いていたところに、ニャッティラを追っていた私たち3人が現れた。

                          キキ

            ト トト      ト

中継拠点よりも南、私たちのハウスボートがある川をずっと下った場所に、ここのブローカー達のアジトがある。

もともとマルチやヘテロ達は、そこに向かっていた。

ケープちゃん達3人を連れて。

そのケープちゃん達を逃がそうとしたのは、本当に予定外の行動だった様。

3人の内、ケープちゃん以外の2人は捕まった。

その2人を連れ戻した連中は、この中継拠点に戻った。

まだ、2人ともそこにいる。

黒ブローカ達がボートを壊したので、新しいのが来るまで移動できなかったのである。

灰ブローカーは、黒とヘテロが遭難したと思って心配していた様。

そこに今日、ヘテロが現れた訳である。

           ト     ト

中継拠点には、現在10人いる。

誘拐されている2人を合わせると、12人。

組織の人間は3人で、7人はマルチやヘテロの様に雇われた人。

そして明日、代わりのボートが来る。

ボートには食料などを運ぶ役目もある様で、明日来るボートは食料も満載で来るらしい。

その前に誘拐されている2人を助けないと、一緒にアジトに運ばれる。

アジトには、そのまま外洋に出る船が来るらしい。

時間がない。

なので明日、黒たち5人は中継拠点を襲撃する。

ただあの川を下っても、途中で倒木が川を塞いでいるけど。

火薬で吹き飛ばすかもしれない。

     

                                    ・・・   ゥゥゥゥ   ・・・・

空洞の出口が、まだ薄ら明るい。

           

                        ザヮヮヮ   ・・・

                                       ・・・・   ヒュルルゥゥ  ・・・

            ピピ ♪

明るい。

・・・もう薄暗いんだけど、空洞の中は暗いから出ると明るい。

太陽は沈む直前。

空の半分は暗い。

星も見える。

この時期、この辺りは夜が16時間ある。

今夜、その間に灰ブローカーが銃や弾倉を運んでおく。

昼過ぎに、6人が話していた辺りに。

それが可能ならで、無理はしない事になっている。

こんなところに関係ない人は来ないので、警備も気が抜けているらしい。

そして明日の朝、アジトへの連絡に使う衛星電話を灰がこっそり隠す。

場合によっては破壊する。

その後、朝食の時に拠点の武器部屋を燃やす。

拠点にいる10人は、常に銃は持っている。

でも拳銃くらいで、ライフルなどは持っていても数人。

弾倉などは、ほとんどが武器部屋にあるという。

それを燃やせば、拠点は火災になる。

その消火で混乱しているところを、襲撃する。

灰ブローカが上手く武器や弾倉を外に運び出せていれば、銃撃戦で向こうの弾切れを狙う。

・・・敵を殺すのが目的ではないので、可能な限り無抵抗にしたい様。

そうでなければ、奇襲する予定だと言う。

武器部屋を燃やせるかどうかが、肝心となる。

すべてがうまくいけば、やって来たボートを奪って黒たちはアジトに向かう。

理由は教えてくれないけど、そこに用があるらしい。

その後で私たちが行けば、衛星電話で警察を呼べる。

仮に灰ブローカが衛星電話を壊していたら、カールさんとチーフさんが修理を試みることになる。

たぶん、部品はあるという事である。

           ピピピ  ♪

                             ・・・・   ヮヮヮヮヮヮヮヮヮ  ・・・・

空のふちが白い。

もう、夜になる。

ヘテロやマルチは、5人で襲撃するつもりの様。

敵は10人。

ただ、灰ブローカーは仲間なので6人と9人。

数では負けている。

空洞内では、マッチョさんたちも同じことを聞いているはずである。

たぶん、私たちも手伝う事になる。

マッチョさんやシャープさんなら、そう言うだろう。

私もそのつもりである。

もちろん私たちの目的は、誘拐された2人の救出である。

黒たちの計画が失敗すれば、奇襲して2人を助けるしかなくなる。

その場合、人数が多い方がいい。

・・・黒ブローカが私に中継拠点の事を話したのは、最初からそれをあてにしていたのかもしれない。

「ミャ~ォ」

足元には、黒猫と子ネコが並んで座ってる。

リスは私の足に移って、上に来る。

石の屋根はそんなに広くはないけど、全体が少しくぼんでいるからそう危ない感じではない。

空洞の出口の近くには、深いくぼみがあって水がまだある。

空を見る。

「・・・・」

ふちを見ている間に、空には星がたくさん。

      キキ

肩にリスが来た。

一緒に空を見てる・・・

 ・・・

      ピピチュ ♪

           ・・・  ザヮヮヮヮヮヮヮ

                           ・・・・・  ゥゥゥゥゥゥ

                                           ゥゥゥゥゥゥ   ・・・・・・

       ・・・・


転がる

2014年07月25日 13時51分50秒 | 黒猫のひとりごと

                                   ゥゥゥゥゥゥ   ・・・・・・

                       ・・・  ォォォォォォ

           ォォォォォォォォ

森がゆれてる・・・

僕の前で。

石の屋根にいるから、森の上がすぐそこに見える。

風が強くて葉っぱは揺れて、たまにヒラヒラ飛んでいく。

枝と葉の音は、少し下から聞こえる。

     サヮヮ

僕と森の間には、リスのシッポがゆれている。

「・・・」

僕が森を見ていたら、その前に来て森を眺めているのだ。

       ピピピ  ♪

小鳥の歌も、少し下から聞こえる。

                ・・・・  ザヮヮヮヮヮ   ・・・・

空には雲がいなくなっている。

朝まであんなに雨が降っていたのに。

「ニャー」

僕はお日様に鳴いてみる。

                          ヒュルルル   ・・・・

返事はない。

もう空のふちにいて、帰る前。

最近のお日様はすぐ帰るのだ。

      チャプ

子ネコが、水たまりで遊んでる。

屋根の上には深いくぼみがあって、そこに水がある。

雨のときは、そこから水が溢れて空洞まで流れてきていた。

空洞に戻る出口に向かう。

屋根の上から見ると、深い空洞の様。

                                   ゥゥゥゥゥゥ

          ――  ト

空洞の中は暗い。

    ブルブル

目が慣れるまで、少し待つ。

前足で辺りを探る。

斜面にあふれていた水は、もういない。

水路の水も少しで、もう流れてはいない。

            タ          タ

                              ――  タ タ

空洞から来る少しの光で、斜面を下る。

まだ目は慣れていないけど、走って下りるのには十分である。

      ――  ♪ ♪

                   ・・・・

                       パチ  パチ  パチチ   ・・・

コックさんがいる。

今日のごはんを考えているのかな。

「ニャー」

僕はスモークサーモンが食べたい。

「・・・・」

コックさんは僕を少し見て、食材ボックスを見た。

僕の意見を検討しているに違いない。

    ト   ト

返事を待たずに、僕は去る。

子ヒツジがいない。

きっとウサギの所。

           ミャ~ォ

子ネコの声が、上から聞こえる。

僕が置いて行ったから、追いかけてきたのだ。

でも待たない。

            タ   タ

入口の近くにいるウサギの所に向かう。

                       ――  タ

僕が軽やかに駆けていたら、走って来た子ネコが隣に来た。

「ミャ~」

「ニャー」

「キキ」

子ネコの上にはリス。

        ―――

いた。

ケープちゃん達もいる。

子ヒツジもいた。

「ニャー」

「♪」

シートを敷いて、その上にいる。

子ヒツジは伏せて昼寝。

それを背もたれにしたケープちゃんのひざには、母ウサギ。

       ムシャ

隣の草カゴから飛び出した草を、食べてる。

ノロマさんとフワリさんもいる。

伏せたレトリバーの上に子ウサギをのせて、遊んでる。

「・・・」

子ネコは、ノロマさんの横で丸まった。

寝るのかな。

    パタ

ランタンライトにネコパンチしたら、こけた。

僕はのびる。

  ――

あくびしていたら、ノロマさんが僕を撫でる。

僕は横に転がる。

        パタ    パタ

シッポの先でシートをたたく。

僕も休憩する・・・

             ・・・

                          ・・・・

                                     ヮヮヮ

                                                ・・・・・


耳と音

2014年07月23日 14時31分42秒 | マーロックの日記

                      ザヮヮヮヮヮ   ・・・・

                                       ヮヮヮヮヮヮヮ

            ピピピ  ・・・

頭に水があたった・・・

もう雨は降っていないけど、樹冠から水滴が落ちてくる。

時折、薄い霧に包まれれる。

風が強いので、少し待てば流れていく。

お弁当を食べた後、少し南に戻って西の川を目指している。

空は晴れて、森の中にも太陽の光が届く。

霧が、あちこちで木漏れ日を浮かび上がらせている。

カッパは上も下も脱いだ。

地面はぬかるんでいるし草も濡れているから、ゲイターはつけている。

先頭は私で、次にスコップさん、最後が斧さん。

ニャッティラは私の横にいる。

耳をしきりに動かしている。

バックパックに付けている、ストップウォッチを見る。

もう午後の2時。

そろそろ空洞に向かわないと、日没までに戻れない。

        ジャリ  ・・・

                       ジャリ  ・・・

「!」

            ――  タ  ・・・

おや。

ニャッティラが私の前に出て、左側を見てる。

「・・・・」

何か聞こえたのかな。

       ジャリ  ・・・

私は歩くのをやめて、後ろに手で合図する。

「・・・」

ニャッティラは私が気付いているのを確認して、歩き出した。

               タ  ・・・

付いて行く。

ネコは耳がいい。

集中していれば、かなり小さな音でも正確に聞き分ける。

ニャッティラを信じてついて行く。

「・・・・」

コンパスを見る。

ほぼ南。

バックパックのウエストベルトは、サイドに収納できるのでそうしている。

チェストストラップを外せば、すぐにバックパックは地面に落とせる。

後ろを見る。

歩く速度が落ちたので、スコップさんと斧さんが迫っている。

スコップさんは何も言わない。

私がニャッティラを追っているのには、気づいている様。

      ――

                        ヮヮヮヮヮヮヮ

                                      ・・・・   ヮヮヮヮヮヮ   ・・・・

    ――  ・・・

「・・・・」

誰かいる・・・

     ――

そっと、チェストストラップを外す。

                

バックパックを静かに置いて、杖だけ持って進む。

チラッと後ろを見ると、私の様子で2人も誰かいると理解してくれた様。

霧が流れて、よく見えない。

木の根元で、霧が流れるのを待つ。

「・・・分かった」

「じゃあ、明日」

この声・・・

                     ザァァァァァァァァ   ・・・・・

                                          ・・・・・・・・・

・・・霧が晴れる。

「!」

――ひとりこっちを向いていて、目があった。

「あ・・・」

ヘテロと黒ブローカー。

それに、マルチ達3人もいる。

6人いる。

「お前らか」

「もう来たんですね」

「・・・・」

6人目、最初に目が合ったやのは灰ブローカーだと思う。

前に廃工場で黒ブローカ達にあった時は、3人いた。

       ジャリ   ・・・

「やあ・・・君らか」

「・・・・」

スコップさんと斧さんも来た。

「ミャ~ォ」

「3人だけか」

「うん」

・・・緊張した雰囲気だった6人が、少し和んだ。

危険はなさそう。

   ――

浮かせていた杖の先を、地面に戻す。

何の相談をしていたんだろう。

灰ブローカは、黒が言っていた中継の拠点にいたのだろう。

       カリカリ

ニャッティラが、木の根でカリカリしてる。

「あれからどうなったんだ?」

スコップさんが聞いた。

「一応、少し離れたほうがいいんじゃない」

「・・・・」

黒が頷いた。

「少し戻りましょう・・・そこで話します」

「そう」

「じゃあ、俺は戻るよ」

「うん」

「・・・・」

灰ブローカーが、西に去った。

たぶん、拠点はここから近いのだろう。

「行こう」

マルチ達が、歩き出す。

東に・・・川から離れる方に向かう。

「後で説明する」

「わかった」

スコップさんと斧さんを見ると、2人とも同意した。

5人の最後尾のヘテロの後ろに、ついて行く。

「行こう」

「ミャ~ゥ」

ニャッティラも歩き出した。

枝と葉の向こうは、青い・・・

          ――

                         ピピピ

                                           ヮヮヮヮヮヮ   ・・・・

                 ・・・・・   ヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ


青い空

2014年07月21日 11時59分29秒 | マーロックの日記

                           ・・・・   ヒュゥゥゥゥゥ    ・・・・・

            ヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ

   ――

ここは見晴らしがいい・・・

この先の地面がなくて、急な斜面。

森が切れているから遠くまで見える。

                                          ピィ  ――

雲から太陽が少し出た空に、鳥がいる。

風は強くて、ゆれる樹冠から水の粒が飛んでくる。

下の森には、薄く霧が流れてる。

「・・・・」

斧さんも横に来た。

8時頃、私と斧さんとスコップさんで空洞を出た。

他のみんなは、残っている。

その方が身軽に移動できる。

日の出の時間を過ぎても、森は暗かった。

でも、1時間ほど前から雨は止んだ。

「あの辺りが川だな」

スコップさんの指した辺りを見る。

「・・・・」

どこだ・・・

この角度だと、森が続いている様にしか見えない。

霧も視界を遮るし・・・

                ・・・・・

                                ヮヮヮヮヮヮヮヮヮ   ・・・・・

雲が流れて、森の一部に光があたる。

・・・分かった。

少しだけ他と違う。

それが続いている。

あそこに川があるんだろう。

「あれが東から来る流れだ」

北に向かっていた川が、途中から西に向きを変える。

スコップさんがあらかじめ教えてくれていた通り。

「ミャ~ゥ」

ニャッティラの声。

黒猫は空洞に残ってる。

3時間と少し歩いた。

少し、北に来すぎただろうか。

太陽が雲に隠れた。

目を離すと分からなくなりそうだから、ジッと川の辺りを見る。

どこかに黒ブローカの言っていた拠点というのがあるはずだけど、ここからでは分からない。

ハットさんから借りてきた双眼鏡で、斧さんも探している。

「少し戻って、西に行きましょう」

「そうだね」

川に近づいて探そう。

「・・・いつ雨が降るか分からないし、今のうちに食事しよう」

「はい」

「・・・・」

斧さんも頷いた。

         ――

                      ドサ

近くの石の上に、バックパックを置く。

杖も。

風は冷たい

でも少し暑いから、カッパの上を脱ぐ。

バックパックのサイドに、折り畳みの傘がある。

食事の時に差そうと思ったけど、雨が止んだので使わない。

お弁当は、炊き込みご飯のおにぎり。

それに、フードジャーにはトマトスープ。

レトルトである。

スコップさんは、コンソメスープにしてた。

森の中に戻れば、石は転がっている。

苔の付いた石。

カッパズボン穿いてるし、これをイスにしよう。

              ゴト

ちょっと重かったけど、バックパックを置いた石の横に移動させる。

        パサ

手袋を置く。

水の中に手を入れても平気な、防水の手袋である。

                   ジィィ

                             ゴソ

お弁当を取り出す。

           パカ

おにぎりをひとつ取る。

               パク

                            モグ  モグ

おいしい。

             ゴク ゴク

ボトルのお茶も飲む。

              ジャリ   ・・・

おにぎりだし、食べながら森の外を見に行く。

明るくなったから。

            ピピピ

                    ・・・   ヮヮヮヮヮヮ

                                      ヒュルルル   ・・・・・

空が明るい。

雲から太陽が出てる。

見下ろす森も明るい。

葉の色の変わり始めた部分もある。

さっきよりも、立ち上がる霧が濃くなってる。

      モグ  モグ

                    ミャ~ゥ

斧さんは、自分が食べる前にニャッティラに食べさせてる。

強い風。

空の鳥は、翼を広げて旋回してる。

雲と雲の間に、青い空が見える。

トマトスープ飲もう・・・

        ・・・・

                        ヮヮヮヮヮヮ

                                    ヒュゥゥゥゥゥ    ・・・・・・

                      ピィ  ーー


草カゴ

2014年07月20日 18時49分30秒 | 黒猫のひとりごと

                                ・・・・    ォォォォォォ   ・・・・

       パチチ     パン  ――

   ・・・・

僕の前にはプレートがある。

おいしくごはんを食べたのだ。

いりこが少しと、レタス。

   ぺロ  ぺロ

お水を飲んで、僕は満足。

         パチ ッ

                     ピィ ♪

少し前に斧さんが運んできた枝ワゴンの枝に、メジロがいる。

まだ、寝ている人もいる。

起きてる人は、順番にごはんを食べている。

男はこんがり焼いたハム。

それにご飯も食べてる。

その前には、お茶漬けも食べてた。

「これでいいかな?」

「うん」

ノロマさんとエレガントさんは、カゴに草をのせている。

たぶん、ウサギにあげる草。

わざわざカゴに入れなくてもいいと思う。

「・・・」

その足元には、チワワが伏せている。

まだ眠いのか、ボッとしてる。

僕が見ても、気づいてない。

シッポは左右に揺れてる。

「お弁当つくろう」

「うん」

草をのせたカゴを石イスに置いて、ノロマさんとエレガントさんはキッチンテーブルに向かった。

「・・・」

            ト      ト

たき火の側にいた子ヒツジが、こっそり来る。

                            ♪  ♪  ・・・

          ムシャ  ・・・

ノロマさんが置いて行ったカゴの草を食べた。

子ヒツジが、こっち見た。

「・・・」

僕は鳴かない。

                  ムシャ   ・・・

「あ」

「!」

・・・すぐに見つかった。

           タ   タ

「それ食べちゃだめ」

「メ~」

ノロマさんに邪魔されて、子ヒツジはたき火の方に去った。

「少し減ったね」

「うん」

「・・・」

「ちゃんと見張っててね」

「?」

           ト      ト

ノロマさん達は去った。

「すごい雨」

ウェーブさんが戻ってきた。

僕はチワワを見る。

「・・・」

まだ、ボーとしている。

シッポは動いてる。

チワワを置いて、僕は空洞の入口に向かうことにする。

リスはいるかな・・・

        パチ   パチチ   ・・・

                          ォォォォォ

                                   ・・・・    ォォォォォォ   ・・・・・


2014年07月18日 14時44分39秒 | マーロックの日記

                      ・・・・   ァァァァァァァァァァ   ・・・・・

                 ァァァァァァァァ

    ―――

水がどんどん流れていく・・・

森は暗い。

まだ、太陽も出ていない。

枝を拾いに来た。

地面は川の様。

樹冠を超えて、雨は落ちてくる。

木の幹の表面も、水が流れている。

枝や葉が集めた水が、まとまって落ちてくる。

小さな滝の様。

そういうのが、いくつもある。

     ―――

                       ・・・・   ァァァァァァァァァ   ・・・・

枝ワゴンは一杯。

もう空洞に戻ってもいい。

でも、少し辺りを見ている。

手袋をしていたけど、外してワゴンに入れた。

だから手の平に雨があたる。

冷たい。

    ――

クラゲ傘の中に頭を入れる。

傘の表面も水が絶えず流れる。

前が見えにくいので、傘を上げる。

この雨が続くなら、今日は空洞に留まった方がよさそう。

私と斧さんで、この周辺を探ってみてもいい。

黒ブローカーの言ったのが嘘でないなら、その拠点というのはもう近いと思う。

   ・・・

枝ワゴンの所に向かう。

「戻ろう」

木の根っこを見ていた斧さんが、こっち見た。

         ―――

そして、ワゴンに向かってくる。

枝ワゴンを持ち上げて、斧さんと空洞の中を目指す。

空洞はすぐそこにある。

ただ、雨で見えにくい・・・

     チャプ  ――

                   ァァァァァァァ

                                  ・・・   ァァァァァァ   ・・・・

              ・・・・   ァァァァァァァァ

    ―――

空洞の水路から出てきた水は、そのまま川になって南に流れて行く。

石のくぼみに気をつけて進む。

            チャプ ・・・

                      チャプチャプ   ・・・

空洞の屋根の下に来た。

        バサ ――

クラゲ傘を置く。

        ――  ト

枝ワゴンを、斧さんが一人で抱えて持って行った。

                  バサ

カッパをポールに引っかける。

手がつめたい。

ゲイターを外して、手で持つ。

水路の向こうのウサギは、まだ寝てる。

     

奥に向かう。

まだ朝の6時を少し過ぎた頃。

8時を過ぎないと、太陽が出てこない。

お腹すいた。

ハムエッグ食べたい。

でも卵が残っていない。

ハムはあるのかな。

後でコックさんに聞いてみよう。

あったら、ハムをこんがり焼いてもらう。

壁に映る影が増えている。

また何人か、目覚めている様。

たき火に照らされて、石の壁と天井には、影がゆらゆら動く。

「・・・・」

右側の壁に、ネコの影。

壁の近くに、黒猫がいる。

なにしてるのかな・・・

       チャプ  チャプ

                       ・・・・・    ォォォォォォォ

                                        ォォォォォォ   ・・・・・・

     ・・・・


2014年07月16日 13時28分49秒 | 黒猫のひとりごと

                              ・・・・   ォォォォォォ   ・・・・・

                     ォォォォォ

     パチン ――

壁に影・・・

影は揺れている。

少し離れた後ろに、たき火がある。

僕はそれにシッポを向けて、壁を見ているのである。

石の壁は広い。

右下を見ると、影が動いてる。

あれが何かは分かる。

子ヒツジか母ヒツジの影。

草を食べているのだ。

男と斧さんが枝を取りに行って、ついでに草も持って来たのだ。

僕も男のフードに入てついて行ったから知ってる。

枝ワゴンは2つあるから、今は2台目を持って空洞から出ている。

             パチ  ・・・

                             バチチ   ・・・

       ♪  ♪   ・・・・

もう、ノロマさん達も目覚めている。

でも寝ている人も多い。

壁が、暗くなった。

大きな棒のような影が去って、またゆれる影。

誰か、近くを通過したのかな。

僕は後ろは向かない。

耳を澄ます。

         ―――

足音は、たぶんトイレの方へ向かっている。

丸い影が素早く移動する。

たき火に照らされた影は、壁には大きく映っている。

リスかな。

耳を動かしても、外の音がうるさくて聞こえない。

「!」

大きく広がった影が、伸びて縮んだ。

・・・マヒワかメジロだと思う。

僕は後ろは向かない。

壁を見ている。

でも石像ネコではない。

耳もシッポも動かすし、壁の上から下まで見る。

ただ、後ろは見ないのだ。

       ――  ト

誰か来る。

「おはようネコさん」

エレガントさんの声。

「ニャー」

後ろは向かないで、返事する。

「そこは寒くない?」

壁の影が大きくなって、僕の影を隠す。

エレガントさんが、僕のすぐ後ろでしゃがんだのだ。

「・・・」

両方の手で、僕の背中を挟んだ。

「向こうに行こう」

何か言っているけど、僕は後ろは見ない。

          パシ

シッポで手をたたく。

「♪」

          ト  ・・・

僕の前の壁を覆っていた影が遠ざかる。

エレガントさんは去った。

僕は壁を見る。

何か新しい影がないか、確認しているのだ。

大きく縦に伸びたネコの影。

シッポが上向いてるからレトリバーじゃないはずである。

「・・・」

ニャッティラかな。

シロネコかな。

僕が耳を動かすと、僕の影の耳も動くのがわかる。

うれしい。

子ネコはまだ寝てるのかな。

後ろを向いて子ネコがいれば、鳴いて呼ぶこともできる。

でも、後ろは向かない。

  パタ

シッポで床をたたく。

誰か来るかな・・・

   パチン

               ピィ ♪

                          ォォォォォ

                                  ・・・・・   ォォォォォォォォ   ・・・・・

        ――   ・・・


石と雨

2014年07月14日 03時55分55秒 | マーロックの日記

                               ・・・・・    ァァァァァァァ     ・・・・・

              ・・・・・・   ゥゥゥゥゥ

   ―――

水の粒が流れていく・・・

クラゲ傘には、小さな水粒がいくつも飛んでくる。

私は、それを傘の内側から見ている。

石をイスにして、大き目の石を2つ重ねてその前に置いた。

その上にクラゲ傘を置いてある。

こうすることで、体をひねらなくてもクラゲの中に頭を入れれる。

そして石の上に乗ることで、黒猫も傘の表面が見やすくなる。

「・・・」

黒猫もジッと見ている。

横には、ランタンライトを置いてある。

     ―――

流れ出した粒は、だんだん速度をあげて流れていく。

途中、ほかの粒も一緒に連れて行く。

だけど、大きめの粒がいてそれにぶつかると、たまに止まる。

でもそれも少しの間で、すぐ、より大きくなった粒が流れていく。

右の粒が流れた。

――左も。

・・・短い時間に、たくさん流れた。

    パシ

たまに黒猫がシッポを振ると、私にあたる。

のんびりと落ちて行くのを見るのも、悪くない。

「・・・・」

だけど、黒猫も分かっているだろう。

この傘を少し外に移動させれば、あたる水粒の量はものすごくなる。

「・・・」

石の上の黒猫が、私の方を見た。

       ―――

                   ゴト

私は立ち上がって、イスにしていた石を持つ。

それを、石の屋根に出る出口のそばまで運ぶ。

すでに出口の近くにいたので、すぐそこ。

霧状の粒がたくさん舞っている。

       ――

                       パサ

石を置いて、傘とランタンも運ぶ。

         

黒猫は重ねた石から降りて、私が移動させたイス石に向かった。

      ―――

私は、黒猫の乗ったイス石にかぶせる様に、クラゲ傘を置く。

           バチバチ

傘に雨があたる。

体をひねって、私も覗き込む。

                    バチ  バチ

激しくあたる雨粒は、もう粒ではなくて水の流れ。

「・・・・」

結構体に雨があたるし、私は立ち上がって少し下がる。

後で枝ひろいに行くから、そのときまた見れる。

黒猫の横に置いたランタンが、石の屋根も少し照らす。

雨がぶつかって跳ねている。

たくさん。

非常食の中には、お茶漬けの小袋もある。

・・・お腹が少し減った。

石にぶつかって跳ねる雨粒を見るのは、おもしろい。

「・・・」

黒猫も、クラゲの中からジッと見てる。

もう少し、石の屋根を見ていよう・・・

          バチ  バチチ  ・・・

                            ・・・   ォォォォ

                                     ・・・・   ァァァァァァァ   ・・・・・