風と岩

2009年04月29日 16時01分53秒 | マーロックの日記

ザヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・            ザヮァァァ・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・        ァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・周囲から、風の揺らす木々の音。

そして眼下には、とがった岩と緑が、ずっと遠くまで続いている・・・・

更にそのずっと先は、森が延々と続いており、目を見張る鮮やかな緑。

・・・この天を突き刺すようなとがった岩は、石灰岩が気の遠くなるほど長い間、雨にさらされ、侵食して出来た物である。

世界遺産に登録されている。

岩がもろいので、保護のために観光のルートは毎年変わるようだ。

観光できる期間も、限られている。

ここに来るには国立公園の入園料を払い、専門のガイドを雇う必要がある。

       ヒュゥゥゥゥゥォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・               ァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・

とても見晴らしのいい場所で、写真を取ったりして景色を楽しんでいる。

ここに来るまで、まるでアスレチックであった。

狭い岩の間を通って、洞窟も抜け、安全ロープをつけての岩登り。

・・・まあ、それほど危険な所は無い。

目立たないように、足場も打ち込まれている。

私たちは大人数なので、岩をなるべく壊さないよう、みんな慎重に進んだ。

岩のとんがり具合はなかなかで、さわると痛い。

ノロマさんたちは、手袋をしている。

おもしろく侵食した場所では、岩が浮いているようになった場所もあった。

妙な植物も多い。

ガサ―――

私はボトルを取り出して、飲む・・・・

ちなみに、今日の斧さんの大きなカバンは、ゴミ袋代わりに使われている・・・

「ミャォ」

子ネコが、鳴いた。

・・・・チワワと子ネコはひもで繋がっているが、さらにチワワがノロマさんのカバンにつながれているという状態である。

シャープネコは、シャープさんのカバンの中から、顔を出している。

・・・・シャープさんも、今回はカバンを持っている。

黒猫は、ノッポさんの頭の上がいたく気に入ったらしく、ずっとそこにいる。

・・・・もう少し景色を楽しんだら、少し移動してお昼ご飯。

私は思わず、のどを鳴らす・・・・・

それにしても、鮮やかな青と緑の光である・・・・・・

ザァァァァヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・            ・・・・・・・・・

・・・・・           ピピピッ・・・・・・        ピィピィ・・・・

・・・・・・・・・・        ヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


とがった岩

2009年04月29日 15時12分08秒 | 黒猫のひとりごと

ザッ・・・    ザッ・・・      ザザッ・・・・         ・・・・ザァァァァァァァ・・・・・・

・・・・・・・・・・・・               ザヮヮヮァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・ニャァ

見晴らしが、いい。

山を、登っているからである。

さらに、僕はノッポさんの頭の上に乗っている。

・・・・ノッポさんが何度も僕を頭から降ろそうとするので、しがみ付いているのだ。

人間達はロープで安全を確保しながら、進んでいる。

そんなに険しいわけでもないのに・・・

でも、僕はノッポさんの頭の上から降りることはしないのである。

だって・・・・・トゲトゲの岩ばかりなのである。

ノロマさんが前にはいていたとんがり靴よりも、もっととんがった岩なのである。

「ニャー」

あんなの踏みたくないのだ!

「・・・・おい・・・ここは落ちたら危ないからこっちこいよ・・・」

ニャ

また、ノッポさんが僕を降ろそうと試みる。

「ニャ~・・・・・」

頭にしがみつく。

・・・・・すると、あきらめた。

ザヮヮヮヮヮァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      ヮヮヮ・・・・

・・・           ・・・・・・・・・・・ァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・

高い場所だし、よく風もふいて、草木のざわめきが、絶えず耳にとどく・・・・

そして目の前には、長いつり橋。

・・・・ここに来る際新たについてきた、別のガイドさんを先頭に、橋を渡りだす。

岩ガイドさんの後には、マッチョさんとカールさん。

続いてコックさんが渡る。

そしてガードさんの後に、エレガントさん。

次のチーフさんの手を持って、エレガントさんはゆっくり歩みだす・・・・

すぐ後ろのノロマさんも、チーフさんの体をつかみながらの移動。

・・・どうも、こわいらしい。

「クゥー・・・・」

「・・・・あんたも怖いのかい」

ノロマさんの肩から斜めにかけられたカバンの中で、おそろしげに外を見ているチワワが鳴いて、チーフさんが笑った。

ノッポさんと僕は、その後ろ。

・・・おかげで、一向に前に進まない。

ヒュゥゥゥォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・       ・・・・・・・・

・・・・・ァァァァァァァ・・・・・・・・・・・           ヮヮヮヮヮァァァァァァ・・・・・・・・・・・・

いい天気。

空には薄っすらとした雲。

元気なお日様の光に照らされて、ここから見える緑の色が、鮮やか。

僕は体をひねらせて、すぐ後ろの男を見る。

すると、なかなか前に進まないのをいいことに、橋の下をのぞいている。

・・・・・ここはとんがり岩ばかりだけど、すごいのだ。

下の方では、このツンツンした岩を見上げれれる。

所々岩に穴が開いていて、そこから空を見ると、切り紙で作った絵みたい。

ここに来る途中にあるギザギザの穴からみた風景も、おもしろいのだ。

・・・・・   ピピピピピ・・・・・・・        ピチュチュチュッ・・・・・・・

バサァァァァ・・・・・・・・・・・

鳥が、飛んでった・・・・

グラ――――

つり橋が、揺れた。

・・・・ノロマさんやエレガントさんの声が聞こえて、歩みが止まる。

ニャー

これは、しばらく景色を楽しむことにしよう・・・・

       ヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・            ・・・・・・・

・・・・・・・・・・        ァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・     ・・・ピピチュッ    ピピピピピ・・・・・・     ピョョ・・・   ョョョッ・・・・・・


コテージ

2009年04月27日 14時52分00秒 | マーロックの日記

ブォォォォ・・・・・・・              ガオン――     ガコン―――

   ・・・・・・・・ォォォォォォォォォォ               ・・・・・・・・ォォォォォン  ・・・・

・・・車が、止まった。

明日の観光の拠点となる、コテージに着いたのだ。

・・・・木で出来た、思ったよりしっかりした作りの小屋が2つ。

周りは木に囲まれていて、落ち着いた雰囲気。

ドサッ・・・・     ドササッ・・・・・・

ガードさんが、荷物を車内から降ろしている。

トランクは、マッチョさんや斧さんが運ぶ。

なので、私は一足先に、建物の中へ・・・・

これから、夕食の準備をするのだ。

ジャリ・・・・    ジャリ・・・・       タンタンタン・・・・・・・

私が歩く横を、黒猫が追い抜いていった・・・・

小屋に入るには、やはり木で出来た階段を上る。

木の手すりがあり、黒猫はその上。

階段を上りきると、通路があり、その通路で2つの建物はつながっている。

ギィィィ・・・・・・

私は、ドアを開けた。

そして、黒猫の方を見る。

・・・・・黒猫は、手すりの上から動かない。

カールさんとガイドさんが、先に中に入った。

ノッポさんも、お昼のお弁当の空箱をかかえて、入った。

・・・・黒猫は、背中を向けたまま動かない。

私は車の方を見る。

エレガントさんやノロマさんが、楽しそうに話している。

・・・・・先に、中に入ればいいのに。

「・・・・・おい」

黒猫が動かないので、声をかけてみた。

・・・・しかし、シッポすら動かさない。

そのシッポは絶妙な曲線を描いて、天を指している。

・・・・置物にでもなったのだろうか。

私は上を見る。

・・・・ここからだと、少し木の枝が邪魔になるが、夜空が見える。

一呼吸置く・・・・

黒猫はあのままにして、中に入る・・・・・

      リィィィィィィィィ・・・・・・・・      リィィィ・・・ン      リィィィン・・・・・

・・・・          ソョソョ・・・・・・・・            ョョョョョ・・・・・・・・


三日月といかだ

2009年04月27日 14時22分43秒 | 黒猫のひとりごと

ォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・            ・・・・・・・・・・・・・・・ォォォォォォォォォ・・・

・・・・・              チャプププププ・・・・・・・・・・・・          ・・・・・・・・

大きないかだに乗って、車ごと川を進む僕・・・・・・

・・・・もう、2度目である。

大きないかだだけど、車2台が乗ると、もう一杯である。

僕は、車の荷台の荷物の上に、乗っている。

その荷物を背もたれに、男は転がっている。

ノッポさんが荷台から降りていて、いかだの端っこでしゃがみこんで、川の様子を見ている。

ここからがんばれば、隣の車の中がのぞける。

僕は、こっそりのぞいて見る。

・・・・・・ノロマさんが、魔法の柄を振っている。

あの柄を振ると、ふわふわが動くのである・・・

・・・・しかし、僕は知っている。

実は、あの柄から、透明な線がふわふわとつながっているのだ。

しかし、そんなこと知らない子ネコは、ふわふわを追いかけている。

隣の車の荷台には、カールさんとシャープさんが乗っている。

カールさんは、双眼鏡をいじくっているけど、もう暗いので、レンズをのぞいてはいない。

チャプンッ――――          ・・・・・・・・・ォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・

「ニャー」

      ―――スト

僕が呼んだら、シャープネコが来た。

僕は、男のいる辺りに移動する。

ここは荷物の陰になって、隣の車からは見えない。

荷台の下にも、誰もいないことは確認済みである。

いるのは男と・・・ちょっと離れた場所に斧さん・・・・

スルスル・・・・

僕は、男とそのカバンの間に入り込む。

そして、カバンの背面にあるポッケにスリスリする・・・・・

「ニャァ・・・」

さっき、男がここにバナナを隠すのを、見たのである。

「・・・・」

すると男は、バナナを取り出した。

・・・なかなかである。

みんなには内緒にしとくからね・・・・

バナナを3等分にして、ひとつは斧さん。

そしてもう一つは、僕とシャープネコ。

最後のは、男が自分で食べるようである。

・・・・・・・・・ブォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・                  ォォォォ・・・

・・・・・                ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ニャー」

おいしい。

ゴロン――

すると、男が仰向けに寝転がった。

・・・・空を、見ているようである。

タッ     タッ

僕は車の上に上って、ひっくり返る。

川は広くて、空はよく見える。

・・・・星空の一角に、三日月。

ときおり、雲に隠れる・・・・・

バナナみたい・・・・・

チャプチャプチャププププ・・・・・・・・・・・       ォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・        ピピピピ・・・・         リーンリーンリーン・・・・・・・


揺られて

2009年04月21日 14時46分48秒 | マーロックの日記

ブォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・            ォォォォォォォ・・・・・・・・・・

・・・・・・    ・・・・・・ン          ォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

4輪駆動車の、低いエンジン音・・・・・

私たちは、2台の車に分乗して、次の目的地を目指している。

ガウン――――         ガウン――――

バオバブの木を見ていたら、車体が大きく揺れる・・・・

・・・・・舗装されてない、道なき道を進む。

5人が余裕を持って乗れる車で、大きな荷台も付いている。

・・・・・結局ガイドは、前のバスの運転をしていた男性になった。

マッチョさんたちがガイドの契約に行くと、ちゃっかり彼がいて、自分が良いと、アピールしたらしい。

商売熱心である。

車は2台だが、ガイドは彼一人しか雇わなかった。

先頭の車をガイドさんが運転してる。

私の乗っている後ろの車は、マッチョさんが運転している。

ブォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

全部で12人いるので、車内に全員乗るのは無理である。

前の車には、ガイドさんとシャープさん、コックさんが乗っている。

その荷台には、女性3人が乗ってる。

彼女達が、それを望んだ。

・・・・まあ、お昼ご飯の後になれば、車内に乗るだろうと思う。

後ろの車には、マッチョさんとガードさんの2人だけ。

ガードさんは、エレガントさんを確認できる、後ろの車の助手席に乗っている。

荷台には、私と斧さんとカールさんに、ノッポさん。

・・・・荷台は、思ったより人気である。

車の中が開いているので、トランクはそこに置いた。

荷台には、ガイドさんの教えてくれた幾つかの道具達が、つんである。

何泊か町の外でしなければならないので、その為の備えである。

ブォォォォ・・・・・・・・         ジャァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・           ジャバンッ・・・・         ォォォォォォ・・・・・・・・・

・・・・また、川の中に入った。

もう、何度目かである。

小さな川が幾つかあり、車ごと渡る。

4輪駆動車で来たのは、そのためらしい。

途中、小さな村も見かけた。

道は舗装されておらず、デコボコ。

なので、4輪駆動車でも、たまにタイヤが天然の溝にはまったりする。

車が2台あれば牽引できるので、便利だという事だ。

ガコン――     ガタタタタ・・・・・・・・・      ガウン ガウン――――

荷台の真ん中に荷物を置いて、それを背もたれにしている。

左側には小窓があって、車内の様子が分かる。

右側には斧さんが座っていて、黒猫と景色を楽しんでいる。

・・・・私は荷台の縁に足を乗っけた姿勢である。

つまり、悪い姿勢で乗っているので、自然と空が見える。

視界に入ってくるのは、雲のほかは、バオバブの先端くらい。

   ブロロロロロォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

           ・・・・・・・・・・ォォォォォ・・・・・・・・・・・・          ブロン・・・・・

・・・・車が、止まった。

お弁当を食べるのだろう。

「ニャー」

黒猫が荷物の上を通って、車の屋根の上に乗っかった。

私は起き上がり、荷台の上に立つ。

・・・・天気が良いので、辺りはとても明るい。

それでも、ずっと空を見ていたので、目が慣れるまで少しかかる・・・・

ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・        ポォォォォォォォ・・・・・            ポォォォォォォ・・・・・・・

・・・・・・すこし落ち着いた所で、植物の揺らぐ音の向こうから、甲高い鳴き声。

「インドリの声です」

私達の疑問を察したのか、ガイドさんが答えた。

・・・大きなキツネザルである。

鳴き始めてから、トーンが高くなるような鳴き声・・・・・

ポォォォォォォ・・・・・・・          ポォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・

声は遠くからで、ここからは姿が確認できない。

・・・・遠くを見ていた私は、近くを見る。

コックさん達が、今朝早起きして作ったお弁当が、運ばれていく・・・・・

料理が得意な人がいるおかげで、私は何にもしなくてもご飯が食べれる。

ああ・・・・

ベンチさんのバーで、必死でホットケーキを作ったことを思い出し、私は再び遠くを見る・・・・

ピィィィ・・・・   ピピチュッ  ・・・・・       ブゥゥゥゥ~~~ン  ・・・・・・・・

・・・・    ピピピピッ                ガサン―――

おや・・・

木が動くので、よく見ると、サルが沢山。

あれは・・・・たぶん、ベローシファカである。

・・・・キツネザルだらけである。

      ピィィィィ・・・・   ピピチュッ        ガササササササ・・・・・・・・・・

・・・・・             ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

何匹かが木から降りて、横っ飛びで隣の木へ・・・・・

ベローシファカは、前足が後ろ足に比べて短く、なので地上では4足歩行ができない。

後ろ足で立って、跳ねながら移動する。

「・・・・マロックさん」

カールさんに呼ばれて、私は荷台から降りる・・・・・

・・・・あのサル達、バナナを狙っているに違いない。

少し坂を上った先に、大きなバオバブの木がある。

その下にシートを広げて、ノロマさん達がお弁当を準備している。

・・・ピクニックみたいだ。

右を見る・・・・

すぐ近くに、小さな細い木が伸びており、そこにシファカの親子が飛び移った。

親シファカ2匹に、子シファカ1匹。

    ダッ   ダッ     ガササ・・・・・

子シファカが木から降りて跳ねては、親のところに戻る・・・・

遊んでるのかな・・・・

         クー・・・・・・・・・

親子の辺りから、小さな声が聞こえた・・・・

3匹は、お弁当の辺りを見てる。

・・・・私は考える。

バナナは出来れば食後に食べたいが、かわいいキツネザルがやって来れば、きっとエレガントさん達があげてしまう。

彼らのおやつになる前に、私は1本だけでも食べておくべきだろうか・・・・

「クゥー」

・・・・チワワが私を見上げて、鳴いた。

     ・・・・・・・・              ヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・          ザヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・       ピィィィ・・・・・・・

    ピィィィィ・・・    ピーピー  ピチュチュッ  ・・・・・     ガサササ・・・・・

・・      ピョピョ・・・           ブゥゥゥゥゥ・・・・・・・       ・・・・・・ン


海の水

2009年04月20日 18時24分06秒 | 黒猫のひとりごと

ザァァァァァ・・・・・・・・・・          ・・・・・・・・・・・ン           ザァァァ・・・・

・・・・      ・・・・・・ン              ザザァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・

立てている僕の耳には、波の音がよく聞こえる。

空にはキラキラ星が瞬いていて、雲が無い。

・・・・・・僕は、海を見ている。

砂浜に浮かぶテラスの、テーブルの上で。

後ろからは、食事をする人間達の声が聞こえる。

ランタンが光っていて、食事をするテーブルの上は、明るい。

夕方降った雨に濡れた木のテーブルも、ほとんど乾いている。

僕がいるのは、海側の端っこにあるテーブル。

すでに、お肉と少しのフルーツを頂いた僕は、満足である。

ザザザァァァァ・・・・・・・・・・・・・                 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

右を見ると、角のテーブルの上に、斧さんの丸いテーブルがある。

その上に、シャープネコが乗っかっており、その目は空高くを見つめている。

・・・・僕も、上を見る。

ひと筋の星の流れ・・・・

・・・・相変わらず、ミルクの川が、空に浮いている。

僕はミルクが嫌いなので、落ちてきてほしくはないのである。

「ニャー」

このテラスの隣には階段があって、砂浜に降りることが出来るのだ。

僕は、砂遊びに出かけることにした。

         ――――   トン           トトトトトトトト・・・・・・・・・・・・・

「クゥー」

食事を終えて、ノロマさんの足元でうつ伏せになっていたチワワが、付いてきた。

運がいいことに、子ネコは放されていて、チワワは自由。

・・・・       トトトトトト・・・・・・・・・・・

・・・・・右上を見ると、ガードさんがアスパラを食べている。

にぎやかなテラスを後にした僕とチワワは、階段の前に来た。

・・・・・・   トン   トントントン・・・・           トッ  トッ  トッ  ・・・・・・・

階段を、下りる・・・・

ザザザァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・             ・・・・・・・・・・・・ン

          ズァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

シャッ・・・  シャッ・・・    シャシャシャ・・・・・・・

僕は、波打ち際を目指す。

薄っすら、かすかな光を反射して、波が行ったり来たり・・・・・・

・・・・・チワワは、途中でお座りしたようである。

僕はそんなチワワを背中に、水際へ・・・・

ザァァァァァ・・・・・     ・・・・・・・・・・・・・ン        ァァァ・・・・・・・・・ン   ・・・

・・・・        ザァァァァ・・・・・・・・      ァァァァァ・・・・・・      ・・・・・・・・・・・

波が向こうへ・・・・・・

「ニャー」

・・・・・・      ザァァァァァ・・・・・・・・・

僕が呼ぶと、戻ってきた・・・・

・・・・僕の足元で、アワアワ。

    チョッ    ・・・・

僕は右足で、ちょっと触る。

・・・・・・

ペロ・・・・

「・・・ニャー」

しょっぱい・・・・・

僕は、波打ち際から逃げる。

・・・恐るべし。

・・・・・・・シャッ    シャッ        ・・・・・・・・・・・・・・・

僕がチワワの所に戻ると、食事を終えたカールさんがやって来た。

ズシャ・・・・・

・・・・チワワの隣に座ったので、僕はチワワの反対隣に座る。

「・・・・きれいだね」

カールさんは空を見ながら、何か言った・・・・

「ニャー」

・・・・僕とチワワも、空を見る。

       ・・・・・・・・・・・・・・・・・ァァァァァァ・・・・・・・・       ザザザザザ・・・・・

・・・          ザァァァァァァ・・・・・・・・・・・        ・・・・・・・・・・・ン

   ・・・・・・・・シャリ・・・       シャリ・・・・      ・・・・・・・・ァァァァァァァ・・・・・・・・


午後のテラス

2009年04月19日 09時07分48秒 | マーロックの日記

ザァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・             ・・・・・・・・・ン

          ザァァァ・・・・・・・・・・・・           ァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・

午後の日も傾き、影が、長く伸びている・・・・

海があるほうが西なので、海の向こうへと、太陽は沈んでいく。

海を見て右側には、バンガロー風の小屋が、ずらりと並んでいる。

私たちが泊まっている、ホテルである。

木製の家で、木の屋根の上には、わらが乗っかっている。

木は基本的に白く塗られており、さわやか。

一人、一つの小屋を使う。

・・・・安い部屋だと、一つの建物に幾つか部屋がある。

私たちが泊まっているのは安くない部屋なのだけど、それでも、安い。

小屋は、陸から砂浜に半分飛び出すような作りで、窓からは海が見える。

私が今いる場所も、同じように砂浜の上に浮いているような作りの、テラスである。

椅子もテーブルもあって、今晩はここでご飯を食べることになった。

食堂もあるけど、せっかくなので、ここで食べることになった。

ザァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・                ァァァァァァ・・・・・・

・・・      ・・・・・ン            ザァァァ・・・・     ・・・・ン

海から、心地よい風が届く・・・・

陸の方を見ると、通りが見える。

道路は舗装されていない。

通りとホテルの敷地内とは、木の柵で隔てられている。

・・・・そして、肩に丸いテーブルを乗せた斧さんが、歩いている。

木で出来た小さなテーブルで、昨日村で売ってもらった物である。

その上では、黒猫が遊んでいるようである。

・・・・明日から、また観光。

なので、今日は晩ご飯まで自由に過ごす日になった。

コックさん達は、町の散策に出たようである。

私は、ここでボーッとしていた。

エレガントさんやマッチョさんは、明日のガイドの契約に行っている。

今度は4輪駆動車で、出かけることになる。

荷台の付いた大きなやつらしく、私は荷台に乗ることになりそうだ・・・

2台借りるか、1台で行くか、マッチョさんたちに任せてある。

「マロックさん、散歩に行きましょう」

・・・・・カールさんだ。

「うん・・・」

返事をした私は、砂浜の方を見る。

・・・・さっきから、ノッポさんが砂浜に立ち、海を見つめている。

「ニャー」

斧さんも、来た。

「あはよう」

「アゥ」

・・・・小さくも無いが、大きな町でもないので、散歩してれば、他のみんなと出会うかもしれない。

ノッポさんも、散歩に誘ってみようか・・・・

ザザザァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・           ・・・・・・・・・・・・・ン

       ズザァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・            ・・・・・・・・・・・・・・・


のんきなお昼

2009年04月15日 16時17分00秒 | 黒猫のひとりごと

ザァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・        ・・・・・・・・・ン

     ザザァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

波の音が、聞こえる・・・・

外はよく晴れていて、海と空の境目に、薄っすら白い雲が見える。

部屋の中を見ると、大きなベッドで男が寝ている。

・・・・・日が明ける前まで、バスの中で寝ていたくせに、まだ寝ている。

「ニャー」

・・・・そろそろ起きたら。

鳴いてみたけど、男は起きない。

ザザザァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・            ・・・・・・・・・・・・ン

海がしきりに鳴くが、いつものことなので、無視する。

海は、いじけることもないのである。

・・・・このホテルは、一階建ての、わらが屋根になったような小屋が、いくつも並んだつくりである。

「ニャー」

僕は、もう一度鳴いてみた・・・・

・・・・しかし、男は起きない。

のどがかわいた僕は、しょうがないので、起こすことにした。

トントントン・・・・・     ピョン――――

男の頭のてっぺんに座る。

パシ   ――――

そして、シッポで叩いた後、動かす・・・・・・

・・・・・・・・・・

・・・・ゴソッ    ・・・・・

しばらくシッポを動かしていたら、起きた。

「ニャー」

「・・・・・・・」

男は上体を起こした後、反対側に寝転がった。

「ニャー」

怠慢である!

僕は、まだ朝ごはんを貰ってないのに。

          ――――ダン       バシバシ・・・・・・

僕は高く跳び上がり、そのまま男の背中に落下する。

間髪いれず、たたく。

ズルズル・・・・

すると男は、お辞儀をするように、足からベッドの外へ・・・・・

そして頭はベッドに残したまま、動きを止めた。

ザザザザザザァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・          ・・・・・・・・・・・ン

          ・・・・・・・・・・・・・・ザザァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・なかなかである。

僕は、テーブルの上に移動する。

・・・・しばらくして動き始めた男は、僕の方を見た。

「ニャー」

パンパン・・・・

テーブルの上においてある、フルーツジュースの入ったペットボトルを、たたく。

のどがかわいたので、アピールするのだ。

「・・・・・もう、お昼か・・・・」

男はやって来て、ボトルを開けた。

・・・・そして案の定、自分で飲んだ。

まあ、いいのだ。

トクトクトク・・・・・・

あらかじめ用意してあった小皿に、それを注ぐ。

ペロペロペロペロ・・・・・・・・・・・・・・・・

「ニャー」

おいしい。

ブルルルル・・・・・

僕はブルブルして、また飲む。

ペロペロペロペロ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ザザァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・                ザザザァァァァ・・・・・・・・

・・・・        ・・・・・・・・・・・・・・ン        ザァァァァァァ・・・・・・・・・・・・

窓の方を見ると、男が海を見ながら、フルーツジュースを飲んでいる。

・・・・・・・どうやら、今日は一日のんきに過ごすらしい。

ひげに、少しジュースが付いてしまったので、前足でとる。

ペロ・・・・

・・・・・男はこの後、起きたばかりだから、きっとシャワーに行くはずである。

僕は、ここでまってよ・・・・

     ・・・・・・・・・・・・・・・ァァァァァァ・・・・・  ・・・ン         ザァァ・・・・・・・・・・・

・・・・・・・           ・・・・・・・・・・・・・ン               トコトコ・・・・・・

         ザァァァ・・・・・・・・・・・・・・・            ・・・・・・・・・・・・・・・ン


大きなゆれと、小さなゆれ

2009年04月12日 10時55分08秒 | 黒猫のひとりごと

ガタン――       ガタタタタタタタ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ブロロロロロロロロロロロロロ・・・・・・・・・・・・・・

バスが、走っている。

バスの中は、窓際に椅子があり、真ん中は通路になっている。

僕はその通路で、仰向けに寝転がっている。

ガタン――

ニャァ・・・・

バスがガタガタ揺れるたびに、僕の体もガタガタ揺れるので、楽しい。

・・・僕の頭は進行方向を向いていて、体を反らすと前が見える。

バスの前のガラスはとても大きくて、外の様子がよく分かる。

・・・・・バスの外は、まだ雨が降っている。

ゴロン――

・・・・・僕は横になって、伸びる。

ブロロロロロロロロロロ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

僕は歩いて、運転席の横に来た。

――――    スタッ

飛び上がって、運転席とガラスの間に入る。

「・・・・まだ寝ないのか」

運転しているガイドさんが、何か言った・・・

「ニャー」

ガラスが、冷たい。

ハンドルの前の方が、少し出っ張っていて、そことガラスの間に挟まっているのだ。

いい挟まり具合である。

僕はしばらく、ここでジッとしていることにした。

大きなガラスの外では、ひっきりなしに棒が動いている。

窓の雨を、拭いているのだ。

僕は思わず、その動きにあわせて頭を動かす。

ザァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・               ァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・規則正しい棒の動き。

ニャァ!

バチ   ――――

僕はタイミングを見計らって、ガラス越しにネコパンチをお見舞いする。

・・・・しかし、棒は元気に動いている。

僕は、ガラスに張り付くことにした。

外は、雨が邪魔で、あまりよく見えない。

ガタガタタタタ・・・・・・・・

・・・・また揺れた。

ここは、バスのガタガタした揺れのほかに、小さな、微振動もある。

楽しいので、しばらくここにいよう。

ザァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・               ガタッ      ブロロロロロロ・・・・・・・・・・・


ガラス越しの雨

2009年04月12日 10時28分34秒 | マーロックの日記

ザァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・            ゴォン・・・・・・

      ・・・・・・・・・・・・・・ァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

激しい雨音が、窓のガラス越しに聞こえる・・・・

・・・・・物は、温度や圧力の変化によって、固体、液体、気体・・・と、状態を変える。

ガラスは、そういった分類ではうまくおさまらない、変わった相の一つである。

凝固温度以下に冷やしても、固体にならなかった液体を、過冷却液体という。

それを更に冷やしていくと、その分子は液体のまま・・・つまり、無秩序な構造のまま凍りつき、ガラスになる。

これは固体だけど、構成粒子の配置には、秩序が無い。

固体とは違い、整った構造を持たない点で液体に似ており、実際に、ガラスはとてもゆっくりだけど、流動性を持っている。

・・・・結晶と液体の中間のような構造をしているのが液晶で、これも変わった相の一つである。

ガタ――      ・・・・・・・

物音がしたので後ろを見ると、積み上げられたトランクの上に、黒猫がいる。

・・・・・バスの一番後ろの席には、エレガントさんとノロマさんに、チーフさんが寝ている。

その空間と、私たちのいる中前列のスペースは、あのトランクの山で隔離されている。

なので、女性3人が、寝ているのか起きているのか分からないが、話し声もしないし、黒猫が自由になっているし、寝たんだろう・・・・

ザァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・              ァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・

カバンに付いている、ネコ時計を見る・・・・・

・・・・ネコレースの優勝商品である。

・・・・・・・夜の12時を過ぎている。

私は、数時間眠っていたようだ。

車内を見渡すと、ガードさんと斧さんは、起きている様子である。

・・・・・・運転席でも、物音がする。

私は、左の列の、前から2つ目の席にいる。

前後の席には、誰もいない。

カタ――

私は立ち上がって、物音のする運転席の方へ・・・・

ザァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・           ァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・雨音で、あまり聞こえなかったけど、ガイドさんが、何とかエンジンをかけようと努力しているようである。

・・・・・この国の基準では、普通は運転席は左側にあるべきだが、このバスは右側にある。

斧さんが、その運転席のすぐ後ろの席にやって来て、私と一緒に様子を見ている。

「ニャー」

ゆっくり前に歩いて来た黒猫が、鳴いた。

ガイドさんのため息が、聞こえる・・・・

斧さんが修理を試みたが、特に異常は無かったようである。

もう、エンジンがダメになったのかな・・・・

・・・・・まあ、どうしても動かなければ、歩いて帰ればいい。

明日一日かければ、町まで戻れる。

途中で別の観光客の車を見かけたら、女の人だけでも乗せてもらえば、ペースも速まる。

・・・・・・・・雨音が、響く。

どうやら、ガイドさんはあきらめた様である。

ああ無情・・・・

・・・・・私はそっと、足元を見る。

黒猫が、ブルブルしている。

「・・・・・・このポンコツめ!」

ガン――

・・・・ああ!

ガイドさんがやけくそになって、バスを叩いた。

ふふん・・・・・

叩いたって直るもんでもないさ・・・・・

・・・・・・ブロロロロン・・・・・・            ・・・・・・・・ロロロロロロロロロ・・・・・・・

ゴォン・・・・・・・              ゴロロロロロロロロロ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

          ・・・・・・・・・・・・・・・・・ァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・

「アゥ」

・・・・・・エンジンが、かかった。

叩いたら動くなんて、まるで古いテレビだな・・・・・

「マロックさん、今出れば朝までには帰れますよ・・・」

まともに走れば、町までは、そんなにかからない距離である。

でも夜だし、雨で路面も悪い。

ゆっくり走って、帰るのだろう。

「・・・・・・眠くないですか」

「大丈夫です」

ブロロン・・・・・・・・・           ブロロロロロロロロロ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

バスが、動き出した・・・・

道路はデコボコしていて、車体が揺れる・・・・

・・・・・斧さんはそのまま、運転席のすぐ後ろの席で、窓の外を見ている。

私は、自分の席に戻る・・・・

ナルゲンボトルに、スポーツドリンクを入れてある。

それを、飲む。

ザァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・             ァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ゆっくり走っているから、エンジンの音が、朝よりうるさくない。

窓の外を見る・・・・・

雷光が、時折、バオバブの先端の影を、不気味に照らし出す。

この巨大な島には固有の動植物が多いが、鳥も半分が固有種である。

・・・・・昔、エピオルニスという巨大な走鳥類もいた。

もしかしたら数世紀前まで生きていたかもしれないが、恐らく1000年ほど前には、絶滅した。

エピオルニスは、体高3m、体重は約500kgに達する、これまでで最も重い鳥であった。

・・・・高さでは、やはり絶滅した、モア類の数種の方が大きい。

それらは体高が3.5mあり、最も大きな鳥だったが、これらは首をまっすぐに立てて骨格を組み立てた場合である。

生きている時は、頭は普通、背中より少し高い位置に保たれていたと思われる。

走鳥類は、飛べない。

捕食者がいないため、飛ぶ必要が無くなった鳥の末裔である。

そのため一部の走鳥類は、後からやって来た人間によって絶滅させられた。

自然淘汰による進化は、未来を予測することは無く、常に現在の成功を支持する。

飛ぶ必要が無いなら、翼を作るためのエネルギーを、子孫を残すために使ったほうがいい。

どういうケースでも、子孫を残すことに成功した遺伝子しか、受け継がれない。

・・・・・この島から東にある、比較的近い諸島に住んでいたドードーは、飛べないという点で走鳥類と同じである。

ドードーは、およそ500年前に、自分達の島にやって来た船乗り達に撲殺された、悲しい鳥である。

それまで数千年にわたって捕食者に出会ったことの無いドードーは、自分から船乗り達の所にやって来た。

ドードーという名前は、最初にやって来た船乗り達の言葉でバカという意味に由来する。

・・・・しかしドードーの肉はまずいと思われおり、必要に迫られて殺したのではなく、おそらく気晴らしに殺された。

したがって人間が上陸して2世紀も経ずにドードーが絶滅したのは、人間による殺戮だけの影響ではなかった。

人間がこの島に持ち込んだ、イヌ、ブタ、ネズミ。

これらが、地上に巣を作るドードーの卵を食べた。

そして宗教的な難民達がサトウキビを植え、生息環境を破壊した。

こういった理由が重なったことで、絶滅したと考えられている。

自然保護は極近代的な概念で、当時の人たちにはそんな考えは無かったのだ。

ザァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・        ァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・ドードーの居た諸島より、さらに、かなりずっと東の島には、モアが住んでいた。

およそ750年前に、マオリ族が上陸し、モアは絶滅した。

モアは、やはり絶滅した史上最大のワシ、ハーストワシを除いて、何千万年も捕食者を知らなかった。

したがって、おそらくドードーと同じように、何の警戒もしていなかったであろうモアを人が狩るのは、簡単だったろう。

マオリ族はモアのおいしい所だけを食べ、残りは捨てた。

・・・・・この島にいたエピオルニスも、絶滅した。

その理由の一つは、エピオルニスの卵を人々が盗んだことである。

エピオルニスの卵は最大周囲が1mにも達し、ニワトリの卵200個分の食料になったと思われる。

・・・・・注意が必要なのは、最大周囲が1mであって、直径ではない。

なので数字のイメージほど、巨大なタマゴではなかった。

ザァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・           ァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ドードーの住んでいた諸島はこの島の東で、比較的近い。

そしてこれらの島が出来たのは、地質学的な基準で見れば最近で、700万年より古い島は無い。

なので証拠が無ければ、ドードーは西から・・・・この島や、すぐ西の大陸からやって来たと推定されていたかもしれない。

しかし分子的な証拠は、ドードーと、その近縁のロドリゲスドードーは、おそらく東からやってきたことを示している。

そして、ハトが変形したものであることも分かっている。

ドードーに最も近縁なのは、ロドリゲスドードーである。

そして一部のハト類は、それ以外の飛べるハト類より、この2種のドードーに近縁である。

2種のドードーと、それ以外の飛べるハト類が、最も離れている・・・という、一見した所の予想とは、違う。

ザァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・           ゴォォォォ・・・・・・・

・・・・・・・・・・・ァァァァァァァァ・・・・・・・・・                ・・・・・・・・・・・・・・・・・

モアやエピオルニスは、ダチョウやヒクイドリと同じ、走鳥類に分類される。

ダチョウ目ともいう。

走鳥類は、とても古いグループになる。

現在の鳥を、大きく2つのグループに分けると、その一つが走鳥類と、シギダチョウ目である。

シギダチョウ目は、飛べる。

もう一つのグループは、それ以外の鳥である。

・・・・今から約1.5億年前、世界の大陸は、北のローラシア大陸と、南のゴンドワナ大陸の2つに集まっていて、その間をテチス海が隔てていた。

そしてこの頃、ゴンドワナ大陸は分裂を始めていた。

退化した翼の痕跡があることから、さらにずっと昔は飛んでいたであろう走鳥類の共通の祖先は、この時期には、自由にゴンドワナ大陸を移動できた。

陸が、繋がっていたためである。

後に南極になる陸塊も、一緒だった。

この頃の南極は、今より少し北にあるだけだが、海岸線の形から、暖流が北から流れてきていたため、今よりずっと温暖な気候だった。

やがて、ゴンドワナ大陸はバラバラになっていく。

それぞれの陸塊に、走鳥類を乗せて。

それらが長い時間をかけて、モアやエピオルニス、ダチョウなどになった。

ガタン――     ガタガタガタタ・・・・・・・・     ロロロロロロロ・・・・・・・・・・・・

やがて、後にこの島になる陸が分裂し、片方が北に上がって、ヒマラヤ山脈を作ることになる。

その陸塊に乗っていたのが、ダチョウの祖先だと思われる。

その後、大陸を旅して、この島の西の大陸に来た。

ダチョウは、最初からそこにいた走鳥類の末裔ではなく、大陸移動によって遠回りをして戻ってきた、走鳥類だと思われる。

・・・・分子的な証拠は、以上のことを支持しているが、これらはあくまで最も確率の高いと思われる推測である。

ゴォォォ・・・・・・・・ン             ・・・・・・・・・・・・・・・・・ァァァァァァ・・・・・・・・

・・・・・        ザァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

雷の音が、聞こえる・・・・

・・・・たぶん、斧さんも起きているようだ。

あんまり眠くないので、もう少し、窓の外を見ていよう・・・・・

・・・・・・・・・ァァァァァァァ・・・・・・・・            ザァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・

・・・・      ゴトン――    ガタタタタ・・・・・    ブロロロロロロ・・・・・・・・

・・・・・・・・ザァァァァァァァ・・・・・・・・・             ァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・