雲の境目

2010年05月30日 11時44分02秒 | 黒猫のひとりごと

ザァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ポチャポチャポチャポチャ・・・・・・・・                   ・・・・・・・・・・

「私はここにいるね・・・・」

「ニャー」

タッ・・・・・・                 タッタッ・・・・・・・・

ノロマさんを置いて、僕はさらに高くへのぼる。

・・・・・・        トッ・・・・

・・・石の屋根の上は、思っていた以上に高い。

角の様にとんがった石の先を目指す途中、下を見る。

ノロマさんは傘を差して、子ネコとリスと一緒に森を見てる。

・・・・あそこより上には、ノロマさんでは上れない。

それでも、森よりは高いのだ。

ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・            ・・・・・・・・・・・・・・・・ァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・朝になったばかりの森は雲に隠れていて、見えるのはもくもくだけである。

たまに、もくもくから飛び出てる樹もいる。

空も雲に覆われているから、お日様はその向こう。

森と空の縁あたりにいる。

「ニャー」

よんでも、お日様は姿を見せない。

ピチャピチャチャチャチャ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・少し上に行くと、カッパを着た斧さんがいる。

「ウキッ・・・」

サルは斧さんの頭の上に乗って、一緒に森を見ている。

カエルの枝も、一緒。

トッ・・・・       トッ・・・・                     スタ――――

僕は、もう少し先に進む。

・・・・ここからだと、周囲がぜんぶ見渡せる。

「・・・・・・ァゥ・・・・」

「ニャー」

すごいのだ。

見渡す限り、雲に覆われた森である。

お日様と逆の方の空は、雲が繋がっていて境目が分からないのだ。

雲は、けっこう早く流れてる・・・・・

ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・         ・・・・・・・・・ザァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・おや。

お日様とは逆の空を見ていたら、大きな石が見える・・・・

鳥も見える。

「ニャー」

斧さんは、ジッとどこかを見てる。

・・・・下を見ると、ノロマさんの傘が見える。

「コロロ・・・」

・・・・斜めになった石を下ると、穴がある。

「ニャー」

覗き込むと、向こうが見える。

ちょうど僕が入れるくらいの、大きさ。

チャプ・・・         ・・・・・・

                    グイグイ・・・・・

中に入ると、四角丸い窓から外が見える・・・・・

ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・            ・・・・・ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・         ・・・・・・・・・・・・・・ヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    ・・・・・・コロロ・・・・・・・・          ・・・・・・・・・・・ァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・


分かれ道

2010年05月28日 15時55分06秒 | マーロックの日記

・・・・・・・・・               ・・・・・・・・・・・・ォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・

      ・・・・・・・・・ォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・               ・・・・・・・・・

・・・・             チャプチャプ・・・・・・              ・・・・・・・・・

洞窟の中にある、巨大な地底湖に出た・・・・・

・・・・・ここに戻る前に、ここよりも低い位置にある池の前を通る。

「クゥー・・・」

チワワが、鳴いた・・・・

地底湖の周りに沿って道があり、右側に進むと、焚き火跡のある場所に戻る。

左側には、行ってない。

ここでチワワが、正しい方向へ誘導してくれたからだ。

・・・・黒猫が、匂いをつけていたのかもしれない。

「こっち行こ・・・・・」

テムが、左側に歩き出した。

カールさんが続き、最後に私が続く・・・・

テムは、チワワのカッパについてるひもを持っていて、チワワは自分で歩いてる。

チーフさんは、ひとりで留守番。

・・・・一応誘ったけど、来なかった。

テムが洞窟内を探検したがっていたので、少し歩くことにしたのである。

正確な場所は分からないけど、この湖の上あたりが、川だと思う。

テムはチーフさんのクリップライトを借りていて、それで足元を照らしてる。

私の傘も、テムが持ってる。

カールさんと私はカバンを持って来たけど、テムのは置いてきた。

カールさんの衛星電話も、置いてきてる。

・・・ライトで先の方を照らすけど、しばらくは湖の周りを進むだけの様。

        チャプ・・・                     ポワン ―――

  ジャリ  ・・・・               タタッ・・・

チワワなどペットにされるイエイヌは、オオカミから進化した。

イエイヌは何百種もいて、大きさや色など様々な特徴を持っている。

人間が好みの特徴を選んで繁殖させて、これほどの種類を作り上げた。

新たな品種と認定された犬は、ブリーダー…育種家によって、血統を守るために人の管理下で繁殖させる。

自然淘汰の発見者のひとりであるチャールズ・ダーウィンは、当時ほとんどの人がそう考えていたように、イエイヌの祖先はオオカミだけではなく、ジャッカルなどから進化した種もいるだろうと考えていた。

現在では分子生物学によって、すべてのイエイヌはオオカミが家畜化されたものだと分かっている――ただ、世界中の幾つかの場所で独立に起こっているかもしれない。

オオカミから進化したという言い方は、一番近縁な種であるということと、進化の基準からすると比較的最近枝分かれしてるので、オオカミとイエイヌの共通の祖先は現在のオオカミによく似た動物だったろうと予想されるからである。

イエイヌとオオカミの共通の祖先から、現在のオオカミも、イエイヌと同じ時間だけ進化している。

家畜は野生に戻された場合、数世代でもとの祖先種によく似た特徴を取り戻すことが多い。

なのでイエイヌは、野生に戻ればオオカミに似てくると予想できる。

けれど野生化した野良犬は、世代を重ねても野良犬のままである。

だからイエイヌの祖先は、自然淘汰によってオオカミとの共通の祖先から進化した、野良犬の様な動物だったと想像する事が出来る。

                                 クゥ ・・・

野生の動物は、ご飯を食べている際に近づくことで逃走距離を知ることができる――どのくらいまで近づけば逃げるかの距離で、どの動物にも周りの環境に対する最適の逃走距離がある。

たとえばアンテロープが草原で草を食べていてライオンが来た場合、あまりに早く逃げるのではまともに食事が出来ない。

けど、かなりライオンが接近するまで食べ続けていると、ライオンに食べられてしまうリスクが高まる。

最適の逃走距離は常に変化するだろうけど、それに合うような変化が自然淘汰によって選択される。

オオカミはその距離が長い。

人間のゴミ捨て場は、野生の動物には食料庫である。

それは比較的新しく現れた食料源で、それまでのオオカミの逃走距離では、人のゴミ捨て場を漁るには臆病すぎる。

だけど遺伝子の突然変異によって、少し逃走距離の短い個体が現れたとする。

そのオオカミはゴミ捨て場で食事をしている時に人の姿が見えても、より長く食べ続けるので、他のオオカミより少し有利になる。

したがって繁殖に成功する可能性が少し高まり、その遺伝子がその集団内で広がる可能性も高くなる。

世代を重ねるにつれて、その中からさらに短い逃走距離の個体が利益を得るようになり、その傾向は徐々に、人間が攻撃してくるギリギリの距離まで縮まっていく。

―――有性生殖する生物の場合、同じ特徴に影響を与える様々な遺伝子が集団内に散らばっていて、遺伝子プールと呼ばれる。

これは個体差をうむもので、生殖時に組み合わせが変わるので子供は親とは同じにならない。

オオカミの逃走距離に関する遺伝子も、最適値よりも少し短いものから少し長いものまで、幾らかの範囲で散らばっている。

このような遺伝子の変化は過去に起こった突然変異によるもので、極端に長いものや短いものは淘汰されるだろうけど、最適値から少ししか離れてない遺伝子は極端に不利ではなくそれなりに繁殖に成功するので、遺伝子プール内に残る。

したがって実際のところ、有性生殖をする生物はほとんどの場合で、新たな環境に対応する突然変異を待つ必要はない。

すでにある遺伝子プール内から、新しい環境…どちらかに少しずれた最適値に適したものが利益を得るので、その遺伝子を持った個体が平均的に子孫を残すことに成功し、集団内での数を増やしていく。

今のオオカミの話の場合、人のゴミ捨て場の出現と言う環境の変化によって、逃走距離の平均的な傾向が短くなっていく―――

                                      ・・・・・ォォォォォォォォ・・・・・・・

       カツン ――                 チャプ ・・・

半世紀ほど前に、アカギツネの色変わりの変種である、ギンギツネを選抜育種した実験が行われた――当時ギンギツネの皮は高かったので、家畜化の研究が試みられたのである。

遺伝学者のドミトリー・ベリヤエフによるもので、彼の死後も研究は続けられ、約40年におよぶ実験となった。

実験の方法は作物やペットの品種改良と同じで、偶然現れた、理想に近い特徴を持った個体を選んで交配させる。

選抜の基準としては、見た目やしぐさの可愛らしさと言ったものではなく、逃走距離に似たものが用いられた。

子ギツネが対象で、研究者が手でエサを与えようとして、そのとき体を撫でたり触れたりすることを試みる――成長したキツネでは、人がエサをくれることを覚えてしまうので。

その際の様子で、カテゴリーを3つに分けた。

最初のグループは、人から逃げるキツネ。

次のグループは、逃げはしないけど積極的に人に関わる素振りは見せないキツネ。

そして最後は、積極的に人に懐いて、シッポを振ったり鳴いたりするキツネ。

研究者は、最後のグループのキツネだけを選んで繁殖させた。

これを6世代続けた後、もうひとつの新たなグループが出来る。

予想以上に、人に懐く個体が現れ始めたからである――人の注意を引きたがり、クンクン鳴いて近寄り、なめようとする個体が出てきた。

この最後のグループは、最初はまったくいなかった。

それが10世代後には18%、20世代後には35%、30世代以降は70~80%になった。

研究者の予想以上に結果が出るのが早かったけど、犬や野菜の品種改良の経験から、この結果自体は驚くものではなかった。

それとは別に、研究者の予想外の結果が出た。

選抜育種によって犬のように振る舞うキツネになったけど、それと一緒に、見た目まで犬に似てきたのである。

キツネらしい毛は失われ、白と黒のまだらになった――このため、高価なギンギツネの家畜化という当初の目標は達成されなかった。

下を向いていた尾は犬の様に巻き上がり、雌ギツネの発情期が年1回から、雌犬と同じ半年ごとになった――犬のような声も出したらしい。

この犬のような特徴は、研究者が意図して選抜育種したものではない。

選んでいたのは人に対しての慣れやすさだけであり、したがってそれに関連する遺伝子の変異だけである。

     ジャリ・・・                       ジャリ・・・

                                           ――  ポツン

ひとつの遺伝子が、一見関係無さそうな特徴2つ以上に効果を持つ場合があって、これは多面発現と呼ばれる――この関係を明らかにするのは難しく、胚発生の過程の理解に伴って、徐々に知見が得られている。

垂れ耳やまだら模様といった、ある種の犬やベリヤエフの実験キツネの外見は、慣れやすさの遺伝子が多面発現的に関連していると思われる。

これは一般的には、ある特徴を進化させた推進力を考える際、その特徴自体が自然淘汰によって選ばれたものでは無い可能性があるということである。

それは遺伝子の多面発現によって引きずられただけで、実際には関連する別の特徴が選択されたのかもしれないのである。

ベリヤエフの実験から、キツネやイヌの逃走距離に関連する遺伝子は、おそらく見た目のイヌらしさにも関わっている。

したがって逃走距離を徐々に縮めてきた野生のオオカミは、その時点で、おそらく見た目も野良犬の様になっていたという予想を支持するものになる――そこから人為淘汰…選抜育種によって、現在のような品種に枝分かれした。

チャプチャプ・・・・・                チャプチャプ・・・・・

・・・・・分かれ道だ・・・・・・

まっすぐ湖の周りを進む道は、細く、足場が悪くなっている。

左側に進むのが、よさそうである。

・・・・カールさんはテムと話しながら、先を進む・・・・・

私は、カバンに付けてあるネコ時計を見る。

・・・・・もう少しいいか・・・・・

おや。

割れた石がある。

ゴリ・・・・                        ――――ゴン   ・・・・・・・

割れた石同士を、ぶつけてみた。

ライトを外すと、少し光ってるのが分かる。

鉱物に混じった不純物が、摩擦で励起されて光ってるのだ。

何の石かな・・・・

紫外線ランプがあれば、この洞窟は夜空の様になるかもしれない。

                                         クゥー・・・・・

・・・・少し、チワワたちから離れてしまった。

ジャリ・・・・

私は立ち上がって、追いかける。

・・・・・・ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・            ・・・・・・・・・・・・・ォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・

・・・ジャリッ・・・・・                       トトトトト・・・・・・・・・

           ザッ・・・・                          ザッ・・・・


缶詰の水

2010年05月26日 11時46分11秒 | マーロックの日記

パチパチパチ・・・・・・・                          チチチチチ・・・・・・・・

・・・・・・・                 ・・・・・・パチチ・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゴォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・            ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・テムが、目を輝かせて見ている。

チーフさんが小さなスタンドつきのグリルで、調理しているのだ。

4本足が広がるようにグリルを支えていて、その下から火で温める。

バーナーとカセットガスもあるようだけど、焚き火の枝を使っている。

グリルでは、その上で直接ものを焼いている訳ではなく、小型のプレートを乗せて、ハンバーグを焼いてる。

ひき肉に豆腐を混ぜた、ハンバーグだという。

・・・・おろしポン酢のボトルも見える・・・・

料理もポン酢も、ノロマさんから教わったらしい。

・・・・そして、私とカールさんが洞窟の外にいる間に、スープも出来てる。

石で組んだ支えの中に、焚き火で熱くした石を置いて、その上に小さなおなべを乗せてる。

あれの中に、コンソメスープが入ってるらしい。

・・・・・テムの運んでいてたカバンには、もっと簡単に調理できる非常食や、そのまま食べれる栄養食などが入ってる。

・・・・・ハンバーグの材料などの入ったボトルは、チーフさんが運んでいた。

ずいぶん準備がいいけど、だから急いでノロマさん達を追いたかったのだろう。

どのくらい持つのか知らないけど、あれは非常食じゃないから早めに食べたほうがよさそうである。

バチチチチチチ・・・・・・・・                   ・・・・・・・・・・・・・

       パチン・・・・・・                      ・・・・・・・・・・・・・・

「はい・・・・」

すでに温めてあったライスのパックから、カールさんが食器に移してる。

それを、私が受け取る。

一枚で2つのおかずを載せれるプレートで、その片方にライスをのせている。

もう片方には、豆腐ハンバーグがのるのだ・・・・!

ポタタタ・・・・

・・・・後ろで、小さなお椀の食器にスープが注がれている。

テムがやってる。

出口に続く坂と違って、ここの石はおうとつが少ない。

カタ・・・・          カタ・・・・・

フォークがあるけど、私はお箸を持ってきてる。

「はい・・・・」

・・・・・私の左手に、3枚のプレートがある。

最後の一枚を右手に持っている。

どちらか片方に4枚乗せることも出来るけど、まあこれでいい。

ビニールシートの上で準備をしていたテムが、こっちに来る。

・・・・・ハンバーグが出来たのだ。

一つひとつは、そんなに大きくない。

おそらく本当は、斧さんとノロマさんにも食べさせるつもりだったのだろうから、これでも予定よりは大きいのかな・・・・・・

・・・・・・それとも私たちは無しで、2人にだけ食べさせるつもりだったのかもしれない。

「はい」

プレートにハンバーグが乗って、それをカールさんに渡す。

「ほら・・・」

・・・続けてハンバーグが乗せられた。

そのプレートは、テムに渡す。

・・・・口をポカンと開けたまま、テムは去った。

ジューー         ジューー

のこり2つにハンバーグが乗ったので、それを持って私もシートの方へ向かう。

ご・・・・ゴクリ・・・・・

・・・おいしそう。

コト・・・                          パタ・・・

チーフさんが火の処理をして、こっちきた。

ゴソゴソ・・・・・・・・

私は自分のカバンから、パイナップルの入ったボトルを取り出した・・・・・

・・・・ゴソ・・・・

しかし、すぐ戻した・・・・

・・・・・・黒猫を見つけてから、一緒に食べよう。

近くで燃える焚き火のと、シートの上にあるランタンライトの明かりで、明るい。

それに加え、私は首に下げたライトをつけっぱなし。

それでも2日は持つし、予備の電池もある。

「い・・・いただきます・・・・・!」

「いただきます・・・」

さっそくテムが、食べだした。

私も、いただく。

パク・・・・                   パクリ・・・・

       モグモグ・・・・・                       モグモグ・・・・・

「おいしい・・・・・!」

「うん・・・」

おいしいハンバーグである。

・・・・・・・・ォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  ・・・・・・・ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・洞窟の出口の外を歩いてみたけど、近くに衛星電話の使える場所は無かった。

洞窟内もコンパスを見ながら歩いたから、だいたいの位置はあってると思うけど、正確に確認して無い。

朝日が昇るころ、もう一度確認に出ることにした。

・・・・スープもおいしい。

「・・・・・」

・・・・テムは、もう食べ終わった。

食うのが早い。

「ほら・・・・」

            ――――ポン

・・・チーフさんが、袋に入ったパンをテムに投げ渡した。

チーフさんはでっかいカバンを背負っていたけど、食べ物ばかり入ってるのかな。

「・・・・・ごちそうさま・・・・・・・・」

・・・・・私も、早々に食べ終わってみる。

ドキドキ・・・・・

「・・・・・」

・・・しかし、私の手元にはパンは飛んでこなかった。

まあいいか・・・・

ゴソ・・・・

                                   ゴクリ・・・・

サプリメントを取り出して、飲んでおく。

    ポト・・・

「それも食べとけ・・・・」

テムの食器にも、乗せる。

「・・・・・次は探検だね・・・・・!」

もらったパンを食べながら、テムは元気いっぱいである。

「・・・・・歯を磨いてからね・・・・」

ちゃんと、電動のを持ってきてる。

2分で終わるのである。

・・・・・あとは、プレートだけ水で流しておこうか・・・・・

水は洞窟の中で補給できるから、問題ない。

チーフさんは、見かけの割りにゆっくり食べる。

「クゥー・・・」

チワワは、チーフさんから缶詰をもらって食べた。

その空の缶に、水が入ってて、それを飲んでる。

・・・・テムが、チワワのシッポをにぎった。

パサ・・・・

しかし、チワワはシッポを動かしてはずした・・・・・・

・・・・・・・・ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・

          ・・・・・・・ォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

パチッ・・・・・                     ・・・・・・・チチチチチ・・・・・・・・・・・・

    ・・・・・・・・・パチン・・・・・・・・                         ・・・・・・・・・・・


食事の準備

2010年05月24日 12時15分52秒 | マーロックの日記

ゴォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   ・・・・・・・・・・・・ォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・チャプン  ・・・・・                    パチパチパチ・・・・・

・・・              パチチチチチ・・・・・・・          ・・・・・・・・・・・・・・・・・

「・・・・ついた・・・!」

・・・・火がついて、辺りに新しい影が出来た・・・・・

洞窟の中の出口近くで、焚き火をしている。

「クゥー・・・」

少し寒そうにしていたチワワも、うれしそう。

・・・・地底湖からここに来る際、チワワが活躍した。

湖の辺を進んでいて、左に下る道との分かれ道が合った。

そこでチワワはクンクン嗅いで、左の坂道に私たちを誘導してくれた。

パチチチチチチチ・・・・・・・・・・・                 ・・・・・・・・・・・・・・・・

   ・・・・・・                     バサ・・・・・

――――焚き火から少し離れた所に、ビニールシートを広げる。

・・・・その後、さらに地下にもぐった私たちは、別の湖を見つけた。

それは最初の程大きくも深くもない様だけど、ここから遠くはないので水汲みに丁度いい。

・・・・ここは坂の途中にある踊り場の様な空間で、天井も高くて、僅かな空気の流れもあるから、焚き火にはよさそうだし、寝るのにもよさそうである。

・・・・今夜は、ここで泊まる。

この坂を登ると出口で、やはり水が流れ込んでくるけど、洞窟に入った入り口ほど激しい流れではない。

洞窟を出た私たちは、慎重に地面を調べた。

そして、消えかかっていたけどトランクケースのものと思われる跡を見つけた。

早く追いかけたいけど、慎重に相談した結果、ここで泊まることにした。

雨に濡れないから、休むのにいい。

・・・それにまだちゃんとした食事も食べてないし、あんまり人は襲わないとはいえ、夜はヒョウも活動してる。

斧さんは山には慣れてるだろうし、彼がいるから大丈夫だと、先を急ぎたがるチーフさんを説得した。

・・・・言うと否定するから言わないけど、ずっとトイレケースを持ち運んでいて、さすがにチーフさんも疲れてる。

やはり、斧さんとは違う・・・・・

テムもこのまま強行すれば、ペースが落ちるだろう。

2人も夜はどこかで休んでいるはずだから、同じである。

明日の朝から、一気に追跡する。

ノロマさんが一緒だから、かなりペースは遅いはずである・・・・!

黒猫も、元気にしてるかな・・・・・・

・・・・・明日は、私がトイレケースを持とう。

ゴォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

          ・・・・・・・・・・・・・・ォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・出口が近いから、外の音が響いてる。

焚き火の枝は、さっきみんなで集めた。

この坂を出口とは逆方向に進むと、湖がある。

「・・・・ねえ・・・探検しようよ・・・・・」

「・・・・あとでね・・・・」

テムは、今夜はここで寝ることが決まってから、洞窟を探検したがっている。

ここに向かう道の他に、大きい方の湖の辺をそのまま進む道があった。

そんな余裕があったらさっさと寝ろとチーフさんが言いそうだけど、少しくらい良いだろう。

まあ、食事してからである。

・・・・食事は、チーフさんが用意してくれる。

水を入れると熱くなる非常食もあるけど、簡単な調理キットも持ってきてるらしい。

「・・・・お前は手伝ってな・・・・・」

「・・・・わかった」

テムにはチーフさんの手伝いをお願いして、私とカールさんは外に出る。

現在位置を知りたいのと、近くに衛星電話が使えそうな場所が無いかを探す。

・・・たぶん、川の北に来ているはずだ。

鉄橋の辺りではほぼ南北に流れていた川は、この辺りでは東西に流れている。

その南側から洞窟に入ったけど、ここは北側のはずである。

川の下を、通ってきたのだ。

「・・・じゃあ、行って来ます」

「ああ・・・」

・・・・カールさんが、先に少し進んでいた私の方へ、来る。

ジャリ・・・                 ガツッ・・・・

ここから上は、足場が悪い。

ノロマさんは、ここを登るのにかなりの時間をかけただろう・・・・

・・・・・パチン・・・・・・・・               ・・・・・・・・・・・・・チチチチ・・・・・・・・

・・・・・・・・        ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・

     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


暗闇の探検

2010年05月22日 23時47分40秒 | 黒猫のひとりごと

ザァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・            ・・・・・・・・・・・・・ァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・ヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・                ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

タンッ・・・・                    チャッ・・・・

・・・・石の屋根は、ずいぶん高い。

左前足を振って、水を飛ばす・・・・

屋根の上を目指してのぼっているけど、雨が落ちてくるからビショビショである。

ゴォォォォォ・・・・・・             ・・・・・・・・・・・・・ン

空はたまにしか光らないから、暗くて困るのだ。

ゆっくりと、足元を確認して進んでく。

チャッ・・・・                    タン・・・・

石は滑らかな所が多いけど、たまにデコボコしてる。

目をパチパチさせるけど、暗くて見えない。

石に顔を近づけて、確認。

ニャ・・・

左側に、小さな穴があいてる。

チャプ・・・              スル  ――――

中に入る・・・・・

はさまり具合は、なかなかである。

「ニャー」

「・・・・そこにいるの・・・・・・?」

おや・・・

ノロマさんの声・・・・・

傘にあたる雨音も近づいてきて、ノロマさんが接近していることが分かる。

「・・・・・シッポが見えてるよ・・・・・・」

ニャ・・・・

ツンツン・・・

・・・ライトで、僕のシッポをつついている様である。

スル・・・・

後退して、外に出る。

「・・・・・ニャー」

ライトで照らしているとはいえ、僕がやっと来た場所まで、あっさりノロマさんが来たのだ・・・・・

「もどろう・・・・・」

「ニャー」

くやしいのだ・・・・・!

チャッ・・・        タッ ・・・           ―――― タン  ・・・・・

明るいから、すばやく進む・・・・・

チャン   ・・・・・・

そして、首を後ろに向けてノロマさんを見る。

「ニャー」

ライトの光があれば、僕もすばやく進めるよ・・・・

トン・・・           チャプッ・・・

ノロマさんは、ゆっくり歩いてくる・・・・

・・・・・どうやら、人が歩くのに困らないほどの幅があったようである。

・・・・・・・・ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・           ・・・・・・・・・・・・・ァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・焚き火の明かりが見えて、うっすら左下にいるゾウも見える。

タッ・・・・        タッ・・・・                       チャプッ・・・・

               ブルルブル・・・・・・・             ・・・・・・・・

「・・・・ァゥ・・・」

・・・・ノロマさんの様子を見ていた斧さんの横まで駆け寄って、ブルブル水を飛ばしてやる・・・・!

暗闇の中を冒険したのに、ノロマさんに追いつかれてくやしい僕は、屋根の反対側にあいている穴を目指す。

・・・・  パチッ・・・・・                 パチチチチチ・・・・・・・

「・・・・・キキッ」

             ・・・・・・・・・・・トトトトトトトトトト・・・・・・・・・・・・・・・・

リスが鳴いたけど無視して、進む・・・・

・・・・ヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

      ・・・・・・・・・ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・こっち側は切り立っているから、落ちたら痛そう。

        ・・・・カプ  ・・・・・・・・

ニャ・・・・ッ

リ・・・リスが僕のシッポを噛んだ。

さっき、返事しなかったからである・・・・!

「ニャ~~・・・」

・・・・僕は、リスにあやまるのだ・・・・・・

「・・・キキッ」

・・・・すると、リスは僕の背中にのぼった。

「そっちもあぶないよ・・・・」

ノロマさんも戻ってきていて、傘をたたんでる。

「ニャー」

僕のおかげで、開けたね・・・・

折り畳み傘に鳴いて、僕は焚き火の近くに寄る・・・・・

雨に濡れたので、ちょっと乾かすのである。

・・・・・・パチチチチチチ・・・・・・・・             ・・・・・・・・・・・・・・・・チチチ・・・・

      パチンッ・・・・・                         ・・・・・・・

ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・          ・・・・・・・・・・・・・・・・ォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・


腰掛ける

2010年05月20日 15時01分30秒 | マーロックの日記

・・・・・・・・・・・・・ォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

     ・・・・・・・・・・・           ・・・・・・・・・・・・・・・・・ォォォォォォォォォ・・・・・・・・・

             チャプチャプ・・・・・・         ・・・・・・

・・・・水がどこかにあたった音が、聞こえる・・・・・

私は、焚き火跡の近くにあった段差に、腰掛けている。

ザッ・・・・

両足をそろえて、腿の上に手を置いてみる。

「・・・・・・・」

しかしそれはすぐやめて、左脇に置いておいたハンドライトを取る。

      ―――――    チャポン     ・・・・・・

・・・・・                            ・・・・・・・・・・・・・・・・・

水面を照らすと、反射した光がゆれてる・・・・

チラッと左後ろを見ると、チーフさんは石に腰掛けて、地図を見てる。

たぶん、早く先に進みたいのだろう・・・・・

斧さんは平気にしても、ノロマさんは動きがとろいし、見た目から頑丈そうじゃないからな・・・・

・・・・・カールさんとテムがおかしを食べてるから、食べ終わるまで待とう・・・・

私はすでに、ゆで卵を食べた。

・・・・私たちの来たほうからの、空気の流れが分かる。

低い位置を流れているから、座らないと分からないな・・・・

・・・・・この湖にも、魚はいるだろうな・・・・・

洞窟に住む生物は、それぞれの洞窟で、それぞれ独自に同じような特徴を進化させている。

繁殖を遅らせ、数を減らして大きな卵にする・・・・・そして、寿命を延ばす。

眼は退化し、体の色素も失われていく。

暗闇の中では、光は届かないから眼は役に立たない。

体のどの器官でも、作るのにはエネルギーが要る。

突然変異で完全ではない眼を持った個体が現れれば、完全な眼を持つ個体に対して、別の事に振り分けれるエネルギーが多くなるから、少し有利になる。

眼は病気や炎症を起こすリスクがあって、そうなると余計にエネルギーを消費する――――モグラも、それが理由で眼を退化させている。

また、遺伝子の突然変異のほとんどは中立で、何の効果ももたらさない。

そして意味のある変異のほとんどは、眼なら、その機能を崩すような変異である。

地上に暮らす場合、その様な悪い影響を与える変異は、淘汰圧によって修正される。

けれど暗闇では、例えば目の形が歪むなどの変異によって、上手く焦点が合わせられないような眼でも、そもそも暗くて見えないので、淘汰されない。

したがって長い時間を経た後では、そうした変異が積み重なって、眼としての機能はほとんど失われているだろう・・・・・

・・・・・そして、そのような眼を、皮膚で覆うような通常の進化も合わさって、洞窟魚のような退化が起きる――――

洞窟の動物は眼が利かないから、一般的に、嗅覚や味覚、長くなった触覚や触毛、魚なら側線器官を鋭敏にして、活用している。

――――側線器官は圧力に関する魚の感覚器官で、人には無いので、その感覚は想像し難い・・・・・・

チャプン・・・・                    チャプチャプ・・・・・

    ・・・・・・・・・ォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・                  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・

「クゥー・・・」

チワワが、私の背中にやって来た・・・・

着ているカッパに付いたひもは、テムの腕についてる。

ガサ・・・                    トン・・・             トン・・・

傘を拾って、立ち上がる。

「・・・・・もう行こう・・・・・・」

「うん・・・」

斧さん達は、他の出口を見つけたんだろうか・・・・

ジャッ・・・・                       タッ・・・           タッ・・・

ハンドライトは、カバンに戻す。

湖の辺の沿って、道がある・・・・

・・・・そんなに細くは無いから、落ちる危険は少ない。

天井はすごく高くて、知らないうちに、だいぶ地下にもぐったのかもしれない。

ポト・・・・・

ほぼ北に向かって進んできた・・・・

・・・・・この洞窟。

地上の川の対岸まで、続いてるかもしれない。

ザッ・・・・                   ザッ・・・・・             トン・・・・

        ―――――   ポツン   ・・・・・・・

     チャプチャプ・・・・・・                      ・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・           ・・・・・・・・・・・・・・・ォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


地下の湖

2010年05月18日 13時57分25秒 | マーロックの日記

チャプチャプチャプ・・・・・・・                         ・・・・・・・・

      ポタタ・・・・                     チャプチャプチャプ・・・・・・・

・・・・・・・・            ・・・・・・ォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・とても僅かだけど、外の音が低く響いてるような感じがある・・・・・

水溜りの奥に進むと、右側を流れる川と分かれて、だんだん細くなる一本道が続いた・・・・・

・・・・けれど、そこを抜けると急にひらけて、川とも合流した。

川とは1mくらいの段差があって、徐々にその差が広がっている・・・・

最初は坂をのぼっているのかと思ったけど、どうやら川が下っているようである。

ジャリ・・・・          ザリ・・・・               ザッ・・・・

      ジャリ・・・ザッ・・・・                          ジャッ・・・・・

・・・・私は最後尾で、ひとつ前にテムがいる。

先頭はカールさんで、次にチーフさん。

私以外は、頭にライトをつけている。

みんな光を広げてるから、十分な明るさ。

カールさんは、頭の他に手にライトを持っている。

チーフさんのクリップライトは、向きを変えて後ろを照らしてる。

テムの足元を照らしてるらしい。

おかげで、最後尾の私も明るい。

壁はきれいな縞模様で、茶色い。

ポタ ――――

しばらく迫ってきて、また高くなった天井から水滴が落ちてくる。

チャプチャプププププ・・・・・・・・・・・・・・                 チャプン・・・・・・・

      チャラララ・・・・・                  ポチャン・・・・・・

川の落ちないように気をつけながらも、広い空間をライトで照らす・・・・・・

ジャリ・・・・             ガリッ・・・・

              ザッ・・・・                   カタッ・・・・

チャプチャプ・・・・

・・・・川を照らすと、細い枝が流れていく・・・・・

「クゥー・・・」

・・・・・チワワがテムの腕から身を乗り出して、鳴いた・・・・・

チワワは言葉は喋らないけど、何となくノロマさん達がいる自信が強くなる・・・・

・・・・・ォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

       ・・・・・・・・・・・・・・・・・ォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

小さかった響きが、さっきよりよく聞こえる・・・・・

・・・・・さっきまでの音と同じ場所から響いているのかはわからないけど、私たちの進む方向から届いているようである。

――――   トッ  ・・・・・・

・・・・何気なく自分の踏んだ場所を照らすと、もう跡は乾いてる・・・・

カバンには、まだ水滴が付いてるけど。

・・・・・少しずつ、私たちの道も下りだした・・・・・

チャプププン・・・・・・・                    ・・・・・・ォォォォォォォォ・・・・・・・・・

・・・・・ォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・             ポチャン――――

おや・・・・

ライトの光が吸い込まれる・・・・・

「マロックさん・・・・池だよ・・・・・」

「・・・・うん・・・・」

ゴソ・・・・

フラップポケットからハンドライトを取り出して、つける・・・・・

「・・・・・すごい・・・・・」

・・・・・広い。

突然、巨大な地底湖に出た・・・・・・

・・・・向こうの壁が見えない・・・・・

何本かの柱が見える。

・・・・・・・ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・                ・・・・・・・・・・・・・ォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・ずっと奥から、水の流れる音が響いてる・・・・・・

私たちと一緒に流れてきた川の他にも、水が流れ込んでるらしい。

「・・・・かなり深いぞ・・・・・」

チーフさんが、のぞきこんでる。

       ・・・・・・キャンキャン・・・・・・

ほんとだ・・・・・・

深い湖。

                 チャン  ――――

足を動かした弾みで、小さな石の欠片が水に落ちた・・・・・・

ライトでそれを追うと、すぐ手前のでっぱりに当たって方向が変わった。

・・・・・そのまま、見えなくなった。

「クゥー・・・・」

「ねぇ・・・・!」

テムが呼ぶので見ると、少し先に行ってる。

「・・・・あ・・・・!」

その側に、あきらかに焚き火のあと・・・・・

ザッ・・・・・                  ザッ・・・・・

            ジャリ・・・・・・・                    ポチャン・・・・・

・・・・ここは、少し広い。

枝が放射状に並んでいて、その中心で火を燃やしたらしい。

枝が少ないから、節約しながら燃やしたのだ。

・・・・それ以外のものは、残されてない。

「・・・そこに何かあるの・・・・?」

・・・・チワワが壁際を嗅ぎながら、シッポ振ってる。

黒猫の匂いでもみつけたのかな・・・・・

「きっと・・・間違いないね・・・・」

「うん・・・」

・・・・焚き火の跡は、つい最近のものの様。

チワワの反応を見てると、ノロマさん達がここにいたと、判断してもよさそうだ・・・・・

チャプン・・・・                  サララララ・・・・・・・

                  ・・・・ポチャン・・・・・

「・・・すこし、休もうか・・・」

「そうだな・・・・」

ジャリッ・・・・                   カンッ・・・・

・・・・・・水の方を見ると、段差がある。

水が汲めそうだ。

・・・・補給しとこう。

カタン  ――――

傘を、地面に置く。

                               ――――ザッ・・・・

おりると、水面はすぐそこ・・・・

斧さんがここにいたなら、彼もここで水を汲んだだろう・・・・

・・・・・・・・    チャプン・・・・                       ・・・・・チャポ・・・・

    ・・・・・・・・               ・・・・・・・・・ォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・           ・・・・・・・・・・ォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


火のまわり

2010年05月16日 10時39分04秒 | 黒猫のひとりごと

ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・             ヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・               ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・石の屋根にあたる雨が、よく響く・・・・・

    タンッ・・・            トンッ・・・           トトトトト・・・・・

トンッ・・・            タッ・・・          タタタタ・・・・・

キッ・・キッ・・   キキッ・・・            トットットットッ トンッ・・・・     キキッ・・・!

「ニャー」

「ミャ~ォ」

「ウキィ」

僕らは、リスのダンスを見ていた。

・・・・ノロマさんはケースを壁に立てて、背もたれにしてくつろいでる。

大きなタオルをひざの上にかけて、もう寒くはなさそうである。

パチパチパチ・・・・・・    パチンッ  ・・・・・・

斧さんは何度も枝を取りにいって、焚き火してる。

その火が照らすから、ライトは消されてるのだ。

・・・おや。

僕の足元に影がいるから、前足を上げて振る・・・・

足の影で、攻撃するのである。

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   ・・・・・・・・ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・屋根の中には入ってこないけど、風の吹く音が高くなったり低くなったり・・・・・

パチ・・・                   カタ・・・

「キィ・・・」

・・・・・サルは、今夜はサルダンスを踊らない。

斧さんが集めてきた枝を何本か置いて、動かして遊んでる。

僕は・・・・焚き火の周りをまわることにするのだ・・・・・

パチパチパチ・・・・・・                      ・・・・・パチッ・・・

・・・・      ・・・・・・・・・・・・・                     パチチチ・・・・・・

「ニャー」

「・・・・・ァゥ」

      ・・・・・・ズル・・・・

途中で斧さんが邪魔なので、どける。

・・・・・ニャ

今度は、斧さんの集めてきた枝がある。

カリ・・・・                        パキッ・・・・

僕は枝をよけることなく、またいで進む・・・・

                     ――――パチ  ・・・・・

そして最後に、シッポで一撃する。

・・・・・・湿った枝である。

チチチチチ・・・・・・・                                ・・・・チッ・・・・

      パチン  ・・・・・・                  パチッ・・・・・・

・・・・・一周した。

壁を見ると、ノロマさんは子ネコと遊んでる。

リスは、踊りながらあちこち動き回っている。

サルは枝で遊んでるし、斧さんは焚き火と遊んでる。

「ニャー」

・・・・・・僕は・・・・・カエルと遊ぼう・・・・・・

パチンッ・・・・・・                 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

     ・・・・・・・・・パチチチ・・・・・・・・・・・・       ・・・・・・・

・・・・・・・・ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    ・・・・・・・・・・・・ァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ニャー・・・・            コロロ・・・・                   コロロ・・・・

・・・・・・・ヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

        ・・・・・・・・・ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


デコボコな橋

2010年05月13日 15時34分07秒 | マーロックの日記

・・・・・・・・・・・・・ォォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

       ・・・・・・・・・・・・・・ゴォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・ォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・ビニールシートの上に、衛星電話のアンテナを広げてる。

防水仕様ではあるけど、あんまり濡れないように場所を選んだ。

「・・・・・ダメだ・・・・・・」

カールさんがそう言う前に、様子でそうだと分かった。

・・・・・チーフさんとカールさんが、洞窟の中で炭化した木の枝を見つけた。

斧さんとノロマさんかは分からないけど、だれかが焚き火をした可能性が高い。

上から黒くなった枝が流れ落ちてきた可能性もあるけど、足跡のことなどもあるし、中で焚き火したと思う。

チーフさんが中に入っている間、外の足跡の様子を見ていた。

・・・私たちの足跡もあるから、斧さんのだと思われる、大きな足跡しか確認できない。

あちこち歩き回った感じである。

焚き火の枝を、集めていたんじゃないかな・・・・

・・・・・中は水溜りになっていたようだけど、焚き火してたんなら、少し前までは水は引いていたのかな・・・・・

「クゥー・・・・」

チワワが、鳴いた。

「マロックさん・・・・」

おや・・・

すでに通話をあきらめたカールさんが、電話機を専用のカバンに戻し終わったようだ。

「行こう・・・・」

「・・・・うん・・・・」

バサ――――

チーフさんが促すから、決めた。

シャープさん達に伝えておきたいけど、しょうがない。

傘を開いた私は、入り口の滝の水を受け流す・・・・・

「ちょっと待ちな・・・・」

                ――――ゴン     ・・・・・・・・

ゴロン・・・・                         ゴンゴン・・・・・・

・・・・・ついさっき落ちてきた大き目の石を、チーフさんが蹴って洞窟の中に落とした。

          パチャ    ―――――

下で、水に落ちた音がした・・・・・・

チャン    ジャッ・・・・・

             ガリッ・・・                  ・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

最後に、私が入る・・・・

          バサッ     ――――――

そして、傘を閉じる。

4人のライトの光があるから、明るい。

傘を杖にすると、楽。

ガツッ・・・・                      ガリ・・・・・

                 チャン・・・・・             ・・・・・・・・・・

   トッ・・・・                         ジャリ・・・・

              ズル・・・                       ポチャン・・・・

結構下るな・・・

・・・・上の天井は、どんどん高くなる・・・・

トン・・・・                      チャプチャプ・・・・・・

       ・・・・・・・・・・・・・・・ォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

先頭のチーフさんが、止まって辺りを見てる。

・・・・なるほど。

水溜りがある。

池と言うべきか・・・・

ここら辺の石を投げ入れれば、足場を作れそう。

「こっちのほうが浅い」

             ボチャン  ・・・・

そう言って、左側に石を投げ入れた。

・・・・さっき蹴落とした石も、しっかり足場になってる。

「お前持ってろ・・・・」

「・・・・うん」

チワワを大事に抱えたテムに、傘を渡す。

腕につけるライトを、頭に付ける。

そしてカバンのフラップポケットから、手袋を取り出す。

これもハイテク繊維で出来てるから、頑丈。

「いいよ・・・2人でやる・・・・」

・・・・手伝おうとしたカールさんを、止める。

私とチーフさんで十分だ。

そんなに深い池じゃない。

左側に足場を作るから、右側から石を取って投げる・・・・・

すぐ先に、水面より高い足場がある。

そこまで、繋げばいい。

ボチャン・・・・             ボチャッ・・・・            ゴン・・・

         ガッ・・・・                   ガンゴン・・・・・

・・・・・水に削られて出来た、洞窟だ。

長い時間が掛かって出来たものだろう。

今生きている生物も、非常に長い時間をかけて進化した。

・・・・私たちは、36~40億年前に最初の生命が誕生していらい、一度も死ぬことのなかった生命で出来てる。

たった一つの細胞という細い道を通って次の世代が成長するけど、その間、活動を止めることはない。

今生きているすべての生物は、変異を繰り返してはいるけど、最初の誕生以来、一度もその生命活動を止めることは無かった。

生殖系列は体を代えて生き続けており、それに境目をつけるのは難しい。

    ・・・・・ポチャン      ・・・・・・

生殖系列は長い間生き続けてはいるけど、それを構成する原子は違う。

そこが、石と違う。

私たちの体は、絶えず原子が入れ替わっている。

1秒の間に、数百垓個も入れ替わっている―――1垓は1京の1万倍で、1兆の1億倍である・・・1020

――――おおざっぱに、体重60kgの人なら6×1027個の粒子で出来ていて、それらはじっとはしていない。

・・・・・入れ替わりやすい物とそうでないものがあって、水分は早く、皮膚は1ヶ月ほどかかり、肝臓は1ヶ月と少しで新しい粒子に替わる。

骨や神経細胞はもう少し時間がかかり、1年くらいで、体を構成する粒子の約98%は入れ替わっている・・・・

末端の神経細胞や腱、そしてヘモグロビンの中心にいる鉄などは、なかなか替わろうとしないから、数年はかかる。

それでも5年もあれば、最後のひとつまで粒子が入れ替わると思われる・・・・10年あれば、ほぼ間違いなくすべてが新しい粒子になっているだろう。

・・・・・なお、ここでいう粒子は原子のことで、核子やクォークや電子の数ではない――――

地球上にはたくさんの元素があるけど、それらが集まって生き物を形作っては、やがて新しい粒子と交代して、散っていくのだ・・・・

大人なら、たぶん子供のころの記憶はあるだろう。

私にも鮮明に覚えている事はあるけど、その子供のころの私の体を構成していた原子は、今はいない。

今の私は、まったく別の粒子で出来ている。

けれど私は昔の事を思い出せるし、人格が変わることもない。

脳などを構成する物質そのものに、記憶などの情報が備わる訳では無いということである。

記憶とは、かならず同じパターンで活性化する、ニューロンの集合である――――ニューロンは、神経細胞。

ある記憶で結びついているニューロンは、長期増強というプロセスによって、結びつきを強める。

何か強い刺激がニューロンに与えられると、隣のニューロンも刺激する。

そうすると、普段は細胞壁の中に隠れているレセプター・・・受容体・・・が出てきて、反応しやすい状態になる。

・・・この状態は長ければ数日間続き、その間に、再び同じニューロンが刺激を受けたら、今度は最初よりずっと弱い刺激でも、ニューロン同士が反応する。

これを繰り返していると、ニューロン同士の結びつきは強くなり、それは忘れることのない記憶となる。

そのニューロン同士が刺激されて同時に活性化していると―――その記憶を思い出していると―――、そのエネルギーで周囲のニューロンも刺激する。

それが繰り返されるうちに、その周囲のニューロンも同じパターンに組み込まれる。

いろんな種類の記憶があるけど、基本的な仕組みはみな同じである。

思考も感覚も想像も・・・脳の働きは同じ。

発作は別だけど。

懐かしい匂いをかいだりしたとき、その記憶のニューロン集合が活性化され、それに繋がりの強いニューロンも活性化されるから、関連の記憶もセットで思い出したりする。

ニューロンの活性化は速い場合と遅い場合があって、速いほど近くのニューロンに飛びやすい。

様々な記憶に繋がる取っ手のような記憶があって、それを思い出す刺激の種類が多ければ、その記憶は便利な取っ手となる。

――――取っ手となる記憶を呼び起こすことで、本当に思い出したい記憶を呼び出すのに使える。

・・・・意識については、まだよく分かってない。

単純な行動をする際、意識する一瞬前に、脳が反応することは分かっている・・・・・・意識してから、脳が反応するわけではない。

・・・・脳に様々な電気信号が走って、その副産物として意識が出る・・・とも思える。

高次の思考の場合は、どうなるのかは分からない。

量子効果によって、意識が生まれると考える物理学者もいる。

そうだとすれば、現在研究中の量子コンピューターが完成して動けば、それは意識をもつことになる・・・・

生命は・・・意識も含めて、物理的な組成だけで決定されるだろうと、私は思う。

ガン・・・           ゴンゴン・・・・・

      ・・・・・・ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・ゴォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

出来た・・・・

「すごいね・・・・・」

自分で使えばいいのに、テムが傘を私にかえした。

手袋の水を切って、カバンに戻す。

カサ・・・・

ライトは、また腕に戻しておく。

・・・・辺りをよく照らすと、木の枝は沢山ある。

枝の生分解も速い、熱帯雨林である。

この水溜りは、右側から洞窟の奥に流れ込んでいる。

これだけの枝が流されずにまだ留まっているのは、つい最近集められたからだろう。

2人は近くにいるかもしれない。

ジャリ・・・・         ガッ・・・・

                     ズル・・・・・                 ポン―――

・・・・・天井は・・・・高い。

「クゥ」

・・・・・・・ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・            ・・・・・・・・・・・・・ォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・

タン――――                       タッタッ・・・・・・


消えかけの跡

2010年05月13日 14時58分40秒 | マーロックの日記

ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・

チャチャチャチャ・・・・・・・・・                  ・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・洞窟の上から、集まってきた水が流れ落ちてる。

たぶん乾期には、干上がってしまう小さな滝なんだと思う。

雨が降ると、僅かな地形の歪みが水の流れを変えて、ここに集まって落ちるのだ。

その小さな滝の裏に、侵食で石が削れて、洞窟が出来たんだろう・・・・・

「キャンキャン・・・・・」

「・・・・どうしたんだよ・・・・・」

・・・・チワワが、ここに来てからたまに鳴く。

もしかしてノロマさんの匂いでも見つけたのかと思って、それらしいものを探してる。

・・・・休憩も兼ねていて、テムはお菓子をもらって食べてる。

私はカバンからハンドライトを取り出して、詳しく調べてる。

洞窟の中に斧さんがいるかもしれないから、チーフさんが外から呼びかけてるけど、反応はない。

ジャリ・・・           ジャリ・・・・・

                     ポチャチャチャチャ・・・・・        チャン・・・

・・・・ほぼ北に向かってあいている洞窟の南東側は、ずいぶん林冠から水が落ちてくる。

細い水の流れが何本も垂れていて、移動を妨げる・・・・・

・・・・それでも私は傘を差さず、間を縫って足元を詳しく調べる。

ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・           ・・・・・・・・・ォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・

・・・・・あった・・・・・・

探していてのは、不自然な地面のへこみ。

地面は水分を多く含んでいて、ぐちゃぐちゃである。

しかし、消えかかってはいるけど、あきらかに人工的な直線の跡・・・・

・・・・・トランクケースの跡っぽい・・・・・

「・・・・おい・・・・・・!」

みんなを呼ぶ・・・・

・・・・線は洞窟の方へ向かってる・・・・・

チャチャ・・・・                 チャ・・・・・

「これ・・・・」

・・・・駆けて来たカールさん達が、すぐに理解した。

どっち向きに進んだのか分からないけど、ケースを引いていたんじゃないか・・・・

「これ見な・・・・」

・・・・チーフさんが指した先に、足跡・・・・・

線の跡のすぐそば。

・・・・私たちの足跡よりも、大きいな・・・・・

斧さんなら、これくらいのサイズだろう。

・・・・向きは洞窟の方に向かってる。

ケースの跡は、途中で消えてる。

持ち上げて・・・走ったのかな。

私は顔を上げて、洞窟の方へ進む・・・・・

・・・・もうテムがそっちにいて、地面を見てる。

「あったよ・・・・」

・・・・・ほんとだ・・・・・

水に消されかけてるけど、たしかに靴の跡。

大きさは、斧さんのっぽい。

ゴォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

         ――――――    ドォォォォ・・・・           ・・・・ン

「・・・・・!」

突然大きな音がしたから、洞窟を見る。

入り口に、大きめの石が落ちてきたんだ・・・・

すぐ上の斜面が急だから、上から落ちてくるようだ。

「・・・・・あたしが中に入ろう・・・・」

・・・・チーフさんが、そういって洞窟に向かう。

やぱり、中に入ったんだと思う。

雨を凌ぐには、いい場所だろう。

ジャリ・・・・              ジャッ・・・・

「あんたは外にいな・・・・・」

私も行こうかと思ったら、止められた・・・・

・・・・・そうだな。

カールさんも行く気らしいし。

バサッ・・・・・

ライトをとって、傘を開く。

滝をそれで防いで、チーフさんとカールさんが入るのを手伝うのだ。

ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・後ろで、チワワをかかえたテムが見守る中、2人が中に入る・・・・・・

足元はゴツゴツしてて、水の流れから石がちょっと頭を出してる。

そこを足場に進めそうだ・・・・・・・

ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

           ・・・・・・・・・・・・ォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・ォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・