流れるように

2018年04月20日 12時54分41秒 | マーロックの日記

           ピィ

                                            ォォォォォ   ・・・・・

                 トコ

風の音かな・・・

荷台の中にいる。

天井は3m以上の高さ。

長くて広く、音が響いてる。

「・・・」

木箱に乗った黒猫が、こっち見た。

ライトの光を反射して、目が光っている。

私は冷凍庫の前にいる。

「・・・」

メジロとリスも、見てる。

直に食事の時間。

冷凍庫はトレーラーのキッチンにもあるけど、荷台の横長の冷凍庫の方がたくさん入る。

上に寝転がれば、いいベッドにもなる。

大きな冷凍庫だけど、肉や魚とか、冷凍食品がぎっしり入ってる。

だから、チョコアイスを入れるスペースは少ない。

それでも、入ってはいる。

数が少ないので、コックさんかフワリさんあたりが数を正確に確認している可能性がある。

「・・・・」

だけど私は、たべたい。

バレてしまうリスクはあるけど、しらばっくれることは可能だろう。

「ニャ~」

上から、黒猫の声。

食べてしまえと言っているのかも。

                    パカ

開く。

          ガサ

ぼんやりした光で、庫内が照らされる。

        ガサ

あった。

                           パタン

ひとつ取り出して、冷凍庫のフタを閉める。

      トコ

外に行こう。

シャワーを浴びたばかりの私は、さっぱりしている。

今夜も月はよく見える。

せっかくだから、屋根の上で食べよう。

コックさんたちはキッチンで料理しているから、外に出ること自体は危険は少ない。

リフがいるかもしれないけど、あいつは黙っているだろう。

斧さんも。

      キキ

黒猫たちも一緒に来る。

チョコアイスは、分けてあげない。

欲しがらないし。

                     パタタ

羽織っていたブルゾンのフードに、メジロが入った。

「ピィ♪」

一緒に行くつもりみたい。

          トコ

迷路にした荷台の通路には、いざというときに跳んで抜けれる場所があった。

フワリさんに追われたときに役に立ったけど、彼女の指示で抜け道は無くなっている。

木箱の低い場所を選べば、抜けれると思うけど。

           トコ

何度か通路を曲がって、箱島まで来た。

トラネコやオッドネコはいない。

メタボネコも含めて、ネコたちはトレーラーにいる。

プルームさんとゴムさんとコニが、ネコたちをシャワーで洗ってる。

黒猫は、よく私と一緒にシャワーに入るので捕まってない。

荷台に入ってすぐの所にある枠台車は、ゴミ袋を積んでおく場所。

もういくつかある。

そろそろ、秘密のゴミ袋をあの裏に隠しても良い頃。

今は、箱ベッドの下にある。

               ギィィ

扉を開ける。

                                            ゥゥゥウウウ  ・・・・・

                     カララ

「・・・・」

・・・風が強い。

「ニャ~」

                 スル

黒猫をお腹をつかんで、浮かせてあげる。

                             バタン

閉めて、ハシゴに向かう。

トラックとトレーラーと大バスで、コの字にしてある。

風よけにいい。

ここから北に少し行くと、坑道の跡がある。

明日は、そこに行ってみる。

地図がこの辺りを示しているのかわからないので、何も手がかりがない。

とりあえず、廃墟を回ってみることになる。

ポールさんの6輪駆動車が移動に便利なので、それで近くの廃墟を見に行く。

その間は、ここを拠点にする。

川が近くにあって、水汲みに便利なので。

トレーラーには排水処理の能力があって、水は気化させて残ったのは乾いた粉になる。

この人数でも、1か月ぐらいはほっといて大丈夫。

取り出した粉は肥料にできる。

連結のホースはあるので、トラックの家部分の排水も、トレーラーで処理できる。

「クゥン」

レトリバーがいた。

ガードさんと一緒に、見回りしているみたい。

一応チョコアイスをガードさんから見えないようにもって、進む。

           

黒猫は私の移動に合わせて、4つの足を動かしている。

                  ト    トン

ハシゴで離すと、先にのぼった。

                  ギィ

金属のハシゴを上る。

                                  ポ    ポ

空はたくさん星が見える。

帯の様に星が集まってクネクネして、シッポみたい。

                      ニャ~

             

屋根に乗る。

「・・・・」

・・・グリが木箱の上で仰向けになってる。

「マロックさん」

私に気付いて、すぐにチョコアイスを見た。

「♪」

手は、先に上っていた黒猫を撫でてる。

これは、口止めに半分あげる必要があるかな。

「・・・俺はいらない」

グリが言った。

「そう・・・」

「みんなにも言わないよ」

「うん」

黙っていてくれるらしい。

仰向けになって、夜空を眺めていた様。

         パリ

袋をあける。

最近のアイスは、ミルク感が強いのが多くて困る。

以前はおいしかったアイスも、わざわざミルク感を増したりする。

でも、このチョコアイスは平気。

安くて、ミルク感はあまりない。

              パク

棒をもって、たべる。

「ピィ」

「キキ」

黒猫の背中にいるリスが、鳴いた。

「・・・・」

風は少しつめたくて、チョコアイスもつめたい。

でもおいしい。

                パク

「ニャ~」

「・・・・」

マッチョさんたちのテントはもう張ってあって、その辺りが明るい。

衛星電話を使っているのかも。

ここなら、よく繋がりそう。

土壁の事があるから、老紳士がもう1台私たちに持たせてくれた。

2台ある。

それぞれ、携帯電話やパソコンなどが同時に5台まで接続できる。

ただ、実際に通信できるのはその中の1台だけ。

電話自体は普通のが使えるから、便利。

ボーダさんや老夫婦に、連絡しているのかも。

母テムかもしれない。

お店の準備で、今は忙しいみたい。

            パク

                                 

コ型の真ん中には、長テーブル。

ランタンライトもあって、小さく動く影。

小鳥が来ている。

明るいからかな。

まだ乾いてない髪も、ひんやりする。

上を見る。

「・・・・」

衛星見えないかな・・・・

                 パク

                                        ヒュルルルル   ・・・・・・・

                          ポォ


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