ちょっと前まで、「バンバン本編進めるぜ~~~!」とか思ってたはず。
でも、やっぱ身近なところで大きな事件が起こると影響されるね、一種の鬱症状だ。
何をやっても「不謹慎?」とか思って楽しめない。
世の中、こ~ゆ~現象に悩まされている人種、激増中みたい。
そんな人達に向けて、ある被災者の方が、「不謹慎だなんて思わずに、無事な方はいつもの生活を送ってください。それが経済向上になって被災地の復興にも繋がると思って欲しい」とおっしゃったそうです。
すっごく、心が軽くなりました!!
今こそ、何かしたい。でも、何も出来ない。せめて経過を見守って祈りたい。
だからといって、「祈る、祈る、って結局、何もしてない!」と罵声を浴びせる人々にも一言。
祈る心を持てるのが、人間です。
ってな訳で得意分野でその声をぶちまけよう。
太陽系標準歴3月30日:標準時間00:47 (ルナ)
『祈る』気持ちって、心のどの辺りにあるのかな。
心は誰にも見えないから、そんな真摯な思いにも触れられない。
カオルはいつも、『お前の祈る心は手に取るように見える』って言うの。
『そんな時の、お前の表情は、とても美しい。』って、そう言ってくれる。
でも、私は知っているわ。人は祈る時、誰だってとても美しい表情になる。
それは、当然私だけじゃなく、あなただってそうなの。
だから例え、真摯な思いに触れられなくても、心は伝わる。
誰だって伝えられるし、伝わるものなの。
ねぇ、そんな時、私達だけが持つ、『力』は必要ない。
見えない、からこそ。
・・・・・・・・・・・本当に美しく輝く時もある。
ついさっきの出来事。
夕食の準備が出来たから、リビングに呼びに行ったらカオルがいつもの定位置(ソファ)にいない。
代わりにチャコがチョコリと座っていたから、「カオルは?」って聞いたら、「なんや知らん。難しい顔しとったから奥やろ。」って。
そういえば、さっき、内線コールが来てた・・・・てっきり仕事の定時連絡だと思っていたから気にしなかったけど。チャコも微妙な表情で肩をすくめていたから、彼女も用件を聞き出せなかったみたいね。
奥にある2人で使っている書斎には、部屋の隅に外の宇宙空間が望める小さな窓がある。
カオルはいつも、何か考え事する時とか静かに時間を過ごしたい時に、その窓の前にお気に入りの椅子を置いて一人で座っている。
そんな時は、私でも邪魔出来ない雰囲気があるから、そっとしておくことが多いんだけど。でも、今日は違った。椅子には座らずに、両手を組んだまま背筋を正して真っ直ぐに外を見つめる姿が。
・・・・・・・・・・昔のままみたい、で。
「カオル・・・・・・・・」
呼び声が震えてしまって。彼もいつもより一息遅れて振り向く。
「・・・・・夕食か?」
「ええ・・・・・・」
「わかった。すぐ行く。」
そう答える声は、いつもと同じく凛としたものなのに。
その瞳は一度も私を捉えずに、すぐに窓の外へ向き直った。
見えない。
その、揺れる、内なる心・・・・・・・。
「ええ・・・・・待ってるわね・・・・・」
私もそう答えたのに、足が動かない。
それは、再び宇宙を見据える彼の横顔に釘付けになっていたから。
そう、この表情は。
私が昔から知る、あなたの『心』を映す最も美しい表情・・・・・・・。
「・・・・・・ルナ?」
私がいつまでも動かないから、さすがにカオルも不審気な目を向けてきた。
私はなんだか寂しくなって、素直に彼に言ったわ。
「あなたの心が見えないの。」
「え?」
「ゴメンね。気を付けてはいるんだけど、あなたのやり切れない気持ちだけが流れてくるのがわかるの。でも、こんな時、あなたは心を閉じているわね。だから見えない。」
「・・・・・・万能の女神・ルナにも出来ないことがあるか。」
「『感じる気持ち』は不可抗力なの。人の心を探るなんてことはしないわ。特に、そんな目をしたあなたの心は、ね。」
遠回しに言ったつもりだったけど、やっぱりカオルにはわかったようで。
観念したように両手を上げて、嘲るように笑った。
「敵わないさ、お前には。・・・・・・・ただ、な、ちょっと・・・・・・・少し、祈ろうと思って。」「え・・・・・・・・・?」
「さっきの内線コール。艦長から。」
「そう・・・・・・・・・」
「惑星・アルビオンに物資輸送したシャトルが爆発事故を起こしたそうだ。クルーに艦隊から出向していたメンバーがいたそうで、弔電を送りたいから、いいか、という内容だった。」
「そうだったの・・・・」
思わず俯いた私を見てから、彼も少し目を伏せて、そして再び窓の外へ視線を向ける。
さっきと同じ、凛とした横顔。
「惑星・アルビオン・・・・・・この星の名を覚えているか?」
「ええ・・・・・ベルが始めて開拓事業を進めた惑星だわ。」
「そう。当然、あいつの知り合いも多い。・・・・・現地の人間、何人かが事故に巻き込まれたようだ。」
「えっ・・・・・・!」
驚いて顔を上げた先に、やっぱり同じ横顔。
ううん・・・・・同じじゃなかった。
瞳・・・・・閉じてる。
『祈り』の表情。
そして・・・・・・・・・・・・・。
「ベル・・・・・・あいつは、言わないだろう。こういうことを。」
「そうね・・・・・・・。でも、あなたも言わないでしょう?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「亡くなった艦隊の人、知り合いだったんじゃない?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
例え、「顔見知り」程度の人でも、情が深いあなたなら、そうやって目を伏せて悼む。
だけどそれは、人としては当然のことで。
「ねぇ?・・・・・あなたもベルも、余計な心配をかけたくないから、って、こういうことをあまり言わない。でもそれって『心使い』じゃないと思うの。だって・・・・・こうやって知った時、寂しいじゃない?」
「ああ・・・・・・・・・」
「悼んだり、祈ったりする心って、とても穏やかで美しいと思うわ。直接何かは出来なくても、見えないものでも、何かが伝わってるんじゃないかな、って思う。それって・・・・・・きっと人の心の神秘、ね。」
「神秘、か・・・・・・・」
ふと。
息を吐くようにもらした彼の笑みがとてもキレイで。
私は、やっぱり何かを感じて、切ないような泣きたいような気持ちになってしまう。
流れてくるの。
この確かに伝わってくる、何か・・・・・・。
「だから私も。・・・・・・・一緒に祈っていい?」
「ああ・・・・・・・。」
そうして、私とカオルはしばらく2人で窓際に立って目を閉じていた。
その様子を陰から見ていたチャコが、「ちょっと異様な光景やったねん。」とか言ってたけど。
「でも、2人ともすっごいキレイな顔しとったで~」・・・・・・・と。
そうも言ってくれた。
『祈る』気持ちって、人の心のどこにでもあるのかもしれない。
心は誰にも見えないものだけれど、真摯な思いなら確かに伝わる。
見えない、からこそ。
本当に美しく輝くのが、・・・・・・・・・・・『心』。
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eriy
小さな『祈り』でも、立派な支援。
心からお見舞い申し上げます。
『心は見えなくても、心使いは見える。』〇~シ~♪
多分、全国8割の人間がこのCMウザがってますが、私は好きです。
このシリーズに出てくる男子高生、大和田伸也さんの息子さんも♪(健介クン♪)