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涙に暮れた「あの日」から半年 “春”を信じて一歩一歩… 北海道ルポ

2019年03月06日 09時17分55秒 | 本日の我が家の話題

 北海道地震から6日で半年。被災農家は生活や経営を取り戻そうと少しずつ歩みを進める。震源地・厚真町の稲作農家夫妻は地域の復興を願い多忙な日々を送る。安平町の若手酪農家は、周囲の支えで再建への決意を固めた。(川崎勇、望月悠希)

涙に暮れた「あの日」から半年 “春”を信じて一歩一歩… 北海道ルポ
営農再開に向けて話し合う佐藤泰夫さん(左)と妻の美奈子さん。何より、地域全体が復興することを願う(北海道厚真町で)
いとこの分もさあ米作り 厚真町の佐藤さん夫妻
 地震による土砂崩れで自宅や農地に被害を受けた厚真町の稲作農家、佐藤泰夫さん(63)と妻の美奈子さん(59)は、営農再開や暮らしに不安を抱えながら、地域を元気づけようと奮闘する。今年は仮設住宅から通って稲作をする。泰夫さんは犠牲者をしのぶ慰霊塔を製作。美奈子さんはJAとまこまい広域の女性部長として、伝統のみそ造り再開など復興へ向けて前を向く。

 「まだ亡くなった実感がない。家に戻ると、姿を見せる気がする」と美奈子さん。隣に暮らしていた夫のいとこ、故・佐藤正芳さん=当時(65)=のことだ。稲作農家だった正芳さんは、地震の土砂崩れに巻き込まれて亡くなった。夫妻が庭で作業していると、「何してるんだ」とやって来る気さくな性格だった。今年は、正芳さんの農地2ヘクタールも借りて作付けする。

 夫妻の住宅は土砂崩れで損壊し、避難所暮らしを経て昨年11月から仮設住宅で暮らす。農地は4・5ヘクタールのうち0・6ヘクタールが土砂に埋まった。仮設住宅を出た後、どこで暮らすかめどが立たない。先が見えない中、美奈子さんはJA女性部長として活動する。昨年11月には、女性部員が毎年集まる交流会を開いた。「中止の話もあったが、こういう時こそみんなの元気な顔を見たい」。震災をテーマに、教訓や部員の思いを伝え合った。

 女性部厚真支部加工部の「おふくろみそ」の製造も再開した。地震の際、販売を控えたみそだるが散乱した。みそは美奈子さんの女性部加入のきっかけになった商品。途絶えさせたくないという思いがあった。昨年12月~今年1月に仕込んだ。製品1万800個に相当する9720キロができる見通しで、11月に販売する。美奈子さんは「先人から引き継いだものをつなぐことができ、ほっとしている。今後も復興につながる事業を進めたい」と話す。

 同町で看板店も営む泰夫さんも、復興に向け汗を流す。昨年12月の慰霊祭で使われた約3メートルの慰霊塔を製作。亡くなった住民の思いも背に、春の農作業に臨む。

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最終更新:3/6(水) 7:03
日本農業新聞

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