猫

兄ちゃんが名前をつけた
ネ子か寝子がイイと云うので
僕はネ子と呼んでいる



この娘は裏の横内さんのおじいちゃんとおばあちゃんが可愛がっていた猫だ
今度、息子さん夫婦と暮らすため家を建て替える事になり
ひとまず越して行った
そしてこの娘は置き去りにされた
暫くはおじいちゃんが餌をあげにきていた
僕のうちのプロパンガスのボンベのかげに餌の器があった
僕も時々、信州名産 丸イカなんかあげていた


畑に水やりしてると足にまとわりついてくる



草むしりしてる手に戯れて来る
この娘はまだ若い


一晩泊めてやった
チロちゃんと僕の傍でぐっすり寝た
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でも僕は猫は得意ではない
実は苦手だ
でも僕の悩みはそんな事じゃない
明くる日、横内さんのお嫁さんが隣りのおばあちゃんと僕に
ネ子に餌をあげないで下さいと云いにきた
家の基礎のコンクリートに足跡を付けると
やり直さなければいけないと云う理由だった
変な話だが隣りのおばあちゃんと僕はネ子に餌をあげない取り決めをした
その晩ネ子は僕の窓辺で明方までその理不尽さを訴えていた
二日後出かけて家に戻ると
隣りのおばあちゃんがネ子に竹輪をあげていた
僕はほっとした

散々可愛がっていたものを自分の都合で置き去りにしてイイのか
あんまりだ
ユキにこの話をしたら
アメリカじゃ逮捕されると云っていた

僕が風呂に入れば風呂の外で
台所に立てば勝手口で鳴いている
僕の後をいつも追っている

横内さんと、もめるわけにも行かないし
かと云って飼うわけにも行かないし

朝晩餌はあげるけど
僕は少し距離を置いてネ子と付き合う事にした

今朝も朝の6時前から窓の外で早く起きろと鳴いている
たまらず僕はネ子を叱った
そしたらフンニャ～と鳴いてどこかへ立ち去った

お昼頃、庭に出たがネ子の姿は見えなかった
居なきゃ居ないで寂しいものだ
僕は少し悪い事をしたのかなと心が痛んだ