Del Amanecer

スペインとフラメンコ、ビセンテ・アミーゴと映画とフィギュアスケートについて

スペイン映画「永遠のこどもたち」を鑑賞

2009-01-16 23:22:04 | CINEMA~映画
私は怖い映画が苦手だ・・・。
なのになぜこれを観てしまったんだろう??
多分スペイン映画じゃなかったら観なかっただろうし、たくさんの人がホラー映画でありながら絶賛しているのを読まなかったら観なかっただろう。
かくして私は丁度東京にやってくるスペイン語通訳をやっている友人を誘い、一緒に映画館に行くことになった。

普段私はひとり映画が結構好きだ。そして映画館がすいているのも好きだ。
もちろん作品にもよるけれど、ひとりでゆったりと座り、隣近所に誰もいないというのが映画の世界に没頭できて好きなのだけど、今回ばかりは友人と一緒でよかったと思ったし、小さい箱だからか人もたくさん入っていて本当によかった!

タイトルの「El Orfanato」はスペイン語で「孤児院」という意味だ。
日本語のタイトル「永遠のこどもたち」は日本で公開するにはぴったりのタイトルだと思う。
舞台はスペイン北部アストゥリアス地方の海辺の土地にある昔孤児院だった建物。
今はもう光を投げかけることのない灯台が海を見下ろしながら立っている。
昔この孤児院で子ども時代を過ごし、途中で養子になるために離れていった少女ラウラが大人に
なって再び、ここで障害児のための施設を開こうと医師である夫と子どもを連れて戻ってくるところ
から物語が始まる。

一見何でもなさそうな日常から、少しずつこの家の不思議な現象や出来事によって非日常の世界へ変化していく様子は、じわじわと観るものを引き込んでいく。
サスペンス仕立てで、謎解きの宝探しになぞらえ、幼い少年が道においた道しるべの貝殻のように随所に置かれた伏線を見事に収斂しながら物語は思いもよらないラストへ向かって加速しながら進んでいく。

幼い息子が母に尋ねたように母はウェンディとなってネバーランドに旅立つのか・・・。

オペラ座の怪人ファントムを彷彿とさせるもうひとりの少年。
彼も母や愛を求めていたのだ。
この子の母ベニグナがまたとっても怖い!
ふたりの母親、ラウラとベニグナの対比もまた物語に深い陰影を与えている。
愛と憎しみが交錯する中、目にはみえない「永遠のこどもたち」みんなが求めているのは
愛だけなのに・・・。
あまりにも哀しい真実のあとで心安らぐ結末が待っている。
それは哀しい結末なのに、深い深いところで愛に満ちた結末なのだと思いたい。

この映画を観た夜は本当に怖くて眠れなかった・・・!
普段この手の映画は観ないだけに、慣れていないせいなのか(?)心底怖かった。
折角のスペイン映画なのに、途中からはスペイン語を聴く余裕もなくなってしまったくらい!
通訳の友人はさすがに字幕の意訳を発見したりしてたのだけど・・・。

「永遠のこどもたち」は母の愛に満ちた映画である。
それでもこの映画は怖い。やっぱりホラー映画なのである。


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鑑賞日: 2009年1月12日(月・祝)13:50~
映画館: シネカノン有楽町2丁目 シアター2 E-04



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