Del Amanecer

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最強の友情物語 ~「最強のふたり」を鑑賞

2012-09-08 23:41:14 | CINEMA~映画
先週のファーストデー。この「最強のふたり」は封切り初日。
一列目まで埋め尽くしたお客さんを見るのは久しぶりだ。
映画館はすいているのもゆったり観られて好きだけど、みんなで笑って泣いた方が映画の醍醐味は味わえるから、こんな映画は満員の方が楽しい。

さて映画が始まる。
いきなり暴走する車が登場。黒人の青年と初老のヒゲをはやした紳士。
事情はまったく分からない。車は危険な暴走を続けつつも他の車を見事にかわしていくが、結局警察に行く手を阻まれる。
・・・この冒頭のシーンが意味することの答えが分かるのはラスト近くになる。

事故で首から下が麻痺した大富豪の紳士が募集した介護人の募集にかなり場違いな黒人の青年が現れる。そして失業保険をもらうために面接したというサインが欲しいから来たのだと悪びれずに述べるが、大富豪は用意しておくから明日また来いと言う。

インテリで偏屈な大富豪フィリップと、スラム街で複雑な家庭環境の中をなんとか生きてきた移民のドリス。
介護が大変な上に気難しいフィリップの元にはなかなか人がいつかない。でも素直でずけずけとモノを言うドリスに興味をもったフィリップは彼に試用期間を与えることにし、ドリスも立派な部屋やふかふかのベッド、足つきのバスタブについ心惹かれて、このトライアルを受けることになる。
(ドリスは家ではゆっくりお風呂にも入れなかったからね!)

今まで腫れ物にさわるように世話をされてきたフィリップに、ドリスはまったく遠慮なくモノを言い、難しい介護に手をやきつつも、いつもと変わらずマイペースに振舞う。
そんなドリスの下ネタやブラックユーモアにも知性とユーモアで切り返しながら、フィリップは天真爛漫で実は心優しいドリスに次第に心を開いていく。

ドリスは発作を起こしたフィリップにも、介護人としてでなく、友達や家族のように接する。「世話をする」という仕事としてではなく、どうしたら「友」が心地よくなれるのか・・・彼はいつもそれが自然に行動に出来る人なのだ。
だからこそフィリップにも変化の兆しが見えて、周囲の人たちもドリスを受け容れていつしか信頼関係が生まれていく。

「退屈な集まりだ」というフィリップの誕生祝いも、ドリスの素直な反応に最後はノリノリのダンスタイムとなり、ドリスも華麗なダンスを見せて、みんなが笑顔になる。
なんだか観ていて嬉しくなるようなシーンだね。

予告編を観た時に勝手にアメリカ映画だと思い込んでいた本作はフランス映画。
どこか淡々とした語り口ながら、しっかり随所にフランス映画らしいエスプリが効いている。
子供のように笑うふたりの姿を観ているうちに、私たちにも何だか幸せが降り注いでくるようだ。

家庭の事情を汲んでドリスに家に帰るように話すフィリップ。
ドリスもスラムに戻って、また母や弟たちとの現実と向かい合うことになる。
でもそれは長くは続かなかった。やはりフィリップにはドリスが必要なのだ。
ドリスのいない空白を誰も埋めることはできず、また暗い気持ちになり発作を起こすフィリップをドリスは車にのせて夜の街を暴走する。

そんな事情だったのね。ここでファーストシーンとつながる。
警察官を二人の機転でやり過ごし、再び走り始めた彼らが到着したのは海だった。
ドリスはフィリップに海が見せたかったのだ。
(でもそのあとでフィリップのヒゲでドリスは悪ふざけをするんだけどね!)

そしてラストにはさらに素敵なサプライズが待っていた。
それはどうぞみなさん映画館で確かめて!
ドリスの素敵な贈り物にフィリップは・・・。素敵なラストシーンだ。

実話を元にしたこの映画。最強のふたりの友情は続いているそうだ。
天真爛漫な笑いの奥にある本当の優しさ。
観終わったあと温かな気持ちで満たしてくれる物語だ。




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「最強のふたり」
原題 :「INTOUCHABLES/UNTOUCHABLE」
2011年: フランス
鑑賞日: 2012年9月1日(土)16:15~(113分)
映画館: TOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン2 J-12


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