Del Amanecer

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ラテンビート映画祭開催中!~スペイン映画「EVA」を鑑賞

2012-09-30 23:48:44 | CINEMA~映画
毎年恒例のラテンビート映画祭(LATIN BEAT FILM FESTIVAL 2012 en TOKIO)も今年で9回目。
毎年この時期、場所も新宿バルト9の8番スクリーンとほぼ決まっている。
そして映画祭なので監督や主演した俳優さんたちが来日し、プログラミング・ディレクターのアルベルト・カレル・ルゴ氏の司会で登壇し、貴重な話を聞かせてくれるというお楽しみもある。

だいたい2~3本は観るのだけど、今回はスペイン映画の「EVA」1本のみの鑑賞。
2011年の作品で、シッチェス国際映画祭などにも出品したとのこと。
今回の映画祭にはキケ・マイジョ監督が来日。
終映後にはアルベルト氏のインタビューと監督への質疑応答タイムが設けられた。
監督が自分の作品について熱く語るのを生で聴ける機会など滅多にないから貴重だ。



さて本編。2041年という近未来のスペイン北部の街が舞台。
「最強のふたり」と同じ作り・・というのは冒頭の部分。
いきなり緊迫した場面から始まる。観客は何も分からずに物語の中に放り込まれる。
そして、主人公のアレックスが登場。ロボットを製作する科学者の彼は10年ぶりに雪深い故郷の街に戻り、少年型ロボットの製作を始める。
すべて完璧なこのロボットだが、まだ感情の部分が未完成だ。

アレックスは兄のダビと結婚したかつての恋人ラナと出会い、そして二人の娘エヴァと出会う。
生意気だが頭のいい特別なエヴァに惹かれたアレックスはエヴァをロボットのモデルにしようと思いつくのだが・・・。

静かに始まったストーリーはかすかにサスペンス仕立てで、アレックスとラナの愛などを絡めながら、静かな悲劇へと向かっていく。

アレックスの身の回りの世話をするロボット(おじさま!)や、彼のペットのロボット猫、そして・・・ここに出てくるロボットたちは精巧で完璧だ。
ロボットが感情を持つとき、人はロボットに親近感を覚えるのだろう。
猫は猫らしくふるまい、おじさまロボットは悲しむアレックスを抱きしめてくれる。

物語の後半にはあっと驚く秘密が隠されていて、私たちは驚くことになる。
そして、ああ、冒頭のシーンはここにつながるのね。
そしてその後の展開が哀しい。

豊かな感情を持っていても彼らは機械だ。本来無機質なものなのだ。
これから先、日本でもロボットの開発がすすめば、こんなことも起こりうるのかもしれないなぁと思った。

監督が6ヵ月かけて3000人の少女の中から選んだというエヴァ役のクラウディア・ヴェガはとても魅力的でこの役柄によく合っている。

SF映画なのに(しかも2041年!)70年代風のレトロな空気にあふれていて、どこか温かみさえ感じる。
ピンと張りつめた空気感が透明で、どこか切ない。




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「エヴァ」
原題 :「EVA」
2011年: スペイン
鑑賞日: 2012年9月30日(日)13:15~(94分)
映画館: 新宿バルト9 スクリーン8 H-15
LATIN BEAT FILM FESTIVAL 2012 en TOKIO


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