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GのBIM備忘録

かつて、金閣寺は金色に輝いていた。

2018年07月20日 | BIM

もし下の画像のような状況で

 「かつて金閣寺は金色に美しく輝いておりました。」といわれた時、人はどのようなイメージを持つのでしょうか。

金閣寺の画像

 「金色に輝いていた金閣寺」と説明した人のイメージと、その説明を受けた人が想い描くイメージは同じなのでしょうか?

 

 

具体的な材料無しに一般の人が正確なイメージを頭の中に描く事は、非常に難しい事であるように思います。

 

一般人どころか、私は今でも図面を見ただけで正確にイメージを描く事ができません。

パースを作って初めて「こういう建築になるんだ」と思う事がしばしばです。

恥ずかしい事ですが。

 

設計者が自らの設計イメージを正確に表現する事は、非常に大事な事であるように思います。

 

 

 

さて、ここで問題です。

タイトルが表す正しいイメージは、下の3つのうちのどれでしょうか?

金色に輝く金閣寺1

 

金色に輝く金閣寺2

 

金色に輝く金閣寺3


建築設計者がCineRenderの品質を上げるのは難しい

2018年07月18日 | BIMレンダリング

正確には、身近にCineRenderでのレンダリングに関するアドバイスを受けられる存在がいないArchicadユーザーにとって、CineRenderのレンダリング品質を上げる事は難しい、と思います。

 

建築設計実務を抱えながらCineRenderの試行錯誤をしなければならないのは、かなりハードな状況です。

人の倍働く覚悟がなければ無理ではないでしょうか。いやその覚悟があってさえ難しいかもしれません。

 

 

それは例えばマテリアルの設定で、マテリアル設定ウィンドウではそれらしく見えても

 

マテリアル設定ウィンドウでのアルミニウムの設定

 

 

実際のシーンでは設定通りの表現にならない事は珍しくはありません。

シーンのレンダリングではアルミニウムパネルがそれらしく表現できない。

 

これをシーンの中でアルミニウムらしく表現できるまで設定を調整するのは、CGの知識や経験に乏しい建築設計者がアドバイスを受けずに行うのは非常に困難です。

 

現実の世界でもアルミニウムがアルミニウムらしく見えない状況は多々あります。

ですがそれはなんら問題ありません。

それはある状況ではアルミニウムらしく見えないだけで、そこにあるのはアルミニウムだと、見る者が認識できるでしょう。

 

けれどもバーチャルの世界では事情は異なります。

アルミニウムは常にアルミニウムらしく見えなくてはなりません。

が、教科書には常にアルミニウムらしく見せる方法など載っていません。

残念ながら私はそういう情報を見た事がありません。

教科書に載っていない、情報もない、となれば試行錯誤して自分で見つけるしかありません。

 

 

私はこれまで独学してCGを作成してきました。

 近くにCGパースを教えてもらえる存在は無く、インターネットと書籍から情報を得てきました。

 けれども本当に欲しい情報はインターネットにも書籍にも無く、試行錯誤によって課題を解決するしかありませんでした。

従来の、そして現在も主流のCGアプリケーションは、設定を変更する度に再計算しなければなりません。

試行錯誤にも限界があり課題はなかなか解決できませんでした。

 

私の場合はパース屋であり、CGパースの表現向上の為に時間と手間をかける事は当たり前の事です。

 ですが、これを建築設計者が建築設計実務の傍ら行う事を考えると、そのユーザーさんが気の毒でなりません。

 

とはいえ、パース屋の私がこんなことを言うのは問題なのかもしれませんが、率直に言って「パース」は本来設計者が作るべきものだと思っています。

レンダリングに関するスキルをあげる事は、設計イメージをより正確に表現すると言う点で、BIMを扱う建築設計者にとっては建築の技術の一つとして重要になってくるのではないでしょうか。


メーカー提供のダウンロード素材について

2018年07月17日 | BIM

最近は多くのメーカーが自社製品の画像をCG作成用の素材として無償で提供しております。

ただ、これらの殆どはダウンロードしたまま使用すると継ぎ目がはっきりしてしまい、繰り返しのパターンがシッカリと確認できてしまいます。

例としては ↓ の某メーカーのダウンロード画像を何の処理もせずにレンダリングをすると

他社のダウンロード画像

 

↓ のように繰り返しのパターンがはっきりとしてしまいます。

他社の画像を用いたレンダリング画像

 

これは現状ではどのメーカーでも同じです。

 

パース屋であればこの継ぎ目が目立たないように処理するのは仕事の一部で当たり前であり、それをうまく処理できる技術は非常に大事です(なぜかウツムイテしまう私・・・)。

けれども、建築設計者にとっては、継ぎ目を目立たなくする為の作業など余計なだけです。

 

 ところが先日、大日本印刷株式会社さんのデータをダウンロードして驚きました。

↓ がダウンロードデータです。

DNP社ダウンロード画像

 

これを何の処理もせずにそのままレンダリングしたところ、継ぎ目が判らないのです。

DNP社レンダリング画像 

 

いくつか試してみましたが、どれも継ぎ目が目立たないのです。

これは偶然ではないと思います。

恐らく、大日本印刷株式会社さんが画像をあらかじめ継ぎ目が目立たないように処理して提供しているのではないでしょうか。

それが当たっているならば、僭越ながら拍手を送りたいと思います。

 

これは何も自分が楽になるからでは・・・ありません。

 

 

建築業界では今後BIMはますます広がるでしょう。

そして、建築設計者が自らレンダリングする事が当たり前になるならば、こうした配慮は建築設計に関わる無駄を軽減してくれます。

それは決して小さくはないと思います。

 

私は決して現在の殆どのメーカーの姿勢を批判するつもりはありません。

ただ、BIMの時代となって、「建築CG作成」がCG専門家以外の手による事が遥かに多くなる時代には、この大日本印刷株式会社さんのような対応は考慮する必用があるのではないでしょうか。

 


閑話休題

2018年07月03日 | BIM

深夜だったのに、見てしまった。

 

残念だった。

 

眠たい。

 

私も学生時代はサッカーをしていた。

(義理の)叔父は、メキシコオリンピックで銅メダルを獲得したサッカー日本代表のメンバーだった(補欠だったけど)。

当時小学生だった私は、代表チームが帰国した時に親族一同で羽田まで迎えに行き、そこで、あの釜本選手を「ガマ」と呼び捨てにする叔父を見て「オッチャン、カッコいい!!」と憧れたことを覚えている。

 

時は流れて・・・・オシム氏が倒れて以来少しずつサッカーから興味を失い、前回のWCブラジル大会は全く試合を見なかった。

以来、殆どサッカーを見ていない。

今回のワールドカップも全く見る気はなかった。

 

それがなぜかコロンビア戦当日、「今夜の試合を見よう」という気になった。

結局当日は夜遅くまでバタバタしてしまってコロンビア戦の事などすっかり忘れていたのだけれど、翌朝ネットのニュースを見て「!!!」。

 

「ヘッ!?・・・勝ったの?」

 

以来毎日ワールドカップを見る事になりましたとさ。

 

ポーランド戦ではSAMURAIジャパンはずいぶんと批判されていた。

 

ベルギー戦を見て今思うのは、西野JAPANはポーランド戦を、ここは自分達の死に場所ではないと思い、逃げ回ったのではないのだろうか。

そしてベルギー戦を見る限り、彼らはただ生き残る事だけを考えていたのではなかったと思う。

サムライとして思い切り暴れたくて、生き恥さらす覚悟で一旦は逃げ回ったのだろうと思う。

 

日本代表は敗れたけれど、ワールドカップはこれからが佳境ですか。

寝不足に注意しましょう。

 

スパイク、捨ててなかったはず・・・。


Archicadのレンダリング:先進ユーザーに追いつける

2018年07月03日 | BIMレンダリング

特にCGのノウハウを持たない、或いはノウハウの継承を期待できない建築設計者・建築組織では、単独でBIMのレンダリングを向上させるのは中々困難なようです。

折角BIMで設計しても設計者のイメージが十分に伝わらないのは残念なことです。

残念などと言っていられる状況ならまだ良いのかもしれません

 

 

マテリアルを教科書通りに設定しても、実際のシーンでは期待通りの表現にならない・・・。

建築設計者がCGでイメージを思うように表現する事は難しい、というのが実情だと思います。 

いや、建築設計者どころか、恥ずかしながらパース屋である私にも、実は要求される通りに表現する事が難しいのです。 

マテリアルを教科書通りに設定しても期待通りの表現にならない・・・私が長年抱えていた問題でした。

 

それが、GPUレンダーである Octane Renderを使用することで状況は変わりました。

Octane for Archicadは実際の3Dシーンの中での結果を確認しながら、マテリアルや環境の設定ができます

下の画像はOctane for Archicadのマテリアル設定画面です。

Octane for Archicad出のマテリアル設定画像1

Octane for Archicad出のマテリアル設定画像2

Octane for Archicad出のマテリアル設定画像3

動画を御覧戴ければよりわかり易いと思います。

YouTubeでの動画はhttps://youtu.be/afwkF2a4eVsで御覧いただけます。

 

Octane Renderは計算をGPUコアで処理する事で(従来の状況と比べるならば)ほぼリアルタイムに、変更した設定に追随してくれます。

その為試行錯誤がとても容易で、Octaneを使用するようになってからは長年悩んでいた問題点が次々と解決し、「そういうことだったのか」と思う日々です。

 

また、Octane for Archicadの場合は、スタンドアロン版のOctane Render(Octane for Archicadを使用する為には、スタンドアロン版のライセンスが必要になります。)をマテリアルエディターとして使用することで、

マテリアル設定Windowの状態と実際のシーンの結果の両方を確認しながらマテリアルの調整ができます。

慣れればマテリアルの作成設定はスタンドアロン版のほうが扱いやすいでしょう。

これで教科書どおりの設定で思うような表現にならない悩みが解消できます。

下の画像はスタンドアロン版のOctaneにArchicadのデータをインポートしてマテリアル設定をしている画面です。

Octane Renderでのマテリアル設定画像1

Octane Renderでのマテリアル設定画像2

Octane Renderでのマテリアル設定画像3

Octane Renderでのマテリアル設定画像4

YouTubeでの動画はhttps://youtu.be/lQcR7teLu5sで御覧いただけます。

 

注)

私はここで「リアルタイム」としばしば表現しておりますが、これは画面上で確認できる精度のもの(横幅1,000ピクセル前後、高さ750ピクセル前後)です。

最終的にプレゼンテーションとして使用する為の精度の画質・サイズにするには、ある程度の計算時間がかかります。

計算時間としては私の経験から、長くてもCineRender同程度です。

ただ、ほぼ総ての状況でCineRenderよりはかなり短時間で済んでおります。

特に照明が多い場合の計算時間の差は圧倒的です。

Octaneにしてからは、照明が必要な、特に間接照明が必要なレンダリングがまったく苦にならなくなりました。

 

こういう状況ですから、もう設定変更後再計算が必要なアプリケーションには戻れません。

Octane Renderが好きだとか嫌いだとかではなく、効率も仕上がりもストレスの少なさもこれまでのアプリケーションとは「段違い」なのです。

これまでのアプリケーションに比べれば、自分のイメージに近い表現ができるのです。

 

また、例えば照明のあるシーン。

CineRenderでは計算時間を短くする為に、

1.ランプオブジェクトの照明をオフにする。

2.ランプを発光する素材に設定する。

3.計算条件で照明効果を0%にし、発光効果を上げる。

4.別途設計には関係のないランプオブジェクトを適宜配置し、照明をオンにする。

(詳しくはArchicad Helpを御参照下さい。)

以上の作業は、これまでパース屋が室内パースを作成する上では当たり前?の作業でした。

上の手順で作成したArchicadでのレンダリング用画面が ↓ です。

Archicadの照明のあるシーン

 ダウンライトを16個、中央に光源を1個 配置しています。

 

これをArchicad上でCineRenderを使ってレンダリングしてみました。

16個のダウンライトのランプを発光素材にしてパワーは総てOff、中央の光源のみONにしています。

Cinerenderによる照明シーンのレンダリング

恥ずかしながら設定を誤った為に7%のレンダリングに19分18秒かかった(上の画像)ところでギブアップ。

CineRenderは設定をひとつ誤ると、レンダリングに恐ろしく時間がかかってしまいます。

再チャレンジはしませんでした。

 

同じ画面をOctane for Archicadでレンダリングしたものが ↓ です。

OctaneForArchicadによる照明シーンのレンダリング

16個のダウンライトを総てONの状態でレンダリングしました。

 

この時のOctane for Archicadでの操作の様子をGIFアニメーションにしたものを下に掲載します。

 

また、YOU TUBE https://youtu.be/XrwPZkRFqmYで動画を御覧いただけます。

 

 

上のような、レンダリング時間を短くする為に設計には何の関係も無い作業をする事は、建築設計者にとっては無駄な作業でしかありません。

無駄にも有役な無駄もありますが、これは何の得にもならない無駄だと思います。

しかも上記の作業の他に、イメージに近い状態に調整しなければならないのです。

更に言えば間接照明の場合は上の方法は使えません。

間接照明の場合は覚悟を決めてレンダリングするしかないでしょう。

 

 

これが例えばOctane for Archicadならば、設計どおりのランプオブジェクトの照明をオンにすればよいのです。

必用なのはイメージに合うようにレンダリング画面を見ながら明るさを調整するだけです。

 

もちろん100%完璧なアプリケーションではありません。

問題もあります。

例えば、Archicadの動作が多少不安定になる、CineRenderに比べて効果(フォグやブラー)等の効果が弱いなどです。

動作が多少不安定になるものの、1年以上使用してきて記憶にあるのは数回のArchicadのクラッシュ。

決定的なダメージを受けた事はありません。

これまで使用してきた他のアプリケーション(CineRenderやMAX)に比べて不安定であると言う印象はありません。

少なくともMAXよりは遥かに安定しております。

 

 

GPUレンダーはCGパースの為に時間を割けない設計者にとっては、少ない時間で自身のイメージに近い表現を実現できるツールだと思います。

 

GPUレンダーを使用して従来のアプリケーションが必要とする再計算の時間を省く事によって試行錯誤を繰り返す事で、建築CGパースでノウハウの蓄積のない、或いはノウハウの継承を期待できない設計者も、先進ユーザーに追いつく事は十分可能だと思います。

  

 

 

設計者が表現力を高める事は大事だと思います。

 

単純に綺麗なパースに仕上げるということではなく、光、陰などを3次元空間で検討を繰り返す事が出来るのは大事な事のように思います。

設計者にとって必用なのは綺麗な絵を描く事ではなく、建築空間を表現する事だと思います。

 

建築設計のイメージを正確に表現できるのは、それを設計する設計者本人だけです。

 

建築設計者にとって、CGパースを作る為ではなく建築空間を表現する為にGPUレンダーを使用する事は、現時点ではとても良い選択になると確信しております。

 


BIM時代の建築パース

2018年07月02日 | BIMレンダリング

 「完成予想図」から「設計の伝達」へ

これからの建築パースは、これまでとはその役割が変わってくるのではないだろうか。

 

その設計によってどのような建築ができるのか?

 

設計者は頭の中に建築のイメージを描く。

その頭の中のイメージを様々なツールを使って整理し具体化してゆく。

 

頭の中で作り上げた建築を今度はBIMに移設する。

コンピューターに移設されたイメージはディスプレイ上に客観的な映像となって現れる。

設計者は客観的な映像となった自らのイメージを確認し、反芻する。

 

BIMによってディスプレイに表示された映像は設計者自らへのプレゼンテーションであると思う。

そして自らへのプレゼンテーションの積み重ねの結果を、他者へプレゼンテーションする。

そうしてBIMによって作られる「建築パース」は使われるように思う。

 

 

 

GPUレンダリングの利点はリアルタイムに設定変更を確認できる事。

空間の表現もイロイロと試行錯誤が出来る。