analogBOX ブログ

GのBIM備忘録

ArcchicadChottoTips:ALVSの計算

2021年12月29日 | BIM

今回はArchicadでのALVSの計算方法を御紹介します。

その前に一つ、お詫びと訂正をします。

以前の記事でALVSの計算は直上の高さと境界までの距離以外は自動計算すると書きましたが、天井高も手動で書き込み変更が有ればその値を書き込む必要があります。

ワタクシ嘘をついておりました。

御免なさい。

 

これは、前回も記事に書きましたが、現在のArchicadでは、デフォルトでは異なる建築要素のプロパティ(この場合はゾーンの高さを天井高として取得できれば簡単なのですが)を取得できない、ということが原因です。

今後は何とかそれらを可能にできるよう工夫したいとは思っております。

 

 

では気を取り直して、今回御紹介する方法はプロパティを使います。

一連の手順は

  1. 用途地域のリストを作る。

  2. 計算に必要なプロパティを作成する。
    デフォルトでALVS用のプロパティが用意されていますが、これらは使用しません。



    最初に用途地域を指定することで、補正係数を自動計算できるようにします。



    また、窓のサイズや形式、腰高を変更してもそれぐらいの変更ならばArchicad様に計算を自動でして頂けるように致します。

    ただ残念ながら現状では、建具の属性として取り込めない以下の3点
    1.境界までの距離
    2.窓の直上の高度
    3.天井高
    は人力で修正しなければなりません。

  3. 計算結果を一覧表にして各部屋の計算結果を表示する。


  4. 別途、各部屋面積から計算した必要面積を基に建具やプランを調整する。

    -------------------------------------

  5. ラベルを作成して必要なプロパティを表示できるようにすれば、図面上での検討が捗ります。

    平面図で検討


    断面図で検討




ArchicadChottoTips:防火設備の自動判定

2021年12月28日 | BIM

 

 

Archicadで建具が延焼線にかかっているか否かを自動判定する手順としては

  1. ゾーン】で各階の延焼の恐れのあるエリアを作成
    ここでは、
    1階の延焼の恐れのあるエリアのゾーン名を「3M延焼線」
    2階以上の延焼の恐れのあるエリアのゾーン名を「5M延焼線」とします。
    各階に作成されたゾーン番号はその階の数値を入力します。(例えば5階ならばゾーン番号は”5”)

    ゾーンの設定は

    配置フロア:現在のフロア
    上部リンク:配置フロア+1

    としてください。

     

     

     

     

  2. 新規プロパティを作成しプロパティの〖値定義〗の《数値》の覧に「関連ゾーン名」を指定します。

     



  3. 【一覧表設定】でデフォルトで用意されている〖建具表(窓)〗を複製します(ここでは複製した一覧表の名前を《防火設備》とします)。


  4. 《防火設備》に上記2で作成したプロパティを [フィールド]欄に [フィールド追加..] で追加します。




  5. 《防火設備》のフィールド欄で不要と思うものが有れば削除してください。
    ただし、[法規制]という名称のフィールドは削除しないでください。

  6. 1で作成した延焼の恐れのあるエリア以外の【ゾーン】を非表示にします。
    ※延焼エリア以外のゾーンが表示されていると、適切な結果が得られません。

  7. 一覧表の中の《防火設備》を開きます。
    防火設備と判断された建具には2で作成した関連ゾーン名に、1階であれば『3M延焼線』、2階以上であれば『5M延焼線』と表示されます。
    これらが表示された建具の[法規制]のフィールドの値を選択もしくはカスタム入力してください。
    ※現在のArchicadはプロパティのデータを異なる建築要素で共有できないようです。
    その為、手動でプロパティの値が共有できるようにしてやらなければならないようです。
    ただし、これは私が理解できていないだけなのかもしれませんが。
    この作業は一覧表で行うのが最も効率的であるように思います。



  8. 平面図を表示し【モデル表示オプション】から〖建具キープラン〗を選択し『日本仕様ライブラリ部品の詳細レベル』の中の《法規制マーカーの表示》を「ON」にします。




     
  9. すべての建具の《法規制マーカーの表示を有効》に✅チェックを入れます。



  10. 【モデル表示オプションセット】から〖建具キープラン〗を選びます。





  11. 以上で建具キープランに法規制の表示がされます。

 

次回はALVSの計算方法をご紹介します。

 

 


Archicad ChottoTips:防火設備判定とALVS計算

2021年12月27日 | BIM

ArchicadのTipsとして

1.建具が延焼線にかかるかどうかの自動判定

2.ALVS計算の半自動化

の例を書こうと思います。

 

その前に、これらにはゾーンが重要な役割を持ちます。

で、ふと気になったことは、独学でArchicadを習得しようとしている設計者は「ゾーン」をどれ程理解しているかという事です。

 

そこで、独学でArchicadを習得する教材としてのGraphisoft社のArchicadMagicを覗いてみたところ、Magic2の11ページに掲載されていました。

これだけではおそらく「ゾーン」の機能は理解されないでしょう。

 

そこでとりあえずは本題に入る前に「ゾーン」の確認をしたいと思います。

ゾーンはプロジェクトにおける空間単位です。

これはゾーンツールを使⽤して作成します。
通常、ゾーンは部屋を表現しますが、建造物の棟、住宅地の区画、または建物の機能的なエリアも表現しま
す。

3D のゾーンは、単純なマスモデリングにも使⽤でき、エネルギー評価機能のモデル再検討プロセスの
基盤を形成します。
他の要素と同様に、全てのゾーンの下部は配置フロアにリンクされます。プロジェクトでゾーンを上のフロ
アに上部リンクすることもできます。
必要に応じて、上部リンクまたは配置フロアからのオフセットを定義します。

これはゾーン⾼さに影響を与えます。

あるいは、上部リンクを使⽤せずに、固定のゾーン⾼さのみを⼊⼒します。

※ Archicad24HELP、957ページより抜粋

 

ゾーンを使えば空間の面積、体積等を測定できます。

上手く使えば平均天井高も自動計算できるでしょう。

 

最初にあげたTips1はゾーンで3M、5Mの延焼範囲を作成し、建具がそれらの範囲内にあるかどうか、或いはそのエリアに引っかかるかどうかを判定します。

 

Tips2では建具がどの「部屋=ゾーン」に配置されているかを判定し、建具直上までの高さと境界までの距離を入力することにより、必要な計算をします。

但し、必要な面積を満たすかどうかは判定できません。

計算するのは、各建具、各部屋の採光・自然喚起・排煙の面積です。

 

私が今お手伝いしている物件では、直上高さと境界までの距離以外はすべて自動計算できました。

用途地域や周辺環境など条件が複雑でなかったのが幸いしました。

 

図面上で窓のサイズや腰高を変更するだけで必要な計算ができ、ALVSの調整が終わったと同時に図面の修正も終わったので、かなり効率化出来たと感じています。

 

次回から、上記2つのTipsの詳細を書いていきたいと思います。


自分自身へのプレゼンテーションが大事

2021年12月27日 | BIM

建築設計ではプレゼンテーションは非常に大雪大切です。

 

思うに、特に大切なのは自分自身へのプレゼンテーションなのではないでしょうか。

 

そして、それを簡単に実現できるのがBIMだと思います。

BIMを使ったデジタルスケッチ、とでも言いましょうか。

 

頭の中のイメージを一旦外に出して、自分の目でそれを確かめる。

そうして、そこからさらにイメージを展開して行く。

 

デジタルスケッチの良さは、本人が思いもしなかった世界に導いてくれる可能性がある、ということです。

 

現実的にはできないことをデジタルの世界で試してみることで、新たな可能性が見えたりします。

無限(無段階)の可能性の中で、「アレッ?!」とドッキリビックリ、「これ、ええやん」と思うことも少なくないでしょう。

 

BIMでの設計は楽しいゾ。


BIMは2DCADの延長ではない、と思うその理由とは。

2021年12月26日 | BIM

今さらですが、BIMとは、「Building Information Modering」・・・・・つまり情報のカタマリです。

2DCADは「Computer Aided Design」、エッDesign?

・・・Drawing若しくはDraftingだと思ってた。

_| ̄|○

 

と・・兎に角、これまでの2DCADによる設計図は

情報量≒表現される量であったのが

BIMでの図面では

情報量>>>>>>>>>>各図面での表現に必要な情報量

であるように思います。

 

BIMでは、その図面に必要ないからと言って情報を消してしまうことはできません。

その図面には不要でも、「その建築」には必要な情報なのです。

 

つまり「BIMでの図面化」とは必要な情報を表示し、不要な情報を非表示にする作業だと思うのです。

何を表示してドレを非表示にするかは現時点でのテクノロジーでは自動化は無理でしょう。

となれば、設計者が一つ一つ判断して行くしかないのです。

 

あれを表示してコレを非表示にするには、このレイヤーを非表示にすると あれ も非表示になってしまうけど、レイヤーはこれ以上増やしたくないから コレ  の表示順位を下にして・・・・でも、隠れてくれない。

やっと  コレ  を隠せたと思ったら  他のアレ  も隠れてしまった。

ア”--ややこしい・・・。

 

あちらを立てればこちらが立たず、ホンにお前は・・・・。

 

私がBIMでの図面作成は非常にメンドクサイというのはこういう理由です。

最先端のBIMとは遠いところで、思わぬ労力を使わねばならない。

 

2DCADの図面化では情報量が多くなれば、それはそのまま意思(意識?)伝達を円滑化します(多分)。

けれども、少なくとも現状でのBIMでは、情報量が多くなればなるほど図面化への労力が増す、そんな気がします。

 

私が最近設計の御手伝いを始めて気づいた点の一つは以上の事です。

 

そしてそれ以上に気になっているのが設計者の意識、です。

それがBIMに対する認識なのか、設計自体に対する考え方なのかは今は判りませんが、何かが気になる。

不安、と言っても良いかもしれません。

 

 

 

 

 


BIMレンダリング:Twinmotion

2021年12月25日 | BIMレンダリング

私は以前はパースのレンダリングにCinema4Dを使用していました。

その後はOctaneRenderというArchicad上でGPUレンダリングができるレンダラーを使用しておりました。

このレンダラーはCnema4D用のPluginも用意されており重宝しておりましたが、このArchicad用のPluginの開発がArchicad22で止まってしまった為、最近はTwinmotionでBIMのレンダリングを行っております。

 

このTwinmotionというレンダラーは、

誤解を恐れて小さな声でしか言えませんが

 

スンゴク楽しいぞ!

 

最近BIMを始めたある設計者は、当初はCinerenderでのレンダリングに四苦八苦しておりました。

 

私がTwinmotionを薦めて、それを触り始めるとすぐに

キャー(こんな風になった)

キャー(あんな風になった)

キャー(これもアリかも)

と、レンダリングや絵作りを楽しんでいる様子。

 

尤も、TwinnmotionのPluginには少々バグが多いようなのが気にはなりますが、それでもやはりこのレンダラーの楽しさは捨てがたい、と思っております。


BIMは2DCADの延長ではない、と思う。

2021年12月22日 | BIM

BIMでの設計のお手伝いをしていて、BIMは2DCADとは別物であることを強く感じます。

 

BIMでの設計は非常に有効であるけれども、BIMでの製図は少なくとも現時点では必ずしも効率的ではないように感じます。

 

BIMでこれまでの2DCADと同じようば図面を作成しようと思うと、かなりめんどくさい。

難しいのではなく、メンドクサイ問題が次々と出てきます。

 

これらの問題は今後ソフトウェアの進歩により解決されるのでしょうが、現時点では設計はBIMで行って図面はJWCADで描くというのも「アリ」かな、と思ったりします。

 

或いは、BIMの時代にふさわしい新しい情報の伝達手段を見つける必要があるのかもしれません。


BIMは楽シ!

2021年12月21日 | BIM

GPUのレンダリングがBIMで利用できるようになって、BIMでのレンダリング事情がだいぶ変わってきたように思います。

 

私自身GPUレンダリングを利用するようになって以来、CPUレンダリングを使用していません。

 

その理由としては、GPUレンダリングは早いだけでなく、「楽しい」のです。

試行錯誤が容易で何が悪いのか、どこをどのように修正すればよいかが非常にわかりやすい。

 

これまでのCPUによるレンダリングでは時間がかかりすぎて、初めてCGに挑戦する設計者はかなりてこずっていましたが、TwinMotionを薦めると「アッ」という間にCGを作ってしまいます。

 

JWCADすらまともに使えないオジサマでも、実質1日程度の作業で簡単な一般図とCGを作成しています。

もはや我々パース屋、モトイ、私のようなパース屋の出番はありません。

 

そんなコンナで、パース屋だった私は最近はBIMを使っての設計のお手伝いをするようになりました。

そもそもCANDY3(わかる人いるかな?)からCADの世界に入った私はパース屋とは仮の姿、シカシテその実態はBIMを使って設計したいオヤジ、でしたのです。

 

四半世紀を経て再び建築設計の世界に足を踏み入れた「今浦島」の私は、なので、今は幸せイッパイ胸イッパイ。

 

若いころ感じられなかった設計の楽しさを、今、BIMによってジワリと感じております。