「11人いる!」萩尾望都(1975.7)
それはまだ、わたくしがいたいけな中学生だったころ(たぶん中1)。
近所の友人の家でふと手にとった、文庫本サイズの少女マンガ(たぶん友人の姉の所有物)。
夢中で読み終え、こんなにも面白いマンガのジャンルが世の中にあったなんてとおどろいた。
人生初のカルチャーショック、「SF」という概念との、それが出会いでありました。
しかし、大胆なタイトルですよね・・・。
内容も大胆で、話のほぼすべてが一隻の宇宙船の中だけで展開しています。
11人目は誰なのか、という密室のミステリーにもなっていて、よくぞこんなストーリーを思いつくものだと・・・。
密室の中で右往左往する、キャラクターたちの魅力。描き分けの鮮やかさも、文句なし。
きれいなドレスや小物で飾らなくても、華やかなヒロインは十分描き出せるのだということを、フロルが証明してくれました。
あ、写真はもちろん、あとから買い直した単行本です。
最初に読んだのは、大島弓子さんのとこでも出した小さいサイズの本だった気がするけど、当然絵が大きいほうがすてきなので。
これに同時収録されてる「精霊狩り」という連作も、すごく好き。
萩尾望都さんは、初期から近年の作品にいたるまで、これぞSF、という大作をいっぱい手がけてますね。
でもSFとは関係ない、人間ドラマだけのストーリーも大量に産み出していて、これほど広いジャンルで一流の表現ができる作家さんは唯一無二だとあらためて感じます。
ところでSFって、最近の少女マンガにも存在してるのかな?
ファンタジーなら花盛りだけどSFは見当たらないような。 最近のものにはくわしくないので、気がつかないだけかもしれないけど・・・。
昔は本格的なのが、いろいろありましたよね。
佐藤史生さんの「ワン・ゼロ」とか、いまだに持ってるし。持ってないけど竹宮恵子さんとかもしっかりSFしていたし。
ちなみにマンガではありませんが、かつてはハヤカワSF文庫にも手を出していた女子高生の私でした。
いま考えると、「11人いる!」を読んだからこそ、そういう方面に流れたのかもしれません。
しかし頭がついていかず、サイバーものなんぞも流行り始めて、あえなく挫折。
もはや、なんであんなこ難しいジャンルが読めてたのかと、あきれるくらいでございます。
十代のころは、いまよりずいぶん頭がよかったにちがいない。あれから○十年(げ)、よかったアタマもすっかりアホに・・・(笑)。
つづきます