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飯豊山(2,105m)
「イイデサンが普通だが、山麓にはイイトヨサンと呼んでいる村もある。変った名前だが、その語源はハッキリしない。周辺には温泉が多いので湯出の訛かとも言われ、また奥州白河郡に式内飯豊姫神社があり、イヒトヨという鳥名から出たという説もある。 ~」
(深田久弥『日本百名山』(新潮社版))
飯豊山は「いいでさん」と読みますが、知らないと読むことはできません。百名山の中でも、読みの難しい山の一つでしょう。
「イイトヨサン」の方が優しく聞こえる気がします。まるで人の名前を呼んでいるように聞こえるからです。
読み方はどちらでも、「飯豊」は心も身体も豊かになるような名前です。
登る前から、壮麗さとどこまで行っても終わらないほどの大きさが感じられます。
「~ 飯豊山神社で買った明治三十八年(一九〇五年)刻の縁起には、山容の麗わしく豊に飯を盛るに似ているから飯豊と名づく、と書かれてあった。」(深田久弥『日本百名山』(新潮社版))
その飯豊に登るのは、「飯豊はイイで。」というほど、一筋縄ではとてもとてもいきそうにありません。
川入、弥平四郎、大日杉・・ 山域には登山口がいくつもあります。その一つ一つは日本地図のだいたいこの辺にある、というイメージが湧いてこない山でした。本当に大きな山脈に違いないと思いました。
"喜多方ラーメン神社”(写真:2017年4月)。鳥居の地面と平行な木は、上を「笠木」「島木」、下を「貫」というそうです。
ラーメン神社の鳥居の笠木・島木と貫は平行になっていなく、お箸のようにラーメンをつかんでいます。
英文旅行ガイド”Lonely Planet” Japanでは、東北のページの最後に喜多方が出ており、そこでは"ra-men"に先立って蔵のことが紹介され、
”A man is not a man unless he has built at least one kura(mud-walled storehouse)."
(『lonely planet/Japan』(Lonely Planet Global Limited) 著:Rebecca Milnerほか・570ページ)
という言い伝えまで載っています。
山都から弥平四郎登山口まで送ってもらいました。
「山都」はなかなか覚えられない地名でした。「やまと」を「さんと」と、つい読み間違えてしまうからです。
JRの山都駅からすぐのところに一ノ戸川橋梁があり、これは1908年に架けられた橋です。黄色のとても美しい橋は、アメリカ製の「ボルチモアトラス」です。
同じ構造で現役の鉄道橋は、日本には4本(JR東日本・磐越西線と秩父鉄道に2本ずつ)しかありません。
磐越西線「SLばんえつ物語」号。新潟から山都まで乗車し、SLが鉄橋を渡るよりも先回りして撮影しました(2017年4月)。
すっきりして見通しの良い鉄橋は、写真を撮るだけでなく、列車に向かって手を振るのにも向いていました。
山都はそばがおいしく、江戸時代には既に栽培されていたのではないかとのことでした。
旧・山都町は2006年に合併し、今は喜多方市です。喜多方のラーメンは全国区なのに、列車で1駅しか離れていない山都のそばはあまり知られていないと思います。
駅の近くだけでなく、山へ向かってけっこう奥まで車が進んだところにもそばのお店があります。
車は喜多方市から西会津町へ入りました。何回もカーブを曲がり、どの辺りを走っているのか、あとどれくらいで着くのか全く想像できなくなりました。8時45分に登山口に着きました。駐車場には6台車がありました。東北地方以外のナンバープレートの方が多いです。
(登頂:2019年10月下旬) (つづく)