心が満ちる山歩き

美しい自然と、健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山と、時にはクラシック音楽や旅行のことも。

荒島岳 ブナの原生林と眺望の山

2021年08月08日 | 中部・近畿地方の山


荒島岳(1,523m)


 「~ もし一つの県から一つの代表的な山を選ぶとしたら、という考えが前から私にあった。福井県はその県界の白山山脈南半の稜線上に多くの峰を有している。しかしいずれも名山と称するに足る独立の姿勢を欠いている。越前と美濃との境には、あまり世に知られないたくさんの山が並んでいるが、千二、三百米前後では推すに足りない。その中で能郷白山(一六一七米)だけが一きわ高く、長大な白山山脈の最後の盛り上りであり、一部の登山家の間に知られていた。私はこの山にもかねてから目をつけていた。選ぶとしたら、能郷白山か、荒島岳か。 ~」
 (『日本百名山』深田久弥(新潮文庫))

 『日本百名山』にどの山を選ぶか迷ったという話は、本の後記では書かれていますが、本編にはほとんど出てこないと思います。結局、高さは能郷白山より低い荒島岳が、福井県の山から百名山に選ばれました。
 東京から夜行バスで福井に向かい、JR越美北線で越前大野駅まで行きます。本数は少ないですが、始発列車はバスから乗り継げるちょうどいい時間に走っていました。
 駅前からタクシーで中出コースの登山口まで送ってもらいました。林道歩きから始まり、30分ほどで細い登山口へ入ります。最初は杉の木だったのが、進んでいくとブナの木に変わります。幹が真っ白に見えるものもあります。
 「雨降り展望台」や、「ひえ畑」と書かれた小さな標識があります。両方とも、なぜこの名前になったのかは分かりません。
 途中の小荒島岳からは、荒島岳の大きさが際立っています。直線的な山でした。稜線は、黒板に向かって太いチョークで力を込めて引いた直線の力強さに似ていました。
 さらに標高を上げると、高木はなくなり、ササの中を進むようになりました。山頂までは3時間20分ほどかかりました。北側は白山に向かって両白山地が折り重なるように連なり、西側は麓の整然と広がる田圃を見下ろせる、対照的な眺望が一度に楽しめる頂上でした。
 帰りは勝原コースを下りました。見事なブナの原生林が続きました。








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【荒島岳(登り:中出コース 下り:勝原コース)】
 中出コース登山口8:18→「雨降り展望台」の標識9:24→小荒島岳10:17→荒島岳11:38~11:58→白山ベンチ13:12→勝原コース登山口14:10
※どちらも迷う場所はなく、整備された道のりでした。傾斜は勝原コースの方が急です。最後はカドハラスキー場の跡地を歩くようになります。登りよりも下りにとった方が楽だと思います。人出は、中出コースの方がずっと少なく、日曜日なのに静かでした。
 (体力●●●○○ 技術●●●○○) (登頂:2014年10月下旬) 



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