心が満ちる山歩き

美しい自然と、健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山と、時にはクラシック音楽や旅行のことも。

甲武信ヶ岳(1) 三県境と、三角点のこと

2020年05月05日 | 奥秩父・秩父


甲武信ヶ岳(2,475m)


 甲武信ヶ岳の山頂は、山梨・埼玉・長野の”三県境”にあたります。
 これは、日本全国に48ヶ所存在する三県境の中で4番目に標高が高く、日本アルプス以外の場所にある三県境の中では、最も高い場所にあります。

 「~ 甲州、武州、信州の境にある山だから甲武信岳とはうまい名前をつけたものだ。ところが、奥秩父の父とうたわれた木暮理太郎氏の『山の憶ひ出』は、もう少し複雑な考証を記録している。
    氏は、数多くの古文書にあたり、千曲川上流の梓川集落では「三方山」、埼玉の栃本では、山の形がにぎりこぶしに似ているので「拳ヶ岳」と呼んでいたというのだ。それが明治十二年内務省地理局出版の地図では、コブシをコクシとあやまり、三方山のほうはそのすぐ北のピークに三宝山の字をあてたとのことである。
    この混乱は、国土地理院の三角点名称にも名残りをとどめている。それは、国師ヶ岳(Ⅰ)、同(Ⅱ)という一等三角点である。(Ⅰ)は金峰山の東の現在の国師岳で補点。(Ⅱ)の方、実際は三宝山で、これは本点である。 ~」
 『車窓の山旅 中央線から見える山』(山村正光・実業之日本社)

 甲武信ヶ岳は、中央線のどこかから必ず見えているはずだと思っていましたが、この本を読んで腑に落ちました。
 『車窓の山旅 中央線から見える山』では、中央線の車窓では勝沼駅(現:勝沼ぶどう郷駅)辺りからだけ見えるとのことです。
 「甲州、武州、信州の境にある山だから甲武信岳」と「にぎりこぶしに似ているので「拳ヶ岳」」とで読みが同じだったのが、あるいはにぎりこぶしに似ている山のそびえている場所が三県境だったのが、いい偶然というか、”こぶし”という山名の妙です。
 奥秩父には、国師ヶ岳という読みのよく似た山があります。
 また、甲武信ヶ岳から1kmほど北上した場所に「三宝山」があります。標高は2,483mで甲武信ヶ岳よりわずかに高く、埼玉県の最高峰です。
 三宝山には一等三角点があり、その名前は「国師岳2」というものでした。
 国土地理院の「基準点成果等閲覧サービス」で調べてみると、「国師岳2」の一番古い点の記には、「國師岳」の「岳」の字の下に小さく、ローマ数字で「Ⅱ」が登場していました。これは、明治24年の点の記です。


 前夜に小淵沢まで入り、小海線の始発で信濃川上駅まで行こうとしたところ、この日の始発列車は運休になっていました。代行で、バスではなくマイクロタクシーが出ました。
 登山口の毛木平には、マイカーがびっしり停まっていました。
 ほとんど落葉したカラマツ林の登山道を進みました。
 


 (登頂:2013年11月上旬) (つづく) 



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