心が満ちる山歩き

美しい自然と、健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山と、時にはクラシック音楽や旅行のことも。

伊吹山(1) 新幹線から大きく見える滋賀県の最高峰

2021年02月08日 | 中部・近畿地方の山


伊吹山(1,377m)


 「~ 日本の一番太い動脈である東海道線も、大垣から米原のあいだ、駅で言うと、関ヶ原、柏原、近江長岡、醒ヶ井あたりは、物寂しい山間を走っている。『太平記』の中の有名な俊基朝臣関東下向の条に「番場、醒ヶ井、柏原、不破の関屋は荒れ果てて、猶もる物は秋の雨……」とあるあたりである。東海道全線中これほど山の近くを走る所はなく、その中で私のいつもみとれるのは伊吹山の姿であった。それはボリュームのある山容で、すぐ眼の前に大きくそびえている。 ~」(『日本百名山』深田久弥(新潮社))


 「日本の一番太い動脈」が東海道本線から東海道新幹線に変わっても、伊吹山が「すぐ眼の前に大きくそびえている」ことは変わりません。
 高さでは、日本百名山で3番目に低い山ですが、車窓からはなかなか大きく見えます。のぞみ号が滋賀県に入れば、遠くて大きい山が比良山なら、近くて大きい山は伊吹山です。車窓からの大きさなら、日本一の富士山をも凌ぐほどだと思います。
 雪が降ればその大きさはさらに強調されます。伊吹山には、日本海から雪雲が入るため降雪が多く、1927年2月14日には世界最深記録となる積雪量1,182cmが記録されました。日本記録ではなく、世界記録です。
 その、世界記録となる積雪を観測した伊吹山測候所は、2001年に観測を終了し、2010年には解体されました。この記録は、いつまでも破られないものになるかもしれません。

 伊吹山の登山道は、とにかく明るいのが特徴でした。初めは森の中を登りますが、伊吹山スキー場のゲレンデ跡に出た後は、陰になる場所はほとんどありません。足もとが石灰岩で白いのも、明るさを増しています。
 三角屋根の建物が並んでいるのが、もともとスキー場だったという感じがします。伊吹山が目の前に迫っていますが、新幹線から見た時ほど大きさを感じないのが不思議です。
 振り返ると琵琶湖が見えてきました。大きいので、湖の南側しか見えません。琵琶湖の向こうには比良山が横に長いです。麓には田圃が広がっていますが、一面すべて田圃ではなく、小さな山も多い地形でした。
 霞んでいますが、水面に浮かぶ沖島が見えます。小さな島には小さな山が2つ見えます。撮影した写真を見ると、沖島の右下にさらに小さい多景島も映っていました。
 周囲およそ7kmの沖島は、日本一大きい琵琶湖でただ1島、定住人口があります。島の最高地点は、標高が220mです。そして、対岸の本州とは船でしか行き来できません。
 淡水湖では日本唯一の有人島という、ユニークな島です。







 (登頂:2013年4月下旬) (つづく) 



コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。