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瑞牆山(2,230m)
「~ 思うに、近くの金峰山と小川山との尾根のつながった所にあるので三繋ぎといつた。それに瑞牆という雅語をあてたものだろう。『甲斐国志』には「東は瑞籬ト云金峰山二連ル中間二子産岩ト云アリ大岩叢リ峙チ佳景色言フヘカラス」と的確に山姿を表現している。 ~」
『車窓の山旅 中央線から見える山』(山村正光・実業之日本社)
登ったことのある山の中で一番難しい漢字の山です。「みずがき」という読みは覚えられても、漢字の方は覚えられません。
「牆」の字は、へいや垣根といった意味でした。金峰山の頂上から瑞牆山を撮影した写真を見ると、いかにも山中の城壁という感じがします。
北アルプスの剱岳や穂高岳は「岩の殿堂」にたとえられますが、やや標高の低い奥秩父山塊にも、金峰山と瑞牆山という「岩の殿堂」にふさわしい山があります。金峰山が大きな岩の殿堂なら、瑞牆山は小さな岩の殿堂です。
瑞牆山荘からの登山道は、天鳥川を横切るポイントを過ぎると、山頂まで急坂が続きました。
「大ヤスリ岩」がとても凄い姿をしています。剱岳も穂高岳も凄かったですが、森の中から巨岩が現れる雰囲気、原生林と巨岩のコラボレーションは奥秩父ならではだと思います。クライミングの技術がなければ登れませんが、どこに登るための手がかりがあるのかも分かりませんでした。
後で『日本山名事典』(三省堂)をひくと、瑞牆山には(コブ岩)という別称が載っていました。
山頂からは大ヤスリ岩を見下ろすことができます。岩だらけの山ながら、厳しさより温和な感じの方が多く出ていました。
「~ この山は岩峰の集合体とでもいうべき、特異の風貌を持った山で、瑞牆という美しい名に恥じない。岩峰群を持った山は他にも幾らもあるが、瑞牆山のユニークなのは、その岩峰が樹林帯と相接している点である。まるで黒木の大森林から、ニョキニョキと岩が生え出ているような趣きである。 ~」(深田久弥『山さまざま』(朝日新聞社))
「ニョキニョキと」生え出た岩の中で一番大きいのが大ヤスリ岩でした。同じ岩を、下から上から両方から見られるのは面白いと思いました。
サイズの小さな山の、見どころが凝縮された眺望でした。
帰りはラジウム温泉の「増富の湯」につかって帰りました。ぬる湯が主体の、源泉かけ流しの温泉は温度別に分かれていて、一番低い温度は25度・次に温いのが30度でした。ずっとつかっていられる気持ちのいい泉質でした。
(登頂:2014年5月下旬)