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燧ヶ岳(2,356m)
「~ バスの発達した現代の人々にはこの気持は分らないだろうが、昔は長い道を徒歩で辿って来て、南からする人には三平峠、北からする人には沼山峠を越えて、尾瀬沼のほとりへ出、その傍らにそびえ立つ燧岳を眼にした時には、それこそ本当の仙境であったに違いない。源平時代にすでに尾瀬大納言がこの地に移り住んだというような伝説が生れるのも、人里離れた美しい土地であったからだろう。 ~」
「~ 燧という名前は、そのマナイタグラ東北面に鍛冶鋏の形をした残雪が現われるからだという。鍛冶すなわち火打である。 ~」
(深田久弥『日本百名山』(新潮社))
燧ヶ岳は東北の最高峰ですが、広い東北地方の中の一座というよりも、尾瀬の山と思う方がしっくりきます。
福島県は檜枝岐村の沼山峠バス停から歩き始め、視界が開けて大江湿原を進み、ピークがいくつにも分かれた燧ヶ岳の姿が見えてくると、また尾瀬に来れてよかったといつも思います。
御池からの登山道は、燧裏林道との分岐点を左折し、岩の急登が続きます。
道がよく歩かれているせいか、足もとの岩はすべて角が取れ、滑りやすい感じがします。
急登が終わると木道に出て、最初の湿原・広沢田代です。ワタスゲの果穂が広がり、小さな水面に分厚い雲が映っていました。
再び登りに入り、30分ほど歩いたところから、小さくなった広沢田代の湿原を見下ろすことができました。森の中に平らな場所を見つけて、ぽっかり広がった小さな湿原でした。湿原は、池塘の多いエリアと少ないエリアが半分ずつに分かれていました。
このコースには2つの湿原があります。木製の急な階段を登ると2つ目の湿原、熊沢田代に出ました。
1つ目の広沢田代より大きく、なだらかな傾斜があります。尾瀬では燧裏林道にも傾斜湿原がありますが、その傾斜ともまた違います。なだらかな湿原の先には、目指す燧ヶ岳の姿があります。
面積のほとんど同じ、形も似ている2つの池塘の間を木道が伸びています。遠くには平ヶ岳が横に広く、大きいです。
尾瀬ヶ原の広大な湿原とは違う、山中の湿原の雰囲気がとてもよかったです。
(登頂:2014年7月下旬) (つづく)