Study of Spenser

ロバート・B・パーカー著、ボストンの私立探偵スペンサーを読み解くガイドブックです

失投 - Mortal Stakes - (1975) 19章その3

2009-11-08 | 海外ミステリ紹介
画像は、フェルメールの<ミルク・ピッチャーをもった少女> フェルメール展のカタログから写しとったものですが、これってヤバイのでしょうか?


19章その3

夕方5時半にスペンサーはオフィスに戻り、またもやバーボンをラッパ飲みします。ブレンダ・ローリングにはデートがあり、スーザン・シルヴァマンは留守でした。

リンダ・ラブに「世間知らずな子供だわ、ゲームをやっている子供達と同じよ」と言われたことがコタエているのです。「約束して」と言ったリンダ・ラブに、「約束はできないが、できるだけ努力をする」それで良しとしてもらうしかないことが、自分の規範を守ることなのだと思うのです。
しかしながら、リンダの言ったことも正しい、これは一種のゲームなのだ、そしてゲームはボールゲームであろうが何であろうがルールが必要なのだ、と思うのでした。

そしてスペンサーは、ロバート・フロストの詩を暗誦します。2009年9月22日掲載の<失投 イントロ>で紹介しています。その2行目のmortal stakesの前に、goddamnedを入れ、And the work is play for goddamned mortal stakes, と詠んでいるのです。

デスクの上には、ホルスターに入れたがあり、銃をホルスターに入れたまま、壁に架けてあるフェルメールが描いたミルク・ピッチャーをもった少女の複製画に向け、「どうだフランク、くそったれゲームは好きか?」と言いながら、スペンサーは銃を撃つ真似をするのでした。

スペンサーは銃を何丁もっているのでしょうか。2作目の<誘拐>では、17章に.38口径のスミス&ウェッソンが出てきます。今回も同じ.38口径ですが、ディテクティブ・スペシャルということは、コルトです。

■■ <コルト・ディテクティブ・スペシャル Colt Detective Special>
アメリカの銃器メーカー、コルト社が1927年に開発した38口径のリボルバーで、使用弾は .38スペシャル弾、装弾数は6発です。
ディテクティブの名が示すように、主に私服警察官や私立探偵、麻薬取締官の護身用として使用されるので、比較的小型の銃です。1986年に製造中止になっています。

■■ <フェルメール(Vermeer)が描いたミルク・ピッチャーをもった少女 The Dutch girl with milk pitcher>
スーザンが1974年のクリスマス・プレゼントとしてくれたフェルメールの複製画4枚のうちの1枚です。(6章参照)
日本では《牛乳を注ぐ女》というタイトルで、英語では、《Maid with Milk Pitcher》または、《The Milk Maid》と呼ばれています。1658年頃の作品とされていて、本物はアムステルダム国立美術館の所蔵です。
昨年、東京都美術館でのフェルメール展には来ていませんでしたが、それは2007年の国立新美術館にお越しいただいたからではないかしらん。
この絵は、ヘンリー・ハドソン(イギリス人の探検家で、当時はオランダ東インド会社に雇われていた)による探検の末、ニューアムステルダム(マンハッタン)が建設された(1609年)400年記念の特別展示品として、2009年9月10日から11月29日まで、ニューヨークのメトロポリタン美術館に来ています。まさに旅する絵画です。(あら、タイミングよく観に行けちゃうわ)

*********************************************

そんなわけで、現在ニューヨークでスペンサーの画像を拾っています。
キリの悪いところで申し訳ないのですが、帰国までしばらくお休みします。

最新の画像もっと見る