画像は、スペンサーがデザートに食べるルバーブ・パイの材料のルバーブ。皮を剥いて切って砂糖で煮ます。単体ではなく、ストロベリー、ラズベリー、またはフィグなどと合わせて、パイのフィリングにすることが多いです。
28章
バークリー・ストリートの市警から、歩いて帰るスペンサーは、すべてが自分の思い通りにいっているわけではないと考えます。
家に帰り、自家製のウィート・ブレッドでレタスとトマトのサンドウィッチを2つ作り、ミルクと一緒に食べながら、自分、マーティ・ラブ夫妻、バッキー・メイナードとの関係を考えます。デザートはルバーブのパイです。
食事が終わると、ラブ夫妻のチャーチ・パークのアパートメントまで歩いていきます。マーティは球場で、息子はナーサリー・スクールで、リンダが一人でいました。
スペンサーは単刀直入に、メイナードと話したが、手を引きそうにない、と話します。ドゥアが死んだのに? と問うリンダに、次は自分が儲けようとしている、と答えます。
しばらくの沈黙の後、リンダが言います。「私が自分で過去を公表すれば、メイナードから自由になれる、そうでしょう?」
スペンサーは答えます。「メイナードは、マーティは八百長をやっていたと言うことはできるが、その場合は自分も終わりだ、だからしゃべらないと思う。しゃべればマーティと共に、自分のキャリアも終わる」「他の方法は思いつかない」と。
メイナードを殺すことができるかと問うリンダに、「ノー」と答え、リンダが無表情にうなずきます。
「一番良い告白の方法は?」
リンダの問いに、「記者を見つけてくる。話したいように話してもいいが、脅迫のことには触れない。記事が出たら、すべての問い合わせを俺に回す」と答えます。
スペンサーは、リンダから1ドルもらい、自分の名刺の裏に領収したことを書き、リンダに渡します。
「これで、クライアントだ、代理人を務めるよ」
男気のあるやつです、スペンサーは。
マーティはレッド・ソックスのエースですから、スペンサーよりはるかにお金持ちなのですが、リンダは主婦であるということも考えたのでしょうか。アメリカの私立探偵物や弁護士物を読んでいると、こういうシーンは時々ありますね。ジョン・グリシャムの、《The Client 邦題:依頼人》でも、女性弁護士のレジーは、事件の目撃者の少年マークからの1ドルの依頼料で雇われています。
スペンサーは、電話を借りて、《ボストン・グローブ》紙に電話を掛けます。以前サフォーク郡検事局で働いていたときの知り合いがいて、警察担当の記者のジャック・ワシントンです。『フェミニン・アイ』というコラムを担当している、女性記者に来てもらえるように話してくれれば、彼女は独占的に大きなニュースが得られる、と伝えてもらいます。
そのうちに、「ヘロー、キャロル・カーティス」という声が聞こえました。カーティスはどうして自分を指名したのか訊きます。
「あなたが書いたものを読んでいて、書き方に品の良さが感じられるから」とスペンサーは答えます。「これは、いつ、どこで、誰が、どうした、ということよりも、深い苦しみを持ち、もっと苦しむ可能性がある女性が巻き込まれている話で、ぞんざいに扱われたくないから」だと続けます。
キャロル・カーティスは住所を聞き、スペンサーとリンダは、カーティスの到着を待ちます。
やって来たカーティスは、スペンサーのことはジャックから少し聞いて、いい印象を持ったと話します。スペンサーは、ジャックは作り事を言うんだ、とちょっとテレているようです。
キッチンから、コーヒーとクッキーを持って戻って来たリンダも、リビングルームのオットマンにざって、カーティスの顔を見ながら話し始めます。
「私の夫はマーティ・ラブ、ソックスの投手です。でも、私の本当の名前はリンダではなくドナ。マーティと結婚する前に、ニューヨークで売春婦をしていて、彼と会った頃にポルノ映画に出ました」
カーティスは、「ちょっと待って、ちょっと待って」と言い、バッグの中からノートパッドと鉛筆を取り出し、速記のような文字で素早く書きました。
カーティスは、マーティと会った場所を訊き、リンダは、ニューヨークで、私の職業と呼ばれるものを通じて、と答えます。そして、リンダは、抑揚のない口調で一気に語るのでした。
話し終わるとカーティスは、どうしてこの話をしようと思ったのかと、問います。リンダは、長い間これを抱えてきて、隠していることで後になって悩むようなことになりたくない。例えば息子が大きくなった時に、と言います。
スペンサーは、リンダが本当の理由を言ったのだと思います。唯一の理由ではなく、真実を。
カーティスは、このことはマーティも知っているのかと問いますが、リンダは、ためらうことなく「イエス」と言うのです。本当はまだ打ち明けていないのにね。
他の質問もありそうなカーティスに、リンダは、ここから先はスペンサーが代理人で、言うべきことがあれば彼が言います、と答えます。
間髪入れず、スペンサーは、「ノー・コメント」と言うと、カーティスは微笑し、「これから、あなたはその言葉をしょっちゅう使うに違いないわね」と言うのでした。
カーティスはリンダとスペンサーに礼を言い、リンダの手を取って語ります。
「ミセッズ・ラブ、あなたは聖女よ。決して罪人ではない。私はこの話をそのように書くわ。あなたは立派な人よ」
28章
バークリー・ストリートの市警から、歩いて帰るスペンサーは、すべてが自分の思い通りにいっているわけではないと考えます。
家に帰り、自家製のウィート・ブレッドでレタスとトマトのサンドウィッチを2つ作り、ミルクと一緒に食べながら、自分、マーティ・ラブ夫妻、バッキー・メイナードとの関係を考えます。デザートはルバーブのパイです。
食事が終わると、ラブ夫妻のチャーチ・パークのアパートメントまで歩いていきます。マーティは球場で、息子はナーサリー・スクールで、リンダが一人でいました。
スペンサーは単刀直入に、メイナードと話したが、手を引きそうにない、と話します。ドゥアが死んだのに? と問うリンダに、次は自分が儲けようとしている、と答えます。
しばらくの沈黙の後、リンダが言います。「私が自分で過去を公表すれば、メイナードから自由になれる、そうでしょう?」
スペンサーは答えます。「メイナードは、マーティは八百長をやっていたと言うことはできるが、その場合は自分も終わりだ、だからしゃべらないと思う。しゃべればマーティと共に、自分のキャリアも終わる」「他の方法は思いつかない」と。
メイナードを殺すことができるかと問うリンダに、「ノー」と答え、リンダが無表情にうなずきます。
「一番良い告白の方法は?」
リンダの問いに、「記者を見つけてくる。話したいように話してもいいが、脅迫のことには触れない。記事が出たら、すべての問い合わせを俺に回す」と答えます。
スペンサーは、リンダから1ドルもらい、自分の名刺の裏に領収したことを書き、リンダに渡します。
「これで、クライアントだ、代理人を務めるよ」
男気のあるやつです、スペンサーは。
マーティはレッド・ソックスのエースですから、スペンサーよりはるかにお金持ちなのですが、リンダは主婦であるということも考えたのでしょうか。アメリカの私立探偵物や弁護士物を読んでいると、こういうシーンは時々ありますね。ジョン・グリシャムの、《The Client 邦題:依頼人》でも、女性弁護士のレジーは、事件の目撃者の少年マークからの1ドルの依頼料で雇われています。
スペンサーは、電話を借りて、《ボストン・グローブ》紙に電話を掛けます。以前サフォーク郡検事局で働いていたときの知り合いがいて、警察担当の記者のジャック・ワシントンです。『フェミニン・アイ』というコラムを担当している、女性記者に来てもらえるように話してくれれば、彼女は独占的に大きなニュースが得られる、と伝えてもらいます。
そのうちに、「ヘロー、キャロル・カーティス」という声が聞こえました。カーティスはどうして自分を指名したのか訊きます。
「あなたが書いたものを読んでいて、書き方に品の良さが感じられるから」とスペンサーは答えます。「これは、いつ、どこで、誰が、どうした、ということよりも、深い苦しみを持ち、もっと苦しむ可能性がある女性が巻き込まれている話で、ぞんざいに扱われたくないから」だと続けます。
キャロル・カーティスは住所を聞き、スペンサーとリンダは、カーティスの到着を待ちます。
やって来たカーティスは、スペンサーのことはジャックから少し聞いて、いい印象を持ったと話します。スペンサーは、ジャックは作り事を言うんだ、とちょっとテレているようです。
キッチンから、コーヒーとクッキーを持って戻って来たリンダも、リビングルームのオットマンにざって、カーティスの顔を見ながら話し始めます。
「私の夫はマーティ・ラブ、ソックスの投手です。でも、私の本当の名前はリンダではなくドナ。マーティと結婚する前に、ニューヨークで売春婦をしていて、彼と会った頃にポルノ映画に出ました」
カーティスは、「ちょっと待って、ちょっと待って」と言い、バッグの中からノートパッドと鉛筆を取り出し、速記のような文字で素早く書きました。
カーティスは、マーティと会った場所を訊き、リンダは、ニューヨークで、私の職業と呼ばれるものを通じて、と答えます。そして、リンダは、抑揚のない口調で一気に語るのでした。
話し終わるとカーティスは、どうしてこの話をしようと思ったのかと、問います。リンダは、長い間これを抱えてきて、隠していることで後になって悩むようなことになりたくない。例えば息子が大きくなった時に、と言います。
スペンサーは、リンダが本当の理由を言ったのだと思います。唯一の理由ではなく、真実を。
カーティスは、このことはマーティも知っているのかと問いますが、リンダは、ためらうことなく「イエス」と言うのです。本当はまだ打ち明けていないのにね。
他の質問もありそうなカーティスに、リンダは、ここから先はスペンサーが代理人で、言うべきことがあれば彼が言います、と答えます。
間髪入れず、スペンサーは、「ノー・コメント」と言うと、カーティスは微笑し、「これから、あなたはその言葉をしょっちゅう使うに違いないわね」と言うのでした。
カーティスはリンダとスペンサーに礼を言い、リンダの手を取って語ります。
「ミセッズ・ラブ、あなたは聖女よ。決して罪人ではない。私はこの話をそのように書くわ。あなたは立派な人よ」