Study of Spenser

ロバート・B・パーカー著、ボストンの私立探偵スペンサーを読み解くガイドブックです

ゴッドウルフの行方 - Godwulf Manuscript - (1973) 8章

2009-07-10 | 海外ミステリ紹介
画像は、スペンサーのオフィスがある、スチュアート・ストリートとトレモント・ストリートの交差点


第8章
ここでスペンサーのオフィスが明らかにされます。スチュアート・ストリートにあって on Stuart Street, 二階で通りに面している second floor front, そしてトレモント・ストリートから半ブロック下がった場所 half block down from Tremont, とのことです。

ワンルームで、オフィスにあるのは、机が一つ、ファイル・キャビネットが一つ、そして椅子が二つあるのですが、スペンサーはこの椅子について、ミセズ・オナシスが夫と共に来た場合に備えて、と説明しています。

郵便物を確認するためにオフィスに寄ったとしているのですが、ジャンクメールばかりで立ち寄る価値はなかったとしています。そのあたりもユーモラスに描かれていて、Nothing from Germaine Greer or Lenny Bernstein, no dinner invitations, no post cards from the Costa del Sol, no mash notes from Helen Gurley Brown. とあります。

■■ここにあるジャーメイン・グリアというのは、メルボルン生まれのフェミニストでありかつ作家、ジャーナリストで、大体スペンサーと同世代の女性です。スペンサーがフェミニストに関心を寄せていたとは驚きです。

■■レニー・バーンスタインは20世紀後半の超有名な指揮者です。ボストン・ラテンスクールを経て、ハーバード大学のカーティス音楽院で学んでいるので、ボストンゆかりの人と言えます。

■■コスタ・デル・ソルは、スペインのアンダルシア地方にある地中海に面したリゾート地。

■■ヘレン・ガーリー・ブラウンは、作家であり映画プロデューサーのデイヴィッド・ブラウン夫人ですが、なんといってもコスモポリタン誌の編集長を32年間も勤めたわけで、キャリア・ウーマンのハシリと言えます。彼女はなかなか含蓄のある言葉を言っています。
"Beauty can't amuse you, but brainwork — reading, writing, thinking — can."
「美しさというものは、人を楽しませることはできません。それができるのは、本を読んだり、ものを書いたり、思考することです。」 万歳ヘレン!というところです。
また、夫のデイヴィッド・ブラウンがプロデュースした映画は、ジョーズやスティング、コクーン、そしてドライヴィング・ミス・デイジーなどがあります

スペンサーは郵便物の大半を捨てて、車で大学に行きます。秘書のブレンダ・ローリングにカール・タワーを呼んでもらうのですが、ブレンダはこの日はピンクのジャンプスーツを着ていて、スペンサーはブレンダに「帰りがけにまた話そう I’ll see you again on the way out. 」とコナをかけています。

スペンサーはタワーに英文学部の教授ローウェル・ヘイドンについての情報を求めるのですが、タワーは教授達には近づくなと警告されます。
「I don't do piecework. 出来高払いの仕事はしない」し、「The retainer does not include your telling me how to do my job. 依頼料には仕事のやり方を指示されるのは含まれていない」と言い返します。

そして、英文学部の学部長、ヴォゲル博士に面会を求め、ゴッドウルフ・マニュスクリプトの盗難と殺人事件が、英文学部の教授に絡んでいる可能性を告げ協力を仰ぐのですが、ここでも断られてしまいます。


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