奉天会戦、終了。
そして、運命の海へ!!
うおおおおおおお、NHKの超本気!!!
「JIN」が裏番組でなかったら、きっと今頃凄い視聴率の筈なのに!!!
坂の上の雲 第12話 「敵艦見ゆ」
司馬遼大河は原作がブッチギリで面白いくせに、何故かドラマ化の視聴率は不遇という
運命に晒されますが、今回も社運掛けて製作したのに世間の評判は家政婦のミタばっか。
いや、ミタもいいけど、少しは坂の上も…(^_^;)
まぁ、それでも坂の上は凄いですね。
後、原作が5巻分くらい残ってるのにどーすんだ?と第2部終了の時思いましたが、
原作が超面白いので、ダイジェストでも面白いし、よく出来てる。
大事な部分はちゃんと押さえてるので「えー、ここは描いて欲しかった」と悔しがらなくていい。
乃木が人格者であっても、軍人としては無能をちゃんと描いたのも、司令部が「厄介者」扱いしまくるのを避けずに描いたのはエライ。
乃木は戦後、東郷と並んで英雄に祭り上げられ、長くそれを信じられてましたからね。
うちの母もこのドラマを見るまでは、乃木はエライと思ってたそうだ。
海軍が余りに勝ち過ぎちゃったんで、釣り合いを取る為に乃木は政府のプロパガンダの犠牲になったんですが、これをやらなきゃ太平洋戦争へ勘違いしていく道もなかったかも知れず、
やはり軍隊と政治は切り離した方がいいね。
久しぶりに真之の帰宅で家族のほのぼのが見れてよかった。
家族が大事で守りたいからこそ、大勝利したせいで、自分が多くの他人の家族の幸せを
壊してしまったと真之が苦しむ布石になっている。
戦争はやり切れないものだ。勝っても負けても。
大義はあっても、兵の心がそれで納得する訳ではない。
同じ事が好古にも言える。
司令部が騎兵の報告を軽視したせいで、大事に育てた部下達が死んでいく。
100年前、ロシアがナポレオンに勝利したのはロシアの冬のせいだというのに、
司令部は自分達の「定規」でしか、物を計れない。
こんな寒さで動けないし、壕も掘れないと決め付けてしまう。
冬は大河が凍るから動くのに絶好だし、寒いのが当然のロシアの兵を舐めた結果が
大攻勢による超ピンチ。
だから、滅多に人をなじらない好古が司令部を詰る。
「こんな事があってはイカンのじゃ。こんなことが」
上の者の決めつけと油断が結果として兵を殺す。
そして、それを「難戦でしたな」とまるで他人事のように評して、自分の責任と思ってもみない。
好古になじられて初めて恥じ入るあたり、旅順で「思い込み」と専門家の意見を信用し、兵を大量に殺してしまった乃木と余り変わらん。
人に指摘されるまで、自分の思考の停止は気づかないものなのだ。
ただ、軍人の場合、それが結果として人を殺す。
自分が他人の命を、家族を握ってることを、常に自覚しておかないといけない。
乃木は自分の息子を失い、自分もいずれ特攻するなんて言ったが、司令官がそれじゃダメだ。
乃木だけでなく、周囲の兵も彼と似たり寄ったりの境遇だからだ。
自分は悲劇の主人公なんて自分に酔ってたり、自分も死ねば償えるなんて思っちゃいけない。
彼らを救い、敵を攻略する方法を探して、知恵を絞るべきだった。
愚直な特攻は何の役にも立たない。
最善を尽くさねば、他人を巻き込んだ悲惨な結果が待ってるだけである。
部下を信じて任せるのはいい。
だが、それは自分も判断力を手放していい事ではない。
尻拭い出来るだけの方策は用意しておくべきである。
司令部は好古の意見を軽視しても、心に留めておくべきだった。
人間だから万能じゃないとしても、最小限で食い止められた被害を他人事のように受け止めてしまった陸軍はどーも油断ばっかりしてる。
まー、幸いクロパトキンさんも自分の「思い込み」の左右される完璧主義の小心者だったせいで、好古の騎兵の奇襲の数を勘違いした為、完全に勝ってるのに勝手に撤退。
まさに自滅。
不思議な事に完全に負けてるっぽいのに、作戦で勝ちました(^_^;)
もし、数日クロパトキンが戦地に踏み止まってたら、日本の底の浅さがバレて、日本オワタだったんだが。
あの時、もう誰も死ぬなとばかり吹いた凄い突風はまるで神風ぽいねー。
これをまた日本が勘違いしたから、太平洋戦争でも神風吹くわと思ったが、三度目はなかった(笑)
勝利でなく、死なないでというメッセージと気づいてれば、昭和の悲劇はなかったのに。
ただ、ロシアにとれば後退という名の撤退であったが故に戦後の賠償問題で英国やらがしゃしゃり出て、日本は勝ったつもりなのにちっとも得しなかったせいで、国民の不満爆発。
軍国主義いらっしゃいになる訳で、人間、欲かいちゃいけない(^_^;)
命あっただけいーじゃんて気にはなかなかならないらしい。
まぁ、欧米はロシアが勝っちゃイヤだけど、日本が欧米並みのツラすんなって腹だから。
日本が白人だったら、恐らくそこまで貶められなかったろうが、昔も今も黄色人種に対し、
ここらへんの感覚は変わってない。
この頃の日本は戦争で倒産寸前。
物凄く真剣に財政を考えて戦争してた。
今の日本にこの真剣さがあればなぁぁぁぁ(´;ω;`)
さて、海軍。
一進一退できる陸軍と比べ、海軍は一発勝負。
で、問題はバルチック艦隊は対馬と太平洋のどちらのコースを取るか。
世界をグルーーーッと一周してきた艦隊が石炭焚かないといけないし、
戦う回数増やしたくないし、どっちのコース取るかなんて明々白々ですが、
「もしも」が真之や参謀達の頭を離れない。
もちろん、大本営や他の人は対馬よねーと思うんだけど、真之は自分の作戦が
日本を背負ってる事を知ってるから、もう迷う迷う。
皆に対馬対馬と言われてもグルグル。
迷った挙句、津軽に行こうとまで東郷に提案するけど、東郷はこの時真之の意見に反対しない。
真之に作戦を任せたのは自分だから。
ところが、会議の時、島村に反対され、東郷にもう一度意見を聞くと、東郷はあっさり
「対馬だ」と断言する。
敵がこう来たいと思うから来ると、単純な説明しかしないが、それで真之の迷いは却って晴れる。目が覚める。
ここが乃木と東郷の違い。
東郷は部下に任せるけど、思考は止めていない。
恐らく、真之の策が外れた時、どうするかもちゃんと考慮に入ってるんだろう。
島村にも肩を叩かれ、信頼を示されて、真之はやっと元の自分を取り戻す。
真之はいい上司に恵まれてるなぁ。
海軍が圧倒的な勝利、作戦に無駄の無い運用が出来たのはここらへんの陸軍との差だと思う。
陸軍が海軍の意見を旅順で早くに取り入れていたら、戦死はもっと少なくて済んだかも知れない。
思い込みやメンツが正しい意見を通さない。解答を無視させる。
戦争は人が行うものだ。弊害のない戦争は滅多にない。
バルチック艦隊程の勝利が後にも先にもないのは、やっぱどーしても人間関係がドロドロしちゃうからかなぁ。
そして、キターーーーーーーーーーーー!!!!
運命の5月。
敵艦見ゆに「シメタシメタ」と踊る真之をちゃんと描いてくれて嬉しかったwww
かわゆす。
司令部への報告に「本日晴朗ナレドモ波高シ」と追記した真之。
何という文学的表現。まさに芸術。
ずーーーっと子規と文学やりたかったのに、お兄ちゃんの意向で軍人になった真之だったけど、この一文で日本の文学史にその名を刻んだね。
「晴れてるから敵の取り逃しはなく、波が高くて敵の照準がしにくい。
すなわち、日本軍の有利」
という意味をこの一文で表現した真之は凄い。
兵は戦いの前に風呂に入り、新品の服を着る。
これは傷の化膿を出来る限り減らす為。
同時に血しぶきで足が滑らないよう砂を床にまく。
慈愛と地獄が交差する描写だ(´;ω;`)
恐ろしい。
因みにロシア兵は一番汚い服を着る。どーせ汚れるから。
どっちも発想がオソロシイ。
そして、遂にZ旗が揚がる。
「皇国ノ興廃、コノ一戦ニ在リ。各員一層奮励努力セヨ」
ううう、やっぱ燃えるねー。
司馬さんがこの原作を映像化するの最後まで反対してたのは、どーーーーしても
バルチック艦隊での日本の活躍が血湧き肉踊るからだ。
かっこよすぎるんだもん。
よ過ぎたせいで、その後の歴史が作られたかと思うと司馬さんはやるせなかったろう。
でも、やっぱりこの会戦の描写は凄い!!!
艦隊戦は燃える!!しかも金かかってる!!
カメラワークも音楽も最高だ。
この瞬間の為にこの物語はあったんだってくらい凄い。
映画でもなかなかないぞ、この艦隊戦は。
陸軍が悲惨だっただけに海軍の痛快さは比類が無い。
そして、東郷の右手が上がり、日本艦隊は大回頭を開始。
この10分だけロジェントヴィンスキーに勝利の女神が微笑んだ。
そして、有名なT字戦法が始まる。
うおおおおおお、いよいよ最終回!!!!
逆ですね
この作品のせいで乃木が無能だと信じられてきたのであって
現実は二〇三もほぼ乃木(と伊地知)の功績、奉天も乃木軍の奮戦がなければ勝ててないですよ
司馬さんによって貶められた「無能な陸軍」の象徴です
源平合戦を脚色しているわけではない。
近代の日露戦争の脚色だ。
203高地も、多くの人が児玉の功績だと思っている。
乃木は何と評価してよいかわからないが、伊地知は決して無能ではない
恐るべし、司馬遼太郎パワー。
こんばんは。
皆様のご意見になるほどなと思い、日露戦争の事をたっぷり調べました。
その結果、司令部の見解の甘さのツケで乃木達が苦労したり、乃木さんの黒々とした、知りたくなかった部分も知ることが出来ました。
結局、ドラマはドラマとして素直に楽しんだ方が面白いと思いました。
どうもありがとうございました。
こちらの雑誌はなかなか読み応えがありました。
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