シャドーハウス第114話「あなたの名前は」

大谷翔平君がコミッショナー特別表彰を受賞しました。
今まで１６人しか受賞した事がなく、ＭＶＰより取れるの難しいです。いやぁ、嬉しい！　１１月１９日のＭＶＰ発表が楽しみ。
大谷君見てると、ジョン様が野球小僧でショーンが恋女房のキャッチャーでエミリコがマネージャーでケイト様は学園のマドンナのマンガが書きたくなるね。
野球には全く興味がないが、エミリコがマネージャーやってるので仕方なく観戦するケイト様。
（俺の応援に来てくれたのか！）とジョン様が誤解するが、劇的なサヨナラ満塁ホームラン打って、皆バンザイしても、その時は観戦席は暑いわとケイト様は涼しい場所に移動して観てないし、何も恋は始まらない青春スポーツ物。
ただライアン位しか強いライバルがいないし、ダグラス達は一回戦でバイバイだし、読み切りでおしまいになりそうだ。文系と女性陣が強いシャドーハウスｗ

シャドーハウス第114話「あなたの名前は」

神回。
この回のラストの為に長い長い回想はあったのだ。

さて、エミリコ鬼の形相と腰を抜かしたケイト様で終わった前回。
翌日、静かに使用人室の扉が開く。

「おはようございます！ケイト様！
　はじめまして！
　ケイト様にお仕えする生き人形です！」

声はやたら！！！付で元気ですが、見た目は普通のメイドさんです。
昨日のように、いきなり唸ったり噛んだりしません。
ただ、エミリコの目はまだ死んだ魚の目です。

（えっ…！？　初めましてって…）
驚くケイト様
「貴女、昨日ここにきたでしょ？」
「いえ、今日が初めてです」

（あれだけ怒ったことも忘れているみたい）
ケイト様は昨日の続きで多少身構えていたんだろう。
どうやって、エミリコに対処していいか悶々と夜を明かしたに違いない。
また地雷踏んで激昂されたら平手打ちして、元に戻そうとまで悩んだかも知れない。
だが、エミリコは他人行儀でよそよそしいだけで、無駄に問答を仕掛けなければ感情を高ぶらせる事もなかった。

（記憶が混濁しているのかしら。
　…まさかずっとこれを繰り返すの？）

そう思い当たって、ケイト様からススが溢れる。
話し合わねば、エミリコの記憶は戻らない。
だが、怒らせるだけで、また一からリセットだとケイトが消耗するだけだ。

危惧は当たって、翌日のエミリコはまた同じはじめまして。
そして、淡々と掃除をするのみ。
ケイト様は気づく。
（段々、この異常な状況が日常になっていく…。
　もしかしてこれは…モーフが貴族という立場のシャドーに、
　人形が生き人形になるために
　記憶を改竄していく部屋…？）

ケイト様はエミリコの後姿を遠くから見ているしかない。

（貴女はいつの間にかシャドーハウスの生き人形になってしまった）

エミリコはケイトの為にお風呂を沸かし、着替えの準備をし、床を磨く。
それは祖母の姿に重なる。
祖母とは血が繋がっていなかったが、ケイトへの愛情だと信じている。
だが、エミリコのはプログラムによる行動に過ぎない。
解っていても、その姿はとても似ている。
それがケイトの心を軋ませる。

「わたしのためになぜそこまでしてくれるの？」

つい、ぼそっと口についてしまった。
祖母には決して言えないが、心の底にしまっていた思い。
母への忠誠心だけではなかったと思う。あの抱擁も献身も。
それを同じように行うエミリコがプログラムの為だけだと思いたくなかったのか。

「生き人形はお影様のお役に立つためにいます」

エミリコは満面の笑顔でその問いに答える。

（出会ったときのような笑顔…）

作り笑顔だと思いたくないような明るい笑み。
確かに生き人形にとって、お影様に尽くすのは存在理由だから。それは解る。
だが、エミリコは人間だ、人間なのだ。ケイトはそれを知っているから悲しい。

（貴女は人間なのに生き人形だと思い込んでいるだけなのよ…。
　だが、そのことは言えない…）

また、エミリコが主人の言葉を全否定してくるだろう。
それはこの異常な関係を壊さない為だ。
疑問に思ってはいけない。それを口にしてはいけない。
シャドーハウスの掟は、シャドーたちも守らねばならない。
生き人形の激昂はシャドーへの警告だ。
あの潰れたねずみに、食われたねずみになりたいか、と。

ここのルールを守った上で、シャドーハウスを変える。
ケイトはそう誓った。
でも、それでも、エミリコの笑顔に耐えられない。

（記憶を失くし、自分の名前も言えず、ひたすら働かされているなんて…）

サーカスでの出会い。
別れ際に「また会えると嬉しいです！」エミリコはそう言って笑っていた。
あの本当の心からの笑顔。
ケイトは思わず手を握った。
（あの時の貴女にわたしもまた会いたい）

何気ない出会いだった。それが今はこんなに大きなよすがになっている。
エミリコを取り戻さないで、どうしてシャドーハウスを取り戻せるというのか。

（せめて名前を聞いておけば、何かを思い出すきっかけになったかもしれないのに…）

エミリコには元から名前などない。
あの笑顔と人形をくれた手先の器用さ以外、ケイトは彼女を何も知らない。
それでも、それで充分だった。他に何がいるというのか。

（名前…そうだわ）
ケイト様はシャドーの掟をめくった。
生き人形についての項目があった筈。

『シャドーは生き人形に名前を付けましょう。
　生き人形の名前は重要ではありません。
　なので、覚えやすい名前をつけましょう。
　例えば…貴女の名前の愛称、貴女の名前に近い簡単なもの』

生き人形の名前に愛称ばかり多いのはこのせいだ。
ミアはかなり変わってるね。アンソニーも。
目立つ事を避けるなら、ケイト様もエミリコに自分の愛称をつけるべきだったろう。

（ケイ？　ケイティ？
　シャドーの教えに従うなら、これが無難。
　危ない橋を渡る必要はない。
　でも…名前が重要ではないのであれば、どうつけたって違反ではないはずよね）

異端分子らしい思考だとエドワードなら言いそうだ。

（貴女は貴女という個なんだから。
　貴女とわたしは別人なんだから）

ケイト様はエミリコを大事に思うがゆえに彼女らしい名前を贈ろうと思う。
名前は雑につけるものではない。
どうせ消えてしまうものだからと、記号のように扱ってはいけない。
だから、ケイトは彼女を呼んだ。

「…名前をつけなきゃね」
「名前？」

クルクルと変わる表情。ドジで親切で分を弁えていて器用で優しくて明るい。
サーカスというツライ生活を送りながら、相手を思いやるかわいい少女。

「貴女は少し変わっているところがあるから
　エミリコ。
　今日から貴女はエミリコよ」

その瞬間、人形のようだった瞳に光が灯った。
人の顔になった。
まさに、今本当にエミリコはエミリコになったのだ。

「いい名前です…！
　私はエミリコです！」

エミリコを両手を広げて喜んだ。
はじめましてのループは終わった。
シャドーと生き人形の関係が成立したのだ。

そして、１巻の初めに戻る、と。
あれ…？　名前をつけたからこそ、あの１巻のほのぼのイチャイチャなのよね？
毎日、少しづつ仲良くなって絆を深めていったのよね？
じゃ、ラムは？？　
名前を最後までつけてもらえなかったら、あのお披露目までずっとループの筈。
それとも、ラムがこっそりラミーとお話ししてた事でループ停止したの？
シャーリー様とラムはお披露目までほぼ接触なかったのにね。
うーん、ここは謎だなぁ。
シャーリー様は少し変わったシャドーだから例外なのかな。
モーフの状態に戻って覚醒するタイプは珍しそうだし。
少なくともライアンは初めて見たって言ってた。

ケイト様は誓う。
（必ず…必ず元の貴女に戻すわ！
　貴女が過去を思い出して、このすべてを伝えられるときを待ってるから）

そして、二人の長い長い日々は収束する。
あなたは人間なのよ。
それをエミリコがはっきりと自覚するまでケイトは待った。
洗脳から覚めて、エミリコがエミリコに戻り、ケイトの孤独な旅の終点に立つ為に。

「…これがケイト・ミラーの生い立ち。
　これまでの全て」

二人は向かい合った。
ケイトは万感の思いを込めて呟いた。

「エミリコ…。
　また会えて嬉しいわ！」

ケイトは満面の笑顔を浮かべたエミリコに向かって走り寄り、抱きしめた。
やっと会えた。本当に会えた。
この時を待っていた。

続く。

きゃーーん、ステキ！
今まで触らないで！近づかないで！と拒否してたケイト様が自分からエミリコを抱きしめに！
あ、それは１巻だけでお披露目の頃はもうべたくらしてたよね（笑）
でも、本当の意味でケイト様は出来なかった訳なので解禁ですよ。
尊いですよ。

もう二人の間にジョン様の入る隙間ないじゃんか。
まぁやはりケイト様は一度人間へお戻りになった方がいいしなぁ。
祖母の為にも。
（いや、ふつーにケイト様の人間の顔が見たいんじゃ（笑）

シャドーと生き人形の関係は大好きなんだけど、シャドーハウスでないと成立しない関係でもあるので、ずっと続けるのは難しいだろう。
大体、子供の棟の子供らを犠牲にしての世界だし、子供らが反旗を翻したら経済的におしまいですけん。
子供がスス出す役目なだけで、大人もスス能力使えるからスス出せるけどコントロールできるからやらないんで、やろうと思えばガーン！と出せるのかな。
せっかく大人になったのに、そんな事にスス能力使うのはもったいねぇなのかな？

まぁ、人間達が洗脳覚めたら、シャドーは普通に迫害されちゃうからなぁ。
コワイコワイ。
ケイト様はどうなされるおつもりか。
その頃にはジョン達とも本当の絆を結んでるだろうから、きっと何か解決策が見つかってるかも知れない。

さて、やっと本当のスタート地点に立ったよね。
これで次回から話が本編に戻るかな。
でも、ケイト様とエミリコが一緒なら無敵だ。

９巻の発売も11/19に決まったし（おお、大谷君のＭＶＰ発表と同日！）アニメ２期も決まったし、楽しみですねぇ。