愛は純を見失った。
純が行方不明になったから。
その純はある建物の中で目を覚ました。
宮古島の夢を見ていた。
鳥になって空も飛んでいた。
そのとき窓につるしてあった純の服が
落ちてきて、純は目を覚ました。
足元には見知らぬ女性がいた。
「あの・・・?」
「あんた風邪をこじらしてうなされていたよ
でも身元がわかるものがなくて家族に連絡しよう
がなくて。」
純はそういえば・・愛にたたかれたことを思い出した。
それから家を出て・・・?あれ??
「あの・・・ここはどこですか?」
「大阪」
「大阪のどこですか?」
「大正区」
「何で私はそんな所にいるのですか?」
「さぁ???
あんたずぶぬれで倒れていたから
死なれちゃ困ると思ったから」
「何で私、ずぶぬれだったのですか?」
「みやこじまに帰るんだ~~って寝言でいって
ばたばたしていたから。
もしかして近くの木津川に飛び込んだのかな?」
すると純のおなかがグ~~っとなった。
「なんか作るから。ちょっと待って。」
しばらくして純はそぉっと
部屋を出た。
古い建物である。
階段をおりるとひろいロビーのようなところが
あった。シーサーとか沖縄のものがおいてある。
食堂のような感じもした。メニューに沖縄そばがあった。
するとさっきの女性が声をかけた。
「もう大丈夫なの?おきて」
「あ、はい・・・」
「食べな。」
作ってくれたのは、沖縄そばだった。
「あの、ここは沖縄のお店なんですか?」
「知らなかった?
ここらへんは沖縄出身の人が多いのよ。
とにかく食べたら?」
「いただきます・・・」
純はあたたかいそばを食べながら
気持ちが和んできた。
女性はそれをじっと見ていた。
「どう?おいしい?」
純はうなずいた
「どうしたの?」
・・・
「良かったら話してご覧」
・・・・
「なにかあったんだろ?」
純はしゃくりあげながら
なきながら
「食べてからにします。」
といった。
うんうんと
女性はうなずいた。
一方愛は晴海たちのマンションを
訪問した。
晴海は驚いた。
愛は「純さんはきていませんか?」
と聞く。
晴海は不可解な顔をした。
「来てないけど、どうしたの?」
「僕たちあの・・けんかしたので・・
純さん携帯持ってないから連絡つかなくて。」
晴海は愛を見た。
そういいながら、「もし見つかったら
連絡下さい」といって自分の携帯番号のメモを
渡した。
晴海は帰ろうとする愛に言った。
「別れることを考えてくれない?純と。
あなたと一緒になって今まで以上に純の
苦労が多くなったような気がして・・」
愛は呆然とした。
ーおじい、そのとおりかもしれません
僕のせいで純さんは・・・
にぎやかな町へ出た。
そこには・・・
幸せそうな人がたくさんいるが
その本性は
”何のために生きているのかわからない”
というものだった。
愛は、みんな・・・そうなんだ・・・
と思った。
誠から電話があった。
「あいちゃん、純さんとけんかしたんやて?」
*何で知っているのやろ?
「お前どこにいるんだよ」
「私好きな人が出来てん」
「そいつは臭くないのか?」
「汗臭いけどそのにおいさえ好きになったら
いとしく思うけど」
「こっちはどうしていいのかわからなくて
心の声が読めなくなってから」
「大事なんは自分の気持ちなんと違うの
あいちゃんは純さんが必要ではないわけ?」
誠の電話の向こうで男の声がした。
「お前どこへ電話している?」
「勘違いせんといておにいちゃんやおにいちゃん。」
そういって携帯は切れた。
すると愛に町の人達の声が聞こえた
”それでも誰かを愛したい”
僕には・・・純さんが必要です・・。
一方、純はあのお店?で女性と話をしていた。
今までの自分の身の上話をした。
「・・・・・だから
これからどうしたらいいのか、わからないのですよ
何のために生きていくのかも全然わからなく
なってしまって」
「なるほどぉ・・・・
よくしゃべったね~~
夜になっちゃったよ。
いまどきめずらしいくらい、いい話だった。
ドラマチックだね、あんた。」
「・・なんか面白がっていませんか?」
「同情してほしい?
でもさ、あんたより不幸な人はこの辺には
ごろごろしているしさ」
・・・
「大丈夫、大丈夫あんたは連ドラの主人公みたいに
最終回までしぶとく生き残る顔をしているからさ」
*連ドラの主人公そのものですけど・・・
「じゃ・・私はこれからどうしたら言いのですか?」
「あんたさ
ひらがなの『あ』から『ん』までのうち
どの字がすき?」
「話が全然読めないのですが」
「良いから考えてよ」
ひらがなの一文字のうちどの字が
好きかと聞かれているのだった。
「えーーと、えーーーーっと
あ、。。。
か。。。
き??
さたな・・・・な???」
純は、必死で考えた
が・・・わからなくて
「何ですか?教えてくださいよ」
「私は『と』だな」
「と?」
「『と』があるから
大事な人と結びつくことが出来るんだよ
私たちは。
ネロとパトラッシュ
安寿と厨子王
ロミオとジュリエット
ヘドバとダビデ」
「・・・最後の人はわからないです・・・」
「あんたはどう?純と何とかと言う人いる?」
純ははっとした
「その人を失ったら本当に終わりだよ。
世界中でその人を幸せに出来るのは
あんただけだし・・
不幸にするのもあんただけなんだから」
純は・・・考え込んだ。
「じゃ、わたしは紅白を見るから」と女性は言った。
純は「え??」と思った
「今日はもしかしたら大晦日ですか?」
「そうだ、あんた4~5日寝ていたから
飛んでいるんだ、時間が。」
ええええええええ!!!!!!!!!!!
純は驚いて、建物を出た。
雪だった。
女性は
「ドラマチックだね・・・」といった。
純は、「駅はどこ??」
と叫びながら走った。
家に帰ると真っ暗だった。
誰もいない。
純は愛を探しに行った。
愛君・・・あいたいよ~~~~~
雪の中、純は愛を探した。
街中のカウントダウンライブの会場についた。
純は「愛君~~~」と心の中で叫んだ。
その叫びを愛が聞いた。
「純さん・・・」
♪みんなぁ~~新しい年が明けるよ~
いくよ
ー10、9・・・
愛は人ごみをかき分けて
純の元に走った。
ー7・・6・・5・・
純も走った。
ー4.3.2.1・・
二人がであった
♪ハッピーニューイヤー~~
♪皆さん一緒に楽しもうね
この歌聴いてください~
純は愛に言った。
「ひらがなの『あ』から『ん』のうち
何が一番好き?」
「『と』、ですか?」
「心の声が聞こえるようになったの?」
愛はうなずいて
「みたいです」
といった。
「ごめんね、ひどいことばかり言って」
「僕のほうこそ」
「私もう、めげない。
現実でどんなに辛いことがあっても
目をそらさないで夢みたいな現実を
作るように頑張る
・・・から
これからもずっとそばにいてください。
私たちは二人でひとつなんだから。
愛と純なんだから。」
「違います、・・・純と愛です。」
二人は笑って
抱き合った・・・・
良いお年を・・・。
****************
やっぱり今年はハッピーエンドにしてくれ
ました。
これでしばらく、見なくても心配ないし。
よかったこと。
よかったこと。
でも、純は川に飛び込んだというけど
死ぬつもりだったのか、泥酔した事故だったのか
わかりませんが、よくぞ助かったものです。
助けてくれた人は沖縄のひとみたいですね。
特に説教がましいひとではなく
話をどこまでも聞いてくれて
純は、心の重りが取れたようです。
するとふと思い出したのは愛の存在。
家出をして4~5日も家を開けて
どうしようと思ったことでしょう。
愛が心配で。
愛も、憔悴した様子で晴海の家を訪ねました。
言いたくなかったけど、けんかをしたことも
言いました。
するとやはり、晴海は離婚を提案しました。
愛は自分では純を幸せに出来ないと
思ったのでしょう。
しかし、そうでしょうか?
「と」、の存在です。
やっと、「と」の存在に気がついた二人です。
愛君、あいたいよ・・・
このせりふ・・・前にも喧嘩別れしたとき
純がいつもいっていたことです。
二人で一つ
二個一(にこいち)
辛い思いをしたぶんきっといいお正月を
二人は迎えるでしょうね。
皆様にとっても
皆様の人生にとっても
すてきな2013年でありますように。
良いお年をお迎え下さい・・・。
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