物言えば唇寒し秋の風5
エマのことで政春とも喧嘩した
エリーだった。
恋愛するにはまだ早いといったエリーに
それはわしらが決めることではないと
いった政春。
エリーは「わたしはエマのお母さん。
エマのことを一番よく知っている。」
言い切るエリー。
政春もたじたじになった。
エリーはある決心をした。
そして家を出た。
行先は工場、エマのいる場所である。
そこへすたすたと速足で歩いて
いった。
その後を特高がおった。
エマは工場で樽の移動をしていた。
しかし、樽って重いと思うけど。
案の定、樽をまっすぐ転がすことが
できなくて積んでいた
木箱にぶつけて倒してしまった。
一馬がかけつけて、「大丈夫か」と
いう。
「ごめんなさい。」
「いいよおれがやるから。」
一馬はコロコロと樽を転がして
隅っこにたてた。
そしてエリーに家に帰れといった。
「関係ない。」
「関係ないことない。」
「私は一馬さんと一緒に居たい。
一馬さんは違うの?」
そこへエリーがやってきた。
「エマ!」
「なに?忙しいの。
ようがあるならさっさといって。」
エリーは家のことを手伝って
くれといった。
エマは家のことは何もできない。
恋愛は女性としても自立をして
からでも遅くはないといった。
「いつ恋をするかなんて親が決める
ことではない、」とエマは反論した。
一馬はエマに帰るように促したが
エリーは、一馬に「あなたは
エマが恋愛をするほど
大人になってないことを
わかっているはず」といった。
「どうしてそんなこと言われなくては
いけないの?」
エマは怒った。
エリーも「どうしてお母さんの言うことが
聞けないのか」と
怒った。
政春がやってきた。
「どうしたんじゃ?」
エリーは怒って帰って行った。
政春もエリーをおって
いった。
残されたエマは一馬に抱き着いた。
「一馬さん・・。
一馬はどう思う?」
エリーは家に入っていった。
政春はそれを追いかけた。
ハナは洗濯物を取り込みながら
それを見ていた。
熊虎が「どうなったのか?」と聞く。
「どっちかというと
関係は悪くなっているのでは」
といった。
そこに足音がして
振り向くと特高がいた。
政春とエリーは家の中で話し合った。
「エリーだって初恋の思い出があるだろう
?」と政春は言う。
「相手は一馬でよく知っているし、
まじめて一生懸命でいいひとだ」と
いった。
政春はこの恋のどこが悪いのかと
エリーに聞くが。
エリーは「まだ、結婚は早すぎる」といった。
「跡継ぎのことは別問題だ」と
政春は言う。
「二人はしっかりしているから
暖かく見守っていこう」と
いった。
が・・・・エリーは納得してない。
工場ではエマと一馬が重たい
空気の中にいた。
「しばらく会うのをよそう」と
一馬が言う。
「どうして?」
「ブドウ酒造りに専念したい。」
「うそ・・・。
お母さんに言われたからでしょ。
何で気にするの?」
一馬は「政春とエリーは恩人だから」
という。
エマはエリーが思っているほど
自分は子供ではないという。
「一馬さんだってそういって
くれたじゃない。」
エマと一馬は木箱に座って
並んで話をしていた。
エマは一馬の気持ちを聞いていないと
いった。「自分のことをどう思っているのか?
今でも妹のように思っているのか?」
そう聞いた。
「私は違う、私は一人の男性として
一馬さんを見ている。
そう思っている。
私は一馬さんが好きなの!!
一馬さんは?」
一馬はじっとエマを見た。
「答えてくれないのね。
私が傷つくから?
何でなんにも言ってくれないの?」
一馬は黙ったままだった。
エマは「いくじなし」といって立ち上がり
走って行った。
一人になった一馬は帽子を取って
涙をふいた。
政春は森野家にいった。
熊虎はエリーが一緒でないので
聞くと、エマを待つといったらしい。
エリーさんは納得したとハナが聞くと
政春は否定した。
俊夫は「まさかですのう」といった。
何がまさかかとハナが聞くと
「恋愛はまだ早い破廉恥だと
融通の利かないお坊ちゃまが言うのは
わかるが、エリーさんがいうとは。
エリーさんは大恋愛をして駆け落ちを
して日本に来たから・・・。」
「だから自分のことと娘のことは
別だ」とハナが言う。
「あのエリーがのう。なんでじゃ・・・」
と政春はいう・
熊虎は
「戦争のせいだ」という。
「石を投げられたり
特高にひどいことを言われて
おかしくなったのでは」と
心配した。
みんなエリーさんはそんな弱い女性
ではないといった。
「しっかり考えて覚悟を決めて
日本に残ったのだから」とハナは
いった。
エマの夕食が残っているテーブル。
エリーは自室で政春の言葉を
思い出していた。
「エリーだって初恋の経験が
あるじゃろ?
エリーが初めて人を好きになったのは
何歳じゃった?」
エリーはテーブルの上に飾られた
アザミを見た。
そのアザミこそ、エリーの初恋
ジョージからもらったことがある
花だった。
エリーは涙をふいた。
そして、あろうことか
エマの部屋に入って机の引き出し
にある日記を開いた。
そこにエマが帰ってきた。
政春はエマを追いかけた。
エマは自室に入ってエリーが
いるのに気が付いた。
しかもエリーはエマの日記を
読んでいた。
「何で読むの?」
「読まれたらいけないことでも
書いてあるの?」
「いい加減にして。
私はお母さんの操り人形ではない。
自分のことは自分で決めるし。
自分のしたことにはきちんと責任を
もつ!
もっと私を信頼してよ。」
「もちろん信頼している。
だけど、エマ・・」
政春は「エリー」と声をかけ
「何ぼ何でも日記を読むとは」と
エリーを責めた。
「やりすぎだって。」
エリーは政春に「エマと話をさせて」
といった。
エマは、「いやよ、お母さんと話なんか
したくない」といった。
エリーは「プリーズ、どうか
お願い」と政春に懇願した。
政春は折れた。
そして部屋を出た。
エリーは話をした。
「お母さんがなぜ、恋愛に反対をしているか
わかる?」
「私が子供だからでしょ。」
「それだけではない。
一馬は戦争に行かなければ
ならないかもしれない・・・」
「そんなこともちろんわかっているわ。」
「わかってない。
エマにはお母さんと同じ思いをさせたく
ないから・・・」
エリーはお父さんも知らない話だと
いった。
*******************
振り向けば特高がいた・・・
ほんとに、いたるところに
じっと見ているのですよね。
この時代の家は中の話声が
外に聞こえたっけ???
よく見ていますね・・・。
ほんと。
でもエリーのやり方は
厳しいです。
恋愛を反対するのはともかく
日記まで読むのかと
思いますけど・・。
しかし、エリーには悲しい過去が
あったらしく、その話は
明日になってしまいましたね。
エマのことで政春とも喧嘩した
エリーだった。
恋愛するにはまだ早いといったエリーに
それはわしらが決めることではないと
いった政春。
エリーは「わたしはエマのお母さん。
エマのことを一番よく知っている。」
言い切るエリー。
政春もたじたじになった。
エリーはある決心をした。
そして家を出た。
行先は工場、エマのいる場所である。
そこへすたすたと速足で歩いて
いった。
その後を特高がおった。
エマは工場で樽の移動をしていた。
しかし、樽って重いと思うけど。
案の定、樽をまっすぐ転がすことが
できなくて積んでいた
木箱にぶつけて倒してしまった。
一馬がかけつけて、「大丈夫か」と
いう。
「ごめんなさい。」
「いいよおれがやるから。」
一馬はコロコロと樽を転がして
隅っこにたてた。
そしてエリーに家に帰れといった。
「関係ない。」
「関係ないことない。」
「私は一馬さんと一緒に居たい。
一馬さんは違うの?」
そこへエリーがやってきた。
「エマ!」
「なに?忙しいの。
ようがあるならさっさといって。」
エリーは家のことを手伝って
くれといった。
エマは家のことは何もできない。
恋愛は女性としても自立をして
からでも遅くはないといった。
「いつ恋をするかなんて親が決める
ことではない、」とエマは反論した。
一馬はエマに帰るように促したが
エリーは、一馬に「あなたは
エマが恋愛をするほど
大人になってないことを
わかっているはず」といった。
「どうしてそんなこと言われなくては
いけないの?」
エマは怒った。
エリーも「どうしてお母さんの言うことが
聞けないのか」と
怒った。
政春がやってきた。
「どうしたんじゃ?」
エリーは怒って帰って行った。
政春もエリーをおって
いった。
残されたエマは一馬に抱き着いた。
「一馬さん・・。
一馬はどう思う?」
エリーは家に入っていった。
政春はそれを追いかけた。
ハナは洗濯物を取り込みながら
それを見ていた。
熊虎が「どうなったのか?」と聞く。
「どっちかというと
関係は悪くなっているのでは」
といった。
そこに足音がして
振り向くと特高がいた。
政春とエリーは家の中で話し合った。
「エリーだって初恋の思い出があるだろう
?」と政春は言う。
「相手は一馬でよく知っているし、
まじめて一生懸命でいいひとだ」と
いった。
政春はこの恋のどこが悪いのかと
エリーに聞くが。
エリーは「まだ、結婚は早すぎる」といった。
「跡継ぎのことは別問題だ」と
政春は言う。
「二人はしっかりしているから
暖かく見守っていこう」と
いった。
が・・・・エリーは納得してない。
工場ではエマと一馬が重たい
空気の中にいた。
「しばらく会うのをよそう」と
一馬が言う。
「どうして?」
「ブドウ酒造りに専念したい。」
「うそ・・・。
お母さんに言われたからでしょ。
何で気にするの?」
一馬は「政春とエリーは恩人だから」
という。
エマはエリーが思っているほど
自分は子供ではないという。
「一馬さんだってそういって
くれたじゃない。」
エマと一馬は木箱に座って
並んで話をしていた。
エマは一馬の気持ちを聞いていないと
いった。「自分のことをどう思っているのか?
今でも妹のように思っているのか?」
そう聞いた。
「私は違う、私は一人の男性として
一馬さんを見ている。
そう思っている。
私は一馬さんが好きなの!!
一馬さんは?」
一馬はじっとエマを見た。
「答えてくれないのね。
私が傷つくから?
何でなんにも言ってくれないの?」
一馬は黙ったままだった。
エマは「いくじなし」といって立ち上がり
走って行った。
一人になった一馬は帽子を取って
涙をふいた。
政春は森野家にいった。
熊虎はエリーが一緒でないので
聞くと、エマを待つといったらしい。
エリーさんは納得したとハナが聞くと
政春は否定した。
俊夫は「まさかですのう」といった。
何がまさかかとハナが聞くと
「恋愛はまだ早い破廉恥だと
融通の利かないお坊ちゃまが言うのは
わかるが、エリーさんがいうとは。
エリーさんは大恋愛をして駆け落ちを
して日本に来たから・・・。」
「だから自分のことと娘のことは
別だ」とハナが言う。
「あのエリーがのう。なんでじゃ・・・」
と政春はいう・
熊虎は
「戦争のせいだ」という。
「石を投げられたり
特高にひどいことを言われて
おかしくなったのでは」と
心配した。
みんなエリーさんはそんな弱い女性
ではないといった。
「しっかり考えて覚悟を決めて
日本に残ったのだから」とハナは
いった。
エマの夕食が残っているテーブル。
エリーは自室で政春の言葉を
思い出していた。
「エリーだって初恋の経験が
あるじゃろ?
エリーが初めて人を好きになったのは
何歳じゃった?」
エリーはテーブルの上に飾られた
アザミを見た。
そのアザミこそ、エリーの初恋
ジョージからもらったことがある
花だった。
エリーは涙をふいた。
そして、あろうことか
エマの部屋に入って机の引き出し
にある日記を開いた。
そこにエマが帰ってきた。
政春はエマを追いかけた。
エマは自室に入ってエリーが
いるのに気が付いた。
しかもエリーはエマの日記を
読んでいた。
「何で読むの?」
「読まれたらいけないことでも
書いてあるの?」
「いい加減にして。
私はお母さんの操り人形ではない。
自分のことは自分で決めるし。
自分のしたことにはきちんと責任を
もつ!
もっと私を信頼してよ。」
「もちろん信頼している。
だけど、エマ・・」
政春は「エリー」と声をかけ
「何ぼ何でも日記を読むとは」と
エリーを責めた。
「やりすぎだって。」
エリーは政春に「エマと話をさせて」
といった。
エマは、「いやよ、お母さんと話なんか
したくない」といった。
エリーは「プリーズ、どうか
お願い」と政春に懇願した。
政春は折れた。
そして部屋を出た。
エリーは話をした。
「お母さんがなぜ、恋愛に反対をしているか
わかる?」
「私が子供だからでしょ。」
「それだけではない。
一馬は戦争に行かなければ
ならないかもしれない・・・」
「そんなこともちろんわかっているわ。」
「わかってない。
エマにはお母さんと同じ思いをさせたく
ないから・・・」
エリーはお父さんも知らない話だと
いった。
*******************
振り向けば特高がいた・・・
ほんとに、いたるところに
じっと見ているのですよね。
この時代の家は中の話声が
外に聞こえたっけ???
よく見ていますね・・・。
ほんと。
でもエリーのやり方は
厳しいです。
恋愛を反対するのはともかく
日記まで読むのかと
思いますけど・・。
しかし、エリーには悲しい過去が
あったらしく、その話は
明日になってしまいましたね。