Small gardens(小さな庭から)

小さな庭で初心者ながらも 色々植えて育てています。
雪国の為、夏限定の栽培日記と日々の事、思った事など。

must be!

2017-06-21 12:48:09 | Loveletter(親愛なる人々へ)

昨夜 酔った貴方が呟いた。

「お前に何ひとついい思いをさせられなかった。
それを申し訳ないと思ってる。 」

贅沢な暮らし

何ひとつ不自由ない生活

仕事をしないで好きな事だけする自由

何を指して いい思いなのか

私にはピンと来なかったけれど

きっと貴方は色々考えてしまうのでしょうね。



私は自分で選んで 貴方と一緒になった。

誰のせいでも無く 此処に居る。

様々に悩む事が起きても

今までだって これからだって

乗り越えていく気満々なんだけれど

もし乗り越える事が出来なくても

受け入れる度量位はあるつもり。

無理だと思ったらジタバタしない。

真正面から受け止める。

受けきれなくって砕けてしまっても

いつか再生出来る事も知っている。

多分 そういう面では 貴方より図太い事でしょう。


だから私の心配はしなくていいの。

何より 幸せっていうのは ちゃんと此処にある。

贅沢じゃなくても

ちょっと位 不自由でも

仕事でストレスが溜まっても

そんな事 帳消しになる位

きっと貴方を愛してる。

多分 私の居る場所は 貴方がくれた最高の居場所。



優しい魔法使い

2017-06-06 23:10:39 | Loveletter(親愛なる人々へ)

今でも思い出す事が出来る

赤ん坊の頃の君達の寝顔

不思議なもので

今でも寝顔だけは あの頃のまんま

それが可笑しくって

つい微笑んでしまう



今でも思い出す事が出来る

抱き上げると柔らかだった君達の身体

しっかりとしがみつく腕の力

思ってた以上に強くって

愛おしさが込み上げてくるから

壊れないように そっと背中を撫でた



今でも思い出す事が出来る

叱られて瞳に浮かべた君達の涙

あんまりにも涙が綺麗で

柔らかな頬を伝うのが切なくて

叱るこちらが泣きそうになり

揺らぐ気持ちを必死で押し殺した日



今でも思い出す事が出来る

君達の小さな手の温もり

温かで 柔らかで くすぐったくて

どんな風に接して良いのか戸惑う私を

少しずつ 少しずつ お母さんにしてくれた

君達は 教えるのがとても上手かった



ふわふわ ふんわり

君達の使う魔法は

いつもいつも私の胸の中

小さな花をたくさん咲かせてくれる

赤ん坊だった頃も 今も

君達は優しい魔法使い

ふわふわ ふんわり 笑顔の種を撒く


物語の続き

2017-06-05 00:13:49 | Loveletter(親愛なる人々へ)

君達が小さな頃 お弁当を持って冒険の旅に出た

歩いて一時間 美術館のある公園

辿り着く間も冒険だった

道端の小さな花に自由に名を付け

横断歩道の白線だけ踏む遊び

道祖神に手を合わせ願い事

小さな川で泳ぐ鴨に呼びかけ会話



公園の広大な敷地を自由に走って

小さな林を散策しながら

当時流行ってたポケモンの世界を空想したね

あそこは何番道路で あっちは何とかロード

そこの茂みには 何のポケモンがいるか


美術館さえ 冒険の旅の一部

自由に入れる場所だけを歩き

ここはポケモンセンターかも知れない と

真っ白い建物の中をヒソヒソ声で探索したね

不思議な造りの建物の中は

探検にはピッタリだったね


お腹が空いたら

一面のクローバーの中でランチタイム

途中 カラスが1羽

近くに降りて来て

私はカラスとにらめっこ

あの時 私は勇者だった


食後の散策中は

私の腕に虫が飛んできて

取って!とパニック

小さな君達が払ってくれて勇者だった

散歩中の老夫婦がクスクス笑って

恥ずかしかったけれど

あの時 私はお姫様だった


君達が居たから

一緒に冒険が出来た

君達が居たから

小さな頃を思い出して

楽しい空想世界で遊べた


いつか君達が親となって

この冒険物語を思い出してくれたなら嬉しいのだけれど

いつか君達が親となって

この物語の続きを紡いでくれたなら嬉しいのだけれど


素敵な贈り物

2017-05-28 22:41:08 | Loveletter(親愛なる人々へ)

あなたは 今まで花束をプレゼントしてくれた事が無い

ブランド物のひとつも贈ってくれた事は無い

よく冗談で

プレゼントが欲しいな。とねだってみせた

そんな時 あなたは笑って

もう あげたじゃないか。と言う


あなたは プレゼントをマメに贈るタイプじゃない

頑固でシャイで

そんな恥ずかしいこと出来るか!と思ってる


私は花は好きだけど

貴方が抱えてる姿は想像出来ないし

ブランド物にも そんなに興味ない

本気で欲しいと思った事も無い

でも もし 貴方が花束を抱えて帰ってきたら

とっても嬉しいだろうな と想像したりする


ある日 あなたはいたずらっ子の顔をして言った

子供達が俺からの贈り物。


本当だね

もう 素敵な贈り物を貰ってた

お金では買えない大事なものを貰ってた


私 家族が欲しかった

そんなに裕福じゃなくていいから

笑って 泣いて 寄り添える

そんな家族が欲しかった


時々 喧嘩して

でも 許し合える家族が欲しかった


あなたが私にくれたもの

それは世界中 探しても

此処にしか無い 唯一の贈り物


私にとっては とっても素敵な贈り物





Dear.

2017-05-25 22:16:44 | Loveletter(親愛なる人々へ)

私は父親っ子だったね
いつもいつも 夕暮れの中
貴方が帰るのを待ちきれず
貴方の職場の門の前で待っていました

いつもいつも 夕暮れの中
貴方の大きな手を掴んで
貴方の大きな優しさに身を委ねていました

そちらは苦しい事は無いですか?
痛い所は無いですか?

貴方が逝った日
泣き叫ぶ母も姉も遠くの景色に思えて
私はひとり 病室を抜け出し
無機質だらけの建物に似つかわしくない中庭で
声を殺して泣きました
幼い私に 何が出来たでしょう?
貴方に何をしてあげられたでしょう?

貴方が眠る姿を
もう二度と見る事が出来ないと
貴方の存在が灰に変わると知ったあの時
周りの大人の手を振りほどき
貴方の棺にしがみつきました
私も一緒に行くんだと
泣いて周りを困らせました
幼さ故に
それしか止める手立てがなくて
幼さ故に
心の整理がつかないままに

貴方がそちらへ逝ってから
貴方の日記を母が読んでくれました
幼かった私が僅かなお小遣いで
貴方に贈ったプレゼントを心から喜んでくれた事
貴方が逝ってから知ったあの日
泣き顔を誰にも見せたくなくて
チラシで顔を隠して泣きました

私は貴方に愛をあげられたでしょうか?
僅かな時間の中で
伝える事は出来たでしょうか?
それだけが今でも気掛かりです……


私は貴女が怖かった
いつも厳しく いつも叱られ
貴女はきっと本当の親じゃないと
幼い頃は疑ったりしていました

生まれてから一年くらい
泣き声もあげずにいる私を殺して
自分も死のうと思ったと
語った貴女の声が忘れられず
時々 憎まれてる気がして
居場所が無いと幼いながら思って暮らしました

それでも 今 思い出すのは
貴女と一緒に入ったベッド
貴女が育てたライラックの色
貴女と遊んだ雪の日
そんな事ばかりで
今更ながら 厳しさの意味を知りました

あの頃 子供だった私には
貴女はとても強い人にしか見えなかった
貴女が人一倍弱い人なんだと想像もせずにいました
あの頃 子供だった私には
貴女の愛を受け取る術を知らず
貴女を傷付けていた事も知らずにいました

貴女に心の内を伝える事が出来なくて
お互いに苦しい日々を送りましたね
そちらで父には会えましたか?
ふたり一緒にいますか?

貴女から与えられた愛はあったのに
見過ごしてしまった事を後悔しています
貴女から教えられた愛もあったのに
知ろうとしなかった子供の頃の私を許してくれますか?
それだけが私の気掛かりです……

いつの間にかあなた方の歳を越えてしまいました

写真の中のあなた方はいつも笑顔で
幼い姉と私の笑顔が咲いてます

幸せだった事ばかりを
色褪せた写真が語ってます

私にも子供が出来 母になりました
もしも生きていたならば
喜んでくれましたか?
抱いてくれましたか?

もしも私がそちらへ いつか行ったなら
写真の様な笑顔で迎えてくれますか?

切ないくらいに好きでした
悲しいくらいに好きでした
多分 どんな時も あなた方に守られ生きて来ました

伝えたい事は沢山あるのに
何を話せば良いのか戸惑います

少しは大人になりました
貴方の影を追ってた頃より強くなりました

少しは大人になりました
貴女の厳しさの真意を読み解く事も出来るでしょう

貴方からは優しさを
貴女からは生きる術を

それは大きな愛であったと
胸を張って生きています

Dear.

あなた方の娘より・・・