Small gardens(小さな庭から)

小さな庭で初心者ながらも 色々植えて育てています。
雪国の為、夏限定の栽培日記と日々の事、思った事など。

祈り

2018-05-10 08:05:38 | Loveletter(親愛なる人々へ)

もしも願いが叶うなら

どうか お願いします

彼の夢を楽しいものにして下さい

優しいひと時を彼に与えてください

その代わり

もう彼が私を見る事が無くなっても

あなたに文句は言いません


もしも願いが叶うなら

どうか お願いします

彼の傍にもう少しだけ居させてください

彼に触れる時間をもう少しだけ長くして下さい

その代わり

彼に抱きしめられる喜びを失っても

あなたに文句は言いません


もしも願いが叶うなら

どうか お願いします

彼が穏やかな最期を迎えられる様にして下さい

全てを解き放って 光の中 翔べる様にして下さい

その代わり

彼が背負う筈の悲しみを私に与えられても

あなたに文句は言いません



願う事しか許されないのなら

何度でもあなたに願いましょう

願う事しか出来ないのだから…



もしも願いが叶ったなら

悲しみも苦しみも淋しさも

全て甘んじて受け入れます

だから

どうか お願いします

美しくて 優しくて 温かな時間を彼に。


貴方に贈るLOVE LETTER

2018-04-30 09:35:17 | Loveletter(親愛なる人々へ)

夢はいっぱいあった。

手を繋いで歩く事。
人前で手を繋いで歩く事を
照れ臭さから絶対にしてくれなかったから。

子供達が巣立ったら夫婦ふたりで過ごす事。
何でもない日常を
ふたりで のんびり過ごす事が
凄く素敵な事だと思っていたから。

いつか子供達が親になった時
小さな赤ん坊が我が家にやってきて
その小さな命に目尻を下げる貴方を見る事。
興味無いふりして
でもデレデレおじいちゃんになる貴方を見たかったから。

老後はふたりで散歩する。
手を繋いで 緑の中も木枯らしの中も
ふたり のんびり歩く事が一番の夢だったから。

お互いに歳をとったね と言いながら
笑い合える幸せが
当たり前の様にあると信じていたから。

叶えられない夢だけど
想像する事は出来るの。

きっと貴方だったら こう言うだろうな。
きっと貴方だったら こうするだろうな。

そうやって。
いつまでも貴方は私と一緒にいるから
私の事は心配しなくて大丈夫だよ。



夢はいっぱいあった。
でも 貴方と一緒に過ごしてきた日々が
今は夢の様に 私達に降り注ぐの。


大事な記憶。

2018-04-27 22:06:52 | Loveletter(親愛なる人々へ)

いつまでも 今日の朝を忘れない。

二十年 世話になったな と
笑いながら 涙 一粒。

沢山 想いの丈を聴いて欲しいのに
言葉にならないから

髪を撫で 頬を撫で
貴方の額に顔を寄せた。

居なくなるのは淋しいよ
出せた言葉は それだけ。

頼むな と言いながら 長男と握手。
助けてやってな と言いながら 次男と握手。

無言で頷いた後 大きい声で
行ってきます!
泣かないように 精一杯の笑顔を貴方に向け
学校へ行った二人。

おう!行って来い!頑張ってな!
弱々しく でも精一杯 力強く。

それから私は 貴方の手を摩って
また
髪を撫で 頬を撫で
額に顔を寄せて。

私がいつか死ぬ時は
迎えに来なきゃダメだからね
そう言ったら
上から来るか 下から来るか
その時のお楽しみだな
そう微かに笑った。

そして また 涙 一粒。

貴方の涙を そっと拭いて
私も貴方に笑顔を向けた。

今日の朝の風景は 絶対に 忘れない。

多分 大きな奇跡が起こらない限り
この家で四人過ごした 最後の朝だから。

この空間に 貴方が確かに居た事
絶対に 忘れない。


穏やかな春

2018-04-13 19:33:04 | Loveletter(親愛なる人々へ)

今の私に出来る事

ずっと側にいる事

貴方の話す事に耳を傾ける事

否定も肯定もせずにいる事

笑う事


とうとう来ちゃったね

最後の春が


春の訪れを待てないかも と

医者の予想は外れたけれど

日に日に 少しずつ小さくなっていく貴方

私に何が出来るだろう?


でも まだ一緒に笑えるね

まだ 温かい手だね

これから咲く北国の桜を見ようね

出来る事なら もう少し暖かくなるまで居てね


至らない妻ですが

まだ もう少しだけ時間を頂戴ね

一緒の空間に居るしか出来ないけど許してね


今の私に出来る事

ひとつひとつ数えながら

言葉に出せない想いを重ねて

貴方の手をそっと握る

溢れる。

2017-07-12 00:53:01 | Loveletter(親愛なる人々へ)

初めて会ったのは 気紛れで入った会社。
私の真向かいのデスクに座ってた貴方は強面のおじさん。
でも笑うとちょっと優しい顔で
そして冗談話が好きで
今となっては とぼけて否定するけれど
貴方のアピールは激しくて。
初めはちょっと引き気味で逃げていたけれど
その一生懸命さに惹かれる様になった。
いつの間にか好きになってたの。


初めて貴方のお母さんに会った時
お姑さんって言うよりは おばあちゃんって感じで
とっても親しみを持てたのだけれど
年の差があり過ぎて
貴方が私をさらって来たのではないかと
心配していたって話を後から聞いて大爆笑。
そして周りから見たら夫婦に見えないのか…と
ちょっと寂しくなったのよ。


初めて増えた家族が嬉しくて
貴方が仕事に奔走していた頃の話。
一緒に買い物へ行くといつも貴方が赤ん坊を抱いて
買い物カートを押す私の後ろを歩いてたでしょう?
そうしてるうちに背後から
チュッチュッチュって音が聞こえるから
不思議に思って振り返ると
歩きながら人目も憚らずに赤ん坊にキスの嵐。
その強面で……と可笑しくって
笑いを堪えるのが大変だったのよ。


家族が4人になって
小さな子供達を連れてのコンビニで
食玩をねだられてる貴方の元へ行って
本を2冊、買っていい?と聞いたら
結構大きな声で
ひとちゅにしなちゃいって言うから
店内に居合わせた人達の注目を浴びたね。
とっても可笑しくって面白くって
つい 私も ひとちゅにしまちゅってお返事。
貴方は真っ赤になってバツが悪い顔をしたけれど
最高に笑えた一瞬だったよね。


仕事が忙しくて
帰ってきたり来なかったりの貴方を待ちわびて
幼い子供達と3人で暇潰しに
夜に家の中で隠れんぼ。
子供達が一生懸命に私を探してる最中に急に帰って来た貴方。
私の所在を問う貴方に子供達は無邪気に答えたの。
ママね、居ないの。
慌てて外へ飛び出す貴方を見て
流石に私も慌てたけれど ちょっと嬉しかった。
その後の正座でのお説教も嬉しかったのよ。


まだまだ 沢山の笑い話はあるけれど。
今も笑える出来事が増えていくけれど。
いつか途絶える日が来ると知ってるから。

私の心の中に。
子供達の記憶の中に。
そして貴方の人生の片隅に。

沢山笑えたねって。
とっても幸せだったねって。

溢れる程の思い出で満たしていきましょう。