随想録~つれづれなる一言日記⇒Part2はhttps://blog.goo.ne.jp/conny_mizukiにて

私こと瑞希祐作が、無秩序・無作為・無節操に自分の思いのままを書きつづってみました。楽しんでください!

音楽考(Stage-7)当山ひとみ “ Best collection当山ひとみ”

2009-10-13 | CD音楽考
 元々学生時分から音楽をやっていたのはご存知のことと思います。その頃は、はやりの歌にも興味がありましたが、だんだん音楽をやっていくうちに結構マニアックなものとか皆さんが知らないようなアーティストにのめりこんだ時期があります。特にFusionというジャンルをやっている人たちは、自分の演奏活動の傍らスタジオミュージッシャンとして他の歌手のサポートをしているひとが大多数でした。したがって知らない歌手であっても、そのサポートメンバーがわかれば大体どんな音楽かがわかるというものでした。

 よく貸しレコード屋(今はレンタルビデオ・CD屋ですよね? これを言うと年齢がばれる!)に通っては、そういうマイナーどころを狙ったものです。

 さて今日取りあげる当山ひとみという歌手も、かなりのマニアックな方でないとご存知ないかもしれません。元々は沖縄の出身だったこともあり、確か東京のほうに出てくるまで日本語があまり話せなかったような記憶があります。でも歌は英語・日本語ともすごくうまく、あの当時かなりほれぼれさせられました。何度もライブには足を向けましたし、作品も買いました。本当に「泣ける」曲がいくつもあったと思います。特にバラードは最高と当時は思っていました。

 ちなみに当時は「貸しレコード屋」の時代でしたので、それから時が過ぎて懐かしくなってまた聴きたいな! と思ったころには既に廃盤になっていましたが、昨今CD―Rで再販されるようになりました。それがうれしくて買ってしまったのがこの一枚なのです。

 本当は全曲コメントをしたいのですが、曲が多すぎる(15曲)のと、きっと自分としては当時崇拝に近いほど没頭していた方なので、「うまい」とかそういう言葉でしか片付けられないような曲ばかりなので、ここではいくつかPick Upさせていただきます。でも全部素敵で且つ懐かしさの漂う曲なので、是非とも聴いていただきたいです。

 さて、最初の「Our Lovely Days」ですが、知る人ぞ知る名曲です。(笑) 日立の宣伝で「この木何の木、気になる木」というのがありますが、その前に使われていたのがこの曲なのです。だから聴いてみてきっと「あ、この曲知っている!」と言う方は多いかもしれません。但し年齢はばれます! さわやかでやさしくて、それでいてゆったりとしたまるで風景が浮かびあがるような曲です。

 「言い出しかねて」と「Behind You」は彼女のバラードの代表作です。そのしっとりした歌声と詩、旋律がマッチしています。情感のこもった歌からすれば、本当に日本語がセカンドラングエッジなの? と言うような感じさえします。最近いろいろな人がアジアや米国から来て、日本でデビューしますが、日本語を使えなかったという点で考えれば彼女より上手く日本語が歌える人は今でもいないんじゃないかな? と思います。

 「スーパーマン」は、アップテンポの曲で私が最初に彼女であった曲です。当時の杏里のような感じとは若干ことなるのですが、どこか通じあうようなところがあるかもしれません。「Sexy Robot」も彼女の代表曲です。ミドルテンポの中にあって、それでいてメリハリが効いて、ちょっとテクノっぽくまとめられたというか、微妙の調和が施されている曲です。

 ちなみに最後のメドレー曲では、お姉さんとチューリップの財津和夫の3人で3つの違う曲を重ねて歌うようなこともやっています。これがこれでまた味わいがあるのです。

 元々Motown系の音楽が好きだったようですが、当時にして米国の異国情緒が漂うような歌を歌い続けていました。このアルバムでは、主に彼女の前半の曲がメインですが、(敢えて)中盤以降の曲風は少し日本チックにまとめられるようになってきてしまったのが残念でした。でも中には偉大なるピアニスト、グレッグ・リー(故人)との競演作もありますし、何か一つチャンスがあれば、まず間違いなく日本のスターダムにのし上がったような人だったと思います。

 先ほど敢えて中盤以降といいましたが、現在でも活躍中とのことで、ここ最近新しい曲を久しぶりに出したようです。私も今度日本に戻ったら是非入手して聴きたいと思っています。

 できれば、この作品に「ひとりぼっちにならないで」「One Scene」や「もしライフストーリを書くなら」なんていうものも加えてくれると、一聴衆としてはすごくうれしかったんですけどね・・・。

The Best Collection

コロムビアミュージックエンタテインメント

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音楽考(Stage-6)八神純子 “The Best Selection 八神純子”

2009-03-06 | CD音楽考
 また久しく音楽考をさぼっていました。やっぱりなかなかこれだけはCDを聞き込まないと書けないもので・・・、ついつい伸ばし伸ばしになってしまいます。

 さて、先般音楽番組を見ていると時たま「現在のメロディーララインが80年代のそれに回帰しつつあるということを言われる方がいます。私もこの意見には同感です。70-80年代、いわゆる「ニューミュージック」といわれる時代はまだまだ音楽の開拓期であり、著作権等もそれほどやかましいものではありませんでした、だからある意味「素直な」「わかりやすい」そして「なじみやすい」メロディーが多く作り出され、それがヒットしてきたのです。それが90年代になり今度はリズム志向→ダンスミュージックへの進化という大きな流れの中でいろいろなジャンルのものが受け入れられてきました。「個性の時代」とも言える90年代の音楽はそれぞれの人の嗜好を開拓した一方で、世代・性別を超えて「万人に受け入れられる」楽曲になるものは少なくなったような気がします。そのような理由もあり、21世紀に入り「誰にでも受け入れられやすい音楽」として80年代への回帰がなされてきているのでしょう。CMでは松田聖子やゴダイゴの曲がカバーされたり、去年ヒットした羞恥心のメロディーを聴いていると、本当に懐かしい気持ちになります。

 ということで、今回は私が学生のころよく聴いた八神純子の作品を取りあげたいと思います。今回のはベスト版です。彼女の活動は大きく分けて2つにわけられます。70年後半から80年中盤までの「正統派ニューミュージック」からJ.J Stanleyと結婚してから以降の「ソフィスティケートされたもの」です。私は両方ともそれぞれ良いと思っていますが、一般的には前半のほうが彼女のキャリアとしては有名です。このベストはこの部分のものなのです。

 まず一曲目は「みずいろの雨」。「あ~、みずいろの雨~、私の肩を抱いて包んで降り続くの~」という出だしからはじまる透明感あるフレーズはまず一発で記憶に残るものかもしれません。楽曲的にはA+Bパターンの単純なものですが、サンバチックに躍動感のあるリズム隊が盛り立てます。「ポーラースター」はみずいろの雨から彼女が更にステップアップすることになる代表曲です。ピアノの八分音符の連打から始まるしめやかな出だしなのですが、サビの部分で対照的なアグレッシブさが出てきます。そのギャップがなんともいいです。陰→陽→陰→陽→・・・の繰り返しが曲自体のコントラストをつけているところが好きでした。「I’m a Woman」、これもピアノの印象的な出だしで始まります。パワフルさを前面に出し「強い女、でもさみしい一面も垣間見せる心情」をうまく描き出しています。この曲は「抱きしめて~、ひと時でも~」というようにBridgeが入ってサビへとつながります。このころから作品の中に間奏やアレンジに更にひねりを入れるようになり、質自体もアップしていったような気がします。「時の流れに」では、普段のパワフルさよりもちょっと女の甘さを出しています。「Touch you tonight」この曲は全盛期を過ぎてからの作品です。メロディーラインとかはきれいなのですが、あまりにも平凡すぎるものではないでしょうか? ルパートホルムズだったかな? 彼と組んで作品を作るころからちょっと行き詰まり感があったような気がします。彼女としてもその辺を打破したかったのでしょうが、前にいい作品を出し続けてきたので、息切れ感は隠せませんでしたね。

 「思い出は美しすぎて」初期のほうの作品です。この「思い出」というフレーズを最初のころの作品では頻繁に使っています。昔ながらのサウンドが、レトロ感をあおってくれます。「De ja Vu」も基本A+Bパターンの単純な曲ですが、展開がぐぐっとひろがるので、あまり単調さを感じさせず、淡々と過ぎていきます。この曲は確かアルバムに収録されていたと思いますが、こういう曲っていうのも(アルバムには)箸休め=BGM的存在の意味で必要な曲です。「思い出のスクリーン」は彼女の思い出シリーズの中でも良い作品だと思います。ティンバレス・ベース・シンセサイザーが効果的に入っており、みずいろの雨やポーラースターとは一線を隔そうとする努力がひしひしと垣間見えます。私としては、「意外と好きな一曲」なのです。「パープルタウン」はたぶん彼女の中で一番ヒットした曲でしょう。当時の米国アーティストの作品の盗作ではないか? という疑惑から、後に作曲者のクレジットが共作になったような記憶があります。まあ完全にパクリなのでしょうが、それよりも後半部分に彼女が新しいメロディーを入れたことで、全く違った曲になったと思います。この曲については、日本人の「導入技術の妙」を彼女の中に見た! と言っても過言ではないでしょう。ここでも陰→陽への展開が鮮やかに決まっています。

 さて「黄昏のBay City」は彼女の活動前半時のラストのほうになります。シンセドラム・チョッパーベースのリズム感を前面に出した作品です。このころ流行のファンキーさを彼女なりに入れています。「夜間飛行」は、フレットレスベースとボーカルとのユニゾンで始まります。でもこの曲やたらと長いのです。(6分23秒) 最初に聞いたころは、「なんてかったるい曲なんだろう?」と思って、あまり好きではなかったのですが、歌詞やメロディー、アレンジを聴きこんで行くにつれ、私の中では「何と渋い味の曲だ!」という評価に一変しました。ちなみに、米国で「レッドアイ」(西海岸から東海岸への夜行便)を経験するとこの曲の良さがしみじみと理解できるようになります。「Fly Away」は空をセスナで乗っているような錯覚を考えたものでしょう。飛び出して、大きく旋回していくようなイメージが残ります。「Full Moon」は、彼女のもうひとつのパターンであるA+B+Aパターンの曲です。他にもアルバムで「Mr.メトロポリス」という作品がありますが、敢えて型を崩すことで、柔→剛→柔とか陰→陽→陰を鮮明にしています。でも基本は「悲しい女」なのでしょうけど・・・。「夢見るころを過ぎても」は、少女から大人へ変わっていく女性の気持ちをしっとりと歌いあげています。最後は盛り上げつつ卒業という感じなのでしょう。最後の一曲としてはいい締めの曲だと思います。

 おまけに2曲入っていますが、「MR. ブルー」は別にECOだけの曲ではなく、冷戦期の争いを無くし平和な世界を、というメッセージ色も含んだ曲です。(本当かなぁ?) まあこの約10年近く経ってベルリンの壁が崩壊し、冷戦は終結したので、今聞くと「温暖化」とか「環境破壊」を考えてしまうかもしれませんね。

 まあこうやって書いて見ると、「陰と陽のコントラスト」を「きれないメロディーライン」で表現し、「工夫したアレンジ」でまとめあげた作品群だったような気がします。歌もうまいので聴きごたえが当時はありましたね。工夫したアレンジに関しては、それぞれの曲にきっちりとしたアレンジを施しながら「ちょい崩し」的なところが1曲に1つくらいあるので、探してみると面白いです。

 でも、何で「甘い生活」が入っていないのでしょうか? 個人的には一番すきなんでけどね。

ザ・ベスト・セレクション

テイチク

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音楽考(Stage-5)本田雅人 “Across the Groove”

2008-12-26 | CD音楽考
ずいぶん長いこと音楽考をやっていませんでした。以前にTRIXを紹介する際に次に本田雅人の作品をといいながら、なかなかまとめるヒマがありませんでした。ごめんなさい。

まずは本田雅人と言えば、T-Squareの2代目のサクソフォーン奏者として皆さんの記憶にはあると思います。伊藤たけしが「柔のサックス」とすれば本田はその対極に位置する「硬のサックス」であり、どちらが好きかというところはその人の好みによって分かれるところはあります。但し、伊藤たけしの強烈なイメージを受け継いでの7年間、T-Squareで立派に独自のその地位を築いたところは、私自身として賞賛を惜しむことのできない存在であると考えています。

さて、ソロになってからの活動と並行してのFour of a KindやVoice of Elementsとしてもいろいろな作品を提供してきたわけですが、今回の“Across the Groove”はそのすべての延長線でありながら、全く一線を画した作品であると私は思います。一番の原因は彼を支える今回のバックメンバーにあるのです。

この作品ではボブジェームス、ハービーメイスンとネーザンイーストと言ういわゆる米国フュージョン界の大御所、「Fourplay」のメンバーが参加していることにあります。どうせならFourplay with Masato Hondaでやってくれたほうがもっとよかったのですが、ラリーカールトンが参加していないことが非常に残念です。というわけでこの作品、曲を聴いていると、本田自身の曲もあればT-Squareみたいな曲もあり、はたまたFourplayのようなものもあると言った感じで非常に面白いところがあります。

最初の曲「Captain Giovanni」は軽やかなノリではじまる本田らしい曲でいて、途中のソロはこれはもうボブジェームスお得意のエレピサウンドがうまく重なりあっています。とても新鮮です。それをささえているハービーメイスンのライドシンバルの使い方が妙に私の心を揺さぶりました。「HA-RU-U-RA-RA」は本田が所属していたころのT-Suquareの作品にあるようで、ちょっとボサノバ風Fourplayの味付けに軽やかにサックスが乗っかっています。タイトル通り日本風な感じの中にちょっと米国風の匂いが漂うところが素敵ではないでしょうか? 「Heart of Zipangu」、これはFourplayぽいな、と思える作品で、少し切なさが残る曲だと思います。「Stephanie」もやはりT-Squareっぽい感じの曲。アコースティックギターの感じがちょっと安藤まさひろのように聞こえるのは、やはりその時の印象が強いからかもしれません。(とはいえ、ソロを聞くとちょっと違うな、という感じもします。笑) 「Cool Bounce」は本田お得意のメロディーラインをファンキーなリズムに乗せてちょっと格好いいかな? と思わせます。それでいてソロになると今度はフリューゲルホーンを持ち出してくるところは、本当にこの人の芸の多彩さを見せつけてくれます。元々サックス類にとどまらずフルート、クラリネットに始まりギター、ピアノ、ドラムまでこなすマルチ奏者なので、きっと本人からすればびっくりすることではないのでしょう。「Diversity」いきなりのっけから「来た来た・・・!」と言った感じで、こういうノリならば絶対ネーザンイーストお得意の「ベースラインとボーカルのユニゾンが出るだろう」と思っていたらやっぱり出てきた!というパターンでした。まさにFourplayに溶け込んだ本田がそこにいました。「Prairie In The Morning」は前の曲でしっとりした夜から朝に移ったようなさわやかなフルートの音で始まります。ここでもボブジェームスの軽いピアノが彩りを添えます。このピアノT-Square時代の和泉宏隆のものとも同じようでちょっと違うところがいいです。(ちなみに私は自分がピアノを弾いていたこともあり、ボブジェームスも和泉宏隆も両方かなり好きです。) 「Ocean Avenue」は西海岸をイメージしたのかどうかはわかりませんが、潮風の香るよい曲です。ここでも間奏のボブジェームスとハービーメイスンは本当に息があっているなぁと思います。そしてネーザンイーストのおまけのボーカル入りと言ったところでしょうかねぇ・・・。しつこいけど、いいかも? 「Friends of My Life」では出だしの主旋律をボブジェームスが弾きます。ソプラノサックスとピアノの絡み合いがとてもさわやかでいて軽い感じがするのに、心に響くところです。最後の「My Ballad」ではT-Square時代の名残もあるのでしょうか? やっぱり静かなバラードで締めるところはセンスの良さを感じさせます。これでデザートつきのフルコースを十分堪能できたという気にさせます。

いろいろ書きましたが、これはあくまでも私自身の感じたことであり、皆さんはそれぞれに感じ方が違うと思います。ただ、やはり本田雅人―T-Square-Fourplayの顔がそれぞれに見え隠れしながら一体になっているところは多分共感してもらえると思います。こういう融合ができた作品であり、こういうものを作りあげた彼の才能、そして大御所バックメンバーにも引けをとらない演奏をしているところに「ただただすごいなぁ・・・」と感じさせられるだけです。また、いつもの作品で使うEWIを今回は全く使わずやったところもFusionの純粋さを追求したせいだと思います。でも個人的にはこのメンバーでEWIを使った曲もやって欲しかったなぁと思います。

できればFourplay with Masato Hondaという形で何らかのLive,作品が出来るのを願っています。

多分今年一押しの作品として上げられるものとして推薦できる一品です。是非お聞きください。

アクロス・ザ・グル-ヴ
本田雅人,ボブ・ジェームス,マイク・ミラー,ネーザン・イースト,ハーヴィー・メイソン
BMG JAPAN

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音楽考(Stage-4)TRIX “STYLE”

2008-10-14 | CD音楽考
久しく音楽考をやっていませんでした。意外とこれを書くときは結構大変で、かなり聞き込んでから書くようにしています。まあどうせその人によっていろいろと感じ方が違うとは思うのですが、技術的なことや背景などであまり間違ったことを書きたくないのが理由です。

さて今回のネタはいよいよFusionから出そうと思います。米国と比較して日本のFusionというのはかなりRock色が強いような気がします。これはJazzよりも親しみやすいということもありますが、いろいろな番組で使われるBGMとしての定着感が強いのが理由だと私は考えています。

Casiopeaが活動を停止して以来、大御所と言えばT-SQUAREがありますが、これ以外にも様々なバンドがあり、それぞれがいろいろな味を持っています。今年聞いた中で「いいなぁ」と思っているのは、Dimension、本田雅人、そしてこの「TRIX」でした。本田雅人に関しては、いずれここで取り上げたいと思っていますが、今年は何とFourplayの3人と競演というのは、昨今にない驚きでした。そしてこのTRIXは久々に聞いた誰もが言う“STYLISH”なサウンドであると同時に、期待通りいろいろとやってくれる良い意味での「お馬鹿サウンド」であることで結構はまりました。

Memberは、元Casiopeaの熊谷徳明(ds)、元T-Square(The Squareのほうが正しいか?)の須藤満(bs)に、平井武士(g)、窪田宏(kb)の4人で構成されています。結成は2004年で元々は須藤満の活動バンドが母体となって結成されたもののようです。私はこのアルバムしか聞いていないのですが、いろいろと論評をみるときっと以前のものもおもしろそうなので今度聞いてみようと思います。

曲は「敦煌」というオープニングは馴染みやすく、それでいていろいろなところにさりげなく(というか時として露骨に)テクニックプレーを絡めます。更にここまでやるかというほど決めを入れてきますので、きっとつぼにはまる人はどつぼにはまるでしょう。CasiopeaとかT-Squareのような洗礼されたものとは違い、いかにもFusionとして、「聞くほうも演奏するほうも楽しめるような」音楽です。「Complex」はテクニック重視のプレイで、これだったら「素人には簡単にはCopyできないだろう」というやる気満々の姿勢が見えます。「クワガッタン」は一体何を考えているのだろうか? というような感じのタイトル・歌詞(?)でありながらこれもしつこいくらいに決めを入れてくるので、もうそのしつこさに最後には酔うような感じです。この題名は何から来ているのでしょうか? やっぱりタイムボカンに出てくる「クワガッタン」から? 前にYMOが作った“RYDEEN”という曲がありましたが、「雷電」という説と、70年代に流行った「勇者ライディーン」をモチーフとして、という説もありましたが、これもその同系なのでしょうかねぇ? 「Phoenix」はちょっとCasiopeaの「Looking Up」とかを髣髴させるようなベースラインで、きれいなのかな? と思ったら、メロディーは純日本人っぽい(ある論評ではFusion+演歌と書かれていましたが)ところを想像させます。

「Cecilia」はバラード(このアルバム唯一かな?)で「へぇ、こういう音楽もやるんだ」と言う感じの幅の広さを感じさせます。「Shadow Puppet」ではベースがメロディーライン担当というおきてやぶりを演じています。この辺は結局なるちょ(有名なBassist)にかなり影響を受けていると言っても間違いはないでしょう。「狂奏曲(騎士)」は今までの曲とはイメージをがらりと変えたクラッシックを意識したようなそうでないような曲とでもいうのでしょうか? マイナーなメロディーラインが何となく心をとらえます。「Perfect Game」では再度Rock調に戻し、16ビートだけじゃないよ、ハードなのもやるよ、と言っているようです。最後の「jeunesse」では、帳尻を合わせたようにさわやかに終わろうという感じで、次回作に「乞うご期待!」とのメッセージでもこめているのでしょうかねぇ?

全般的に1曲1曲が長いのですが、あまり飽きがきません。

さてとこのバンドは全般的にdsの熊谷氏の曲が中心で、それに他の3人がいくつか提供するような感じです。前にも書きましたがいろいろなジャンルの曲を万遍なく取り揃えているところが結構聞きやすさとか斬新さを生み出しており、それぞれがそのような中でも自分のテクニックを表現しているところを考えると、かなり質の高いアルバムであるという印象を受けました。BGMとしてはかなり一押しの作品と言えるのではないでしょうか?

是非ともお聞きください!

STYLE
TRIX
キングレコード

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音楽考(Stage-3) 平松愛理 ”Single is Best"

2008-08-03 | CD音楽考
音楽考を書くとき、自分の個人的・独断的考えで書くにしても元々音楽活動していたわけなので、あんまり言いかげんなことは言えないなぁ、という自負もあるので、極力音楽を聴きこんでから書くようにしています。とはいえ、「これは良い!」と思いながらもその表現を纏めるのに結構時間がかかるもので、いつものエッセイ?と比べると時間が非常にかかります。ということで、Stage-3を書くのに結構時間がかかってしまいました。

平松愛理さんと言えば、1992年の「部屋とYシャツと私」というのが誰でも知っている代表曲です。それ以外にも「素敵なルネッサンス」やら「月のランプ」など、数多くのヒット曲を出しています。このアルバムは1993年に出されたベスト版ですが、やはり円熟味を醸し出す前までの、ノリのある時代のベスト版だと思います。

さてこのアルバムを一言でいうなれば、「音楽のサーカス」とでも表現できましょうか? 前編通じての音の使い方が極めて派手! 隙間のない音の使い方はやはりアレンジャー(清水信之氏)の影響を多分に感じさせます。派手といいましたが、決して悪い意味ではなく、音と音の隙間にきれいに「当たり」の音を入れていっているのです。これがかなり効果的な音の使い方になっているのです。例えば、「Single is Best」の鐘の音、「月のランプ」のティンパ二―、「マイセレナーデ」の手拍子、これ以外にもマリンバ、ブラス等々様々な音を手を変え品を変え次々と埋め込んでいるのです。これで作られたステージの上で愛理嬢が楽しいくらいに次から次へとサーカスの演目をこなしていくのです。これが軽快でたまりません。(ちなみに「青春のアルバム」に一箇所だけ、リズムが入らない、ボーカルだけを生かしたフレーズがありますが、あとは全部と言っていいほどこてこてに音のデコレーションがされています。)

こういう技法が使えるのは、歌・編曲がいいだけではなく、それを支えている土台の部分のリズムがかなりしっかりとビートを刻んでいるからです。これが何というかあのサーカスの「ドンチャカドンチャ」とか「ズッチャッチャッ、ズッチャ・・・」というようなイメージを醸し出すのです。ユーモラスで且つしっかりビートの効いたBGMの中で次々と「演技」が行われていくのです。表現が難しいですか、「自分はサーカスを見ているのだ」と自分に言い聞かせてこのアルバムを聞くと、きっとわかってもらえる感覚かもしれません。

さて、全般的には自分と等身大の女性の気持ちを歌った曲が多いのも印象的です。前に書いたタイナカサチのようなまさに「恋まっさかり」というものに比べるともう少し大人の感じの曲が多いです。「Single is Best」は「シンデレラストーリーのようにうまくいかないものだけど、それでいいじゃない?」という開き直りの曲。「もう笑うしかない」はパワーのあるキャリアウーマンの彼氏への思い。「青春のアルバム」では彼への切ない思いを断ち切るような気持ち。「月のランプ」では一人月夜の夜に過去の思い出に浸る女性の姿。「素敵なルネッサンス」は昔好きな人に今日会えるという気持ちを歌ったもの。「マイセレナーデ」は遊び女?の純愛模様、そして「部屋とYシャツと私」はまあ涙が出るような女性の結婚への気持ち=愛しい人への気持ち、をユーモラスに描いたものでした。こうやって書いてみるといろいろな女性の思いをそれぞれ巧い具合に歌い分けているものだなぁ、と感心させられます。

愛理嬢の歌はなんとも力の抜けた透明感というものを感じさせます。「すーっ」と体の中に溶け込んでくる水のようなイメージも感じさせます。この要に感じるのは歌い手とプロデューサーの思いがひとつになったからであり、そういう意味では、一品のひとつだと思います。チャンスがあれば聞いていただきたいアルバムの一つだと思います。きっと昔聞いたことのあるメロディーが懐かしい気持ちを掘り起こしてくれると思います。

さて、次回は自分の得意な分野であるフュージョンのほうから何か選びたいと思っています。さて、何を選ぶか今考えています。でもまた聞きこまなくてはいけないので、いつになるかは・・・?

お楽しみに!

Single is Best
平松愛理,清水信之,西平彰
ポニーキャニオン

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音楽考(Stage-2) 所ジョージ “安全第二”

2008-06-30 | CD音楽考
このCDは調べたところ2006年7月に発売されたもの(らしい)だそうです。これも日本に帰ったときに何気なく目に付いて買ったものでした。米国に住んでいると本当に日本流のギャグとか笑いがなかなか味わえず、いつもちょっと心が乾いたような気がしていました。そんなときにこのCDがあると、思わず「ぷぷっー」と笑いだしてしまうのです。確かに音楽的要素はあまり無いのかもしれないのですが、私にとっては頭や心をうるおしてくれるような一枚でした。

所ジョージの人となりについてはもう万人の知るところなので、書く必要はないと思います。ただ私のイメージではデビューした数年後に歌っていた「Do! Do! Do!」とかオールナイトニッポンの印象が強く、特にゴールデンの顔になったあとでもせこせこと音楽活動をしていたのにはなかなかびっくりでした。調べてみるとシングル30枚以上、アルバム実に20枚以上を出しているのですから「隠れたアーティスト」と呼ばれてもおかしくないと思います。でもいろいろと問題もあるようで、廃盤になることも少なくなかったようです。(笑)

それではアルバムの感想を・・・、という前に調べてみたところ、このアルバム全部で20曲あります。作詞は全曲所ジョージとありますが、作曲者のクレジットがありません。聞いてみるとよくわかるのですが、これはどー見てもパクリやろ、とかもろそのまんま、というのも多いので、「なるほど」と納得してしまいました。でも全編を通じてちりばめられたギャグは、いつまでたっても飽きさせることはないと思います。

まず1曲目の「Trans AM」、本人カーキチに改造魔ということもあり、実に味わい深くその工程が語られています。本当に車が好きなのですね。

3曲目の「大きなインド象」は誰がどう聞いても「とんぼ」ですねぇ。最後のフレーズが思わず共感してしまいます。

4曲目の「豪華な金時計」。昔からの曲もこのようにブラックジョークに味付けしてしまうと思わず吹いてしまいます。

「桜」、「かたつむり」、「電柱」、「鈴虫のように」の本当に一発芸のような曲もなかなかぴりりとしていて、そこが感じます。

9曲目の「逆境ファイター」は格闘家「所英男」の入場曲。最初聞いて最後の「ゼスト」の意味が分からなかったのですが、最近彼の所属チームであったことが分かって、喉のつかえがなくなりました。

おふざけばかりしているようですが、「幸せの入り口」「夕日をとめて」「涙」のようにちょろっと少し感傷的になるようなものもあります。おふざけをするようなキャラと万人が認めているようですが、彼の本当の人間像はこういうところにあるのかもしれません。

他にもいろいろと聞いてみると面白い曲があります。多分一度聞いただけではその良さはわからないかもしれませんが、何度も聞くといろいろ違った味わいが出てくると思います。

だまされたと思って聞いてみてください。但しまだ廃盤になっていなければの話です。(笑)

安全第二
GEORGE TOKORO,Satoshi Iwase,ウー・ルーチン
エイベックス・トラックス

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音楽考(Stage-1) タイナカサチ “Love is ...”

2008-06-21 | CD音楽考
この3月に日本に一時帰国した際に、TVで流れていた彼女の歌声が妙に気になって、帰米する際に衝動買いをしてしまった一品です。CMでは収録されている歌が部分部分だったのですが、なかなかインパクトのあるサビが印象的だったのを覚えています。これは2ndアルバムだそうで、実はまだ1stアルバムを聞いていないのにこういうのを書くのは結構気が引けるのですが、このアルバム自体全体を通して聞いてみてもなかなかうまくまとまっていて、最近私が聞いた中では一押しできる作品のひとつだと思います。彼女もいずれMajorになって出てくることを祈っています。

このCDには全部で12曲が収録されており、いろいろな形の“愛”で彩られています。独唱で始まる“Visit of Love”、軽快でアップテンポの”Lip Stick”。“抱きしめて”“一番星‘のバラード、春のイメージがぷんぷんする”桜舞う“。アルバムの終盤では、歌いまとめるような’愛しい人”等々きらびやかに良い曲がちりばめられており、タイトルが示す通りの内容になっていると思います。

作詞作曲(作詞10曲、作曲8曲)にも彼女は携わっており、そういう意味では単に歌うだけの人ではなく、音楽的資質にも恵まれた存在であると思います。

あくまでもこれは私の感想ですので・・・ご了承を!

ところで、彼女の魅力をあげるとすれば、まずその声にあると思います。2オクターブを超える音域をうまくつかいこなしているところがなんといっても良いと思います。この音域も大きく分けて3つに分類されます。Fまでの下音域、Gからその上のDまでの中音域、そしてその上のファルセットを伴った高音域といった具合です。下音域は普通のSingerと比べてもそれほど大差は無いような気がするのですが、中音域のパワー・声質・伸びが下音域と比較してかなりGapがあり、それがこのよさを活かしていると思います。多くの楽曲がこの音域に中心を置いた構成で作られているのがその証拠かもしれません。また高音域に関しても、地声とファルセットをうまくコンビネーションで使っていて、そこがまたつやっぽく聞こえます。3つの音質を自由に使い分けることによって曲それ自体が生き生きとして聞こえてきます。このような要因がそれぞれの曲に独特の躍動感を与えているように見えます。

曲の内容は、出会い、進行形、成熟、別れ、そして後悔といったようにそれぞれの場面を自分なりの表現をしており、曲ごとに独特の世界を個別に持っているような感じがします。それを支えているのが前述したように彼女の特徴ある声であり、表現法であると思います。

とりあえずあまり詳しく書くと、おもしろさも半減してしまいますので、一度自分の耳で確かめてみてください。きっと損はしないと思います。(笑)

私も今度1stアルバムを聞いてみようかな?と考えています。

Love is... (通常盤)

ジェネオン エンタテインメント

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