関心領域
監督 ジョナサン・グレイザー
面白いです。
静かな恐怖がまとわりつく、悪趣味でA24らしい芸術・ホラー系の映画でした。
関心領域という映画は間接的な恐怖が続きます。直接的な描写はありませんが、収容所から聴こえてくる音、日常的かのように思える会話、血を吸って咲いているように想像してしまう美しい花々、カメラの画角など、常に隣にあるのは恐怖です。
そして、それらに無関心であることこそが最もな恐怖であるかのようにラストは描写されます。
映画として成り立っているかといえば疑問が出る人もいるかもしれません。日常を映しているだけのホームビデオのように感じる人だっていても不思議ではないでしょう。説明を一切しませんから、「なんかよくわからなかった」という人も多いはずです。
映画オタクは好きかもしれませんが、映画を普段観ない人にはオススメしません。観客が映画に対してなんらかの感情を抱くことで映画として成立するような映画だと私は感じましたから。つまりシンプルなエンタメ映画ではなく、アートティックで難しい映画ということです。
あとに残る恐怖には独特なクセがありますから、A24と聞いて【ミッドサマー】【ヘレディタリー】を真っ先に思いつく人たちが最も楽しめる映画だと思います。
それだけでなく、戦争を描いた映画としての切り口は非常に斬新で興味深く、観客がいないと映画として成り立たないという面白さを含む【関心領域】。手放しでオススメしませんが、刺さる人には今期No.1の可能性を秘めている、A24らしいホラーを感じる映画でした。