あきさんのゲーム・映画感想

プレイしたゲームや観た映画の感想をつらつらと述べるブログです。

落下の解剖学

2024-02-25 17:14:27 | Movie


落下の解剖学

監督 ジュスティーヌ・トリエ



 綿密な芸術。
 折り重なる違和感によって導かれるあっという間の2時間30分。一見するとヒューマンサスペンスなのですが、中身は芸術映画。カンヌのパルムドール受賞作。

 私や旦那は傑作だと感じましたが、実際は年に1,2本ほど観る人にはオススメできません。なぜなら最初から最後まで全てのシーンに違和感が意図的に、緻密な計算の元に散りばめられているからです。

 その違和感は「映画ならフツーは〇〇するよね」という常識を外しているからこそ生まれるもので、それは雑音になります。雑音は、「なにが言いたいのかわからない」だとか、「なにを観せられているのかわからない」といった不快なノイズになります。

 この映画はその不快感を意図的に与えてきます。セリフ。音。家の家具の配置。母親と弁護士の関係性。目が不自由なはずの子どもが雪の中の橋を渡る。冒頭のインタビュー。噛み合わないちぐはぐな会話に行動。それどころか映画内のセリフで「真実がどうかは関係ない」と何度も口にするなど全てがバラバラです。終わりでさえも中国人か韓国人が経営してそうな日本料理店で不器用に箸を使って食事をします。

 どれもこれもがスッキリしない。映画としてオカシイのです。この違和感が常につきまとうので、観客は不安を抱きながら映画を見続けます。見続けるしかないのです。

 けれども映画という虚構とは違って現実はこの【落下の解剖学】の違和感のようにスッキリしないことだらけです。そうした視点で【落下の解剖学】を眺めると、「この映画はサスペンスはなく不合理な芸術映画」だと感じられます。

 こうなるとこの映画の虜になります。違和感は印象深いシーンになり、観客の中に残り続けます。映画を否定する違和感が映画を作り、映画を虚構と否定する観客がいつまでも心に残る映画を完成させるのです。こんな素晴らしい映画はありません。

 ゆえに傑作だと表現したのです。けれども同時に一般性は大きく下がってしまうので、あまり映画を観ない人にはオススメできないとも表現しました。

 評価が割れそうな映画ではありますが、もしかしたらこの【落下の解剖学】が、2024年で最も好きな映画になるかもしれません。そんな素晴らしい映画でした。


スパルタカス

2024-02-24 07:46:11 | Movie


スパルタカス 1960

監督 スタンリー・キューブリック



 名作。
 緊張感の連続で3時間があっという間の映画でした。

 綺麗な構成で描かれていて、映画の開始早々、反抗したために足にかじりついた主人公スパルタカスは石にはりつけられ餓死させられそうになり手足の自由を奪われるのですが、最後は同じように苦痛と餓死を待つだけの磔の刑にされます。

 磔の刑にされたスパルタカスは、意識朦朧としている中、死んだと思っていた妻と再会します。妻は苦しみながら死を待つだけのスパルタカスに涙を流し、足にすがり言葉をつむぎます。

 また敵でも味方でもない奴隷商人も同様に、最初は手足を拘束されたスパルタカスを購入することで結果的にスパルタカスを自由にするのですが、最後はスパルタカスの妻と子どもを逃がすことでスパルタカスを結果的に救いました。

 美しい構成です。
 さらにスパルタカスは最初は孤独なのですが、だんだんと周囲に人が増え、たくさんの人に囲まれます。そして死によってだんだんと周囲の人が減り、最後は孤独になります。

 うーん。
 素晴らしいです。

 それだけではありません。
 政治家たちの対比も実に面白かったです。女性に囲まれハーレムを形成し、醜く太り、ときに犯罪者ともやり取りをする政治家は最後はスパルタカスの妻に大金を渡して逃がし、選び抜いた美しいナイフで潔く自害します。

 一方で女性を寄せ付けず、共にいようとするのは男性奴隷1人だけのクラッススは奴隷商人の剣闘士たちに大金を積んで死闘させはしましたが、基本的に潔癖で、腐敗を正そうとする反面、スパルタカスに怯え、正規軍の力を借りてスパルタカスを殺します。さらに描写は2人だけで共にお風呂に入る程度でしたが、ゲイであるように匂わせ、美しい男性奴隷への不合意の性強要を印象付けられます。

 この矛盾と対比が同じ映画の中で行われていて、3時間が濃密なものとなっています。

 もちろん俳優たちの魂の入った演技は最高で、まるで本物のように感じられるほどでした。画面を観るとハッとそちらに目を奪われてしまう主役たちの魅力も非常に良かったです。昔の言葉だとスター性というヤツですね。

 面白かったです。
 恐らく影響力も凄まじく、去年見た映画だけでも序盤は【ブラックアダム】はそっくりそのまま参考にしていますし、後半のシーンでは【ナポレオン】が似た画角での撮影をしていました。

 本当にあっという間の3時間で、濃密で、未だに消化しきれない傑作です。

 心の底からオススメしたい映画ですね。

RPG Maker MZ を購入

2024-02-18 08:25:44 | RPG Maker MZ

 RPGmakerMZを購入しました。つまりRPGツクールMZです。ちょっと前にRPGツクールはRPGmakerに名称変更したのでこんな表記に。

 RPGツクールはCS版をちょくちょくプレイしていまして、古くはRPGツクール2を、それから大人になって3DSのRPGツクールフェス、そしてswitch,PS4のRPGツクールMVtrinityを楽しみました。

 子どもの頃はサッパリでしたが、大人になってプレイしてみると面白く、新しいイベントを作るときなどはパズルゲームをしているような感覚になります。

 フェスではフェス上の投稿の場で完成品を出しました。タイトルをエゴサしてみたら「面白かった」と感想を言っていただいていたのを確認できたときは嬉しかったですね。

 MVtrinityではできることが増え、プラグインに憧れつつもtrinityではできないために諦め、できる表現を工夫しては楽しんでました。

 そんな流れを経て、ようやく私はPC版のツクールに手を出すことにしたのです。自由度高くて楽しい〜

 プラグイン周りはまだ明確な理解をしておりませんが、MVtrinityの経験からプラグインがなくても工夫次第で擬似的なイベントを作れることは理解していますし、まぁなんとかなるかなぁと思いつつもいろんな方のプラグインを眺めています。

 まだ素材管理をイジったり、選択肢で使えるようにツクール素材を加工してフレームを作りピクチャで出せるようにしただけですが、楽しいですねぇ

 しばらくはツクールで遊びますよ〜

morbid the seven acolytes

2024-02-16 18:36:57 | Games


morbid the seven acolytes

開発 Still Running
販売 Merge Games
国 フィンランド、イギリス


クリア感想

アクション ◯
マップ ◯
ビジュアル ◎
プレイアビリティ △
コスパ △


 惜しい。
 良作ではあるのだけれど、ギリギリ良作というか、特段良いというわけでもない感じです。セールなら間違いなくお得。


 内容は流行りのダークファンタジーの世界観でかつ、流行りの高難度アクションをライトにしたゲームです。そんな世界をクォータービューで表現し、グロテスクに仕上げたのが今作品。


 ストーリーなどはロード時間中や図鑑、イベントリで表記されていて、そうした背景をゲーム内で読み込んでいくことでさらに没入できるような作り方をしています。


 BGMも非常に良く、ドットビジュアルも素晴らしいために雰囲気はとてもレベルの高い作品となっています。

 肝心のアクションは特別優れたものではありませんが、パリィやロールを基本軸に良く作られているのはわかりますから、面白いのは確かです。


 しかしゲーム性はそこまで高くなく、様々な武器やアクションがあるのは素晴らしいのですが、イマイチどの程度敵に対して有効なのかわかりにくいです。


 マップも良く作られているなぁと感心こそすれ、どこが通路なのかわかりにくい箇所が散見されるなど、非常にもったいないゲームデザインとなっています。

 UIも明瞭でなく、ゲーム進行に問題はないんだけれど翻訳がわかりにくく、ダークな世界観も相まってアイテムが信用できないために1度も使わないアイテムがほとんどを占めました。


 難易度はアクションに慣れていない人は高難度、アクションに慣れている人はそこそこな難易度で、高めではあるけれど高いというほどではないというライトな印象。

 ついでにボリュームもライトで、道に迷った私がクリアまで8時間かからないくらいでした。


 総じて惜しい作品ですね。
 続編が今年出る予定で、次は3Dアクションのようです。動画を見る限り面白そうなので、続編ではさらに面白くなっていることに期待しています。

くるりんカフェ

2024-02-12 13:32:13 | Games


くるりんカフェ

開発 ?
販売 株式会社ジー・モード
国 日本、東京



戦略性 ◯
インタラクション ◯
ビジュアル △
プレイアビリティ ◯
コスパ ◎

 良ゲーですね。
 ガラケー時代に良く聞いたGモード。くるりんカフェはその時代の人気パズルゲームです。


 現在はGモードアーカイブスとしてswitchで発売されているのですが、当時人気だったこともあり、ゲームとして楽しかったです。

 序盤はお手軽に連鎖できる反面、難易度を上げると慣れている人でも難しくなるゲーム性のデザインも非常に良かったですね。


 お客さんの注文をクリアしてから次のお客さんの注文にとりかかるゲーム性もオリジナリティがありつつ戦略性も高めていました。

 さすがにガラケー時代のゲームですので、ビジュアル、つまりグラフィックは今のゲームに劣ります。


 とはいえコスパも素晴らしく、ゲーム性も面白いです。セールではなく定価で購入しても損のないゲームのひとつですね。

 パズルゲームが好きな人はもちろんのこと、あまり興味がない人にも気分転換としてオススメできます。


 そりゃまぁ、スマホの無料パズルゲームでも充分面白いので、そっちでもいいんですけれどね。【買い切り】ってことに意味があるんですよ。

 と、そんな印象のゲームでした。