ジェノサイド(高野和明著角川書店)
『最後に父さんからおまえに訊きたいことがる。
父さんが頼んだ研究を、お前はやり遂げたか?
お前は子供達の命を救ったか?
お前は人類の役に立ったか?
未知の世界への挑戦を、心置きなく楽しんだか?
自然はお前だけに、とびきりの素顔を見せてくれたか?
そしてお前は、どんな芸術もかなわないほどの感動を味わったか?
父さんは知っている、お前がやり遂げたことを。
そんな我が息子を、父さんは誇りに思う。
どうかこれからも迷うことなく、薬学の道を進んで行ってくれ。
それではお別れだ。
さようなら、研人。
良い科学者になれ。父より。』第三部 出アフリカ570頁より引用
読後はしばらくボーッと感動に浸っていた。読み進むうちにスケールの大きさに圧倒され権力を持っている人間の精神構造に不安と恐れを感じてしまった。久しぶりに感動し充実させてくれた出会いだった。一読をお薦めします。