私が子供の頃は「晩夏」のこの時期自由だった夏休みも終わりに近づき、なんとはなしにうらぶれた思いを感じた
ものだった。夕刻になると自転車で海に行きぼけっとしながら、波の音を聞きながら夕日の残照をみるのが
日課だった。人だらけだった海岸も幻影だったかのように人影はなく独りだった。
人は、人間は規則に縛られ、かつ横並びの生活が好きなようである。
そのころ1/fなんて言葉はなかったが、穏やかなものに包まれて過ごすことは至上の至福に思えた。
人間が太古の時代自然に育まれて進化をとげたとしても、原点はこの旋律なのだと思ったことは幾度もある。
潮の匂いも私は好きで、下宿時代は全く海がない場所にいたので、里帰りの新幹線のホームを降りると、
潮騒の匂いを感じたものだ。その匂いがあー家に着くのだと知らせてくれた。