PEACEFUL

黙るのは美徳ではない。無知無関心がこの国を滅ぼす。

『移動するな!』の要請の中、飛行機はじゃんじゃん飛ばす矛盾

2020-05-01 14:59:00 | 日記



「不要不急の外出は自粛しようとこれだけ言われている中で、ANAとJALの羽田那覇線のプレミアムクラス・ファーストクラスは満席便も出ている」

ある旅行業関係者からのこんな情報提供をもとに取材を進めたところ、マイルポイントを目的に搭乗を繰り返す「修行僧」と呼ばれる人々の存在、そしてこの「不要不急の沖縄行き」の背景に、両社が3月後半から開始したマイルポイント2倍キャンペーンがあることがわかった。

「解脱」をめざして

大型連休も直前に迫った4月中旬、東京羽田空港。沖縄の那覇国際空港から到着したばかりの機内で、こんなアナウンスが流れた。

「沖縄那覇にお乗り継ぎの〇〇様、お乗り継ぎのお時間がわずかになっております。お近くの地上係員までお申し出ください」

いま東京に着いたばかりの乗客が、すぐさま那覇へ引き返すべく、急いで搭乗口へ向かう――。

何もせずすぐに出発地へ引き返すなど、一般の乗客からすれば何かとんでもない忘れ物でもしたのかと思ってしまう。しかし、これは「修行僧」にとっては日常の光景なのだと、情報提供者の旅行業関係者は言う。

飛行機好きには『マイル修行僧』と呼ばれる属性の人たちがいます。航空会社のマイルと上級会員資格の獲得を目当てに、特に用事がなくとも飛行機に乗りまくる人たちのことです。

なぜ『修行』なのかというと、航空券の購入にかなりの費用がかかるのはもちろん、同じ区間を同日に繰り返し往復するなど、身体的にもハードだからです。なお、目標を達成し晴れて上級会員になることは『解脱』と言われています」

こんなにカンタンなのは日本だけ

彼らはどうしてそんな辛い思いをしてまで、ポイントを貯めるのか。それは一度上級会員になると、一定の条件を満たしていればその資格を生涯キープできるからだ。

「JALなら『JALグローバルクラブ(JGC)』、ANAなら『スーパーフライヤーズクラブ(SFC)』という、一定以上のポイントを貯めた利用者だけに入会が認められる上級会員組織があります。これらの上級会員は、航空会社所定のクレジットカードの会員でさえあり続ければ、搭乗時にビジネスクラスラウンジや専用の優先チェックインカウンターを利用できたり、手荷物優待などの優遇を一生涯受けられる仕組みになっているんです。

極端な話、一度資格を取得すると、あとは全く飛行機に乗らなくとも大丈夫。また、クレジットカードの家族カードを作れば、家族もこの特典を享受できる。なので、30~50万円程度のコストを一時的に持ち出してでもこの入会資格をゲットするべく、必要以上に飛行機に乗る人が続出しているわけです。

これほど簡単に終身上級会員資格が取得できる航空会社は、世界的には極めて稀です。通常は50~200万マイル程度の搭乗が必須になっていますし、英国のブリティッシュ・エアウェイズにいたっては、達成のためにはロンドンとニューヨークをファーストクラスで83往復、ビジネスクラスでも125往復する必要があります。代金に換算すると5000万円はかかる。

要するに、海外では富裕層やエリート社用族のために用意されているステータスであって、日本のように30~50万円で誰でも会員権が取得でき、その家族まで利用できる、というのは異例です。背伸びすれば手の届くこのステータスを獲得したいと、ひそかに『修行』しているサラリーマンや主婦も意外と多いのです」

かつて「修行僧」は飛行機マニアが中心だったが、ブログやSNSの普及でノウハウが公開されるようになり、一気に裾野が広がったという。

実際、Twitterで「#SFC修行」と検索すると、この3月・4月にも「我が家もついに上級会員になりました」「上級会員まで残りのポイント稼げるかな」「キャンペーン延長されてよかった」などのつぶやきが多く見つかる。資格勉強にも似たノリで、より早くより安くポイントを貯めるノウハウや進捗を共有しあっている様子がうかがえる。

予約状況を見てみると…

「修行僧」がせっせとマイルポイントを貯めていること自体は、別に筆者がとやかく言うべきことではない。しかし問題は、この新型コロナの感染拡大で外出自粛が続く中、航空会社が外出を助長するような「ポイント2倍キャンペーン」を始めたこと、そしてそれに乗っかろうとした「修行僧」も少なからずいるらしい、ということだ。

ANA、JALのリリースなどによると、ANAは3月19日に6月末までの、JALは3月26日から7月31日までの搭乗分に対するキャンペーンを始めている。3月後半といえば、外出自粛が本格化してきた時期。自粛で時間も余り、「修行」にいそしむ利用者が出てくるのは当然想定できただろう。

たとえばGW期間中も、ポイントを貯めるのに効率がよいとされる羽田那覇便では、普通席がガラガラなのに比べ、ポイント倍増の効果が大きいファーストクラスはほぼ満席状態の便が多い(なお画像は予約状況のため、実際の搭乗実績とは異なる場合がある)。




5月1日午前の羽田沖縄便の座席表。ファーストクラスがほぼ満席なのに比べて、普通席は3割以下の埋まり具合となっている(Expert Flyerより)

これでは、いくら便数自体が減っているとはいえ、そして「修行僧」には空港から出ずにすぐに引き返す人も多いとはいえ、東京から沖縄に新型コロナをせっせと輸出することにもつながりかねない、と批判されても仕方ない。

折しも沖縄では、4月中旬から新型コロナの感染者数が急増しており、玉城デニー県知事も再三にわたり「沖縄旅行はキャンセルしてほしい」と呼びかけている。先の旅行業関係者によると、新型コロナの感染拡大が世界的な課題となっている昨今、ポイント2倍キャンペーンを始めた航空会社は日本のJALとANAくらいだという。

「海外の航空会社はどう対応したかというと、2019年の搭乗実績で付与された上級会員資格を、そのまま2021年一杯まで使えるよう期限延長しているところが圧倒的多数を占めます。今年いっぱいは旅行や出張ができなくても、また来年利用してください、という施策にするのが普通です。

ANAやそれに追随したJALのように、コロナウイルスを拡散させかねないキャンペーンをあえて打つなんて、良識に欠けると言われても仕方がない。3月の時点では、日本では感染拡大の勢いがまだ弱かったとはいえ、あまりにも危機感が薄いと感じます。これまで誰も批判しなかったのが不思議なくらいです」

なぜこの時期に?

さて、こうしたキャンペーンをなぜJALとANAは3月後半というデリケートな時期に始めたのか。両社に質問した。

まず、この時期にキャンペーンを開始した理由については、以下のような回答があった。

〈ステイタスの維持が難しいお客さま向けに展開したキャンぺーンになります。その後 の移動自粛要請等を鑑み、当社として2020年度のステイタスの延長(2022年3月末まで)を発表致しました〉(JAL)

〈ご利用のお客様からは、コロナ禍の影響により当社の運航便が大幅に減る中で、プレミアムポイントを積算する機会を逸している(翌年度のステイタスを維持できない)といったお声を多く頂戴しておりました。従って、数少ない搭乗でも積算率を高くすることによって、ご利用のお客様がステイタスを維持できるようなキャンペーンを実施し、来年度のステイタスを維持することを目的に搭乗されることも減らしたいと考えておりました〉(ANA)

つまり、自粛や減便による搭乗回数の減少をカバーするために、少ない搭乗回数でもポイントが貯まるようにキャンペーンを開始したということだ。しかし、それがかえって不要不急の移動を喚起しかねない側面があることを、認識していたのだろうか。その点については下記のような回答があった。

〈ご指摘の件については真摯に承ります。 緊急事態宣言が発出され、海外渡航も国内移動も難しい状況となっており、また、JALグループも路線の運休や減便をさせていただいていることから、ご利用のお客さまにはご不便をおかけしております。今後も関係省庁と連携を取りつつ、このような状況下においても、医療従事者の方々をはじめ、諸事情により移動が必要なお客さまがいらっしゃることから、人の移動、医薬物資、食料などの生活必需品などの物流ネットワークを支え続けることにより、公共交通機関としての社会的使命を果たして参ります〉(JAL)〈当初の私どもの意図とは逆に、当キャンペーンがお客様のご移動を促進してしまうとのお声は認識しております。その上で、現下の状況が長期化している環境も鑑み、4/24(金)に2019年の搭乗実績をもとに、2020年度、2021年度の2年間に渡ってステイタスを維持できることとさせていただきました。これによって、プレミアムポイントを獲得するといった目的で搭乗されるお客様は減ってくると考えております〉(ANA)

前述のように案の定、GWに入っても上位クラスはほぼ満席の状況になっていた。こうした現状があることは両社とも認識し、ステータス維持期間の延長を実施しているという。

いまが正念場だから

両社の言い分は、それぞれわからないではない。しかし、前出の旅行業関係者は手厳しい。

「海外キャリアと同じく、最初からステータス維持期間を1年間延長するべきだったのではないでしょうか。『修行』する人の増加はここ数年周知の事実となっていたのに、今回のキャンペーンがそれを後押しかねないことを読み切れなかったのは、制度設計と対応のミスと言わざるを得ません」

幸いなことに沖縄県などの呼びかけによって、GWの沖縄便では予約キャンセルが増えているともいう。全国で不要不急の旅行と外出を控える呼びかけがなされている「正念場」のいま、よりしっかりとした配慮と対応が必要だろう。


パチンコ屋や飲食店には厳しい『休業要請』を出すのに、大手航空会社には甘々なんですね。

布マスクといい、これといい、自分らの利益しか考えない政権に、国民の命を守る気持ちは一切ない。




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