シルクパワーのすすめ

シルクの効用を広める

これからの人間生活のゆくえ

2011-04-07 10:45:12 | 日記
雑誌「感生」59号の特集「お蚕さまの世界」に興味深い記事がありました。
冨沢木実氏の「新・職人の時代」の4章の「生活風土に合った布をつくる」という中で語られたことを引用していて、
「現在、技術革新がどんどん進められているが、日本の風土に合った暮らし方をこの辺で検討すべきではないか、
例えば合成繊維の開発の場合、本質を外した技術革新を積み重ねているようである。新合繊は眼鏡拭きに代表されるように、
細かいゴミまで拭き取れる、従来の繊維にない機能を備えている。しかし、どんなに見た目が絹のようでも、合繊は肌に近い
ところで使用すると、汗を吸わない、人間にどうも優しくない感じがする。本来繊維に求められている基本的な機能、つまり
汗を吸う、着心地がいいといった機能を満たせない。何か本質を外したところで資金と労力をつかっている。
であれば動物性繊維である絹は代表的な天然繊維である。しかし、天然繊維は採取はきつい労働だし、合繊にくらべて生産性
も低く、どうしても高価にならざるを得なくなる。しかし、天然繊維の方が、新品を購入するときは高価でも、何度も縫い直
して使い、ぼろぼろになるまで使えるから割安である。地球にも優しい。だが、最近は日本では効率化を追求するあまり、
天然繊維が持つ本来のよさを殺してしまっているようなところがある」とあります。
まさに利便性を優先させ日本のよき伝統・文化を消滅へと追いやる典型だと思います。何が人間にとって幸せなのか、それは
決して科学万能の便利な世の中ではありません。それはこの震災で思い知らされました。復興も、単に全くもとと同じ状態に
戻すのではなく、これからの日本国の目指す方向を明確に示しながら新生日本の船出としたいものです。