龍の御歳後:徒然の記

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彼(2)

2016-03-05 06:31:36 | 日記
勤務医は経済的にはさほど豊かではない。旧制高校
のような、難関校を受験するには、それなりの準備
がいる。お金持ちの同期生がいて、その彼が多くの
新しい参考書を持っていて、良くかしてくれたので
それで勉強したといってた。数人受験して最終的に
東大に合格したのは、2人だったという。友人は、大
して学問には興味がなかったらしく、さして勉強も
せずに、東北大学に進学した。
19才の春、戦時下で上京。下宿は荻窪の遠戚の伯母
さんの家。御子息が出征していて、部屋が空いてる
からだという。初めての授業の日、片道2時間半を
かけて出校。9時半くらいの授業のために10時くら
いに着いたものの、学生はほとんど来ておらず休校。
程なく、空襲警報の中で帰宅。四ッ谷を歩いてる頃
には、線路上に亡くなった方々の死体が沢山転がっ
ていて、異臭がしはじめているのを目の当たりして
陰鬱な気分になったと言う。
空襲の中、歩いて帰るかね、と思うし、また、全く
爆弾に当たらないの凄いね、と感じます。