エースをねらえ in ハワイ

生まれてはじめてテニスのラケットを持った
それもこのハワイで


アダルトスクールの友達から、テニスに行こうと誘われた時
正直そんなに乗り気ではなかった

もともと運動はあまり得意な方ではなくて
というか、ずばり運痴なもので

一度は誘いを断ったくらいだ



でも一緒に行くという二人もテニスは初めて
スニーカーだけ履いてくれば、あとは何も要らないと言うので
何となく行ってみようかと言う気になった



そんな初心者３人組を教えてくれる先生は
韓国人のフランク

３０年もハワイに住んでいるのに私と同じクラスで席を並べている

「３０年も住んでいるのにどうして英語が話せないの？」
という私の質問に

「３０年間厨房で野菜ばっかり切ってたからだよ」
としわしわの顔で笑っていた



ずっと料理人として働いて、今現在定年を迎えた彼はクラスでもよく発言する
そのほとんどは的はずれな回答が多いのだけれど
なかなかのムードメーカーなのだ





そんなフランクの生徒になったのは
私と同じ日本人のＡＮさんと中国人のヤナさん



マキキパークには、市民が無料で使えるテニスコートがあって
沢山の人が家族や友達とテニスを楽しんでいる

そんな人たちを横目に、私たちは奥の壁打ち専用ブースへ






最初にラケットの握り方を教えてもらい
あとはひたすら壁に向かって打つべし！打つべし！打つべし！

簡単そうに見えても、球はなかなかまっすぐ自分のもとに帰ってきてはくれない

ホームランになった球がフェンスを乗り越えて行くたびに
隣のコートまで３人が代わるがわる拾いに行った





隣で打ってた韓国人のおじさんもコーチに加わり
本格的にスイングを習ったがどうやってもおじさんのようには打てない

「練習あるのみだ！練習練習！！」
ジャージ姿のフランクが後ろでしきりに言っていた




上手かいなかは別として帰りはやけにすっきりした気分だった
ＡＮさんも、すっきりした顔をして「はまりそう」と言っていた

私と同様彼女も最近私生活で面白くない事があったらしい
結局来週も同じ時間に集まる事になった





次の日学校に行って、タイ人の仲良し姉弟を誘ったら来ると言っていた

「あたし、ラケット持ってるよ」
と、お姉さんのヌンは得意げだった

フランクも隣の席の人を新たに誘っている

このまま行くと同好会でも出来そうだな、と思った






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