はなかげ おとかげ

日本画家・書家 足立正平のブログです。

道とは、、

2012年02月27日 | 過去のBlog記事
相撲とかプロレス関係の本にはつい手がのびてしまう・・
ひさしぶりに読み応えのある本を読んだ。


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戦前、柔術(柔道)は様々な流派が互いにしのぎを削りあっていた。
ルールだって今と違い体重無差別、どちらかが気絶するか「参った」をするまで1時間でも2時間でも試合は続けられた。
投げ合ってもつれても「待て」もないから寝技の技術も徹底的に研究された。
柔道がまだ「生きるか死ぬか」という時代の不世出の柔道家、木村政彦の物語。


戦後、伝統的な日本文化や武道を危険視するGHQにおもねり「柔道は武道ではなくスポーツである」として今日の独占体制を築き上げたのは講道館であるが、この本を読むと今日の柔道=講道館が掲げる「きれいな一本」とか純粋な「アマチュア主義」がいかにねじれたものであるかが分かる・・

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道。異民族の首を携え、邪霊を払いながら外地へ抜ける道を進む姿。
柔術という言い方をわざわざ「柔道」という呼称に統一したのも講道館だが、戦後の混乱期、体一つで海外をまわり、強さを証明しながら不器用に生きる木村の姿に僕は本来の「道」の姿を見る・・



10数年前、格闘技のにわかブームが起きるきっかけとなったのは無敵のブラジルの柔術家たちであった。
当時日本の格闘家が束になってかかっても歯が立たなかった彼らの技術が、なんのことはない、戦後自らが捨て去ったものであったのは皮肉な話である。
スポーツとしての柔道がオリンピック種目にまでなったのは良いが、それによって失ったものの大きさに気づかされる一冊であった。





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