遅ればせながら、10月に鎌倉のギャラリーカフェ「ジャック&豆の木」で開催した個展の報告です。
今回のタイトルは「おとづれ」とした。
「おと」をテーマにした水墨の連作である。
「おとづれ -澄-」
「おとづれ -幽-」 と 「万葉 赤人歌」
今回いくつか万葉の歌を添えた。
千年以上も前の人間が、どのような意図をもって、
どのような状況で、これを書いたのかは知らないし、今の僕にわかるはずはないと思っている。
ただ、これを読んだときに聞こえる「おと」がある。
その「おと」は、きっと言葉で理解するよりも正しいんだと思う。
僕が現在、墨で取り組んでテーマは、たとえるならそんな「おと」だ。
「音」という字は神の声を聞くこと。
神聖な神の声は、視覚が不自由な暗い所で耳を澄まさなければ聞こえない。
「闇」という字に「音」がある所以・・・
色や形といった網では掬いきれないなにか大切な「おと」、を、
無限に広がる墨の諧調は掬いうるのではないかと思う。
12月19日から、京橋の「アートスペース羅針盤」でも内容をボリュームアップさせた個展を行います。ぜひお越しください。